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10.N事件(令和6年(不)第52号事件)決定要旨
1 事件の概要
本件は、韓国に所在する申立外K社の清算に伴い同社を解雇された従業員らが日本において結成したO2組合が、K社の親会社である会社に対し、上部団体に当たるO1組合とともに団体交渉を申し入れたが、会社がこれに応じなかったこと、が不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
2 判断要旨
(1)労働組合法第27条に定める労働委員会の救済制度は、日本国憲法第28条の保障する労働者の団結権及び団体行動権の保護を目的とし、これらの権利を侵害する使用者の一定の行為を不当労働行為として禁止した労働組合法第7条の規定の実効性を担保するために設けられたものである。したがって、不当労働行為の救済に関する我が国の労働組合法の規定は、我が国に存在する労使関係に対して適用されるものと解するのが相当である。
この点、O2組合の組合員らと会社との間に雇用契約はなく、両者の間には、我が国における労使関係は存在しない。
(2)これに対し、組合らは、O2組合が新たに日本で設立されたことなどを理由に日本において労使関係が新たに形成されたと主張するが、組合らによる会社への団交申入れは、実質的には、韓国における申立外K社とO2組合の組合員らの労使関係において生じている紛争に係るものといえる。このような、国外の労使関係において生じている紛争について、日本で新たに労働組合を設立したからといって、我が国において労使関係が新たに形成されたとはいえない。
(3)以上のことからすると、我が国において労使関係が新たに形成されたとはいえず、本件申立てに関しては、我が国の労働組合法が適用されない。したがって、会社は、我が国の労働組合法上の使用者に当たらないことはいうまでもない。
よって、組合らの主張する事実が不当労働行為に該当しないことは明らかであり、その余を判断するまでもなく、組合らの申立てを労働委員会規則第33条第1項第5号により、却下する。
3 決定内容
本件申立ての却下
※ なお、本件決定に対して、組合らは中央労働委員会に再審査を申し立てた。