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更新日:2025年7月15日

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障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議 要望書(2)

(1) (2) ※2ページに分割して掲載しています。

要望書

【権利の実現に関する要求項目】

 差別障害者解消法の改正により「事業者の合理的配慮」が義務化され2年目となります。以前から指摘するよう、大阪府の相談事例の集積を基に同様の案件が複数発生している業種に対して、より具体的な啓発等を積極的に行うことが必要です。昨年の旅館業法の改定に続き、今年は事業者にカスタマーハラスメント対策が義務づけられますが、「合理的配慮の提供を求めること」は、正当であり決してハラスメントとされることがないよう、全事業者に対する周知啓発等が必要です。また府内の差別解消推進協議会の未設置市町村は20程度あり、ここ数年間ほぼ止まっています。大阪府のみならず市町村の対応力向上が求められてくる中で、府内全市町村での協議会の設置・事例検証の実施、相談窓口の強化などを、進めなければなりません。
 障害者に対する住宅入居差別は未だ根強く残っており、単身やグループホームの入居で拒否される事例が相次いでいます。明確な差別意識だけでなく、家主が障害者の入居に対して「漠然とした不安」を抱いて拒否する事例も多くあり、また家主の意向を受けて宅建業者や保証業者が入居を拒否する例もあります。今年10月には改正住宅セーフティネット法等が施行されます。福祉部局と住宅部局が強く連携し、居住サボーと住宅を始めとする施策の推進と、障害者の実際の暮らしぶりや入居を支える仕組みを伝えるなど、家主や住宅関連業者に対する積極的・具体的な啓発を進めなければなりません。
 またこの間、府内市町村の公営住宅では、自治会役員が障害者に対して自治会活動を強要し、それができないなら入居を拒否する、退居を求める、住民に自身の障害状況を説明させる等の人権侵害が発生しています。その背景には住民の高齢化による自治会活動の継続の困難があり、構造的な差別の問題と捉え、障害の理解のための住民への啓発活動の継続実施とともに、自治会活動の外注を進める仕組みをつくる等、抜本的な解決策が必要となります。
 旧優生保護法の下で行われた強制不妊手術の問題は、昨年7月に最高裁で被害者側の全面勝訴判決が下されて以降、首相の謝罪、補償金支給法の成立・施行等、救済に向けての動きが急速に進みました。しかし大阪府においては全国で5番目に多い619人、「同意」も含めれば1,238人に対して優生手術が行われたにも関わらず、「記録が残っていない」という行政側の理由もあり、被害者の掘り起こしや、一時金・補償金の申請はなかなか進んでいません。高齢化が進んでおり一刻も早い対応が必要であり、また最高裁での判断が出て国が動いている状況を考えた場合、今までとは次元が違う踏み込んだ動きを作る必要があります。また国は昨年12月に「旧優生保護法に係る対応状況及び障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画」を発表しましたが、大阪府として多くの優生手術を行ったという事実を受け止め、国の指示を待つのではなく、主体的・積極的に取り組む必要があります。
 生活保護については、2026年度までは生活扶助の特例的対応として、従前額の保障となっていますが、2027年度以降に向け「低い水準へ見直す」可能性は続いています。この間の急激な物価高騰への即時の対応とともに、抜本的な基準額の引き上げ等が必要です。また障害者の「健康的で文化的な最低限度の生活」を保障するためには、生活保護の引き上げ等とともに、障害基礎年金の増額等も必要であり、他の自治体とも連携して国に対して強く求めていかなければなりません。
 以上の認識に立ち、以下要求します。

  1. 府の差別解消条例、差別解消取り組みについて
    • (1) 昨年度の改正法施行による事業者の合理的配慮の義務化を受け、差別の未然防止と適切な合理的配慮の提供に向け、特に府の委託事業をはじめ、差別事例が複数発生している業種に対しての、研修・啓発を行うこと。またその検討状況を示すこと。
    • (2) 法改正に伴い、府内全市町村で差別解消支援協議会が設置されるよう、また相談の人材育成や、市民への窓口周知等行うよう、市町村に強く働きかけを進めること。
       また事業者にカスタマーハラスメント対策が義務づけられるが、「合理的配慮を求める」等は、差別解消法に基づく正当な権利であり「頭ごなしに否定しない。障害者が利用できるように建設的対話を進める」ことを事業者に徹底するなど、対策を講じること。
       
  2. 住宅の入居差別について
    • (1) 民間賃貸住宅での障害者の入居拒否や、グループホームに対する入居拒否・追出し等の差別が相次いでいることから、住宅部局と差別解消担当が連携し、家主・宅建業者・家賃債務保証業者・管理会社等に対して、「この間発生している問題事例、適切な合理的配慮の事例」を具体的に示し、更なる啓発・研修を進め差別を未然に防止すること。また差別発生時には府として調査・指導に積極的に出向き対応を行うこと。
    • (2) 入居差別の背景にはまだまだ障害者の暮らしぶりが知られておらず、「漠然とした不安」から拒否される例も多い。不安の払拭に向け、障害者やグループホームの暮らしの様子や入居支援制度を紹介するビデオ等の啓発媒体を作成すること。また改正住宅セーフティネット法等の10月施行に向け、福祉施策と住宅施策の連携を強化し、居住サポート住宅の供給促進、全市町村での居住支援協議会の設置等に向けた、具体的な方策を明らかにすること。
    • (3) 公営住宅居住者の高齢化に伴う自治会活動の困難さから、各住宅で障害者とのトラブルが続出している。昨年府営住宅全戸配布の冊子に障害の理解を進める啓発記事が掲載されたことは大きな前進である。ただ1回で解決できる事象ではないので継続的な啓発を検討すること。また府営住宅の指定管理者にも障害者等の平等利用が伝わるよう、今回の経過等を伝えるなど周知啓発を進めること。さらに自治会活動の一部(清掃等)を業者に委託し共益費として府が徴収する仕組みについては、住民の負担額などに注意を払いながら、必要に応じて府が住民へ補助する仕組み等更なる方策を検討すること。
       
  3. 旧優生保護法下における強制不妊手術に係る問題と、尊厳回復のための取り組みについて
     大阪府として、障害者に不妊手術を強いた事実を重く受け止めること。また被害者の人権救済につなげるため、何としても一人でも多くの被害者を掘り起こすよう、あらゆる手立てを講じること。
     大阪府は今年3月周知の一環として、今まで実施したものより詳しいアンケート調査を、障害者・児施設、精神科病院・一般病院に送付した。その結果をもとに個人への通知も含めた「その後の対応」を行うこと。またアンケート調査で対象者が充分に捉えられない場合、資料保全の通知等に付随したもの等ではなく、より直接的な調査を、府内自治体と連携して実施すること。さらに広報活動は昨年よりも更に拡大して行うこと。
     また昨年12月に国から出された「旧優生保護法に係る対応状況及び障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画」に基づき、「旧優生保護法の大阪府の歴史的経緯」などをまとめ、職員研修等を早期に行うこと。
     
  4. 障害者の所得保障について
    • (1) 生活保護については、2026年度まで「生活扶助の特例的対応」で従前額保障となっているが、2027年度以降の基準作成に向け、前倒しで今年が定期検証の年となっている。引き続き他の自治体とも連携し、抜本的な基準額引き上げや、夏季加算等物価高騰への対応、また前回の議論であげられた級地区分の変更(実質的な引き下げ)を行わないこと、障害者加算、介護加算、住宅扶助の締め付け等行わないよう、国に強く働きかけること。
    • (2) 障害基礎年金は、約40年前の障害福祉年金からの変更以降、抜本的な改正はされておらず、基礎年金で障害者の生活を支えるのは不十分な状態が続いている。国に対して、適正な認定とともに、対象範囲の拡大等含めた改正・増額を求めていくこと。

【交通・まちづくりに関する要求項目】

 アクセスは人権です。福祉や障害者の問題にするのではなく、都市計画、観光、交通政策、情報政策などあらゆる政策において、障害者を含む誰も取り残さない施策の推進を図るべきです。
 一方で、障害者のアクセシビリティがないがしろにされている実態が多くあります。
 鉄道駅の無人化や窓口無人は、障害の意見聴取もなく一方的に拡大されてきました。駅のホームと電車の段差解消やホーム柵の設置はまだ不十分で駅員の介助が必要です。しかしながら、インターホンが障害者の実態に合っていないため利用できず、介助すら呼べない障害者も多く存在しています。しかも、無人の時間帯の情報も前もって提供されておらず、駅に行って困難に直面することが多々あります。これでは通常の社会生活ができません。府は、差別解消法、府差別解消条例を踏まえ、環境の整備、合理的配慮、建設的対話を行うように行政指導を行うべきです。
 また、大阪府福祉のまちづくり条例は、劇場等客席やバリアフリートイレ等について、来年度にかけ段階的な改正が予定され、条例ガイドラインについても、今年度、大阪・関西万博における取組を踏まえた見直しが行われます。
 条例改正の内容は一定は評価できるものの、既存施設は努力義務どまりです。公共性の高い施設に、大人用介護シートの増設等が進むよう、府が模範となり、府内各市でも進むような手立てが求められますし、多様な障害者の意見を反映して作られた、大阪・関西万博ユニバーサルデザインガイドラインの水準が、しっかりと条例やガイドラインへ引き続かれることが必要です。
 他方、バリアフリー法に基づく基本方針(2026年度から2030年度末までのバリアフリー化数値目標)では、建築プロジェクトにおける当事者参画の推進も示され、国等の公共特別特定建築物の建築工事における当事者参画が必須となりました。当事者参画のない設計により障害者の使い勝手が悪い施設がこれ以上作られないような具体的な手立てが必要ですし、更に言えば、この考え方が建築物単位ではなく、再開発等のエリア単位でも進められることが求められます。
 また、府営公園のバリアフリーについては、出入口開放の取組が開始されて今年で9年目となります。早急に、車いす利用者等が利用時間制限なく、他の府民と平等にすべての出入口を利用できように改善することを最終到達目標と設定し、年次計画策定に着手すべきです。
 2025年大阪・関西万博を機に、大阪の交通機関のアクセシビリティの向上、大阪街全体のバリアフリーの底上げを図り、大阪丸ごとバリアフリーの実現に向けて取り組む必要があります。
 以上のことから、以下を要求します。

  1. 駅ホームの安全な利用、無人駅への対策検討について
    • (1) 「大阪府内の駅ホームにおける安全性向上の取組みについて(2025年4月改訂)」でも明記された「設置優先度の高いホーム」への柵設置が着実に進むよう、十分な予算措置等を講じること。とりわけ整備にあたっては、森ノ宮駅をはじめ、JR環状線の乗換駅の整備が優先的に進むように配慮されたい。
       なお、上記の府指針中の新技術等(ITやセンシング技術等)のソフト対策が、ホーム柵の代替え手段として障害者の安全が真に担保できるのか、障害当事者も参画した検証等を十分に行うように事業者等、関係機関に働きかけること。また、ホームと車両との段差・すき間解消について、バリアフリー法に基づく基本方針での数値目標(2030年度末までに4,000番線)を踏まえ、積極的に取り組むよう鉄道事業者へ働きかけを行うこと。
    • (2) 無人駅、時間無人、窓口無人(以下「無人駅等」)の拡大を回避するよう、鉄道事業者への理解を図ること。その上で拡大する無人時間帯等において障害者が負担なく利用できるように以下の点について環境整備の事業者努力を求めること。
      • インターホン、切符券売機等を障害者が容易に利用できるように改善すること。
      • ホームと電車の隙間と段差の解消、ホーム柵の設置などの整備を進めること。
      • 無人時間帯は障害者等の利用が少ない時間帯に設定し、無人時間帯情報をだれもが前もって容易に把握できるようWebなどで公表すること。
      • 介助等の申出窓口は営業時間内には必ず外部からも容易に連絡可能な体制とすること。
    • (3) 無人化の拡大、環境の整備にあたっては、国無人駅ガイドラインに基づき、障害当事者の意見を十分に踏まえることが重要であり、「大阪府重点整備地区バリアフリー推進連絡会議」等の場を当事者意見聴取の場として活用できるように検討されたい。例えば、当事者意見聴取の場を作るにあたり、無人下において重要施設であるインターホンの改善ための課題整理など、具体的なテーマで意見聴取・情報交換ができる場づくりを行うなど、具体的な取組を試みること。
       
  2. 大阪府福祉のまちづくり条例(以下「府条例」)関係
    • (1) 国のバリアフリー法及びガイドラインの改正、府の条例改正(バリアフリートイレの複数化、車椅子席設置基準、小規模店舗出入口BF化、介護ベッド設置基準、WCフラッシュライト、共同住宅駐車場設置等)を機に、障害当事者の意見を十分に踏まえ府ガイドラインの拡充を検討すること。また、車いすトイレの扉が止まらないなど、障害当事者の困りごと・課題を把握し、効果的にガイドラインの普及啓発を図ること。
    • (2) 関西万博のユニバーサルデザインガイドラインは多様な障害当事者、有識者の意見の結実によって作られた。万博の取組や水準が今後のまちづくりのレガシーとなるように、府条例、ガイドラインへの反映を検討すること。検討にあたっては、ガイドライン作成に関与した障害当事者などが参画する学習会の開催を検討すること。
    • (3) 府条例改正等の周知を図り、府有施設及び府外郭団体所有・管理施設において、車いすトイレへの介護ベッド、フラッシュライトの設置、府営住宅における車椅子駐車場の設置を推進すること。とりわけ、ファインプラザ、子ども家庭センター、保健所、府税事務所、府民センター、運転免許試験場、図書館、府営公園など、府民にとって身近な施設における設置を計画的に実施すること。なお、市町村においても率先垂範し推進するよう依頼すること。
    • (4) 建築プロジェクトにおける当事者参画を促進するために、大阪府として、当事者参画のプロジェクトの選定、参画の基本的な考え方、手法等を検討し、実施方針を策定すること。なお、策定にあたっては、単体の建築物のみならず、新大阪地区、大阪城東地区(京橋)の再開発など広域拠点事業や市街地再開発事業における障害者参画も視野に入れて検討すること。
       
  3. 2025関西万博を機に大阪まるごとバリアフリーの実現について
    • (1) アクセシブルでインクル―シブな万博を目指すにあたり、万博会期中に生じた解決すべき課題について、会期途中でも当事者意見を踏まえ必要な改善を図っていくこと。
    • (2) 当事者参画のもとにユニバーサルデザインを目指した取り組みについて、万博協会、大阪ヘルスケアパビリオンにおいて評価及び総括を行うように働きかけ、大阪府において、今後の当事者参画の促進の参考となるように課題を整理すること。
    • (3) 万博を機に推進されたバリフリーツーリズムの取組、ユニバーサルデザインのホテル情報提供の充実の取組などの到達点と課題、今後の取組方針を明らかにすること。
       
  4. 府営公園のバリアフリーについて
    • (1) 車いす利用者等が利用時間制限なく、他の府民と平等にすべての出入口を利用できように改善することを最終到達目標と設定すること。また、その目標を達成する時期を明確化すること。さらには最終目標達成を展望し、公園ごとに、出入口の時間制限の撤廃や出入り可能箇所数の増加等、この3年以内にどの出入口でどのように改善するか計画化すること。
    • (2) 公園の官民連携事業においては、役割分担と連携を明確にして、バリアフリー化が後退しないようにすること。とりわけ再整備される久宝寺公園プールについては、障害者が利用しやすいものとなるよう、引き続き障害者との意見交換の場を設け設計段階から障害者の意見を反映すること。
    • (3) 全ての公園施設において、当事者参画・評価の仕組みづくりを行うこと。

【教育・保育に関する要求項目】

 新型コロナが収束していく一方で、新たな感染症対策が必要となってきています。コロナが発生して6年の間に、安心安全のために場を分けることが、その後の感染症対応の中でも当たり前に継続し、「安易な分離」が日常的になっていないか。それは感染症対応だけでなく、さまざまな場面において「分けて対応するのではなく、分けずに対応できる方策を考える」という、ともに学ぶ基本的な考え方そのものが弱くなりつつあるのではと、懸念するところです。
 2022年4月末に文部科学省から出された「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」は府内の市町村に大きな影響を与えています。通知が出て以降、支援学級在籍者は一旦は減少しましたがその後また増加に転じると予想されます。なぜこのようなことになるのか。結局のところ「今の通常学級そのものが学ぶ内容が多いなど様々な理由で厳しくなっており、「その場から出される」ことを余儀なくされる状況」が強くなり、そして「出される・場を分けることが、普通になってきている」のではないでしょうか。この状況を打開するために、大阪府教育庁として「分けない」ことを強く掲げ、クラス定員の更なる縮小等、様々な要望を国にあげるとともに、市町村への独自の教員配置補助などを行うことが求められます。
 障害者権利条約の総括所見で、特別支援学校を廃止する方向性が出されましたが、文科省は特別支援学校を始めとする、多様な学びの場を整備する方針は変えていません。「特別支援学校設置基準(省令)」が施行され、大阪でも狭隘化等を理由に特別支援学校の整備が進められています。児童生徒総数が減少している中で、いつまで特別支援学校を増やせば良いのか。「現状に応じて増設する」ではなく、分けられる弊害を基本に据え「ともに学び育つ大阪の教育」を推進するため、本人や保護者が不安なく地域の小中高校で充実した学びを進めていける施策を進めるのが、大阪府教育庁の責務です。
 中学卒業後の進路では、独自の教員配置がある自立支援コースの倍率が高い状況で推移している一方、府立高校で定員内不合格を出さない状況が20年程続いているにもかかわらず、一般の府立高校への進学につながっていないよう見受けられます。高校の授業料無償化が進み、高校での学びが保障されていく中、障害のある生徒も支援学校ではなく、地域の高校での学びが保障されるべきです。支援が必要な生徒が入学した際に府独自の教員配置の検討を行うことや、当面の方策として、現在の介助員等の制度の改変・拡充が不可欠です。更に府立高校の統廃合が進んでいますが、通学に支援が必要な障害のある生徒もいる中で、選択の幅を狭くすることがないよう、統廃合を一旦止め、考え方から改めて検討し直すべきではないでしょうか。小中学校でともに学び一般高校への進学を希望しても、環境が整っていないという理由で支援学校を選択せざるを得ないのは、構造としての差別であり、「ともに学び・ともに育つ」教育を掲げ続けてきた大阪府で解決すべき第一の課題と言えます。
 以上の認識に立ち、以下要求します。

  1. 就学における本人・保護者の意向尊重、および就学指導について
     障害児の就学にあたっては、地域で「ともに学び・ともに育つ」という原則に立ち、本人ならびに保護者の意向を最大限尊重した就学相談を実施するよう、また特に就学時に支援学級に在籍する場合「支援学級で学ぶ時間数を一定程度示す(以前より多くなると伝える等も含む)」など条件付けを行わないよう、府内各市町村教育委員会への指導助言を徹底すること。
     また就学通知を対象年齢児全員に対して年内に発出することについて、実施自治体を増やすことを目途に、事例紹介その他様々な手段を使い、市町村教委に働きかけを進めること。
     
  2. 義務教育段階の支援等について(小中学校)
    • (1) 障害のある児童生徒が地域の学校で学びやすくなるよう「市町村医療的ケア等実施体制サポート事業」を更に拡充し、市町村教委へ通学支援補助等に活用するよう働きかけるとともに予算増に努めること。
    • (2) 地域の学校で学ぶ児童生徒が、学校内で孤立することなく充実した学校生活を送るためには、通常学級・支援学級関係なく、すべての教職員がインクルーシブ教育(ともに学び・ともに育つ教育)を理解する必要がある。全教職員に対する研修を、計画的に進めること。
       特に「障害の社会モデル」を理解する研修、また旧優生保護法下における強制不妊手術の最高裁判決を受け、昨年12月に出された「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画」にあるよう、旧優生保護法の歴史的経緯等を学ぶ研修の実施を検討すること。
       
  3. 医療的ケアが必要な児童・生徒について(小中学校)
    • (1) 医療的ケアが必要な児童生徒が、親の付添いなしで学校教育全ての活動(授業・校外活動・放課後活動等)に参加できるよう、また基本的に原学級での学びを希望する場合、支援学級籍であっても、文科省通知の影響を受けず原学級で学べるよう、市町村教委を指導助言すること。
    • (2) 医療的ケアが必要な児童生徒が在籍する学校で、全職員対象の医療的ケア研修を行うよう市町村教委を指導すること。また緊急時・災害時への備えも含め、看護師以外の医療的ケア実施者を増やすために、教員・支援員等、学校関係者が「府教育庁が実施する第三号研修」に参加できるようにするなど、実施主体の拡充を行うこと。
       
  4. 肥大化が続く特別支援学校に関する課題について
    • (1) 特別支援学校設置基準が国で定められて以降、知的障がい支援学校の新設や増設などが更に進んでいる。「ともに学ぶ教育」と逆行しないよう、特に「支援学校の新設」については、見直し・撤回を含めた具体的な検討を行うこと。
    • (2) 「特別支援学校のセンター的機能」による小中学校在籍者を増やす取り組みと実際の転籍者数を具体に示すこと。
       
  5. 障害のある生徒の高校問題 入学以前について
    • (1) 府立高等学校再編整備計画が示されているが、障害のある生徒が支援学校ではなく府立高校に進むことを念頭においた上で、次期計画を策定するべきである。3年間定員内の状態が続き改善の見込みがないという考え方でなく、通学範囲も限られる障害状況も踏まえ、学校配置等を中心に考え、公立高校の統廃合を行わないようにすること。
    • (2) 高校授業料の無償化が進み、障害のある生徒も他の生徒と同様に私立を希望するケースも増えてきている。進学相談時の不適切な対応や、入試の合理的配慮やそこに至る建設的対話が不十分であることは、障害者の権利侵害であることを認識し、私学への指導助言等を進めること
    • (3) 公立高校受検について、定員内不合格を出さないことを堅持すること。入試における合理的配慮を更に拡充するとともに、障害者の公立高校進学者が増えるよう、新たな受検制度の仕組みの創設や既存制度の拡大等を行うこと。
       
  6. 障害のある生徒の高校問題 入学後について
    • (1) 府立高校入学後、補助員・支援員等が、必要に応じ配置されるよう、予算を拡充すること。
       支援員等の仕組みについては、障害福祉事業所との連携が可能なように、登録制度や単価等を見直し、現在行っている試行的な取り組みを、早急に制度化すること。
    • (2) 医療的ケアが必要な生徒の入学に際し、看護師配置が早急に行えるような仕組み等を検討し、学校に通えない・授業に参加できない状況が起きないようにすること。また設備上の問題で、車いす等を利用する障害者が他の生徒と一緒の場で学べないことが起きないよう、様々な合理的配慮を行うことを、学校に伝えること。
    • (3) 校外学習や修学旅行などにおいて、障害があるが故に必要となる、リフト付きバスやヘルパー等については、本人・家族負担とせず、教育庁として負担するよう検討すること。また医療的ケアだけでなく、府立高校に通学支援が必要な生徒への対応を検討すること。
       
  7. 府立高校のバリアフリー整備について
     府立高校のエレベーター設置について、毎年の新規設置数を増やすこと。また避難所指定されている府立高校について、バリアフリートイレや段差解消・垂直移動等の整備を進めること。

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