公益社団法人 大阪府精神障害者家族会連合会 要望書

更新日:2024年1月22日

要望受理日令和5年11月30日(木曜日)
団体名公益社団法人 大阪府精神障害者家族会連合会
取りまとめ担当課府民文化部府政情報室広報広聴課
表題2023年度(令和5年度)大家連要望

要望書

大家連発12号
令和5年11月30日

大阪府知事 吉村 洋文様

公益社団法人 大阪府精神障害者家族会連合会
会長

2023年度(令和5年度)大家連要望

【医療】

1.24時間365日、緊急時にも適切に対応できる精神保健福祉医療相談窓口の実施を実現してください。
  日中 保健所 保健センターの対応は現実ほとんどなされていません。夜間は回線がいっぱいでほとんどつながらない現実です。適正な人員の配置とともに、迅速に相談につながるよう回線をふやしてください。
  また、看護師、PSWなど国家資格の保有者の配置を実現してください。私たち家族の体験では相談員の「私たちは医療の専門家ではありません。」という対応で不安になりました。

2.精神科救急医療システムによる受け入れ病院を地域に戻りやすい圏域で配分を実施してください。
  現在は、利用者の希望で病院を選択することは不可能となっていて、退院後の通院が難しく医療を受ける権利が阻害されています。希望する病院に入院できる事を実現してください。

3.病状悪化で困ったときに、医療とつなぐアウトリーチチームを「にも包括」に提案されている通り実現してください。
  現状の移送制度は適切に機能しておらずアウトリーチ事業を補うものとは認められません。

4.精神科医療機関における身体拘束・行動制限に関する改善を実現してください。 
  精神保健福祉法で定められている、一時性、非代替性、切迫性の3要件でさえ満たされない運用がされている現実があります。国連の障害者権利委員会が日本政府に勧告したように身体拘束の廃止をめざしてください。
  隔離拘束に多くの当事者が恐怖で傷ついて、医療不信に陥り、その後適切な治療を受けることが難しくなっています。

5.精神科病院の虐待事案を令和6年施行の精神保健福祉法実施では通報先を自治体としているがどこの部局が対応するかを明確にしてください。
  本来障害者虐待防止法で対応されるべきだと考えますが、当該部署だけで行うのではなく、障害者虐待一般を担当する福祉の部署と情報を共有し、調査も共同で行ってください。
  虐待の情報は、行政内部だけでなく、自立支援協議会などの第三者機関や第三者委員会に報告し、重要な事案への対処方針は、その判断にゆだねてください。 
  また、入院者に通報の権利と連絡先を周知してください。病院職員には義務と権利、連絡先を周知してください。
  改正精神保健福祉法の規定に基づき、大阪府下で起こった精神科病院虐待事件について、大阪府保健所実地指導の状況の開示を確約してください。

6.障害者重度医療費助成制度を精神障害者、手帳1級所持者だけでなく2級、3級所持者にも拡大してください。
  多くの人たちは精神疾患による長い投薬治療で合併症を持つことが多く医療の3割負担は障害者負担が重く、治療を控えざるを得ないとの実態をどう認識されるのか明らかにしてください。
  生活実態は、1級、2級、3級はほとんど同じで、障害者年金での暮らしは大変厳しいものです。

  大阪府では国に助成制度の拡充を訴えているとの昨年度の回答であったが、府下では島本町のように自治体単位で独自の助成制度を実現しています。
  なぜ大阪府は独自助成をしないのか理由を明らかにしてください。例年財政困難を理由にしていますが、障害者の命にもかかわる事柄の重大さをどのように認識しているかを明らかにしてください。
  昨年度回答では訪問看護費用を助成対象としたとのことであるが、疾病治療に対する助成も対象としてください。
 
7.いったん廃止された障害者の老人医療制度(65歳以上の手帳2級所持者にも重度医療費助成制度を対象とする)を復活させてください。
  高齢になると1級者のみならず、抗精神病薬の長期服用をしているため一般の同年齢の人より合併症を併発しやすく、複数科にかかることは珍しくなく、3割負担では受診を控えざるを得ないことが実態です。このような健康な生活をまもることが難しい実態についてどのような対策を実施するか明らかにしてください。

8.コロナが5類に移行したことにより、PCR検査やコロナ治療費の窓口負担が重くなり、障害者の生活を圧迫するものになっています。従来通り無料にしてください。

9.医療中断がひとつの要因となって、2016年に門真市で、2022年に大阪市東住吉区で、精神障害の当事者が刑事事件の罪を背負う事件が起こりました。いずれも医療機関や行政から適切な支援がなされず、当事者と家族が孤立して問題を抱え込まざるを得ない現実がその背景にあります。門真市の事件は2022年10月の大阪地裁で、親の監督義務違反だとして損害賠償を命じる判決が出されました。私たち家族は、医療継続の責任が家族と当事者のみに負わされることに理不尽さを感じています。医療機関や行政がその責任を果たすべきです。上記のような実態を、大阪府としてどのように認識されているのか、明らかにしてください。そして、こうした事件を二度と起こさないよう、関係機関の対応を改善する方策を示してください。

【地域生活】

1. 教育
(1)大阪府職員並びに一般市民(教育職員、医療関係者、障害者地域支援事業所職員、地域自治会役員)への精神疾患理解および精神障害者の権利にかかわる人権教育の徹底をはかってください。
  昨年度の実施状況(日程、場所、内容)を明らかにしてください。昨年度の状況はすべての市町村で、行政職員、教職者、一般市民の受講が進められているとはいいがたいのではないかと推測されます。

  また今後それぞれの研修の場に当事者、家族の体験を伝える場を設定してください。
  またその昨年度の実施状況を明らかにしてください。
  家族の体験を話す機会は、大阪府こころの健康総合センターベーシック研修(精神保健福祉医療新任職員研修)、貝塚市役所の2か所でしかお話の機会はなかったのが実情です。全市町村には広がっていないと推測されます。
 
  今後、大阪府はさらに市町村実施を進めるためにどのような計画をされるのかを明らかにしてください。

(2)本年度より高校保健体育で精神疾患が取り上げられることになりました。授業の中に家族や当事者の体験を聞く機会を盛り込んでください。昨年は一度も教育の現場でのお話の機会はありませんでした。
  また、高校の保健体育教諭への精神疾患を理解するための医師、地域支援者など精神保健福祉の現場を知る人を講師にした研修を実施してください。

  精神疾患理解や精神障害者の権利にかかわる人権教育を世界水準の小学校高学年から開始することの重要性を昨年要望したところ、その重要性は認識しているとの回答であったが、その後の実施状況を明らかにしてください。

  例年、平成20年度改訂の「精神障がいについて理解を深めるために」を使用しているとのことであるが、あまりにも作成年代が古く、最新の障害者の人権に関わる認識、精神保健福祉の知見を取り入れ刷新してください。

2.住まい
(1)公営住宅の障害者単身入居枠について、一昨年度、昨年度の実施数を開示してください。

(2)大阪市平野区の市営住宅の自治会当番について自治会の対応で障害者が自死する事件がありましたが、その後住民および自治会の障害に対する意識改革のためにどのようなことがなされたかを明らかにしてください。
  府営住宅自治会は自治組織であり、府が介入することはできないとの昨年度の回答であったが、府が設置した住まいにたいして、管理、運営の指導が不可能であるとの理由は成立しないのではないでしょうか。
  また、清掃の手間に関してはシルバー人材センターなど業者委託などで、負担軽減を図るべきであり、それに対する手間賃も行政負担で実施してください。

(3)住宅確保要配慮者への円滑な入居支援として、居住支援法人の指定、居住支援協議会設立に向けた補助、府営住宅入居者の家賃債務保証会社による家賃支払いその他債務保証、保証人確保の猶予、市町営住宅の保証人が見つからない場合の家賃債務保証会社による保証制度などを実施するとの昨年度の回答であったが、長期入院者の退院のネックは住宅確保であるとの報告があります。上記のような制度実施を円滑に推進していただきたい。
  また、昨年の回答に基づく実施状況を開示してください。

(4)地域で高齢の親との同居を余儀なくされている精神障害者にも上記のような制度が実施されるべきですが、これらの制度につながる窓口も明らかにされていない状況では利用できません。相談窓口を公開し、広く周知を図ってください。

(5)福祉と住宅供給をセットにした国の民間住宅空住戸の供給をもとに「住宅セーフティネット検討会」が開催され、本年9月中間とりまとめがありました。これを取り入れ、大阪府では民間住宅の供給を進めることがどのように検討されているのかも明らかにしてください。

3.日中活動の場
(1)通所型障害福祉サービスの事業所の絶対数が不足しています。
  昨年度の回答では法人等から相談があれば応じるとの意向であるが、民間に責任を転嫁するのでなく行政主導で拡大を実施してください。
  また、障害者福祉サービスの内容は障害者の意向、適正、障害特性に添った責務が規定されているとの回答であったが、サービス内容について、前記の責務にそって大阪府は個々の事業者の実施状況、支援の質の検証、指導をしているのかをあきらかにしてください。

(2) 国の「引きこもり支援推進事業」を大阪府はどのように実施しているのかをあきらかにしてください。地域で引きこもる精神障害者には支援の手が届いていないのが実情です。また府民が利用しやすいよう大阪府、市町村の「引きこもり支援相談窓口」を開示し、広く周知を図ってください。

(3)ヘルパーの絶対数の不足により、障害者の意向に沿った支援がむずかしく、ヘルパー事業所の運営の都合に合わせることを余儀なくされるのか現状です。
  ヘルパー数が拡大するよう、ヘルパーへの報酬の充実などを大阪府として検討し、実施してください。

(4)地域で障がい福祉サービスを受けるための障がい支援区分調査を現在は高齢者の介護保険制度区分調査項目を基礎にしているが、調査の際、精神障害者の特性に配慮するよう昨年度は要望したが相変わらず、項目が障害者には適切とは言えません。さらに調査項目を障害者の負担にならないよう精査し、簡略なものにしていただきたい。

4.保健所の相談、訪問の拡大と充実
(1)大阪府による保健所の大幅な統廃合以降、コロナ死亡率の高さなどが指摘されていても一向に保健所体制の改善が進んでいません。保健所数、復活と相談員の増員がなぜ進められないのか、現状をどう認識しているのか、を明らかにしてください。

5.ヤングケアラーについては現在支援が進んでいるが、親、18歳以上の子供、兄弟姉妹、配偶者などその他のケアラーについての支援が放置されています。すべての家族の負担の実態を調査し、必要な公的支援体制を構築してください。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

ここまで本文です。


ホーム > 令和5年度の団体広聴一覧 > 公益社団法人 大阪府精神障害者家族会連合会 要望書