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旧優生保護法被害大阪弁護団・大阪障害フォーラム(ODF)・おおさか旧優生保護法を問うネットワーク 要望書
要望受理日 | 令和6年9月6日(金曜日) |
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団体名 | 旧優生保護法被害大阪弁護団 大阪障害フォーラム(ODF) おおさか旧優生保護法を問うネットワーク |
取りまとめ担当課 | 健康医療部 保健医療室 地域保健課 |
表題 | 優生保護法問題の全面解決に向けた要求書 |
要求書
2024年9月6日
大阪府知事 吉村洋文 様
優生保護法問題の全面解決に向けた要求書
旧優生保護法被害大阪弁護団
大阪障害フォーラム(ODF)
おおさか旧優生保護法を問うネットワーク
2024年7月3日最高裁大法廷は、旧優生保護法を憲法違反と断罪しました。
大阪府下で、旧優生保護法に基づいて障害を理由に優生手術(不妊手術)を強いられた被害者は、1237人以上とされ、都道府県別の実施件数は全国でも3番目に多いといわれています。保健所で優生相談を実施し、優生思想を普及させ、さらには、優生保護審議会で優生手術実行の決定を行ってきた大阪府の責任は免れることはできません。被害者数の多さは、兵庫県同様に「不幸な子どもの生まれない運動」を大阪府が積極的に担ってきたことを物語っています。
大阪府はまず、自らの責任を認め謝罪してください。その上で、全ての被害者の人権回復を図るために、まだ名乗り出ることができていない被害者の調査と支援を行ってください。
そして、優生保護法問題の検証、再発防止、優生思想を乗り越え、差別を根絶する取り組みを継続的に行ってください。
Ⅰ. 大阪府の責任を明らかにし、知事名でしっかりと謝罪し、府民に公表してください。その上で、今後の取り組みについての決意を表明してください。
Ⅱ. 今後の取り組みについて(詳細は、別紙)
1 全被害者の人権回復のための広報、調査、周知(個別通知を含む)、相談支援の取り組みを実施してください。
2 第三者から構成される機関により真相究明、再発防止のための検証を実施してください。
3 優生思想、障害者への差別の根絶に向けた施策を実施してください。
4 継続的な協議の場を設置してください。
以上
(別紙)
1 旧優生保護法被害等についての広報・調査・周知・相談支援について
(広報)
- 大阪府広報紙への掲載に留まらず、テレビ、ラジオ、デジタルサイネージ等、多様なツールを用いて広報を行ってください。
医療機関、障害者施設、児童施設、高齢者施設への周知を継続してください。とりわけ、被害者の年齢を踏まえ、高齢者施設、療養型医療施設、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所等へ周知を強化してください。 - 市町村へ協力依頼を行い、要介護認定調査や障害支援区分認定調査時にリーフレットを配付してください。
- 医療・福祉関係者へ優生保護法被害等についての広報、被害者への支援の依頼を行ってください。
(調査)
- 大阪府、市町村、保健所、各福祉施設、病院において、関係書類等の保全を図るために、書庫・カルテ保管庫等を含め詳細に点検し、関係書類の有無を再確認してください(収集でなく、各機関での確認)。
- 一時金支給法にかかる申請において被害者が関係した医療機関、施設、国の「個人記録の保有状況調査」において、「個人記録がある可能性がある」と回答している、大阪府の4福祉施設、大阪市の4医療機関、枚方市の1福祉施設と1医療機関については特に慎重に確認してください。
- 長期入院患者がいる精神病院、長期入所の障害者施設においては、被害者の有無について、確実に調査してください。
(周知・申請の支援)
- 優生思想に基づく手術が誤っていたことを啓発し、被害者が申し出やすい環境を作ってください。
- 家族が沈黙を守るように強いてきた経過を踏まえ、家族等への啓発、周知を行ってください。
- 調査、周知の結果、被害者の連絡先が判明した場合には、被害者が入所している施設等関係機関に対して、申請に係る情報提供を被害者に行うなど適切に申請の支援を行うように依頼してください。
- 判明した被害者に個別通知ができるように他県の実施事例を調査し、検討してください。
(相談支援)
- 一時金の申請にかかる診断書の記載を医療機関に求めたところ、作成拒否がありました。円滑な診断がえられるように、大阪府から各医療機関へ協力要請を行うとともに、相談者から依頼があれば、医療機関を紹介してください。
- 聴覚障害者にとって安心して相談が受けられる窓口の周知に努めてください。また、聴覚障害者からの相談受付について、確実に手話対応可能な相談へつなぐように各市町村担当職員へ周知徹底願してください。
(その他)
- 調査・検証・周知にかかる個人情報保護法上の課題を解消するために、国に補償法等の立法において、地方公共団体が関与できる法的根拠の条項を入れることを要望してください。
2 検証、再発防止の取り組み
- 国の検証の取り組みへの全面的な協力を行うとともに、大阪府での被害実態について、第三者から構成される機関により検証し課題を総括してください。
- 保健所の優生相談や「不幸な子どもの生まれない運動」に類した大阪府の優生思想普及運動、遺伝相談などの検証を行うとともに、現在も優生思想に基づく施策が残っていないのか点検してください。
3 優生思想を乗り越え差別を根絶する取り組み
- 障害者権利条約を踏まえ、医学モデルを改め、社会モデル/人権モデルに基づく施策を行ってください。
- 学校教育において保健体育や家庭科で優生思想教育が行われてきたことを反省し、優生思想を乗り越え障害者と共に生きることを広げる教育を行ってください。
- 優生保護法問題について、学習会を実施するなど広く府民啓発を行ってください。
- 施設や精神科病院における障害者虐待をなくしてください。
- 施設や精神科病院の入院・入所者が本人希望に基づき地域移行できるようにしてください。
- 障害者の出産・育児への支援体制を構築してください。
- その他、具体的な差別撤廃の取り組みについては引き続き協議してください。
4 継続的な協議の場の設置
優生保護法問題の解決および優生思想を乗り越え差別を根絶するための諸課題について、被害者、障害当事者、関係団体(ODF、おおさか旧優生保護法を問うネットワークを含む)、弁護団等との継続的な協議の場を設定して下さい。
<大阪障害フォーラム(ODF)加盟団体>
一般財団法人 大阪府身体障害者福祉協会 (※)
一般財団法人 大阪府視覚障害者福祉協会
公益社団法人 大阪聴力障害者協会 (※)
NPO法人 大阪府中途失聴・難聴者協会
社会福祉法人 大阪府肢体不自由者協会
一般社団法人 大阪脊髄損傷者協会
大阪頸髄損傷者連絡会
社会福祉法人 大阪手をつなぐ育成会 (※)
大阪精神障害者連絡会 (※)
公益社団法人 大阪府精神障害者家族会連合会 (※)
ピープルファースト大阪
大阪府重症心身障害児者を支える会
公益社団法人 日本てんかん協会大阪支部
一般社団法人 日本筋ジストロフィー協会大阪支部
一般社団法人 大阪知的障害者福祉協会
認定NPO法人 大阪精神医療人権センター
障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議 (※)
障害者(児)を守る全大阪連絡協議会(障連協) (※)
きょうされん大阪支部
大阪「生活の場・事業所」連絡会
一般財団法人 大阪市身体障害者団体協議会 (※)
NPO法人 大阪市難聴者・中途失聴者協会
NPO法人 堺障害者団体連合会(堺障害フォーラム)
社会福祉法人 大阪市手をつなぐ育成会
NPO法人 大阪難病連 (※)
NPO法人 大阪盲ろう者友の会
NPO法人 デフサポートおおさか
公益財団法人 阪喉会
(※) は「大阪障害フォーラム世話人団体」