大阪府立支援学校PTA協議会 要望書

更新日:2023年11月9日

要望受理日令和5年10月13日(金曜日)
団体名大阪府立支援学校PTA協議会
取りまとめ担当課府政情報室 広報広聴課
表題要望書

要望書

2023年10月13日

大阪府知事 吉村 洋文 様
大阪府教育委員会教育長 橋本 正司 様

大阪府立支援学校PTA協議会
会長

要 望 書

はじめに
本協議会は、昭和48年結成以来、府立支援学校に関する幾多の事項を要望してまいりました。府当局におかれましては、多大なるご尽力により、これまで多くの課題に真摯に取り組んでいただき、要望を実現していただきました。心から感謝申しあげるとともに深く敬意を表します。
おかげを持ちまして、来春には、待望の新しい支援学校が1校開校いたします。しかし、全国的な都市部の支援学校の大規模化・過密化や老朽化に、施設・設備の整備が追い付いていない課題は、府内におきましても同様で、危機的状況は続くと思われます。
また、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことに伴い、教育活動は通常の形で再開いたしました。しかし、全国的に不登校児童生徒数は増加し、さらには今年度も、通園バス等への子どもの置き去り、熱中症による救急搬送や死亡事故等が生起しております。府立支援学校でもこのようなことが起きないか心配は尽きません。
私たちPTAは、子どもたちが安全・安心に学校生活を過ごし、心の安寧を保つことを第一に考えます。引き続き、より良い教育環境づくりを継続的に取り組んでいただきますことを切望いたしております。
「すべての人に健康と福祉を」、そして誰一人取り残さない世界を地球規模で創生しようとする中、それに先駆け「ともに学び、ともに育つ教育」を掲げ、地域共生社会をめざしていただいたここ大阪で、2025年に大阪万博が開催されようとしています。そのテーマも「いのち輝く未来社会のデザイン」、まさにウェルビーイングの考え方と重なるこのテーマに希望を強く抱いております。
本協議会では、各学校単位のPTAの共通する切実な要望を下記のとおり取りまとめました。今後、障がい児(者)が豊かな教育を受け、地域社会で活躍しながら充実した生活を送ることができるよう、以下の要望をご検討のうえ速やかに解決されますようお願い申しあげます。

1<教育庁への要望>

1.【学校建設関連】
(1)昭和38年に完成した大阪北視覚支援学校の現校舎は築60年が経過し、老朽化が著しく、部分的修繕では追いつきません。児童生徒の安全な教育活動のために、建て替え計画を早急に進めてください。
(2)東大阪市在住の知的障がいのある児童生徒が通う支援学校は、八尾支援、生野支援、東大阪支援、交野支援四條畷校。特にこの数年間は、高等部の生徒数が増えるたびに通学区域の見直しが行われ、通学する学校が定まらず、子どもも親も不安です。子どもたちが見通しをもって通学し、安心して教育を受けられる環境を保障するために、東大阪市に小中高一貫の知的障がい支援学校新設をお願いします。
(3)安全で安心な教育環境を実現するため、速やかな新校建設及び既存の施設を活用した分校設立とともに、特別支援学校設置基準に基づく継続的な施策推進を要望します。また、知的障がいのある児童生徒等の教育環境に関する基本方針に基づく知的障がい支援学校新校整備事業内容について情報提供をお願いします。
(4)交野支援学校四條畷校の本校化については、知的障がい支援学校新校整備事業において令和6年予算以降との考え方が示されていますが、中・北河内地域の知的障がい支援学校に通う児童生徒数が増加するなか、開校から14年が経過しており早急な実現を望んでいます。本校化の確定の時期や今後の具体的なスケジュールについて情報提供をお願いします。

2.【施設・設備関連】
(1)災害時にも対応できる施設設備への改修に取り組んでください。また、障がい特性に応じた特別教室(例:クールダウン室、防音室)や教育環境(広い教室の増設、割れにくい鏡・ガラス、転落や飛び出し防止柵、車椅子対応の手洗い場の設置、作業台等の備品の整備)の整備をお願いします。
(2)多くの学校では校舎の老朽化が進み、部分的な改修では行き届かず、児童生徒の安全安心な教育活動に支障がでています。児童生徒の生命に関わる校舎の老朽化への対策、特にひび割れ、雨漏り、水回り、電気系統設備等への対策は喫緊の課題です。校舎の総点検、建て替え、早急な補修工事、改修工事等とともに大規模改修における実施基準と計画を示してください。また、各障がい種に応じて、プレハブ校舎・エアコン・トイレの整備を含めた設備の改修についても早急に取り組んでください。
(3)トイレは児童生徒が学校生活を過ごす中で日常的に使用する施設であり、現在の基準に照らし、洋式トイレ増設や温水洗浄機能付き便座への改修など、清潔で使いやすく、また介助者も安心して介助できるスペースのある仕様に改修してください。また、様々な障がいの状況や特性や多様性(肢体不自由・知的障がい・性同一性障がいなど)にも対応でき、プライバシーが守られるバリアフリートイレの設置も必要に応じて積極的に進めてください。
(4)知的障がい教育支援学校においては、児童生徒数の増加により教室不足が深刻化しています。ホームルーム教室の不足から特別教室の転用をせざるを得ず、小学部・中学部・高等部が特別教室を共有せざるを得ない状況が常態化しています。適正人数での学習環境を早期に実現するための具体的方策とそれに伴う予算措置について、昨年度からの進捗を教えてください。

3.【教育制度関連】
(1)高校進学後も入院が継続する生徒の学びの保障のために、病弱支援学校に高等部を設置してください。
(2)様々な障がい特性への理解に基づいた、職業に関する授業指導、就労支援・進路指導ができる教員の配置及びアフターフォローと定着支援を専門とする教員の配置をお願いします。

4.【教員配置・専門性関連】
(1)近年、児童生徒の障がいの多様化・重度化、医療的ケアの高度化など、教職員の高い専門性が求められています。学校は児童生徒が安全で安心して生活を送る場所でなくてはなりません。安全安心かつ適切な支援、個々のニーズに応じた指導・支援が十分に行き届くよう、府独自で予算措置を行い、教員定数を増やすとともに看護師を配置してください。また、教員定数見直しに係る国家要望における進捗状況について教えてください。
(2)視覚支援学校に在籍する幼児児童生徒の減少と地域支援のニーズの増加に対応するため、教員定数とは切り離して、視覚支援学校での指導経験のある教員を配置してください。
(3)聴覚支援学校における補聴器に関わる業務は多岐にわたり、その専門性の育成は自校での努力に委ねられている現状があります。幼児児童生徒への専門的な支援を継続して実施するためにも、STやPT等の専門性のある人材の配置による専門性の向上と安定的な継承を担保してください。また、肢体不自由支援学校においても、とりわけ自立活動の指導の充実のため、PT、OT、ST、臨床心理士等の外部専門人材の配置は必要不可欠となっています。しかし、現在各校に配置されている時間数では大幅に不足していることから、必要な時に必要な専門的支援が受けられるよう外部専門人材の常勤配置や、配置を拡充するための予算を確保してください。
(4)支援教育においては、児童生徒の障がいの多様化・重度化等に対応し、一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援を行うための専門性が不可欠です。各校で専門性が維持され、全ての教職員が児童生徒の実情に応じた適切な指導支援ができるよう、府教育庁の責任において定期的で幅広い研修を実施し、教職員の育成に計画的に取り組んでください。

5.【ICT活用関連】
(1)遠隔地(原籍校)と院内学級をつなぐICT環境を活用した体験(レンタルアバターロボットの活用や、校外でのオンラインによる体験)ができるよう安定した予算措置等をお願いします。
(2)機器設備の中には老朽化、耐用年数を超えているものが増えてきています。職業教育を充実させるため、時代に即した機器やさまざまな実習機械などについて、施設・設備・機材の整備と更新のための予算を確保・増額してください。
(3)児童生徒には一人一台端末としてタブレットが配備されていますが、教員用のタブレットの配備は進んでいません。また各教室のWifi環境も完全に整備されておらず、環境が整っているとは言えない状況が続いています。児童生徒の学びの充実をさらに推進するため、教員一人に一台のタブレット端末の配備及び各教室の通信環境の整備を要望します。

6.【安全確保関連】 
(1)高度な医療的ケアを必要とする児童生徒が安全に泊行事に参加するためには、看護師だけではなく医師の同行が必要と考えます。そのためには、新たな施策として、府内自治体の先行する取組みを参考に、府教育庁と病院等が連携した「医師・看護師派遣システム」を確立してください。
(2)学校生活において児童生徒の移動・移乗は必須で、現状は教職員による人的介助のみで対応しています。ケガや事故のリスクを回避し、より安全で持続可能な環境を整えるため、全ての肢体不自由校にリフトやアシストスーツ等の移動・移乗用具を配置してください。

7.【通学バス関連】
(1)通学バスを運行している支援学校では、様々な安全策を講じた通学が保障されていますが、聴覚支援学校にはありません。子どもを安心して学校に通わせ、必要な教育を受けることができるよう、通学バスもしくは通学バスにかわる通学支援の充実をすすめ、聴覚支援学校にも同等の環境整備をしてください。

8.【医療的ケア関連】
(1)障がいの重度重複化、および高度な医療的ケアに対応するため、また、泊を伴う行事に同行する看護師を確保するために、常勤看護師は必要ですが、定数内任用のため、教員の数を減らさざるを得ない現状です。児童生徒の教育保障のために、ぜひ定数外配置を実現してください。
(2)医療的ケア通学支援事業について、保護者が車両と看護師を探して確保する現システムは、保護者にとって非常に困難で負担も大きい。希望者全員がスムーズに利用できるように、府教育庁が主導して車両と看護師を確保するシステムを構築してください。また、事業の成果と課題について、具体的な取組みと改善にむけた進捗状況を教えてください。

9.【通学区域割】 
(1)新校設置に伴う通学区域割の変更によって、居住地とは異なる別の地域にある支援学校への通学を強いられ小中高一貫した教育が受けられない、通学時間の大幅な増加や環境の変化により児童生徒の心身の負担が増加する、地域の資源を活用した福祉サービスや進路選択に支障がでるなどの弊害がすでに生起しています。新校設置に伴う通学区域割においては、保護者の要望を受け入れる機会をつくるとともに、適正な通学区域割に係る再検討をお願いします。さらに、現在の進捗状況や今後の方向性について説明をお願いします。

2<知事部局(福祉部、商工労働部、都市整備部等)への要望>

1.【卒業後の進路、社会参加等関連】
(1)府として、障がい者の生活の場をどのようにイメージし、その人たちの生活をどう構築し、サポートするのか等についての情報不足を感じており、親亡き後の子どもたちの将来について不安を感じています。大阪府の障がい児・者の施策について、とりわけ今年度及び次年度の重点施策についてお示しください。
(2)視覚障がいのある生徒の卒業後の大学等での学びを支援するため、「同行援護」を通学にも利用できるようにするとともに、「重度訪問介護利用者の大学修学支援事業」を重度肢体不自由者だけでなく、重度視覚障がい者でも利用できるよう国や市町村等に働きかけてください。
(3)医療的ケアを必要とする児童生徒が全国的にも増えていますが、卒業後に利用できる施設がまだまだ少ない現状です。医療的ケアに対応できる、看護師の配置のある事業所や施設の拡充・増設をお願いします。あわせて、施設拡充のために、看護師や介護士の処遇を改善し、人材確保が図れるよう福祉施策を進めてください。
(4)福祉型障がい児入所施設においては、原則として満18歳をもって退所することが決められていますが、希望する地域に移行先がなかなか見つからない現状があります。移行期においても強度行動障がいなど重度障がいがある人を含め、希望する地域で社会生活が送れるよう、また親なき後も安心して生活できるよう、グループホームの増設をお願いします。
(5)卒業して就職した後も働き続けるために、障がい者就業・生活支援センターによる訪問支援や福祉と連携した定着支援の拡充をお願いします。
(6)卒業後の障がい福祉サービスの利用時間が9時30分から16時までの所が多く、親の就業の継続に困難をきたしています。持続可能な人生設計のために、在学時と同様の時間帯(9時から18時)にし、利用者側に配慮した事業を行ってください。
(7)卒業後の過ごし方について、日中一時支援ではフォローされない時間帯があり、本人にとっても保護者にとっても心身ともに負担が大きくなります。放課後等デイサービスも利用できないという現状を踏まえ、府の主導のもと卒業後も利用できる放課後等デイサービスに代わる恒久的な事業の拡充・拡大をしてください。

2.【健康・安全、地域福祉関連】
(1)普段からショートステイを利用することは、緊急時以外にも、保護者がきょうだい児と向き合う時間を取るため、また保護者自身のレスパイトのために大きな意味があります。しかしながら、事業所の数はまだまだ不足しており、保護者の急病などの緊急時ですら入所できる施設が見つからない状況があります。府として、市町村の体制整備を後押しするとともに、国に対してもショートステイの重要性を訴えて、加算額の引き上げや増設に向けた国の施策について要望するとともに、現在の進捗状況について教えてください。
(2)視覚障がい者にとって、移動は大きな危険を伴いますが、例えば、大阪北視覚支援学校の周辺は、最寄り駅からの点字ブロックは地下鉄開通前に敷かれたもので今では遠回りになり不便で、通用門前の道路は道幅が広くないため車がすれ違う際に視覚障がい者には危険です。適切に点字ブロックを敷設するなど視覚に障がいのある児童生徒や教職員にとって安全で安心な通学路の整備をお願いします。
(3)街中や駅の多機能トイレに、大人用介護ベッドが少なく、小学部以上の身体の大きくなったトイレ介助が必要な児童生徒は、外出時介助者と共に使用出来るトイレを探すのに時間を要して苦労しています。公共の場に大人用介護ベッドが設置された多機能トイレを設置するとともに、『大人用介護ベッド 有』のマークを表記してください。

3.【福祉医療制度関連】
(1)聴こえのレベルに関係なく、また補聴器か人工内耳かの区別なく助成を一律に広げてください。学齢期の子どもをもつ保護者にとって経費負担は極めて大きく、特に軽度難聴児に対する助成の拡大を進めてください。
(2)令和4年5月25日に公布された『障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法』に基づき、公共交通機関利用時に緊急時の情報をリアルタイムに取得できるように整備してください。アプリは利用しにくく、携帯に注目することで不注意による危険につながる可能性が高いことから、情報が可視化されるよう車内での状況や情報の文字表示の整備をお願いします。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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