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ハンセン病関西退所者原告団いちょうの会 要望書
要望書受領日 |
令和7年3月21日(金曜日) |
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団体名 | ハンセン病関西退所者原告団いちょうの会 |
取りまとめ担当課 |
府政情報室 |
表題 | 要望書 |
要望書
2025年3月21日
大阪府知事 吉村洋文 様
ハンセン病関西退所者原告団いちょうの会
要望書
以下の要望について、2025年度4月中の応接を希望いたします。また、全項目について文書回答をお願いいたします。
1.2025年度大阪府におけるハンセン病問題対策予算について
大阪府が「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」第5条の地方公共団体の責務として現在実施している、ハンセン病回復者と家族の福祉の増進を図るための施策とハンセン病問題解決に向けての啓発等について、2025年度予算について明示してください。
ハンセン病回復者支援センター職員は全員嘱託職員です。非正規なので、不安定であり、若い世代が仕事として続けて行けるよう、大幅な人件費の拡充を求めます。
2.「ハンセン病問題対策協議会(仮称)」の設置について
国は厚生労働省、法務省、文部科学省の三省協議を実施し、ハンセン病問題の啓発と教育について協議を続けています。大阪府としても、大阪府健康医療部、府民文化部人権局、教育庁の各部署が連携し、ハンセン病回復者と家族に対する偏見差別の解消及び家族関係の回復に向けた施策や、地域においてハンセン病回復者が安心して地域で生活できるよう検討・実施するための「ハンセン病問題対策協議会(仮称)」をハンセン病回復者と家族、国賠訴訟弁護団や有識者、大阪市、堺市、ハンセン病回復者支援センターも入れて設置されるよう求めます。(実施している県のうち2県の状況は、資料参照)
3.大阪府としての謝罪と名誉回復の取り組みについて
(1)知事にハンセン病療養所に出向き、入所者と面談し実態を知っていただくとともに、納骨堂にお参りし、謝罪と哀悼の意を表してください。また、外島保養院の跡地で開催される追悼式典や「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」の式典にも知事とともに大阪府職員も出席してください。
(2)いちょうの会と知事との面談を実現してください。
4.差別と偏見解消のための啓発活動の充実について
(1)大阪府の啓発冊子『ハンセン病問題を理解するために』を全面改訂されたい。
(2)大阪府教育庁としては、本年3月の『ハンセン病に係る偏見差別の解消のための施策検討会報告書』を踏まえ、どのように今後のハンセン病問題学習を学校教育現場で実施しようとされているのかを明らかにしてください。大阪府教育センター主催の「出会いから学ぶ人権学習」では毎年、いちょうの会会員が講師を務めていますが、年々受講者数が減っています。ハンセン病問題の研修計画を示してください。特に、中学校に配布されている「ハンセン病の向こう側」の活用状況を調査し、報告してください。
(3)歴史資料の保存・活用
1)外島保養院の歴史をのこす会は、2014年に発足しました。国立ハンセン病療養所邑久光明園、同入所者自治会、ハンセン病関西退所者原告団いちょうの会、市民が共同代表となり活動しています。外島保養院跡地にある慰霊碑設置場所に、二府十県で運営していた外島保養院なので、他府県と連携し、大阪府が主管となって外島保養院の説明および謝罪と追悼の意を示すプレートを設置してください。
2)「白鳥寮」「柴島健康相談所」の跡地に説明板を設置し、「らい予防法」の下どのような役割を果たしてきたのかがわかるようにしてください。
3)ハンセン病問題関連資料の収蔵・保存・閲覧コーナーの設置について「リバティおおさか」に収蔵されていたハンセン病問題関連の資料は、大阪公立大学に引き継がれることになりました。大阪公立大学のどこに連絡すれば、閲覧したり、活用することができるのかをお教えください。
4)大阪府に保管している歴史的資料及びそれを電子データ化したものについて、一部は大阪府ホームページで公開されていますが、その後活用方策を検討されたかどうかを明らかにしてください。今後も関連資料の取り扱いについては、当事者であるいちょうの会と協議の上すすめてください。ハンセン病問題に係る公文書の保存の在り方についての基本的な考え方をお示しください。
5.地域で暮らすハンセン病回復者と家族への支援について
(1)医療について
1)大阪急性期・総合医療センターにおけるハンセン病回復者専門外来を継続してください。病院に直接電話した時に、対応する職員が専門外来のことを知らない場合がありますので、職員にその意義等徹底してください。
2)大阪府内の医療機関、また、大阪府医師会、大阪府病院協会、大阪府保険医協会等に呼びかけ、ハンセン病問題研修を実施してください。
3)医療従事者がハンセン病後遺症の治療などについて専門的な相談ができるよう、大阪府のホームページに掲載していただきたい。
(2)介護について
1)介護保険課、障がい福祉課と連携し、介護支援専門員や障害者に対する相談業務を担当している職員、高齢者福祉施設等の職員に対するハンセン病問題研修を実施してください。
2)要介護度の認定に際し、ハンセン病後遺症である「末梢神経麻痺」について生活のしづらさ、外傷、火傷予防の必要性を理解し、調査項目に反映されるよう、国に要望してください。外傷、火傷、足底穿孔症治療のための訪問看護導入やフットケアが速やかに導入できるよう国に要望してください。
6.ハンセン病家族補償金の受給申請支援について
「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律」は、2029年11月21日まで5年間延長されました。また、付帯決議では、「より効果的な広報を行うこと」、「よりきめ細やかな対応を行うこと」「国の隔離政策により、元患者家族等も、偏見と差別の中で、長年多大の苦痛と苦難を強いられてきたことをあらためて深くお詫びするとともに、偏見差別解消策、偏見差別予防策の一層の充実に向けた努力を引き続き行う決意を新たにすること」が決議されました。大阪府では、知事の謝罪、きめ細やかな対応、偏見差別の解消策と予防策をどう充実するのかを具体的に示してください。
7.旧優生保護法補償金申請支援について
「旧優生保護法に基づく優生手術を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律」は2024年10月17日公布、2025年1月17日施行されました。両院では、法律の可決と併せて、「旧優生保護法に基づく優生手術等の被害者に対する謝罪とその被害の回復に関する決議」も可決しています。
(1)大阪府下で、ハンセン病を理由に堕胎を強いられた人は何人いるか実態を明らかにしてください。大阪で暮らしていた夫婦は、夫がハンセン病と診断されハンセン病療養所に入所した後、大阪府の担当官から「優生保護法」で決められているからと妻に対して堕胎を強要しました。
(2)大阪府の責任を明らかにし、記者会見でなく直接当事者に対して知事による謝罪をしてください。謝罪の意を公表し、被害の回復に関してどんな施策を講じているかまた今後どのような取り組みをするかも明らかにされたい。すでに大阪府知事あてに「優生保護法問題の全面解決に向けた要求書」が、旧優生保護法被害大阪弁護団、大阪障害フォーラム(ODF)、おおさか旧優生保護法を問うネットワークから出されていますが、大阪府知事の謝罪は回答では明らかにされておりません。大阪府の真摯な回答を示してください。
(3)「らい予防法」下の大阪府担当者がどんなことをしてきたか、真相を明らかにし、現職に徹底してください。
(4)すでに亡くなっている被害者が多い中、遺族に対する情報提供や申請支援策を明らかにされたい。