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更新日:2025年10月28日

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社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 要望書(1)

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要望書受理日

令和7年7月1日

団体名 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会
取りまとめ担当課 福祉部障がい福祉室障がい福祉企画課
表題 知的障がいのある人とその家族に対する支援策の充実について(要望)

要望書

大阪府 知事 吉村 洋文 様

社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会
理事長

知的障がいのある人とその家族に対する支援策の充実について(要望)

 平素は、知的障がいのある人とその家族に対して様々な支援策を講じていただきまして感謝申し上げます。
 さて、令和7年度補正予算および令和8年度当初予算において実現していただきたく下記の項目を要望いたします。
 ついては、令和7年8月末日までに書面にてご回答くださいますようよろしくお願いします。

【知的障がいのある本人たちからの要望】

[1]大阪手をつなぐ育成会本人支部(大阪ともだちの会)より
 大阪育成会では、1999年より当事者の会(本人支部)を設置しており、昨年25周年を迎えました。仲間同士のコミュニティとして余暇活動や勉強会などの年間を通した活動をはじめ、毎年開催している大阪知的障がい者福祉大会の『本人大会』は当事者の実行委員組織で企画運営しています。
 また当会の法人役員(2016年の社会福祉法改正以前は理事、法改正以降は評議員)として当事者に参画いただいています。
 このような活動を通して、「自分たちのことは自分たちで決めたい」「みんなが困っていることを伝えたい」「社会のみなさんの障がい理解を深めたい」という意識が当事者にあふれています。
 知的障がいがあると「決められない」「考えられない」わけではありません。適切な支援や配慮があれば、言葉と行動をもって自分たちの意思を伝え、思いを表現する当事者がたくさんいることを知ってください。
 そして、大阪府の障がい福祉行政の起点は、本人の声からしか始まらないことを、私たちとともに認識していただきたいと思います。
 以下、本人支部(大阪ともだちの会)より届いた要望です。

  1. 合理的配慮のわかりやすい版パンフレットを作らせてください。
  2. 私たちのことについて、制度など何かを決めるときは、まず私たちの意見を聞いてください!

【権利擁護】

[2]知的障がいのある人への差別解消について
 大阪府においては、差別解消法の啓発に努めていただいていること、また大阪府の「差別解消ガイドライン」を改訂いただいたこと、さらに以前よりお願いしていた「支援者への差別事案の聞き取り」について、昨年度の大阪府虐待防止研修の受講者へアンケートを実施していただいたことに感謝いたします。
 加えて『当事者にわかりやすい差別解消ガイドラインの説明資料』について、前向きなご検討をいただいたことは大変うれしく思っております。
 知的障がいの立場からは、ガイドラインにある事例では不足を感じており、また相談そのものも知的障がいの件数が少ない状況です。
 法律にある当事者からの申出により建設的対話を基本とするならば、知的障がいのある人には、その対話に到達するまでの配慮や支援が必要であると私たちは考えています。

  1. 今年度作成をご検討いただいている知的障がいのある人に向けた「差別解消ガイドラインの説明資料」が各所で活用されることで、当事者のエンパワメントに繋げてください。特に、支援学校を含む支援教育現場で差別解消法の理解につながる授業に取り入れてください。
  2. 虐待防止研修での差別事案に関するアンケートについて、その結果をどのように活用されるのか教えてください。
    重ねてのお願いですが、差別等と出会うのはヘルパーやグループホーム従事者ですので、その声を集約し活かしていただくようお願いします。
  3. 差別解消地域協議会未設置の市町村がまだあり、未設置市町村は相談件数も少ないと聞きました。大阪府には、協議会未設置をゼロにするとともに、各市町村の取組みを平準化することや、複数の市町村で連携した取組みを行うことなど、広域的な工夫をお願いします。
  4. 昨年4月の法改正により事業者による合理的配慮が義務となりました。その事業者も含めて地域社会全般に対し、合理的配慮を行う上で重要な『基礎的環境整備』についての啓発をしてください。
    知的障がいのある人にとっては「わかりやすい表示や標記」「やさしい日本語」などが基礎的環境整備になります。
  5. 大阪府においては、昨年「医療機関・医療従事者のみなさまへ」として、障がい理解と合理的配慮の提供をお願いするリーフレットを作成配布いただいたところですが、入院を想定した内容が多かったです。
    私たちの日常である「通院」にかかわる事例を網羅したリーフレットを作成し、医療機関に周知していただくことをお願いします。
  6. 障がいを理由に住宅入居を拒否されることが、今なお散見されます。地域移行を進めるのであれば、障がいのある人が住まいを得やすくするための支援を充実してください。
    この方策として私たちは「居住支援法人」や「居住支援協議会」のような仕組みが有効と考えていますが、大阪府の見解をお聞かせください。
  7. 銀行口座を作る時、銀行窓口の担当者が知的障がいに対する理解が無い等で、「辛い思いをした」「口座開設を断念した」という声が届いています。銀行における知的障がいへの合理的配慮について、大阪府としての見解と具体的な方策があればお聞かせください。

[3]知的障がいの啓発について
 旧優生保護法は昨年7月最高裁大法廷にて違憲との判決を得ましたが、今なお日本の社会には優生思想の考え方があると言わざるを得ません。併せて私たち育成会は津久井やまゆり園の事件を忘れることができません。
 「障がいのある人が特別な存在ではなく、多様な人たちの一人として尊重され包括される社会」という視点に立った啓発が必要であると思っています。

  1. 知的障がいのある人を理解するためには、本人たちと出会って交流していただく必要があると私たちは思っています。
    「共に生きる障がい者展」や「大阪府障がい者スポーツ大会」などが、もっと幅広い府民との交流の機会となるような工夫をお願いします。
  2. 長年続く「ふれあいキャンぺーン」は、市町村で取組の差が大きく、また形骸化しているように思います。国の「基本理念の普及啓発事業」のようなイベントを新たに大阪府が実施し、その内容を市町村への啓発につなげてください。

[4]知的障がいのある人への虐待防止について
 厚生労働省によると、2023年度の虐待を受けた障がい者数は、2012年度統計を取り始めてから過去最高となりました。うち知的障がいが45.7%と最も多く発生しています。
 大阪府の虐待発生件数は変わらず全国トップであり、とりわけ養護者による虐待件数は依然として多い状況にあります。養護者における虐待者は母親が最多、発生要因は上位から「虐待と認識していなかった」「知識や情報の不足」「介護疲れ」とあります。この要因からわかるように、養護者には人権や障がい特性を理解するための学びの機会が必要です。しかし現実は、知的障がいの親の学ぶ公的な機会がないため、自ら情報収集して学ぶしかなく、すべての親が自ら動けるわけではありません。
 障がい福祉施設従事者等による虐待は、恵グループによる組織的に行われた虐待に見られるように、福祉理念や倫理観の欠如といった発生要因に対して私たちは、「本来もっとも信頼を寄せる相手に裏切られた」と感じました。
 一方、障がい福祉サービス内での虐待防止の取組みが強化され1年が経過しましたが、虐待防止委員会の定期開催や職員への研修などが実効性のある形で実施されているかどうかは、利用者の私たちにはわかりません。

  1. 養護者虐待を予防するために、大阪府下のすべての知的障がい児者の親が、人権を理解するための学びの場を作って下さい。
  2. 親の学びについては、相談支援事業所、放課後等デイサービス事業所、学校などで活用できる動画などの教材を作成してください。
  3. 障がい福祉サービス事業所について、国が定める3年に一度の実地指導の確実な実施と、虐待防止の取組みの精査を、府下すべての指定指導権者が行うように、広域行政として進めてください。
  4. 以下について国へ強力に働きかけてください。
    • 虐待認定のあった障がい福祉サービス事業所に対して、コンサル導入や外部委員を交えた改善委員会の設置などを義務化してください。
    • 事業所の虐待防止研修が、根拠のある内容となるよう虐待の傾向を分析した上で、重点的に取り組むべきポイントを明示してください。
    • 教育機関を虐待防止法の適用対象に加えてください。少なくとも支援学校については何ら障壁がないと考えます。

【家族支援】

[5]知的障がいのある人の家族支援について
 私たち育成会は、長い歴史の中で、人と人とがつながり、正確でリアルな情報に触れるという、ピアな関係性の中で心身ともに支え合ってきました。
 しかし現在は、若い世代との繋がりが希薄になっています。その若い世代は、SNS等で大量の情報を得られますが、人とのつながりが薄く、我が子に合った正確な情報を得ることは難しいです。
 特に幼少期は障がい受容がうまくできない非常につらい時で、ピアの寄り添い支援で救われる場合が多いのですが、共助のつながりがないと「孤育て」になりやすいです。
 さらには、昨今注目をされているヤングケアラーに、知的障がいのある人の「きょうだい児」が多分に該当することや、前述した養護者虐待に対する家族への教育の必要性などから、知的障がいのある人の家族支援は多岐にわたり必要と考えています。

  1. 「ペアレントメンター事業」は、子どもの障がいが知的障がいのみの家族には届いていません。他府県においては、発達障がいだけでなく知的障がいの家族に対しても事業が展開されています。大阪府でも、知的障がいの家族に対応するようにしてください。
  2. 障がいのある人の家族の支えは、児童期、成人期いずれも、ピアサポートが有効です。『知的障がい者相談員』は、知的障がい者の家族が相談員として委嘱されていて、当会の会員も多数委嘱を受けています。
    しかし、この事業の活動状況については公表されていません。知的障がい者相談員の活動現況と、事業の評価についてお聞かせください。
  3. 滋賀県では『知的障がい者なんでも相談事業(なんでもダイヤル)』を県独自事業として、滋賀県育成会に委託されています。これは「身近な市町村への相談窓口には相談しづらい」と困りごとを抱え込んでしまう家族らに向けて、県域で相談に応じるものです。
  4. 大阪府においても同様の事業を実施してください。

[6]卒業後を見据えた支援について
 放課後等デイサービス(以下、放デイ)が広まり、就労している母親が増えました。当会には今、学齢期の保護者から「卒業したら預けるところがなくなり、働けなくなる」という不安の声が多く届いています。
 令和6年度の報酬改定を見ると、生活介護の延長支援などでの対応が考えられますが、実際はサービス提供が長時間になるほど報酬が抑制されるため実施事業所が少ないです。また、保護者として長時間同じ事業所に閉じ込めることを選びたくはなく、本来なら日中一時支援を利用したいところですが、事業所が少ないなどで、利用ができません。

  1. 成人後に保護者が働けないのは、本人に一人で過ごす力がついていないという理由もあります。放デイは、本人の自立を高めるため、一人で「自宅で過ごす」「地域に交わる」という支援を強化するようにしてください。
  2. 学齢期の間に、放デイだけではなく、居宅介護や移動支援を利用すれば、自宅や地域での生活スキルをアップさせることができます。そのような卒業後に向けたサービス利用ができるよう市町村に周知してください。
  3. 上記のためには、現在のヘルパー不足が課題となります。特に最近は学生のヘルパーが少ないです。ヘルパー不足を解消するような仕組みの構築をしてください。

【相談支援】

[7]地域の相談支援体制について
 『基幹相談支援センター』は地域における「相談支援の拠点」であり「地域の相談支援事業への専門的指導や助言を行うところ」となっています。
 私たちが契約利用する『指定計画相談』は、事業所や相談支援専門員によって質の違いが大きいことに困っていますので、基幹相談の専門的指導等を大いに期待したいところです。
 また、契約なしでも利用できる『委託相談』は、市町村により違いがあって、私たち利用者にその存在すら伝わっていないところもあります。
 相談する私たちが安心して利用できる『地域の相談支援体制』を構築していただくことを強く望みます。

  1. 『指定相談支援事業』は、知的障がいのある人の生活支援に不可欠です。それにも関わらず、府下各地で事業所不足、相談員不足、支援の質の低さやばらつきという実態があります。
    支援の質・量ともに向上させることについて、市町村や事業者まかせではなく、大阪府ではどのように課題解決の方策を考えておられるかお聞かせください。
  2. 『委託相談』について昨年の懇談会では、府として毎年事業所へのヒアリングを行い「うまく機能していない」とは聞いていないとのことでした。
    しかし、そもそも「委託相談とは何か」や「どこがしているか」等、利用者である私たちに伝わっていません。
    委託相談の実効性を諮るために実態を把握されようとするならば、利用者である私たちへのヒアリングを行ってください。
  3. 『基幹相談支援センター』について、未設置の市町村が解消されたでしょうか?また、設置後のセンターの評価についても教えてください。
  4. 各市における、基幹、委託、指定といった各相談支援事業の地域における役割分担や、その中における主任相談支援専門員の役割など、大阪府として把握していただいていると思います。
    利用者である私たちに、その内容や市町村の特徴などを詳しくお聞かせください。

[8]障がい者地域自立支援協議会について
 地域自立支援協議会は市町村により運営内容の格差があり、形骸化がしているところもあると聞きます。地域づくりに欠かせない協議会が、すべての市町村で意味のあるものとなることを望みます。

  1. 地域自立支援協議会について、大阪府のホームページで公表されているのは開催数や部会名だけで、協議内容がわかりません。大阪府として各協議会の議事録を集約・公表するなどを行って、私たち当事者や家族とともに、各市町村へ適正運営への意識喚起を行ってください。
  2. 大阪府自立支援協議会では、府域の課題を掘り起こし、地域づくりの計画等につなげていただいていることと思います。
    私たちが思う、現在の府域における最重要課題は「強度行動障がいを有する人の支援」「児童発達支援センターをはじめとする中核機能強化における児童期の支援」です。
    これら2つには高い専門性や複雑な連携が必要であるため、市町村だけの検討や実施では困難と思われ、次なる市町村格差につながる危険があります。どうぞ、大阪府自立支援協議会内に上記2つの部会を立ち上げ、地域における支援体制構築の足がかりとしてください

【所得保障および物価高騰対策】

[9]知的障がいのある人の生活水準の向上
 今私たちは、終わりの見えない物価高にさらされています。しかし、知的障がいのある人たちの収入は増えず、そもそも水準の低い生活を、より切り詰めなければならない状況です。「余暇にかけるお金を節約せざるを得ない」「グループホームの経費が上がった」「障害基礎年金だけでは暮らしていけない」との悲痛な声も聞かれています。
 また本年4月末、障害基礎年金の不裁定や等級の下方修正が顕著になっていると先日報道されました。担当する人の考え方で判定基準や裁定が左右されることはあってはならないことだと私たちは思っています。

  1. 大阪府においては物価高騰への対策を行っていただき感謝いたします。
    当事者の生活は厳しさが増すばかりですので、当事者に直接届く支給や、中軽度の知的障がいのある人の医療費助成など、一時的および恒久的な対策をさらに講じてください。
  2. 以下について国へ強力に働きかけてください
    • 総括所見における勧告に基づき、障害基礎年金の額について、早急に全国手をつなぐ育成会連合会を含む障がい当事者団体と協議の場を設けてください。
    • 障害基礎年金の判定基準を「知的障がい」という生来の障がいであることを明確にするとともに、軽度知的障がい者も対象になりうるよう見直してください。さらに、知的障がいの状態が変動することは考えられないため、一定の再認定を経た後は永久認定となるようにしてください。
    • 障害基礎年金の給付額は、生活保護制度に定める最低所得水準に極力近づけていただき、真に国による所得保障として位置づけてください。
    • 軽度の人にも年金は必要です。3級年金を創設してください。
    • グループホームの家賃補助は家賃実勢に応じた傾斜配分にしてください。また、家賃補助の支給対象者は課税非課税の別ではなく、せめて障害基礎年金の支給基準なみの所得設定としてください。

【生活支援】

[10]地域生活支援拠点等の整備について
 地域生活支援拠点等(以下、拠点等)は、大阪府として促進に取組んでいただき整備が広がっていますが、私たちの実感としては「5つの機能が満たされていない」「ひとまず整備した」という印象が強いです。
 日を追うごとに知的障がいの親も本人も高齢化は進み、拠点等の必要性はどんどん高まっています。また、知的障がいのある人の大半が家族同居であるという実態から、地域移行は「入所支援施設から」だけに限らず、「家族同居から」のグループホームや一人暮らしへの移行という視点が必要と考えています。それには拠点等の存在が大きな支えになります。
 すべての地域で、拠点等が私たちにわかる形で成果が積みあがることを願っています。

  1. 大阪府下の拠点等の整備状況について、未整備は解消されましたか?
  2. 昨年の回答で「府のホームページに、各市の運用状況の検討・検証の実施状況等を公表している」とあり、確認いたしましたが、整備済の市町村の多くが未公表、公表されているものも内容に満足できなかったです。
    この課題に対峙するべく例えば、大阪府として客観的な評価指標を設けその評価を私たちに公表していただくなど対策をしてください。
  3. 大阪府で最も早い整備は平成28年度、まもなく10年になります。この間の府下における拠点等機能の実績を知りたいです。特に緊急時対応の件数、体験の機会の件数は直近一年でどの程度ありましたか?
  4. 面的整備においての緊急対応は、居宅介護サービスの緊急対応加算や通所事業所の緊急時受入れ加算などを活用し、多くのコストを要せず課題を解決する好事例が、全国的に増えつつあります。
    昨年度のご回答で「令和3年度より市町村の意見交換会を実施し、各機能の好事例などの情報共有を行っている」とありましたが、全国的な好事例を市町村に情報提供いただけましたか?また、その情報が活かされた市町村はありますか? 
    当会が把握している全国の事例を記載します。
    • 通所事業所職員やヘルパーが居宅を訪問し緊急時の支援を繋ぐ(大阪市、広島県廿日市市、東京都杉並区、府中市)
    • 通所サービスで臨時的にナイトケアをする(大阪市、世田谷区)
    • 送迎部分に特化した支援(神奈川県厚木市)

[11]強度行動障がい状態にある人への支援について
 強度行動障がいの状態にある人について、大阪府では平成26年度の調査や平成30年度からのモデル事業などを始め、常に先んじた取組みを進めていただき感謝しています。国においても、中核的、広域的支援人材の養成が開始され、期待を強く寄せている昨今です。
 とはいえ今も、日中や居住を問わず、サービス利用を断られることが多分にあり、頼りにしたい支援者・サービスに見放され、介護を抱え込むしかない家族の疲弊と孤独感は、深刻なものです。大阪府の虐待も被虐待者は行動障がいのある人が最も多いです。
 家族だけで抱え込み疲弊している現状の中、ようやく見えた淡い希望の光が広がることを期待しています。

  1. 国が示された「中核的支援人材」「広域的支援人材」の育成については、国の指定研修のスケジュールに拠るだけではなく、府独自で少しでも早く養成を実現し、地域へ広げてください。
  2. 「集中的支援」について、昨年の回答では砂川厚生福祉センター等と選定基準を整理中とのことでしたが、その後の進捗と今後の見通しをお聞かせください。
  3. 強度行動障がいは、環境要因による二次障がいであり、こども期からの支援がその予防や軽減に大きく影響します。しかし現在の状況を見ると、国の方針や大阪府・市町村の動きは、成人に偏っています。障がいをこじらせることのないよう、子ども期を後回しにせず、こども期からの本人への支援、そして家庭への支援を充実させる施策を検討してください。
  4. 3については教育との連携が不可欠です。昨年の回答にある支援学校へのコンサルテーションの実施の効果と、強度行動障がい支援者養成研修への参加教員へのフォローについてその内容をお聞かせください。また、教育分野にも広域的、中核的支援人材の仕組みが必要と考えますが、福祉と教育の連携という視点で大阪府の見解をお聞かせください。
  5. 以下について国へ強力に働きかけてください
    • 地域生活支援拠点等を核とした、確実な強度行動障がいの支援体制を構築してください。
    • 強度行動がい状態にある人は、マンツーマン対応が不可欠であることから、児童発達支援、放デイ、短期入所、生活介護に「強度行動障がい型」の事業所類型を新設し、少人数定員でも運営可能としてください。

[12]共同生活援助事業(グループホーム)を含めた住まいの場について
 書類が整えば事業者指定をせざるを得ない現状で、グループホームの多様な事業体の参入は、デメリットな部分が露見しているように思えます。入居者募集の広告はいたるところで目に止まる、安易に障がいの重い人を受け入れる、簡単に事業を廃止するなどが散見されます。グループホームが増えることは歓迎しますが、営利に走り支援の専門性や福祉の理念が無い事業者が、実際にあるということを私たちは非常に憂いています。
 また、先の報酬改定では障害支援区分3から4の人の報酬が厳しくなりました。人材確保に窮している上に報酬が削られ、現入居者の支援の低下を私たちは危惧しています。
 さらに、今年度から義務付けられている「地域連携推進会議」は、サービスの質の向上につながるなどの期待をしていますが、利用者の利益とは程遠い「形だけの」運用とならないかを心配しています。
 加えて、入所支援施設やグループホームにおいては、単身生活を含めた地域移行について、入居者の意思確認を行うことの必要性が示されました。それらについては真に意思決定支援がなされ、個別的で意味のある支援になることを期待しています。

  1. グループホームの現場で実際に障がい当事者と接するスタッフ(世話人)には、専門性を有していない、あるいはこれまで支援経験の無い人が多くいて、人権学習を含む研修等によるスキルアップが必須です。
    大阪府の年に1回の世話人研修会だけでは不足ですので、動画配信などを活用した何時でも受講できる研修コンテンツを作成し、事業所に提供してください。とりわけ、虐待防止研修で取り入れていただいている「親の思い」など、当事者性のある内容を求めます。
  2. 「地域連携推進会議」の国や大阪府が期待するところを、府下の事業者へ丁寧に説明してください。また大阪府として今後、この取り組みをどのように評価されるのかを教えてください。
  3. グループホームにおいて令和6年度から運用が始まった「移行支援住居」について、府下の実施状況を教えて下さい。
  4. 福祉理念を持たない事業所が散見されます。福祉理念や専門性、支援力をはかる一定の基準が必要です。総量規制も国で検討される中、大阪府としての見解をお聞かせください。
  5. 以下について国へ強力に働きかけてください
    • 日中支援加算の土日祝日算定を可能としてください。
    • 令和6年度報酬改定において入所施設には認められた「職員による通院同行支援への報酬評価」をグループホームにも適用してください。

[13]居宅支援サービスについて
 知的障がいのある人の生活に欠かせない移動支援事業は、事業所不足、ヘルパー不足で、当会会員からも「希望時間が叶えられない、行きたいところへ行けない」という切実な声が聞こえてきています。
 一方、国では重度障がいのある人の地域生活や、グループホームからの単身生活を推し進めようとしていますが、居宅介護や行動援護、重度訪問介護が人的、質的にも乏しく、地域生活への安心感は担保されていません。
 大阪府においては1,000人を超える入所支援施設の待機者があります。私たち家族は入所施設を求めているわけではありません。当然本人たちも地域であたりまえの生活を望んでいます。それには、居宅介護・移動支援の充実は必須であると考えています。

  1. いわゆる「非定型支給」について、大阪府はその実態を概観として把握するだけではなく、実態を集約し、詳細把握された上で、判断の揺れを課題として捉えていただき、市町村へ課題解決をはかるよう伝えてください。
    また、大阪府から伝えるだけではなく、必要な市町村には私たちからもお願いしますので、私たち利用者へその課題を教えてください。
    <私たちが把握している課題>
    • 65歳問題。知的障がい者の場合、要介護認定が低く出る、障がい特性上のニーズがある等で、介護保険と併せ障がい福祉サービスを柔軟に受けられるような対応が必要だが、その対応に市町村の違いがある。
    • 通院等介助。病気について医師からの説明や指示がよく理解できない知的障がいのある人の通院等介助は、身体介護付き等の支給決定が必要。この決定に、市町村の違いがある。
    • グループホームの利用者の居宅介護問題。高齢化、重度化が進む中、身体介護等の支給決定は柔軟な対応が必要。また通院等介助は原則慢性疾患に限られているが、疾病の制限を設けていない市もある。受けられる内容や支給量等に、市町村の違いがある。
  2. 移動支援事業について、大阪府には、市町村の取組み状況を集約し情報提供をいただいていますので、最新の調査の結果を教えてください。
  3. 移動支援事業は市町村による財源状況により運用が左右され、事業者への報酬がしっかりと確保されないという課題があります。府の調査で各市町村の財源状況等を集約していただきましたが、そこからわかる課題を教えてください。
  4. 居宅介護、重度訪問介護、行動援護、移動支援、すべてのヘルパーが不足しています。その原因について大阪府としての分析と、それへの対策についてお聞かせください。
  5. 障がいのある人が地域においてあたりまえに生活ができる「地域づくり」を行うためには、「居宅介護・重度訪問介護・行動援護・移動支援」が絶対に必要です。
    現在策定に向けて検討されている大阪府第6次障がい者計画は、居宅支援サービスが充実するような内容の計画にしてください。
  6. 以下について国へ強力に働きかけてください
    • 移動支援、日中一時支援といった地域生活支援事業を障がい福祉サービス事業に位置づけ個別給付にしてください。
    • 地域生活支援事業は支援実態に大きな地域差が生じており、総括所見でも勧告をされているところです。大阪府下という地域の中でも地域格差があり、またサービスの提供の質も量もどんどん低下しています。私たちの生活レベルが自立支援法以前に戻らないよう、個別給付と地域生活支援事業の関係性の抜本的な整理をしてください。

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