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きょういくニュース 第272号(2024年12月) 4ページ
特色ある学校づくり「大阪府立岬高等学校」
大阪府立岬高等学校
所在地:大阪府泉南郡岬町淡輪3246
電話番号:072-494-0301
学校HP:https://www.osaka-c.ed.jp/misaki/
本校は昭和54年、地域の強い願いのもと創立され、今年で46周年を迎えました。平成28年度にはエンパワメントスクールとして普通科から総合学科に改編され、令和6年度からはステップスクールとして新たな一歩をあゆみ始めました。大阪最南端に位置し、山と海に囲まれた自然豊かな環境にある高校で、その恵まれた環境を最大限に生かし、授業や特別活動において、地域と連携した取組みを行っています。生徒一人ひとりが充実した高校生活を送ることができるよう、様々なことにチャレンジできる仕掛けがたくさんあります。また、「学び直し」にも力を入れており、1年次のモジュール授業では国数英1コマ30分授業を毎日行い、小学校や中学校の復習から始め、高等学校への学びにつなげています。定期考査を年間6回行い、考査ごとの学習内容を精選し、スモールステップを意識した学習環境を整えています。考査前には勉強会を実施し、多くの生徒がテスト勉強に励んでいます。
(校舎の外観)
(学校から見える景色)
(考査前の勉強会)
めざす学校像
「ともに学び、ともに育つ」多様な教育実践校として、自律した生活習慣を確立し、主体的に課題解決に取り組む力を備えた、やさしくたくましい人材の育成をめざしています。
4つの新系列(令和6年度より更新)
2年生から自分の興味関心に応じて4つの系列(マリンアドベンチャー系列・アクティブ・IT系列・クロスカルチャー系列・ソーシャルケア系列)を選択することができます。
(1)マリンアドベンチャー系列
学校近くにある府立海洋センターや校内の施設等で海浜生物の採取と観察を行っています。フグやワカメの養殖、タコツボ漁実習(タコツボ制作)、カヌー、カヤック、釣り(ルアー制作)などのマリンスポーツを体験します。
(カヤック実習)
(タコツボ制作)
(2)アクティブIT系列
様々なボードゲームやカードゲームで実際にゲームを行い、コミュニケーション能力やプログラミング的思考力を養います。今年度は、モノポリー元日本チャンピオンとの交流や岬町の地域資源を盛り込んだ岬高校版オリジナルモノポリーを作成しました。また、学校の近くにある畑で農作物を栽培し、収穫します。今年度は、岬町の「ひまわりいっぱいプロジェクト」への地域貢献活動や岬町にある日本語学校の留学生と畑での交流授業を行いました。
(岬高校版モノポリー)
(留学生と畑での交流授業)
(3)クロスカルチャー系列
衣食住をはじめとした生活様式や価値観、言語など様々な国や土地の文化を、実習を交えながら学びます。岬町にある技能実習生研修センターや日本人学校と包括連携協定を結び、様々な交流を行っています。今年度は、ベトナム人やインドネシア人技能実習生との交流授業やバングラディシュ人留学生とのクリケット交流、ミャンマー人留学生との調理実習交流を行いました。
(技能実習生との交流授業)
(留学生とのクリケット交流)
(4)ソーシャルケア系列
福祉関係についての知識と技能を学ぶ授業や、保育とパラスポーツについて実習中心の授業を実施します。点字・白杖・車椅子体験、保育実習を通した子どもたちとの交流、高齢者の方々との交流なども行っています。
(白杖体験)
(高齢者の方々との交流)
岬高校ならではの学び×社会的自立(通級による指導・少人数クラス)
令和元年度より通級による指導、令和2年度より少人数クラスを実施しています。通級による指導において運動療育でSUP(サップ)体験を取り入れています。「SUP」とは「Stand UP Paddleboard(スタンドアップパドルボード)」の略称で、ボードの上に立ち、パドルを漕いで水面を進んでいくアクティビティーで、体幹やバランス感覚を鍛えることができます。その他にも「姿勢がよくなる」、「成功と失敗がわかりやすい」、「力加減が学べる」、「いろんなことにチャレンジする気持ちが芽生える」など数多くの効果がありました。このSUP体験は少人数クラスの体育の授業でも取り入れています。
(1)通級による指導
週2回放課後等を利用し、月曜日は運動トレーニング、木曜日は体験的な活動を行っています。自然環境を活用した体験活動や、将来社会に出たときに必要な8時間労働に耐えることのできる体力作りを通して、職業生活で必要なコミュニケーション力の向上、健康管理や余暇の有効な過ごし方の習得をめざしています。
(運動トレーニング(キンボール)の様子)
(体験的な活動(レゴブロック制作)の様子)
(2)少人数クラス
少人数クラスは高校生活に様々な不安を感じている1年生の希望者を対象に1クラス10~15人程度で編成しています。少人数クラスの体育ではSUPや乗馬体験、ニュースポーツなど独自の授業を行っています。また、12月には生活習慣における課題を見つけ、それについて解決や改善する方策を探る目的で宿泊研修(スキー体験)も行っています。少人数だからこそできる人間関係づくりやコミュニケーション力の向上、日常の中にある課題の克服をめざしています。
(SUP体験の様子)
(BIGSUP体験の様子)
(乗馬体験の様子)
山海人プロジェクト
「山海人プロジェクト」という伝統的な行事があり、毎年、地域の自然を守るため全校生徒で清掃活動などを行っています。今年度、1年生は自然環境を守るために、岬町にある愛宕(あたご)山に行きました。愛宕山では、つつじの植樹、草抜きや草集め、看板づくりを行いました。2・3年生は岬町の多奈川、深日、淡輪、小島などクラスごとに6つのコースに分かれ、岬町の名所や歴史に触れながら、清掃活動を行いました。
(つつじの植樹の様子)
(清掃活動の様子)
生徒会活動・ボランティア活動
生徒会は、会長、副会長、書記2人、会計2人、学年代表3人の9人体制で活動しています。“やる気”と“元気”のある生徒が多く、校内・校外で様々な活動を行っています。今年度、生徒会の生徒が自分たちで学校紹介動画を作成し、オープンスクールなど広報活動のサポートをしてくれました。「福祉&多奈川小学校フェスタ」ではアナログゲーム企画で地元の小学生や地域の方との交流を行いました。また、地域イベントへ参加する際は生徒会の生徒だけでなく有志のボランティアで協力してくれる生徒もたくさんいます。大阪公立大学の留学生と交流をして書道体験や折り紙体験を一緒に行ったり、「子ども食堂」のボランティアに参加し地域の子供たちとの交流を行ったりしました。
(多奈川小学校での交流)
(大阪公立大学の留学生との交流)
特色ある部活動(ピリカ部)
令和2年に生徒発信(※)で作られたピリカ部という部活動があります。「ピリカ」とはアイヌの言葉で「美しい」「きれい」「豊かだ」という意味です。ピリカ部は毎週土曜日、主に近くの砂浜に打ち上げられたゴミを拾っています。海岸だけではなく海上に浮遊しているゴミをSUPに乗り回収もしています。海岸・海上清掃だけでなく、校内の環境整備や地域の方との交流なども行っています。様々な活動を通して持続可能な社会の実現のため大阪の海の環境改善に取り組んでいます。
ピリカ部は7月に行われた「スポGOMI甲子園in大阪」で優勝しました。「スポGOMI」とは日本発祥の新しいスポーツで3人1組のチームを組み、決められたエリア内で制限時間内にゴミを拾い集め、その質と量を競い合う、地球に最も優しいスポーツです。12月に行われる全国大会では、大阪代表として出場します。ここでも優勝をめざして頑張りたいと思っています。11月28日には教育庁まで表敬訪問し、水野教育長から激励のお言葉をいただきました。
(※少人数クラスの体育のSUP体験で地域の海を使わせてもらっていたとき、海岸・海上に多くのゴミがありました。「この海をキレイにしたい!地域に貢献したい!」という思いからできた部活動です。)
(ピリカ部)
(スポGOMI甲子園の様子)
(表敬訪問の様子)
終わりに
ステップスクールになり、これまで以上に地元の岬町をはじめとした地域との関わりを大切にしています。
豊かな自然に囲まれ、様々なことにチャレンジできる仕掛けがたくさんある岬高校だからこそできること、岬高校でしかできないことがいっぱいあります。これからもより一層、「地域を愛し、地域に愛される学校」をめざして取組みをすすめてまいります。
(教育振興室 高等学校課)