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更新日:2025年8月21日

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大阪府中小企業家同友会 要望書(1)

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要望受理日 令和7年7月31日(木曜日)
団体名 大阪府中小企業家同友会
取りまとめ担当課 府民文化部 府政情報室 広報広聴課
表題 2026年度(令和8年度)大阪府中小企業政策に関する要望と提言

要望書

大阪府知事 吉村洋文 殿

2026年度(令和8年度)

大阪府中小企業政策に関する要望と提言

2025年7月31日
大阪府中小企業家同友会
代表理事

<大阪の中小企業を取り巻く環境と本要望提言について>
 2025年夏、ここ大阪では大阪・関西万博が開催されています。人工知能や情報通信など1970年の大阪万博で描かれた21世紀の夢のテクノロジーの多くは今や現実のものとなり、55年間の世の中の進歩を実感することができます。当時も今も大阪の主役は中小企業であることに変わりなく、この間の発展に中小企業が大きく寄与したことは間違いありません。しかしながら21世紀の今も未だ解決できない問題が世界には多く残されています。情報が瞬時に世界を駆け巡る今、日本経済は世界情勢に、より大きく影響を受けるようになりました。
 米国ではトランプ氏が大統領に再当選し、関税強化など保護主義的な通商政策を推進しはじめました。中国はもとよりEU、日本に対しても追加関税が課される動きが出ており、グローバルなサプライチェーンを通じて影響を受ける日本企業、特に輸出に依存する中小企業にとっては、新たに大きなリスク要因となっています。国際的な経済環境の不確実性が増す中、中小企業の経営基盤の強化や柔軟な対応力がこれまで以上に問われる状況です。
 また、2024年には最低賃金が全国加重平均で初めて1,000円を超え、2025年にはさらなる引き上げも議論されています。これは働く人々の生活を支える上で重要な一歩である一方で、中小企業にとっては人件費の急激な上昇が経営を圧迫する大きな要因となっており、価格転嫁の難しさとあいまって、経営の持続可能性に深刻な影響を及ぼしています。最低賃金の引き上げは、社会全体の底上げを意図した政策ではあるものの、地域や業種の実情に即した柔軟な支援策が不可欠です。
 一方で国や自治体による中小企業政策は、21世紀に入り大きく進んできました。2010年6月、日本政府は中小企業憲章を閣議決定し、その前文で「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」と明記しました。2017年4月、国連では6月27日を「中小企業の日」と定め、2019年6月には日本においても7月20日が「中小企業の日」、7月を「中小企業魅力発信月間」として位置づけられました。大阪府では、2010年6月に「大阪府中小企業振興基本条例」が府議会で全会一致により制定されました。
 このような動きを受けて、大阪同友会では2019年より毎年7月に「中小企業の日」企画(大阪わかそう)を展開し、大阪府・大阪市をはじめ、自治体、教育関係者、地域団体などと連携して、中小企業の魅力を発信してきました。その社会的存在意義を広く府民・市民に届ける活動を通じて、地域経済の主役である中小企業の認知向上に尽力しています。大阪同友会によるこの「大阪府中小企業政策に関する要望と提言」は1990年(平成2年)より提出を続けており、毎年実りある回答をいただいています。激動する社会情勢の中、今後も中小企業現場の声を行政に届け、「中小企業を軸に地域経済を発展させていく」との強い決意のもと、このたび2026年度に向けての要望と提言をまとめました。関係各位のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

2026年度(令和8年度)の重点要望提言

重点1 「中小企業の日」の取り組みについて(要望提言項目A-1)
毎年7月には「中小企業の日」関連行事の「大阪わかそう」を共催いただきありがとうございます。引き続き「中小企業の日」について、大阪府としての取組みを継続していただくとともに、今後「大阪わかそう」の企画段階から大阪府職員が参画する事を検討してください。
重点2 大阪府職員による中小企業訪問について(要望提言項目A-3)
商工労働部若手職員の企業訪問についてはこれまで自己研鑽として実施していただいておりますが、今後も継続的に実施していただくよう職員の企業訪問調査を制度化してください。
重点3 「中小企業担当副知事」の位置づけについて(要望提言項目A-2)
中小企業に関連するすべての部局を横断する形で中小企業振興施策が貫かれるよう、商工労働部担当副知事の役割と権限を「中小企業担当副知事」として位置づけてください。
重点4 府立高校と大阪同友会の連携について(要望提言項目C-4)
高校と中小企業との相互理解のため、当同友会では従前より高校進路指導関係者との情報交換を定期的に行っていますが、近年は教育庁及び商工労働部の担当者にも参加していただいています。このような場を今後も活用しながら出前授業、生徒の企業訪問、共育型インターンシップ等を実施し、高校と中小企業の連携を強化してください。
重点5 次世代の若者を守る活動について(要望提言項目C-7)
近年子供の貧困、虐待、不登校が増加し、それが若年ホームレスに繋がっています。「人を生かす経営」を実践する当同友会としては、行政と連携して次代を担う若者を育成したいとの思いがあります。ホームレスシェルターの改善や、そこから就労訓練事業に繋ぐ体制など地域中小企業が連携して若者サポートができる制度を充実させてください。
重点6 中小企業における人権デュー・ディリジェンスについて(要望提言項目B-7)
「ビジネスと人権」については政府も「行動計画(NAP)」を策定し企業にも取り組みを求めており、同友会全国協議会からも国に対して中小企業に対する啓発を要望しているところです。大阪府においても、啓発活動の強化や中小企業が取り組みやすい環境整備など、人権と経済を両立する先進自治体としてのリーダーシップを発揮してください。

A.大阪府中小企業振興基本条例に関する要望と提言

要望提言項目A-1 「中小企業の日」の取り組みについて
 2019年6月に日本政府として決定された「中小企業の日(7月20日)」「中小企業魅力発信月間(7月)」について、その趣旨を踏まえて、大阪府としてさまざまな周知・啓発活動を進められていることについて改めて敬意を表するとともに感謝いたします。
 また、2019年から、2021年、2022年、2023年、2024年と、コロナ禍の2020年を除き、大阪府(商工労働部)、大阪市(経済戦略局)のご理解をいただき、後援・共催団体として中小企業の日企画「おおさかわかそう」を実施できたことについてたいへん感謝しているところです。
 上記を踏まえて、「中小企業の日」については、引き続き、大阪府としての取組みを継続してください。
 さらに、「大阪わかそう」実行委員会に大阪府職員が参画し、企画内容について討議していただくことについてご検討ください。

要望提言項目A-2 「中小企業担当副知事」の位置づけについて
 これまで私たちは、商工労働部担当副知事は、商工労働部だけでなく、大阪府行政のすべての分野において中小企業振興の視点が貫かれるよう、部局横断的な役割が発揮できるような位置づけをしていただきたいと要望してきました。
 2025年1月に実施された大阪府商工労働部と大阪同友会との懇談において、大阪府のあらゆる中小企業施策は、2010年6月に制定された「大阪府中小企業振興基本条例」に基づいて講じられていると承りました。
 ぜひ同条例の趣旨を踏まえて、大阪府のすべての部局を横断する形で中小企業振興施策が貫かれるよう、商工労働部担当副知事の役割と権限を位置づけ、それを実効あるものとするため、具体的な仕組み(システム)とその運用について検討してください。

要望提言項目A-3 大阪府職員による中小企業訪問について
 2025年の大阪府への要望と提言において、大阪府の職員、とくに中小企業振興施策を担当する商工労働部の職員が中小企業を継続的に訪問し、実態調査を踏まえて中小企業施策の企画・立案・実施に生かしていくことができるよう、自己研鑽する制度・仕組みの創設を要望しました。
 それに対して、2023年度と2024年度は、中小企業支援室にて若手職員の企業訪問を実施し、今後の実施については、手法や効果等を勘案し実施を検討するとの回答をいただきました。
 上記を踏まえ、大阪府職員による企業訪問調査を継続的に実施して中小企業振興施策の企画・立案・実施ができるよう企業訪問調査の制度化を要望します。また調査の成果と課題等について、その内容を公表していただければ中小企業振興に資するものと考え、大阪府中小企業家同友会として企業訪問調査の改善等に向けて協力させていただきます。

B.中小企業が活躍しやすい環境をつくるための要望と提言

要望提言項目B-1 経営者保証の見直しについて
 「経営者保証ガイドライン」及び「経営者保証改革プログラム」により、経営者保証に依存しない融資が原則とされました。さらに2023年4月には「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」が改正され、経営者保証が必要とされる場合の金融機関による説明責任がより明確になったことは、中小企業にとって大変ありがたいことです。
 しかし、現実には金融機関の担当者レベルでこれら指針等が積極的に活用されていないケースや、金融機関が個人保証の解除を許可しても、信用保証協会が認めないケースもあり、経営者の不安が残る形になっています。
 経営者保証無しの融資が金融機関や担当者等による差異なく行われるよう、各金融機関に助言してください。また、金融機関と信用保証協会で判断が異なることのないよう助言と調整を行ってください。

要望提言項目B-2 新型コロナウィルスに伴うゼロゼロ融資の返済について
 新型コロナに伴うゼロゼロ融資の返済が本格化する中、資金繰りに苦しむ中小企業が急増しています。今年2025年は資材費・外注費・人件費の高騰による収益悪化リスクが一層深刻化することが懸念されることに加えて、トランプ関税による輸出の停滞が大きく影響する恐れがあります。また、社会保険料納付の猶予を受けているため追加融資を受けられない企業がその猶予の終了に伴い資産を差し押さえされるケースも増加しつつあります。このような状況下において、単なる延命措置ではなく、真に経営再建に取り組む中小企業に対する、下記の実効性の高い支援が急務と考えます。
(1)自社の経営再建計画を策定し、具体的に実行している企業に対し、ゼロゼロ融資の借り換え支援や、返済条件変更を柔軟に認める制度を整備してください。
(2)再生意欲を有する企業が社会保険料納付を継続できるよう、借り換え融資等を通じて納付履行を後押しする枠組みを検討してください。
(3)トランプ関税等の貿易リスク及びコスト高騰に対応できる資金支援メニューの柔軟な運用を図ってください。
(4)大阪府が創設する各種資金繰り支援制度について、金融機関・商工団体等と連携して、その周知活動を強化してください。
(5)借り換え支援、保証制度の柔軟運用、社会保険料納付支援の強化について、引き続き国へ要望してください。

要望提言項目B-3 法人事業税における外形標準課税の中小企業への適用拡大について
 外形標準課税を中小企業まで適用拡大することについては、「公平性」「応能負担の原則」の視点から、絶対しないよう知事会等を通じて国に働きかけていただくことを要望してきました。令和6年度税制改正に基づき、適正・公平に賦課徴収を行うとともに、制度のあり方については引き続き国の動向を注視していく、との回答を得ました。
 引き続き、外形標準課税の中小企業への適用拡大をしないよう、国への働きかけを行ってください。

要望提言項目B-4 外国人労働者への国民年金等脱退一時金制度について
 日本を離れる外国人労働者には国民年金・厚生年金脱退一時金として実質返還される制度がありますが、支給上限期間が5年(60月)に制限されているため、5年での離職・帰国が多く発生しています。年金受給のための最低加入期間10年との空白期間が無いよう、上限期間の引き上げが望まれます。同時に、本人と同額の保険料を負担している事業所側にも脱退一時金が支給されるべきと考えます。このような脱退一時金制度の問題について、大阪府でも実態を把握し、国に改善を要望してください。

要望提言項目B-5 中小M&Aガイドラインの周知について
 大阪府による「経営資源移転円滑化支援事業」や、大阪商工会議所での「大阪府事業承継・引継ぎ支援センター」等においては、中小企業の第三者承継に関するご支援をいたき、また「中小M&Aガイドライン」に基づきトラブル防止に取り組んでいただいています。しかし、これら支援事業やガイドラインを知らずに悪質な仲介業者に依頼してトラブルになるケースが依然として存在します。
 被害を受ける中小企業がこれ以上で内容、各所相談窓口の増設、特に金融機関による相談体制の構築を大阪府から働きかけてください。

要望提言項目B-6 エネルギー料金の値上げについて
 電力・ガス料金などエネルギー価格の高騰は、多くの中小企業の経営だけでなく、府民生活に厳しい困難をもたらしています。私たちは過去の要望提言において、関西電力、大阪ガス等事業者に値上げしないよう、大阪府として申し入れることを要望してきました。
 この点に関して、平成27年の再値上げの際、大阪府、大阪市、関西広域連合から関西電力に申し入れを行った、との報告をいたただきました。同時に、政府に対して、効果的な施策の推進を、との要望に対して、大阪府から、中小企業者の脱炭素経営への転換が促進されるよう、補助金等の継続的な支援を国に要望、との報告がありました。
 最近のエネルギー価格の高騰は、異常気象等による地球の温暖化と寒冷化の進行も相まって、府民生活を直撃しています。電力・ガス料金などエネルギー価格の高騰から中小企業経営と府民生活を守ための緊急施策が必要との認識から、大阪府として取りうる施策のを実施してください。
 同時に、エネルギー価格低減のための施策実施を国に対して引き続き働きかけてください。

要望提言項目B-7 中小企業における人権デュー・ディリジェンスについて
 現在、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」の採択以降、日本政府も「行動計画(NAP)」を策定し、企業に対し人権尊重の取組を求めています。
 大企業では、調達先に対しても「人権デュー・ディリジェンス(人権DD)」の対応を求める動きが広がっており、取引構造上、大企業と連携する中小企業も対応を迫られています。
 しかし、99名以下の中小企業の約90%が「人権DD」について理解が不十分であり、実施率も1割未満に留まっています。このままでは中小企業がサプライチェーンから排除されるリスクが高まり、地域経済全体にも影響を及ぼしかねません。
 そこで以下の施策を要望いたします。
(1)啓発活動の強化
府内市町村や専門団体と連携し、「ビジネスと人権」に関する中小企業向けセミナーを広く開催してください。
(2)環境整備とインセンティブ付与
ビジネスと人権宣言登録制度の創設や、外部専門家の活用支援、府独自の企業認定制度、相談窓口の設置など、中小企業が継続的に取り組みやすい制度設計を検討してください。
(3)人材確保と企業価値向上への活用
府内中小企業のビジネスと人権への取組を「ええ会社」として高校・大学等へPRし、若者の雇用促進と流出防止を図ってください。また、認定制度によって大企業とのマッチングを促進し、持続可能な経営基盤の構築を支援してください。
 以上、大阪府が人権と経済を両立する先進自治体としてリーダーシップを発揮されることを強く期待し、要望します。

要望提言項目B-8 消費税負担の軽減について
 現在の消費税制度は、中小企業にとって非常に大きな負担となっており、その見直しを求める声が多く上がっています。消費税は預かった金額を納税する制度ですが、取引上の立場が弱い中小企業においては、自社の利益を削って税を納める場合もあり、赤字であっても納税義務が生じる現行制度は、経営の継続を困難にする要因ともなっています。
 また、中間納付制度により、年3回や毎月といった高頻度での納付が求められる場合、資金繰りに大きな影響を及ぼしています。資金繰りに余裕がなくやむを得ず納税の猶予を申請した場合は、原則として延滞税が発生し、中小企業にとってはさらなる負担となっております。こうした制度についても、より柔軟な運用や延滞税の軽減が求められます。
 こうした中小企業の実情をご理解いただき、国に対して減税や制度改正等の働きかけを行ってください。

要望提言項目B-9 社会保険料の負担軽減について
 最低賃金の引き上げは、国民の購買力を高め、地域経済の活性化にもつながる重要な課題です。私たち中小企業も、材料費やエネルギー価格の高騰といった厳しい経済環境の中で、企業努力を重ねながら引き上げに対応してきました。しかし、そのような努力によって名目賃金を上げても、社会保険料の負担増により従業員の実質賃金が減少し、結果として経済の活性化にはつながりにくい状況となっています。さらに、事業所側にも負担が増大し、中小企業経営をより一層困難なものにしています。
 新規雇用や給与の引き上げを行う事業所に対しては、社会保険料負担の助成や減免制度の創設、事業所・個人いずれの負担においても一部免除制度の導入を、大阪府から国に対して要望してください。
 また、社会保険料の算定に通勤費を含める現在の制度は、長距離通勤の従業員ほど手取り額が減るという不合理を生んで同一労働同一賃金の理念にも反しています。これについても、見直しを国に求めてください。

要望提言項目B-10 「収入の壁」問題の改善について
 いわゆる「収入の壁」については国会でも議論されているところですが、現行制度では、年収が130万円を超えると、一定の要件を満たす場合を除き、配偶者の扶養から外れ、自らが社会保険に加入する必要が生じるため、結果として手取り収入が減少し、それを避けるためパート従業員等の就労時間の抑制につながっています。このような状況が続けば、人手不足が深刻化する中小企業の経営に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。
 つきましては、大阪府として「収入の壁」問題の解消に向けて、収入基準の見直し、たとえば現行の130万円から230万円程度への引き上げなどを含め、国に対して制度の見直しを要望してください。

要望提言項目B-11 紙の手形廃止に伴い予想される資金繰り悪化への対策について
 2021年6月18日に日本政府が公表した「成長戦略実行計画」では、「5年後の約束手形の利用廃止に向けた取組を推進する」と明記されており、政府は2026年度末を目途に廃止を予定しています。しかし、以後も紙の手形・小切手の利用には罰則が設けられていないため、立場の弱い中小企業、特に製造業、建築業等においては支払期日が厳格化される一方入金が遅れることが予想され、資金繰りの悪化を招くおそれがあります。
 この動きに先行して、下請代金支払遅延等防止法に基づき、手形サイト・支払サイトの短縮(最大60日)が求められてきましたが、実態としては十分に進んでいません。このままでは、法に従った企業ほど資金繰りが悪化するという不均衡が生じかねません。
 下請法のさらなる周知と、公正取引委員会による実態調査と指導の徹底、手形廃止に伴う資金繰り悪化に備えたセーフティーネットの設置等を、国に要望するとともに大阪府独自の対策も実施してください

要望提言項目B-12 補助金採択基準の賃上げ要件について
 各種補助金や助成金の審査において、「賃上げを実施していること」が加点対象となっている場合がありますが、現行制度では「企業の賃金総額の増加」が加点の判断基準とされるため、個々の従業員に対して賃上げを行っていたとしても、定年退職等により年間の賃金総額が前年度を下回るケースが生じ、実質的に賃上げを行っていても評価されにくいという不公平が生じています。
 補助金・助成金の審査で賃上げを指標とする場合は、個々の従業員に対する賃金の上昇率など、企業努力が正当に評価されるような基準を適用してください。

要望提言項目B-13 カスタマーハラスメント対策について
 近年、顧客や取引先という立場の優位性を背景に、悪質な要求や理不尽なクレームを繰り返す「カスタマーハラスメント」が社会的な問題となっています。中小企業は特に、立場の弱さからこのような被害を受けやすく、社員の定着や採用の妨げとなるほか、事業運営全体にも大きな影響を及ぼしています。
 一部の大企業では、カスタマーハラスメントに対して社内ガイドラインを整備したり、対応マニュアルを設けたりする動きが進んでいますが、中小企業ではノウハウの蓄積や体制整備が進んでおらず、十分な対策が取れていないのが現状です。
 カスタマーハラスメントに悩む中小企業に対して情報提供を行うとともに、経営者や従業員が安心して相談できる窓口を設置してください。

要望提言項目B-14 介護離職を防ぐ支援策について
 出産や育児に対しては一定の支援制度が整備されていますが、今後確実に増加が見込まれる「家族の介護」や「看護」への支援は、現状では十分とはいえません。すでに介護離職による人員減少は企業に深刻な影響を与えており、働く世代が安心して介護と仕事を両立できる環境の整備が急務です。
 介護休業中の給付水準や取得期間の拡充についての法整備を国に対して要望してください。また大阪府では相談体制の強化などを含め、介護離職を防ぐ支援策を検討してください。

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