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大阪府中小企業家同友会 要望書(2)
(1)(2) ※2ページに分割して掲載しています。
要望書
C.中小企業と大阪の未来を担う若い世代を育てる社会づくりの要望と提言
要望提言項目C-1 「小学一年生の壁」問題について
保育園は早ければ7時から園児を受け入れていますが、小学校の多くは8時以降の開門になるので、子供が小学校へ進学すると親はそれまでよりも出社を遅くする、あるいは子供を家において出社せざるを得ません。このことを「小学一年生の壁」問題と称しています。そこで7時から小学校の校門を開放することが望まれますが、教員の負担を増やすことは避けなければなりません。
そのため、豊中市で既に実施されているように、体育館、図書室等で授業開始まで過ごせる空間の確保を行うなど、地域によるサポートの制度を大阪府全域に導入してください。
要望提言項目C-2 「異次元の少子化対策」について
日本と同様少子化に悩むハンガリーでは「4人目を生んだ母親は所得税一生ゼロ」に代表される異次元の少子化対策を実施することによって、出生率が1.23(2011年)から1.59(2021年)と劇的に改善されています。将来高齢者を支える層を厚くするためには、現在子育てをする家庭にこのようなメッセージ性のある優遇措置を与えることが必要です。一方この施策による所得税の減収は、子供が増えた分だけ増加する生活費に含まれる消費税の増収により補うことができるので、財政負担は大きくありません。
このような柔軟な発想で、大阪府・市の住民税を免除するなど、インパクトのある制度の採用を検討してください。
要望提言項目C-3 大阪府立高校再編整備計画について
平成24年大阪府立学校条例の定めにより、入学志願者が3年連続して定員に満たない高校は再編整備の対象とされ、すでに多くの高校において廃校や統合がなされてきました。廃校の結果数百人の生徒や職員が来なくなることで、周辺は活力を失い、地域の衰退が加速しています。また、府立高校は従来地域の中小企業に多くの人材を送り出しており、特にものづくり中小企業にとって人材の宝庫であった工科高校の廃校は、中小企業の経営継続に大きな打撃となっています。
昨年度の大阪同友会からの見直し要望に対しては、「地元自治体の教育委員会、生徒や保護者、PTAをはじめとする学校関係者からのご意見、ご要望を踏まえたうえで決定」との回答をいただいていますが、今後の再編整備に際しては、地域の住民や企業の意見にも耳を傾け、柔軟な計画の運用をしてください。
要望提言項目C-4 府立高校と大阪同友会の連携について
厚生労働省によると、令和6年3月の高校新卒者の求人倍率は過去最高となり、大阪府では7.7倍に達しました。生徒や保護者は大企業志向を強め、中小企業への応募が集まりにくくなっています。一方、高卒就職者の3年以内離職率は4割近くに上り、離職後は非正規雇用にとどまるケースも多く、社会の不安定要因となっています。こうした問題の解消には、学校において「働くことを意識した教育」が必要であり、そのためには学校と中小企業との連携強化が必要と考え、下記の事項を要望します。
(1)当同友会の呼びかけにより、経営者と学校関係者有志との意見交換会を定期的に行っていますが、2024年度には、当同友会と府立学校関係者との情報交換の場に、府教育庁・府商工労働部として参加いただき非常に有意義な場となっています。高校生のより良い進路指導のために、今後もこのような情報交換の場に府関係各部局の参加を促進してください。
(2)すでに一部の高校で実施されている、経営者による出前授業、生徒の企業訪問、共育型インターンシップ等を、より多くの必要とされる学校で実施するため、高校と大阪同友会が前項のような場を活用して議論しながら共同で実施する可能性を検討してください。
要望提言項目C-5 雇用流動化の弊害について
近年、国の政策として労働移動の円滑化や多様な働き方の推進が進められていますが、地域の中小企業においては、人材の定着が難しくなるなど、現場との乖離が生じています。とりわけ、熟練や技能の蓄積が必要な業種では、長期的な雇用関係のもとで人を育てることが不可欠であり、短期間の雇用や頻繁な転職を前提とした労働環境では、安定した事業運営が困難です。また、採用・教育コストが増す一方で、十分に力を発揮する前に人材が流出するケースも少なくありません。大阪府におかれましては、こうした実情を踏まえ、中小企業が人材を確保・育成しやすい環境整備や、勤続年数に応じた雇用定着支援策の強化など、府独自の対策を講じてください。
要望提言項目C-6 奨学金返済支援制度について
長年提言して参りました奨学金の代理返還を行う企業への補助金制度の創設に関しまして、「大阪府奨学金返還支援制度導入促進支援金」としての実現と、今年で三期目の制度継続の決定とそのご改良までご配慮いただき誠にありがとうございました。本制度は若者の府内定着促進と中小企業の人材確保に資する重要施策であります。一方で、代理返還費用が実質人件費増につながってしまう為、運用費用(いわゆるランニングコスト)の負担が大きいという事実もあります。
これらを踏まえて、より多くの企業が本制度を導入すること、そして、本制度の効果のさらなる向上を願って、以下を要望いたします。
(1)支援金の取得のみを目的とする企業を排除し、真に支援が必要な企業への重点支援を図るため、利用実態のモニタリング強化と、モニタリング結果を踏まえた改良を引き続き検討してください。
(2)また、本制度について、損金算入といった企業側の税制メリット、および所得税非課税という奨学生社員側の税制メリットの積極的な周知を要望します。加えて、本制度そのものの広報の強化のため、ハローワークや商工団体などとも連携して広めてください。
(3)また、中小企業振興が地域の活性化を促すという観点から、奨学生が本制度を導入した地元の企業に就職した場合、その学生や企業が更なる優遇措置を受けられるよう、施策検討を進めてください。
(4)加えて、よりよい制度となりますよう、京都府や兵庫県の先行事例も参考にしながら、大阪府独自の奨学金減免や給付型奨学金制度、ならびに実施企業に対する大阪府の施策の優遇措置等の新たな施策検討を進めてください。
要望提言項目C-7 次世代の若者を守る活動について
大阪府ではひとり親世帯の増加の影響もあり子どもの貧困率は21.8%で、沖縄県に次いで全国2位となっています(2016年2月毎日新聞報道)。また、児童虐待も年々増加しており、大阪府警によると2024年は府内で過去最多の14,215人が児童相談所に通告されています。このような環境がいじめ・不登校などを生み、結果的に居場所を失った若者が犯罪に巻き込まれる例も後を絶ちません。令和5年度大阪府総合教育会議資料によると大阪府の公立小・中・高校では不登校の生徒が年々増加し、特に府立高校では千人当たりの不登校数が全国平均の2倍近くに達している状況です。
児童養護施設の退所年齢は22歳に引き上げられたものの、必要とする子どもたちの増加により入所中・退所後ともに十分な支援が行き届かず、若年ホームレスとなるケースも増加しています。
「人を生かす経営」を実践する当同友会としては、次代を担う若者の命と暮らしを守るために、児童養護施設と地域の大人、そして中小企業が関われる開かれた仕組みの構築が必要と考え、以下を要望します。
(1)既存の合部屋のシェルターはプライバシー保護が出来ておらず、精神安定が得られているとは言えません。若年ホームレスとなった人たちが再び社会に復帰するのを助けるため、安心して休めるプライバシー保護された個室居宅施設を充実させてください。
(2)シェルターの利用者を、生活困窮者自立支援法に基づく就労訓練事業(いわゆる『中間的就労』)につなぎ、中小企業の労働者として再び活躍できるような仕組みを整備してください。
(3)中小企業による児童養護施設訪問や交流、就労支援や居場所づくりなど、地域中小企業と連携した若者サポート活動ができるような体制を構築してください。
要望提言項目C-8 スタートアップ等への新しい補助金制度について
スタートアップ企業(主に投資家からの資金調達で社会課題解決のためのアイデアを迅速に実現するため設立された企業)、ベンチャー企業(主に社内の余剰資金を使って新規事業開拓のためアイデアを実現する社内事業所又は内部発生的な企業)は、その過程で他のものつくり企業との協働によってアイデアの実現を試みます。
大阪府においては「ものつくり中小企業とスタートアップの協業促進事業」を実施するなど、スタートアップなどの事業者がイノベーティブな取り組みを創出し続けることができる仕組みつくりに取り組んで頂いております。これは大阪府の経済活性化を期待して行う事業と理解しております。
ところで、前記スタートアップ・ベンチャー企業は一人親方のような小規模なものからスタートすることが多く、中小企業庁の実施している補助額の大きな「ものつくり補助金」「新事業進出補助金」を受けることは難しく、受けることのできる補助金は、例えば、「小規模事業者持続化補助金」のように少額のものに限られています。
クラウドファンディングを実施するにしても、先ずは試作品(量産に比べ非常にコスト高)の作成、パッケージング、そのプロモーション動画の準備等、多くのハードルがあります。
大阪府の経済活性化のためには、技術革新を伴うアイデアで社会課題解決を行うスタートアップ・ベンチャー企業支援のための制度が必要であると考えます。試作・設備投資はもとより、その後のマーケティング調査、更には、その分野のマーケットの活性化(広告宣伝)のための支援を図る包括的なオールインワン補助金制度を創設してください。
要望提言項目C-9 アントレプレナーシップ教育推進について
文部科学省の調査によると、大学生のうちアントレプレナーシップ教育を受けているのはわずか1%程度にとどまり、諸外国と比較しても相対的に低い水準となっています。このままでは、起業家精神を育みにくい教育環境が続き、日本社会全体で起業意欲が高まりにくい構造になってしまうことが懸念されます。いっぽう、一部の都道府県では、中学生を対象にしたアントレプレナーシップ教育のカリキュラムを導入する動きも見られます。
大阪においても、将来の地域経済を支える子どもたちの中に起業家精神を育むことができるよう、アントレプレナーシップ教育の体系的な導入や、地域の中小企業との連携による実践的な学びの機会づくりを推進してください。
D.持続可能な大阪をつくるための要望と提言
要望提言項目D-1 統合型リゾート構想(IR整備計画)について
IR(統合型リゾート構想)に関連する2025年の要望と提言では、諸項目について具体的な回答をいただき、ありがとうございました。
IR整備計画は、2025年の大阪・関西万博に継続するプロジェクトとして、多くの府民・市民、中小企業経営者は強い関心を持っています。同時に、先行する海外諸都市や日本国内他都市の事例を含めて、ギャンブル依存症に対する危惧や地域の疲弊などに対して深刻な懸念を有していることも事実です。「国民、地域とともに」の同友会理念を踏まえ、また、地域の中小企業振興の視点から、IR整備計画について府民等に対してわかりやすい説明の場が必要と考えます。
上記の視点を踏まえて、以下について要望します。
(1)IR整備計画(計画の概要、事業の進捗状況、整備効果、直面している課題と対策、地元中小企業に係るメリット等)について、適切な時期に中小企業者を含めた府民等への説明会の開催を検討してください。
(2)先行する海外諸都市での事例について、文献調査、関係機関へのヒヤリング、先行事例に関する現地調査など実態調査等を実施し、その内容について公表してください。
要望提言項目D-2 脱炭素化施策について
大阪府では、脱炭素化に向けた再生可能エネルギー推進のため、様々な施策を講じられていることに敬意を表します。それらの施策がより中小企業の有効活用につながるよう、以下の具体策を講じてください。
(1)「大阪府グリーン成長戦略」(仮称)を策定し、2030年、2050年の脱炭素目標を再設計した上で、脱炭素化施策に関する各部局の取り組みを横串でつなぐ横断的な仕組みを構築してください。
(2)各市町村と連携した脱炭素化支援策のPR窓口はありますが、実質的に相談できる窓口は、咲洲庁舎22階の「おおさかスマートエネルギーセンター」にしかありません。相談窓口は府下の北部、中部、南部など地域ごとに設置してください。
(3)中小企業に対する脱炭素技術の導入やCFP(カーボンフットプリント)算定支援等の対象範囲が限定的です。小規模事業所にも支援策を広げてください。
(4)市民・企業参加型の環境ムーブメントを創出するために、企業・自治体・市民が一体となって環境活動に取り組むイベントを開催してください。
(5)脱炭素経営に取り組む企業同士が連携し、成功事例が共有できるプラットフォームを構築してください。企業の脱炭素経営のノウハウを共有することで、持続可能なビジネスモデルを推進することができます。
要望提言項目D-3 防災対策(1)命を守る住宅耐震化について
令和6年能登半島地震では、耐震性の不足する住宅の倒壊が多発し多くの人命が失われました。
大阪府では「住宅建築物耐震10ヵ年戦略・大阪」に基づき住宅の耐震化に取り組まれた結果、令和2年の耐震化率は約89%まで上昇しましたが、耐震性が不足する住宅が依然45万戸存在しています。
耐震化の推進には所有者の費用負担を軽減することが必要です。大阪府では市町村を通じて耐震化補助を実施していただいていますが、耐震化工事の促進のために、啓発活動と合わせて補助金の上限額を引き上げてください。
また、最低限の安全確保の手法として、耐震シェルター等も補助対象としていただいていますので、改修資金の不足する所有者にはこのような経済的手法について積極的な周知啓発をお願いします。
要望提言項目D-4 防災対策(2)水道設備の耐震化について
令和6年能登半島地震では、水道設備に甚大な被害を受け、長期間の断水が発生して被災地広範囲の生活に大きく支障をきたしました。この件を踏まえた昨年度の耐震化要望に対し、「高度経済成長期の水需要急増に対応するため整備された、浄水場や水道管等の水道施設の更新・耐震化については、全国的な課題となっています。」との回答をいただきました。
大阪府においては、平成23年に府営水道が大阪広域水道企業団に移管され、市町村の水道事業も企業団による統合が進められています。しかしそれによって災害時における水の安定供給が損なわれることの無いよう引き続き大阪府が責任を持ち、企業団やその他府域水道事業者の意見を集約して国へ予算要望するなど、水道施設の更新・耐震化を積極的に推進してください。
要望提言項目D-5 防災対策(3)救援物資の備蓄について
日本では災害が多発するにも関わらず、避難所の改善が遅れており、他の先進諸国に比べて劣悪な環境にあります。大阪府域救援物資対策協議会による「大規模災害時における救援物資に関する今後の備蓄方針について」(令和6年6月)においては、命をつなぐために必要な重点11品目の必要量が算定されていますが、<南海トラフ巨大地震等府内で大規模な災害発生の際は、複数の市町村が現在の備蓄では不足することは明らかであり、これをバックアップすべき府の備蓄も不足が見込まれる>と記載されています。南海トラフ地震はいつ発生してもおかしくない状況にありますので、必要数量を早急に確保するようにしてください。
また重点11品目以外に、避難所生活のQOL向上のために必要とされている簡易ベッドやパーティションも必要数量を十分確保してください。
さらに充実した備蓄体制確立のために、自治体と中小企業が協力し、それぞれの企業が拠点となって従業員のみならず地域に必要な物資の備蓄を行う仕組みづくりや、必要な予算措置を検討してください。
要望提言項目D-6 廃校跡の都市型農業等への有効活用について
少子化の進行に伴い、高校だけでなく小中学校でも統廃合が行われています。廃校跡については未活用のまま放置されているケースも見受けられます。廃校を単なる遊休資産とするのではなく、地域資源ととらえて廃校を有効に活用することは、まちの持続可能性を高めることにもつながります。都市型農業や水耕栽培、防災拠点、地域教育の拠点などとして再生し、地域コミュニティと産業の再構築に役立てる方法などを提案します。
特に、体験型農業教育施設として活用し、子供たちに農業の魅力を伝えていくことは、農業人口減少を食い止めることにもつながるものと考えます。
廃校施設の利活用について部局横断的な発想で積極的な活用促進策を検討してください。
要望提言項目D-7 民間送迎バスの共同利用による公共交通の維持について
大阪府南部では、2023年12月に金剛バスが廃止され、公共交通維持の課題が顕在化しました。現在、代替手段として4市町村によるコミュニティバスが運行されていますが、運転手不足、補助金不足、乗客減少といった構造的課題は依然として解決されておらず、長期的な運行継続には不透明感が残ります。
また、岬町や能勢町など、大阪府内の他地域でも、同様の問題が今後深刻化する可能性があります。
このような背景から、民間送迎バスの共同利用制度を導入し、既存資源を活かした公共交通機能の維持を図ることを目的に以下を要望いたします。
(1)民間送迎バスの活用促進
学校、企業、パチンコ店、温泉施設、病院などが運行する民間送迎バスを、地域住民が共同利用できるよう調整し、運行ルートや時間帯を適切に設定してください
(2)制度設計と法的対応
運賃徴収に必要な旅客運送事業許可を、自治体主導で申請・取得する体制を整備してください。また、既存バス事業者との競合を避ける配慮を行い、持続可能な運営モデルを構築してください。
(3)自治体と民間事業者の連携推進
これらの実現のために大阪府が制度設計を主導し、民間企業と協定を締結してください。また、民間企業にも参加メリットが生じるような運営支援や補助金制度を設計してください。
E.個別業界からの要望と提言
要望提言項目E-1 夜間未使用駐車スペースの活用によるトラック駐車問題の解決について(運送業界)
現在、大阪府下でも大型トラックの夜間駐車問題が深刻化しており、路側帯や一般道路への違法駐車の増加が、交通事故リスクの上昇や、アイドリング騒音問題を招いています。特に、2024年問題(トラック運転手の労働時間規制強化)によって、運転手には適切な休息が法令上求められる一方、十分な駐車スペースが確保されていないため、運転手自身も望まない違法駐車を余儀なくされる状況が生じています。
そこで、交通安全および運送業界の労働環境改善という観点から、大阪府内に存在する夜間未使用のグラウンドならびに駐車場を活用し、トラックの駐車スペース不足を緩和する、下記のような先行的な取り組みを要望します。
(1)活用の対象
学校、公共施設、イベント会場、スタジアム等に付属する夜間未使用のグラウンド及び駐車場を対象とする。
(2)施設管理者との連携
施設管理者と協定を締結し、深夜帯限定でのトラック駐車を許可する制度を整備する。また、施設の安全を確保するため、監視カメラ設置や警備体制強化に対する支援も併せて検討する。
(3)利用予約・料金システムの整備
事前予約制を導入し、トラック運転手が確実に駐車できる仕組みを整備する。また、施設維持費を賄うために、適切な利用料金を設定し、施設側にも収益が生まれるシステムとする。
要望提言項目E-2 ものづくり支援について(ものづくり業界)
現在ものづくり企業は、材料・エネルギー価格の高騰や人材確保の困難、後継者難など多くの問題を抱え、「ものづくり企業の衰退」に直面しています。大阪府中小企業振興基本条例の前文には、<大阪はこれまで、「商いのまち」、「ものづくりのまち」としてわが国の経済を支え、特色のある文化を生みだしてきた>と述べられているように、今なお地域経済や雇用の中核を担っています。私たち大阪同友会は、ものづくり中小企業が淘汰されていくような政策ではなく、ものづくりを社会全体で支える視点が必要であると考えています。
こうした現状に対し、大阪府におかれましては、「中小企業振興基本条例」に基づき、ものづくり企業の抱える問題をより具体的に把握し、経営基盤の強化、人材の確保・育成、研究開発や販路開拓の支援を一層推進していただきたく存じます。
また、ものづくり企業の多くは下請としての立場に置かれていることも、利益の確保を困難にしています。下請中小企業振興法の精神に則り、公正な取引関係の確保に向けた施策の実施を要望いたします。
要望提言項目E-3 保育園給食食材費の補助について(保育・介護業界)
2024年7月から8月頃より米の価格高騰及び入手困難な状況が続いており、同友会会員の運営する企業主導型保育園においても給食食材確保に多大な影響を受けています。0から2歳児は保護者から給食費の徴収はできず、国からの助成金についても運営費全体として算定されており、食材費の高騰に対応できる仕組みになっていません。
成長期の園児にとって米は外せない主食であり、安易にパンや麺類などへの変更もできません。園としても食材購入先を工夫するなど努力していますが限界があります。食材費の高騰により、本来進めるべき職員の昇給にも影響しています。
このような米価の高騰や入手困難な状況が早急に改善されるような施策を講じてください。また保育園の給食米確保に支障の出ないよう、大阪府による補助制度を検討してください。また、国に対しても同様の要望を行ってください。
要望提言項目E-4 保育・介護事業所の人材確保について(保育・介護業界)
介護事業所では、人材の確保が困難であり、利用ニーズがあるにもかかわらず、サービス提供が追いつかない状況が続いています。同様の傾向は保育園でも見られ、保育士・介護士といった担い手が増えないなか、やむなく新規利用者の受入れを停止している事業所も少なくありません。
保育・介護事業所の人員不足による運営への影響について把握してください。また、安定した運営を継続していけるよう、人材確保に向けた支援を強化してください。