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きょういくニュース 第270号(2024年10月) 2ページ
特色ある学校づくり「大阪府立天王寺高等学校」
大阪府立天王寺高等学校
所在地:大阪府大阪市阿倍野区三明町2-4-23
電話番号:06-6629-6801
学校概要
本校は明治29年(1896年)に大阪府第五尋常中学校として創立され、開校以来、様々な分野に幾多の有為な人材を輩出してきました。
その校風は、「自由闊達 質実剛健」を旨とし、勉学のみならず、多彩な行事や部活動を通して仲間たちと切磋琢磨し、自らを鍛錬する文武両道を実現しています。
この誇り高き伝統を教育方針の根底に受け継ぐ一方で、文部科学省からは平成16年度より「スーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)」、大阪府からは平成23年度より「グローバル・リーダーズ・ハイスクール」の指定を受け、専門性の高い理数教育や、海外の学生との交流などを通じて、科学的思考力や豊かな国際感覚の育成を図り、将来、グローバルに活躍できる人材の育成をめざしています。
教育目標
- 「授業第一主義」「鍛錬主義」「本物志向」を教育の三本柱とし、文武両道による全人教育(秀才を誇らず野人を誇り、名門を言わず実力を言う教育)をめざします。
- 専門性の高い理数教育、実践的な英語の活用能力や情報スキルの習得、海外の学生との交流などを通じて、科学的思考力や豊かな国際感覚を養います。
- 課題研究等の探究活動において、論理的思考力とともにチームとして協同できる力やプレゼンテーション能力の育成を図ります。
(校舎の外観)
(広報用ポスター)
【創知】(課題探究)
生徒全員が課題研究に取り組むための独自教材を作成し、横断的で実践的なカリキュラムを開発しています。
- 第1学年の年度末には2人1組で実施したプレ課題研究を英語のポスターにまとめ、留学生とともにポスターセッションを行う「サイエンスイングリッシュ」を実施しています。
- 第2学年前期では2時間の授業を1時間ずつに分け、1時間はディベートを、もう1時間は課題研究準備を実施します。またディベートではクラスマッチを実施し、ジャッジに弁護士の方々(卒業生)を招聘しています。
- 第2学年後期では、生徒全員が2時間連続で課題研究を実施します。前期の課題研究準備と接続することで1年間の課題研究を実現させています。
- 第3学年では、どの分野に進んでも求められる論理的思考力を育成するため、数学分野の探究活動を実施しています。
(ディベート決勝の様子)
(創知 授業用テキスト)
【専門性の高い理数教育】(SSHの取組み)
突出人材の交流空間の創設
本校は今年度、文部科学省から「SSH科学技術人材育成重点枠」の指定を受け、「突出人材の交流空間の創設」を行っています。これは、学校間の垣根を越え、本校生徒が他校の生徒と共に、学識経験者等の支援を受けながら切磋琢磨する取組みです。学識経験者・卓越した教員等にブースターとして参加してもらい、各種勉強会、研究者との対話、合同合宿、共同研究等を実施しています。
今年度はここまで、以下の取組みを実施しました。
- 「マイコン搭載ロケット打ち上げ・観測データ収集」【高津高校との共同企画】
- 「スーパーハイテンション数学合宿」【四條畷高校との共同企画】
- 「魚好きフィールドワーク 水産研究所での研修」【天王寺高校独自企画】
今後も新たな交流空間を創設し、府立学校からの生徒、教員の参加により、大阪府全体の科学リテラシーの向上に繋げていきたいと考えています。
(生徒募集のフライヤー)
本物志向の体験(天高アカデメイア+(プラス))
天高では、第一級の“本物”に直接触れることによって、視野を広げ知識の深化を図っています。様々な分野の専門家を招いて講義を受け、また校外に出て研究の現場に臨んでいます。天高アカデメイア+に参加して研究者の道をめざす生徒もいます。
令和6年度実施内容
第1回「ゲノム編集でみる生命の不思議」
(大阪大学 微生物病研究所 教授 伊川正人 様)
第2回「世界最大の加速器で探る 素粒子と宇宙 ~ヒッグス粒子の発見でわかったこと、深まった謎~」
(神戸大学 理学部物理学科 教授 山崎祐司 様)
第3回「楽して計算するには ~計算を科学する~」
(京都大学 数理解析研究所 教授 牧野和久 様)
第4回「当たり前を問い直す ~社会問題に関心を持つことは無意味なのか~」
(朝日新聞 記者 机美鈴 様)
第5回「アマテラス粒子」
(大阪公立大学 理学部 物理学科 准教授 藤井俊博 様)
《生徒の声》
- 天高に入学して初めてのアカデメイアで、講演を聞いて難しいなぁ~と思うことを予想していましたが、予想の何十倍もの面白さで、貴重な体験をさせていただきました。
- 最初は話の進み方が速く、ついていくことができない部分もありましたが、最後の方には、話の内容の大半を理解しようとしている自分にとても驚きました。
- “ホンモノ”に触れるというのは、正にこのようなことかと感動しました。一つの学問に対する深い知見は興味深いものばかりで、貴重な経験になりました。
(天高アカデメイア+の様子)
SSH生徒発表大会での活躍
8月7日・8日に神戸国際展示場で開催された令和6年度SSH生徒研究発表会において、本校物理チームが「沿面放電における電流の流れ方の定量化と考察」をテーマに発表し、奨励賞を受賞しました。この賞は、理数系の6分野(数学・情報/物理・工学/化学/生物A/生物B/地学)から、今後の活躍が期待される各分野1校が選出されるものです。沿面放電とは「絶縁物上に置いた電極への高電圧印加時に、その表面に沿って起こる放電」のことです。
講評において、「難しいテーマに対して、様々な工夫をしながら上手く取組んでいる。」「社会的必要性と科学的好奇心で設定されたテーマに対し、先行研究を踏まえ、独自の考察を加えた点は高く評価できる。」等のご意見をいただきました。
(研究発表会の様子)
(物理チームのメンバー)
(研究発表会のポスター)
大阪サイエンスデイ
本校が中心になり、府内の高校生等を対象に、課題研究の深化と理数系分野の興味関心を喚起するために大阪サイエンスデイを開催しています。10月開催の第1部では、天王寺高校を会場に、自由に研究交流や議論のできる130本を超えるポスターセッションや、審査チームから個別に指導助言が得られる研究発表会、リケジョイベント、海外の招待校による発表等を実施しています。今年度は新たに、府内中学生を対象に加え、研究発表を行う予定です。12月開催の第2部では、大阪工業大学において各校代表による研究発表会を開催しています。また研究発表会での審査チームは大学教員に加え、SSH指定校の教員、SSH指定校以外の教員等で組織しており、生徒への審査・指導助言を通して高校教員の指導力向上も図っています。
(大阪サイエンスデイの様子)