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12.N事件(令和6年(不)第49号事件)命令要旨
1 事件の概要
本件は、組合が、会社に対し、組合員1名に対する解雇通告等について団体交渉を申し入れたところ、会社は、当該組合員に対し退職勧奨は行ったが解雇した事実は無く、議題が不明確であり正当なものではないとして、団交申入れに応じないこと、が不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
2 判断要旨
(1)本件要求事項が義務的団交事項に当たるかについて
労働者の労働条件その他の待遇に係る事項等であるから、義務的団交事項に当たる。
(2)会社が本件団交申入れに応じなかったことに「正当な理由」があるかについて
解雇通告の撤回を求める本件団交申入れに対し、会社が、当該組合員に退職勧奨は行ったが解雇通告は行っていないと指摘することは正当な応答と認められる一方、組合は、この指摘に対し、当該組合員に事実関係を確認するなどして、解雇通告の有無や、会社の主張する非違行為の有無等を議題として掲げるなど、団交の議題を可能な限り特定し、会社との協議を継続することができたのに、これを行わなかったことが認められる。
よって、会社が本件団交申入れに応じなかったことは、正当な理由によるものと認められる。
なお、組合は、団交申入書における要求事項の中には、当該組合員に対する解雇通告の撤回のみならず、事前協議制等に関する事項も含まれていると主張する。しかし、団交申入書は、その文脈上明らかに、当該組合員が解雇通告を受けたとされることが端緒であること、組合の主張する事前協議制の在り方等は、当該組合員に対してなされたとされる、解雇通告の背景事情として指摘されていることが認められる。また、組合自身、会社の団交拒否に対する抗議を行うに際し、当該組合員に対する解雇通告の論点とは別に、上記事前協議制の議題等について団交に応じるよう求めた事実も認められない。
以上の事実からすれば、組合は、団交申入書において、当該組合員に対する解雇通告とは別の議題として、上記事前協議制に関する事項等を掲げたものとは認められないから、組合の主張は採用できない。
以上のとおり、本件団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由によるものと認められるから、本件申立ては棄却する。
3 命令内容
本件申立ての棄却
※ なお、本件命令に対して、組合は中央労働委員会に再審査を申し立てた。