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20.O事件(令和6年(不)第31号事件)決定要旨
1 事件の概要
本件は、組合員らの雇止めの撤回及び雇用継続等を要求事項とする団体交渉申入れに対する被申立人の対応が不当労働行為であるとして、申し立てられた事件である。
2 判断要旨
(1)本件団交申入れは、常勤講師等の臨時的任用職員、非常勤講師ら、元非常勤講師である組合員についてのものであったと認められる。
(2)常勤講師等の臨時的任用職員及び非常勤講師らの会計年度任用職員は、いずれも一般職の地方公務員である。
組合は、裁判例に照らせば、一般職地方公務員への不当労働行為には労働組合法が適用あるいは類推適用ないしは準用されると解することができると主張するが、組合が引用する裁判例は、地方公務員法第58条が一般職の地方公務員の労働基本権を制限し、その範囲で労働組合法の適用排除を規定したものである旨明確に述べているから、組合の主張は採用できない。
また、組合は、任用期間内であっても勤務時間外には労働組合法が適用されると主張する。しかし、団交拒否の不当労働行為救済申立て事件において、当該団交の当事者に適用される法規は、団交を拒否した使用者との労使関係を基礎として判断されるから、勤務時間の内外のいずれであるのかが判断を左右するものではない。したがって、仮に、当該組合員が勤務時間外であったとしても、本件団交申入れの相手方との労使関係においては、地方公務員法が適用される。
(3)組合は、元非常勤講師は、本件団交申入れ時には、一般職の地方公務員でなかった以上、地方公務員法は適用されていなかったから、労働組合法が適用されると主張する。
しかし、元非常勤講師は、令和4年度末まで一般職の会計年度任用職員であったこと、及び組合は府教委に対し、元非常勤講師の「雇止めの撤回・雇用の継続」を要求していたことが認められる。そうすると、組合の要求は、地方公務員法が適用されるものについての要求とみるのが相当であるから、労働組合法が適用される者について団交を申し入れたものとみることはできず、この点に係る組合の主張は採用できない。
(4)以上のとおり、本件団交申入書に基づく団交において、府が、組合の要求は管理運営事項に該当し回答できないとした対応に係る申立ては、労働組合法適用者の問題に関するものとはいえないから、本件において組合の申立人適格を認めることはできないので、本件申立ては却下する。
3 決定内容
本件申立ての却下