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(きょういくニュース 第266号(2024年6月) 5ページ)
特色ある学校づくり「大阪府立北摂つばさ高等学校」
大阪府立北摂つばさ高等学校
〒567-0848 大阪府茨木市玉島台2番15号
学校ホームページ(外部サイトへリンク)
学校概要
本校は、大阪北部の茨木市内にあり交通の便がよく、周辺の小学校、中学校をはじめとした地域とのつながりが深い学校です。地域と連携した交通安全教育に熱心に取り組んだ結果、令和元年度には学校保健及び学校安全表彰で高等学校として全国では唯一、文部科学大臣表彰を受けることができました。
平成31年度には、生徒の進路実現を全力でサポートするため、
3つの専門コース(①人文ステップアップコース②社会文化コミュニケーションコース③美術工芸表現コース)と3つの系(①総合系②看護・医療系③理系)を設置しました。令和3年3月には専門コースとして初めての卒業生を送り出し、それぞれの分野での活躍を期待しています。
また、平成25年度より、とりかい高等支援学校の分教室として「共生推進教室」を設置しており、高等支援学校と連携したインクルーシブ教育を進めています。
校歌の詞にある「みんなの夢をつばさにたくし」に応える3つの専門コースと3つの系及び共生推進教室を設置する普通科高校として、「課題解決能力と人間関係形成能力等を身につけた、社会で生き抜き、社会に貢献する人物を育成する。」をスクール・ミッションとし、さらには令和6年度の学校経営計画に掲げためざす学校像の実現に向けて地域に開かれた学校運営に取り組んでいます。
めざす学校像
「信頼」・「挑戦」・「継続」をキーワードに心の通う教育活動を展開し、社会で活躍する総合的な「人間力」の育成をめざす。
1.互いに信頼で結ばれた関係を作り上げ、相手を思いやる豊かな心の育成をめざす。
2.専門コース・系の特色を生かし、挑戦する心と積極的な行動力の育成をめざす。
3.自らの可能性を伸ばし、夢の実現に向けた粘り強い継続力の育成をめざす。
近年の主な取組み
1 立命館大学との連携授業
令和3年度から立命館大学(総合心理学部 山本博樹教授)と連携し、本校1年生を対象として「21構造方略プロジェクト」に取り組んでいます。1年生から構造方略に触れることにより、日々の授業の理解が深まります。
構造方略とは論理的文章の構造を的確に把握し、その構造把握を活用して論理的文章を理解する文章の読解方法です。この構造方略を継続的に使用し、教科書の理解度を高める取組みを行っています。生徒からは「文章の特徴をつかむことで、文章の理解力が向上した」という意見があり、今後も継続的に構造方略プロジェクトの学びを生かしていきたいと考えています。
学習法講座
2 社会文化コミュニケーションコース タイ国パハルタイ高校との交流
地域のNPO法人の協力で、毎年国際交流活動を実施しており、今年で18年めになります。地域連携(地域の人材資源活用)と国際交流を組み合わせた取組みで、生徒にとって非常に有意義な教育活動です。
社会文化コミュニケーションコースの授業で、特別非常勤講師の田中先生にコーディネートしていただき、タイの高校生との交流を実施しています。パハルタイ高校の日本語学科の生徒との交流では、ビデオレターや手紙の交換、ZOOM等を用いたオンライン交流を実施しています。
パソコンの設定準備
オンライン交流
ビデオレターの撮影
海外の高校生との交流を通じて、他国のことはもちろん、自国についても振り返る機会が得られ、新たな発見につながっています。令和5年8月には生徒2名と教員1名が実際にタイのパハルタイ高校にスタディーツアーで訪れ、日本とは異なる生活様式の中で貴重な体験ができました。現地に行くことでタイの文化や魅力を存分に学び、味わうことができました。また、パハルタイ高校の皆さんに日本の文化を伝えることは、本校の生徒があらためて日本の良さを再認識するきっかけにもなり、国際的な視野を広げる一助となりました。今後もより充実した取組みになるよう内容等の工夫や改善に努めていきます。
さらに、令和6年2月20日に北摂つばさ高校とパハルタイ高校が協力協定提携書(MOU)を交わしました。この協力関係を礎に、両校の生徒や教職員間の交友関係を育み、両国間の豊かな国際関係が醸成されるきっかけにしていきたいと考えています。
令和6年3月21日にはタイ王国チェンマイ県の小中学校教員17名(家族含)が訪日し、北摂つばさ高校に来校いただきました。部活動見学やクッキング交流を行い、本校の生徒や教員と楽しい時間を過ごしました。
歓迎式
自己紹介
クッキング交流
調理したタイ料理
3 美術工芸表現コース
豊かな創造力と多様な表現力を身につけることをめざす美術表現コースの生徒たちも活発に活動しています。
今年度は美術工芸表現コースの3年生岡田千穂さんの「蝶の夏」という工芸分野の作品が、第48回全国高等学校総合文化祭の岐阜大会に大阪府代表作品として出展されます。「専門コース・系の特色を生かし、挑戦する心と積極的な行動力の育成をめざす。」という学校目標を、見事に体現してくれています。本校の特色ある学びが、全国大会に出展されるほどの成果をあげています。
震災に対する復旧復興支援活動
1 東日本大震災復興支援活動
本校は淀川水系の安威川という一級河川の流域の低地域に位置しており、かつて安威川氾濫の時に被害を受けている地域です。そのため、本校は水害に対しては他人事と思えない地域に立地しているといえます。そのような背景を持つ本校の生徒が、平成23年の東日本大震災での被災に対して「何かしなければ」という思いを強く持ち、東日本大震災の復興支援活動が始まりました。この活動は現在も続いていて、現在は学校・地域の連携によって、大阪・宮城の双方向交流による復興支援活動、学校・地域の連携による防災ネットワークづくりに取り組んでいます。
さらに、この復興支援活動の継続をめざしてコース授業に位置づけるとともに、学校をユネスコスクールにするため平成23年12月にユネスコ本部に申請し、平成24年7月に認可されました。また幅広い社会貢献活動ができるように平成25年度からユネスコ協会ESDパスポートを生徒に配付し全校で活用しています。
(1)高校生による気仙沼での復興支援
実際に宮城県気仙沼市まで赴き、復興支援を行っています。公園のヘドロ掻きや福祉施設や仮設住宅の慰問、カキ養殖の復興のためのイカダづくりや津波で失われた防潮林の復興を目指した植林活動、さらに震災の影響で海で遊べなくなった子どもの自然体験のサポート、そして宮城県気仙沼高校の生徒との交流会など、様々な活動を実施してきました。令和6年度も7月12日(金)から16日(火)の日程でボランティアを実施する予定です。
(2)被災地の高校生を大阪に招へい
近隣自治会の協力のもと、招へいした学生が各家庭や自治会館に宿泊できる環境を整え、地域ぐるみで高校生交流(生徒会、ダンス部、野球部)を行ってきました。平成25年度からは気仙沼高校野球部を招いて、府立茨木高校、府立春日丘高校、金光大阪高校とともに交流試合(平成26年3月~)を実施してきました。これを機に茨木市スポーツ少年団の小学生約100名も毎年参加してくれています。また、専門コースの生徒やユネスコクラブの生徒、合計約80名が分担して、ホスト家族への挨拶周りやゲスト生徒のホスト家族・学校間の朝夕の送迎を行いました。この交流活動に対して様々な方から好意的なご意見をいただくことができ、テレビで3件、新聞で17件、取り上げていただきました。
宮城県の高校生を招く野球交流は新型コロナにより令和元年度から中止となっていましたが、令和6年度より再開します。関係団体、周辺地域自治会の皆さまのご協力に深く感謝しています。
(3)震災に対する募金活動
平成23年以来、阪急茨木市駅前で募金活動を実施しています。東日本大震災に際しては、本校生を含む高校生2,951名が参加しました。12回の募金活動によって、気仙沼高校にお届けした募金は1,614,808円となりました。また、熊本地震に際しては高校生59名で募金活動を実施し343,297円の募金をお届けし、さらに鳥取県中部地震に際しては高校生134名で募金活動を実施し90,433円の募金を現地にお届けしました。
(4)コロナ禍での活動
被災地の高校生の大阪招へいがコロナで中止となっている間に、地域防災ネットワークづくりとして、次の取組みを進めました。
①茨木市内の高校とスポーツ少年団と連携して、令和3年度より年間7回小学生野球教室を実施してい
ます。毎回小学生100名程度の参加を得ています。
②玉島小学校で創作された歌唱「玉島村からはじまって」という安威川氾濫時の地域の小学生の様子を歌ったビデオを掘り起こし、失われた楽譜のため採譜を行い、主旋律を楽譜化しました。今後は伴奏の楽譜化をめざしています。
2 能登半島地震復旧復興支援活動
(1)募金活動の実施
令和6年1月22日(月)、24日(水)に阪急茨木市駅前にて「能登半島地震復旧復興支援募金」を近隣の高校と合同で実施しました。ご協力いただいた募金(261,903円)はNPOガクソー(珠洲市)および珠洲市へお届けしました。
(2)高校生による珠洲市での復興支援
石川県珠洲市の震災復興支援に、3月29日(金)から31日(日)の間、本校の14名の生徒と3名の教員が参加しました。珠洲市ボランティアセンターで活動する高校生は今回が初めてでしたが、参加者一人ひとりの力を被災地復旧復興に役立てることができました。被災地域の皆さまからも温かい感謝の言葉をいただき、参加者全員が活動の意義をしっかりとかみしめるとともに命の尊さを強く感じることができました。
生徒の感想に「地震発生後、私たちはテレビや新聞等を通じて被災地の様子を知っているつもりでいました。また、地震発生後3か月近くも経過していたので、ある程度の復旧はできていると思っていました。しかし、現実は大変厳しく、全壊した建物などほとんど手が付けられていない状況を目の当たりにしてショックを受けました。」とありました。
テレビで見ているだけでは何も変わらず、自分一人でできることは限られています。しかし、勇気を出して最初の一歩を踏み出すことでたくさんの人とつながることができます。この「人の輪」を大きく広げることで強い力が生まれ、被災地の皆さんの笑顔につながります。
能登半島への復旧復興活動は9月にも予定しています。これからもこれまで継続している気仙沼派遣活動と合わせて「人の輪」を大きく成長させていき、たくさんの笑顔の花を咲かせていきたいと強く願っています。
珠洲市ボランティアセンター
現地での説明