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きょういくニュース 第279号(2025年7月) 6ページ
特色ある学校づくり「豊能町立吉川中学校」
79年の歴史に幕。今年度は吉川中学校最後の一年
開校して79年目を迎えた本校ですが、今年度で閉校となります。
令和8年度からは義務教育学校として、本校校区の3小学校と統合され、新しいスタートを切ることになっています(豊能町では東西に2校の義務教育学校が同時誕生します)。
一昨年度まで生活した旧校舎は、現在義務教育学校に生まれ変わるための工事に入っており、その関係で本校は校区の光風台小学校校舎に移り、小学生とともに生活する日々を昨年度から行っています。
加えて、敷地内には幼稚園もあり、幼稚園児とも一緒に生活しています。
〔旧校舎〕
〔現在の校舎(光風台小学校)〕
〔校門横の学校表示〕
スローガンは『笑顔で会える学校』
「吉川中学校に来たら、だれもが笑顔になれる」。
生徒や教職員はもちろん、保護者の方や地域の方々も、本校に来れば自然と笑顔になれる学校をめざしています!
本校は(本校校区は)、長年、生徒の「自尊感情の高揚」が課題の一つでした。
その課題克服に向け、まただれもが安心できる学校をめざして、このスローガンを掲げており、今年度で5年目になります!
〔今年度の学校のフェンスに掲げる生徒会作成の横断幕のデザインです〕
学校教育目標:なりたい自分を育てる学校(義務教育学校開校に向けて)
この学校教育目標は、校区4校で昨年度から共通で掲げています。
次年度からの義務教育学校でもこの目標を掲げてスタートすることにしています。
小中学校の教職員はもちろん、生徒や保護者にも意見を聞きながら、この目標をつくりました。
「自尊感情の高揚」は本校だけでなく校区全体の課題でもあったので、自分に自信を持ち、自分自身に期待し、将来に向けて希望をもって、「なりたい自分」を思い描き、自分の可能性を信じていろいろなことにチャレンジするような子どもの育成をめざします。
本校の自慢はズバリ❝生徒❞ ~生徒が活躍、躍動する学校~
スマホ教室
SNSでのトラブルなど、何かと生徒指導上でも厄介な問題として挙がってくる「スマホの使い方」。
でも、スマホの扱いは、大人よりも上手だし慣れている。
発想の転換で、生徒が得意とするスマホの扱い方を地域貢献にいかそうと考えたのが、3年前から地域に出向いて行っている『スマホ教室』です。
特に高齢化率の高い本町において、多くの高齢者の方がスマホを持っておられるけれど、その機能を十分に使えずにおられる。
その高齢者の方を中心に、中学生がスマホの使い方をお教えするこの『スマホ教室』。
大好評ですでに6回実施してきました。
今年度も2回の実施を予定しています。
「つぎの『スマホ教室』はいつですか?」など、学校に問い合わせの電話が入るほど、地域の方々に期待され、喜ばれている取組みです。
テレビや新聞でも取り上げていただき、他県からも問い合わせがあった自慢の取組みです。
メモリーズフェスティバル
昨年の3月、吉川中学校の校舎とお別れするにあたって、思い出の詰まった校舎で、思い出に残るイベントをしたいと生徒会が中心となって、卒業生や地域の方々を招いて、『メモリーズフェスティバル』というイベントを企画し、行いました。
校舎に入って写真が取れたり、来場ただいた方に楽しんでもらえるようなゲームを企画したりして、当日は600名を超える方に学校に来ていただきました。
当日はNHKの取材も受け、来場いただいた方はみな大満足の素敵なイベントとなりました。
この企画運営はほとんど生徒だけで行いました。
大勢の卒業生や地域の人々に喜んでもらい、大盛り上がりのイベントを成功させた生徒の力に感激し、感心させられた一日になりました。
校則の見直し
3年ほど前から「校則の見直し」を生徒会が中心となり、積極的に行ってきています。
「髪ゴム」や「くるぶしソックス」等についての議論から始め、昨年度は「校舎内での室内着」について、生徒会役員、評議員で熱い議論を戦わせ、そして生徒全員にアンケートを取り、必要に応じて教職員とも議論を重ね、みんなでルールを作り上げてきています。
「自分たちの学校を自分たちでつくっていくんだ」という意識が年々高まっています。
大人と討議
毎年、10月の初旬に、生徒会役員と学校協議員の方々とで討議をする時間を設けてます。
討議のテーマは、生徒会役員がそれぞれ、大人と論議したいテーマ、相談したいことなどを考え、ディスカッションするというユニークな取組みを行っています。
ちなみに昨年度は「将来の夢について」や「増税問題について」、「豊能町の活性化について」などについて、熱い議論が交わされました。
数々の生徒会企画
学校生活が少しでも楽しいものになるようにと、生徒会役員が中心となり、数々の楽しい企画を行ってくれています。
例えば、『写真で一言大喜利』では、学校生活での一こまを写した写真に、一言「クスッ」と笑えるコメントを付けたり(ただし「決して人を傷つけない」がルールです)、校長先生が毎週全校生徒に向けて出題している謎解き問題を、クラス対抗で競い合う企画を考えて実施するなど、吉川中学校では1年通しておもしろい企画が次から次へと実施され、生徒たち自身で楽しい学校生活になる工夫がされています。
陸上部 全国・近畿大会出場
部活動が盛んな本校ですが、中でも陸上部の活躍がめざましく、駅伝チームが男女とも近畿大会に出場(2年連続)、男子は大阪府で優勝し、全国大会にも出場しました。
一緒に生活する幼稚園の先生が、フェンスに出場祝いのメッセージを作ってくれました。
また、町長さんも学校にお越しいただき、全国大会出場を祝福してくださいました。
笑顔で会える学校をめざして ~生徒が安心して過ごせる学校に~
ほっとルーム
「がんばって学校には行かないと。けど教室には入りづらくて」という生徒のために、本校では『ほっとルーム』と名づけている校内教育支援ルームがあります。
校内教育支援員の方(2名おられます)と教職員が連携し、安心して学習したり相談したりできる空間を設けています。
この部屋があることで、登校日数が増えたり、教室での授業にもいくつか出られるようになったりと、「心のエネルギー」を充電する大切な空間になっています。
心理教育
3年ほど前から、本校に対置されているスクールカウンセラーの先生の協力のもと、本校では『心理教育』に取り組んでいます。
「怒りの感じ方」は人によって違うこと、また自分のイライラがどんな時に起こりやすいか、そしてイライラが起こったときの対応の仕方について学んだり、「ストレスコーピング」ということで、ストレスを感じたとき、ストレスがたまったときの上手な対応の仕方、気持ちのコントロールの仕方などを学んだりしています。
昨今の生徒たちは、昔に比べて多忙で、情報のシャワーの中で生きています。
そのような中で人間関係に苦しんだり、自信を無くしたりする場面も多いように思います。
心の健康を保つことがたいへん重要になってきています。
この取り組みは、たいへん有意義な取り組みになっています。
行事ではじけろ、吉中生!
「笑顔で会える学校」をめざし、生徒たちの自尊感情の高揚を一番の課題に据えて取り組んできている本校。
生徒に自信をつけさせ、充実感、達成感を味わわせる一番の機会が大きな行事です。
特に『合唱発表会』『体育大会』では、生徒たちが光り輝きます。
行事でもてるパワーを爆発してほしいと願っています!
(市町村教育室 小中学校課)