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障害者・家族・関係者の要求大集会実行委員会 要望書(2)
(1)(2) ※2ページに分割して掲載しています。
要望書
31.次期報酬改定で就労継続支援B型への「時間刻み報酬」導入に断固反対します。「北摂聴覚障害者センターほくほく」や「泉州聴覚障害者センターなんなん」「京阪聴覚障害者センターけいけい」は就労継続支援B型でありながら制度の狭間に取り残されたろう高齢者に対し、介護保険の代替的なサービスを提供しています。時間刻みを導入すると、障害特性に応じた支援を提供している事業所は軒並み潰れてしまいます。
32.短期入所事業を整備・拡充してください。
(1)医療的ケアが必要な人への短期入所が決定的に不足しています。府として設置が促進されるような施策を講じてください。
(2)緊急時はもとより将来の親子の自立(自律)に向けて、児童が利用できる短期入所施設を増やしてください。また、レスパイト対応や外泊の体験ができるよう障害者の短期入所の整備を進めてください。
(3)重度の知的障害や強度行動障害のある人が安心して利用できる施設・設備・環境の整った短期入所施設が開設できるよう、大阪府として助成制度を創設してください。
(4)学びの場の学生は、自らの自立(自律)にむけた生活や親子関係が築けるようにショートステイの利用について積極的に学んでいます。「じりつしたい!」とねがう学生と家族が身近に利用できるショートステイ事業所を増やしてください。
33.グループホーム制度を拡充してください。
(1)昨年の2024年報酬改定ではグループホームの基本報酬は区分5以下が大きく下げられました。このままでは重度高齢化に対応した支援の見通しが立てられません。日割り報酬ではなく、月額報酬にするとともに、全区分の基本報酬を大幅に引き上げるよう国に求めてください。グループホームは週末の帰省や病気等で利用者がいない時でも職員の配置は必ず必要です。グループホームは、殆どが小規模で運営への影響も大きいので、早急に改善を図ってください。
(2)2024年報酬改定において、行動関連項目18点以上の強度行動障害者の重度障害者支援加算の必須条件である中核的人材職員研修を大阪府でも早急に開催してください。
(3)高齢化・重度化に伴い、平日・休日問わずホームでの日中支援が必要です。その上、複数職員での対応が必要なホームも増えています。「日中支援加算」については、平日に通所事業所を休んで支援した日だけしか加算がつきません。祝日・休日等、グループホームで行った全ての日中支援について加算が適用されるよう国に働きかけるとともに、大阪府として独自に補助を行ってください。
(4)グループホームの夜間に、複数職員が配置できるよう国に働きかけてください。また夜間1対1の支援が必要な人への夜間支援加算をもうけるよう国に働きかけてください。
(5)「日中サービス支援型グループホーム」について、重度の利用者を支援するには夜間支援の報酬が少ないことなどその改善を国に働きかけてください。また、「日中サービス支援型グループホーム」だけでなく、「介護サービス包括型」においても、高齢化・重症化に対応できるよう報酬制度の充実・見直しを国に働きかけてください。
(6)グループホームで暮らす障害者の通院・入院への支援が行えるようにしてください。グループホーム入居者の通院等介助の制度は月2回が限度ですが、高齢になって複数の病院に通院が必要な人も増えていることを踏まえ通院回数と時間を増やしてください。また、通院介助は、慢性疾患の定期通院のみになっているので、緊急の通院には利用出来ない制度となっています。ホームの職員が通院支援する場合にも使える加算を作り、緊急時の対応ができるよう国に働きかけるとともに、大阪府として独自に補助を行ってください。
(7)グループホーム内での個別でのヘルパー利用については、利用者への専門的な支援とともに、複数の支援を入れることで、支援の客観性が保たれる利点があります。また、利用者の個別の課題にも対応できる支援です。現在の特例の経過措置ではなく、必要な人にはサービス提供を継続できるように制度を恒久化してください。
(8)大阪府としてグループホーム職員確保のための特別な対策を講じてください。
(9)グループホーム開設のための土地購入・建設補助、大幅改修費への大阪府独自の補助を行ってください。また、開設にあたって、地域への説明や合意形成を事業者にゆだねるだけでなく、もよりの市町村も積極的に地域への理解を広げるよう指導してください。
(10)大阪府は全国的にも家賃が高く、国のグループホームの家賃補助制度1万円では利用者の負担軽減につながりません。国に家賃補助の増額を要望すると共に、大阪府でも独自の家賃補助を検討してください。
(11)今年度も大阪府の「重度化対応の為の施設整備・修繕に補助(最大180万円)」が行われています。今年度の補助要件では重度者の新規入居が前提となっていますが、現在入居中の障害者の重度化・重複化も補助対象とし、来年度以降も引き続き補助制度を継続・拡充してください。また、スプリンクラーや介護浴槽等も補助対象として認めてください。
(12)国が提案している、本人が希望する一人暮らし等に向けた支援については、「通過型グループホーム」の新設ありきではなく、現行のグループホームでの一人暮らし等に向けた支援の機能強化や現行制度の拡充を検討するよう国に働きかけてください。
(13)今年度から義務化された「地域連携推進会議」について、地域の団体や関係者の参加実現の為に、「自治会」「民生委員・児童委員協議会」「福祉委員会」等への協力要請を各市町村に行うよう働きかけてください。
34.入所施設を必要数整備し、入所待機者を早急に解消してください。
(1)児童施設の超過齢者も含めた大阪府内の施設入所待機者の状況を明らかにするため、「令和6年度施設入所の待機者に関する実態調査」に相当する調査を毎年継続して実施してください。児童施設の超過齢者も含めた施設入所待機者の暮らしの実態を把握して、待機者の解消に見合った入所施設を整備するとともに、次期障害福祉計画で待機者解消に向けた入所施設の計画的な整備方針を示してください。
(2)年々深刻さを加える家族介護から、家族が暮らす身近な地域での社会的介護による暮らしに移行できるよう、入所施設を含めた社会資源を計画的に整備してください。自宅やグループホームでの暮らしが難しい重度の知的障害や強度行動障害のある人に対応できる入所施設を整備・建設してください。
(3)医療的ケアの利用者を受けとめることのできる障害者のくらしの場の整備を府の責任で行ってください。また、看護師配置が可能となる補助制度を創設してください。
(4)基本報酬の引き上げを国に求めてください。また、夜間の体制が厚くできるよう、加齢や重度化の支援実態に合わせて補助を行ってください。
(5)入所施設で暮らす障害者が通院・入院した際に必要な支援が行えるよう、職員配置基準の改善を国に働きかけるとともに、大阪府としても独自の加配制度を設けてください。
(6)施設入所支援を提供する施設の生活介護の支給決定量について、実態に合わせて31日の支給決定を行うよう国と市町村に働きかけてください。
(ア)知的障害のある方が平日に受けている食事や排せつ・入浴等の直接介助や、てんかん発作・ふらつきで転倒しないか、食べ物をのどに詰めないか、薬を飲めているか等の見守り支援は、土日祝日になくなるわけではありません。職員の直接介助や、危険を未然に防ぐための常時・または継続的な見守り支援があってこそ、知的障害のある人は安心した暮らしができています。人によって必要の程度は異なりますが、実態に合わせて31日の支給決定を行うよう市町村、国に働きかけてください。
(イ)現状の施設入所支援の配置基準・加算だけでは、入所しているろう重複障害者への支援体制を充分に確保できません。入所者の充実した生活を保障する為、生活介護を開所していない日中にも、ろう重複障害者への情報保障、生活支援や相談、余暇活動や行事等の取り組みを行っています。施設入所支援の報酬を生活介護並みの配置ができる報酬に引き上げてください。または、昨年度の大阪府交渉の回答の中での例外として「市町村が必要と判断した場合には、「原則の日数」を超えて利用することができるものとする。」ということですが、例外扱いではなく、施設入所支援を提供する施設の生活介護の支給決定量について、基本的に31日の支給決定を行うよう市町村と国に働きかけてかけてください。
(7)「地域における障がい者等の支援体制の再構築に向けた提言」(令和5年3月、府自立支援協議会)に基づき、重度化・高齢化に対応した設備改善への補助を実施してください。
35.入所施設からの地域移行を進める際は本人の意思を尊重し、希望しない場合は大阪府内の自治体や相談支援事業所、入所施設が地域移行を押し付けることのないように指導・助言してください。本人が希望する場合でも、家族のサポート・支援ありきではなく、公のサポート・社会資源により地域での生活ができるよう、十分な整備を行ってください。また、国に対してすべての入所者を対象とした地域移行支援の義務化や地域移行支援の報酬を見直すように求めてください。
36.相談支援事業の拡充を図ってください。
(1)大阪府として相談支援専門員の業務実態を把握して、過重労働の解決にむけた対策を国に求めるとともに、大阪府としても必要な措置を緊急に講じてください。
(2)「主任相談支援専門員配置加算」について、「加算を取るぐらいならもう1ケース取る方がよい」という声が事業所から上がっています。市町村によって加算の判断基準が異なり対応に困るという実態も聞かれています。相談支援事業所の加算取得の実態を把握し市町村格差が生じないよう大阪府として対策を講じてください。
(3)相談支援に求められている業務内容・業務量に見合ったフォローアップの体制が取れないなど、人材育成に係るシステムの拡充は喫緊の課題です。何回も同じ更新研修をするのではなく、経験年数やキャリアに応じた研修システムを確立してください。
(4)国からの加算等の具体的な条件明示が遅く、市町村の受給者証発行に間違いが生じたため、再発行を余儀なくされる事態が多数生じました。相談員等の現場の声を踏まえて制度の円滑な運用が図られるよう対策を講じてください。
(5)「特定相談支援」の下では、相談支援機関がニーズアセスメントをする前に、障害支援区分が確定しており、各行政の支給決定ガイドラインにより本人の利用できる福祉の種別と量(時間)が決まります。そのため、多くの相談支援機関は、その支給決定の範囲で利用できる支援の紹介にとどまっています。本人主体のアセスメントに基づき、日常生活を送るための支援が決定できるシステムに改めるよう、国をはじめとする関係先に働きかけてください。
(6)行動障害等が激しい障害のある子どもを持つ家庭は深刻な状況で、特に母子関係は切羽詰まっています。虐待に至るケースもあります。子どもを安全に保護する入所施設が不足しており、保護先が見つからず、グループホーム利用を求められることもありますが、本来は障害児施設への入所が必要です。障害のある子どもが安全に過ごすことができる施設を整備・確保してください。
(7)消費税対象事業となっている「基幹相談支援事業」「委託相談事業」は、第二種社会福祉事業に戻すよう国に早急に働きかけてください。
(8)重複聴覚障害者や高齢聴覚障害者の計画相談を行っている「相談支援センターなんなん」について、「生活介護事業」や「就労継続支援B型事業」と同様、「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算」を創設するよう国に働かかけてください。
(9)市(区)町村が指定する特定相談支援事業所においてろうあ者の相談支援専門員を配置するよう働きかけてください。
(10)ヘルパー等の制度利用をする本人(当事者)と親や家族や事業所との意見が食い違う場合は、本人(当事者)の意思や思いに寄り添い、本人の意思が尊重されて、本人の意思決定ができて、関係性を創り維持等のきめ細かな支援のできる相談支援専門員の要請と相談体制の強化をしてください。
37.補装具・日常生活用具を拡充してください。
(1)補装具・日常生活用具のJIS規格、制限列挙方式、定額基準をなくし、機能補完、身体ケア、自立・社会参加の保障を踏まえて、個々のニーズ・要望に応えるものにして、耐用年数で一律に決定するのではなく個別因子や環境因子等の社会モデルを考慮した支給ができるようにしてください。また、住宅環境、職場環境の改善とも一体的・総合的に行えるようにしてください。
(2)生活の必要に応じた支給をしてください。「職業又は教育上等特に必要と認めた場合」に限定せず、必要に応じて複数の支給を可能としてください。複数支給の理由として「屋内用と屋外用の区別」が制度的に認められるようにしてください。また、障害の等級に捉われず生活実態に応じた支給決定を行ってください。
(3)補装具、日常生活用具の選択・作成・改造・修理・点検・リサイクル・相談・指導・教習・研究をトータルに行える「補装具センター」を圏域ごとに1カ所以上設置してください。その際、当該地域に責任を持ち、他センター、中央・地域の研究機関、医療機関、メーカー等と連携して障害者個々のニーズ,要望に応えられる体制を確保してください。
(4)重度の視覚障害者が加齢により難聴を併発した場合、軽度であっても生活に大きな支障をきたします。重度視覚障害者が難聴となった際には、大阪府として補聴器の購入費用を助成してください。
(5)「読書バリアフリー法」、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策に関する法律」の趣旨を尊重し、日常生活用具の視覚障害者用ポータブルレコーダーの障害等級の制限を撤廃して、希望するすべての視覚障害者が受給できるよう各市町村に働きかけてください。
(6)養護老人ホームに入所している重度障害者にも、必要に応じて「情報・意思疎通支援用具」の給付を認めるよう各市町村に働きかけてください。
(7)点字ディスプレイが盲ろう、および視覚単一の重度障害者にも、日常生活用具として給付するよう各市町村に働きかけてださい。
(8)「大阪府読書バリアフリー計画」および「障害者情報 アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の趣旨を踏まえ、府内各市町村において、点字図書価格差保障制度を見直し、障害の程度および読書形態を配慮して拡大図書や録音図書にも対象を広げ給付するよう各市町村に働きかけてください。とりわけ、今年創刊102年を迎えた日本で唯一の週刊点字新聞「点字毎日」(点字版)に加え、大阪市が実施している「電子版」(点字データ版)や(点字版)、読者が加齢により手指の感覚低下にともない触読が困難となった場合でも、継続して購読できるよう、「点字毎日」(音声版)を給付するよう働きかけてください。
(9)日常生活用具の給付について、特に聴覚障害者用屋内信号装置については「聴覚障害2級以上の者であって、聴覚障害者のみの世帯及びこれに準ずる世帯に属する者」と、聴覚障害2級以上を条件とする市町村が多いが、「聴覚に障害のある者」に変更するよう府内市町村に働きかけてください。
(10)入院時に看護師の配置等の状況により障害のある患者がトイレに行けない事態に対応するため、紙オムツの支給制度が柔軟に適用されるよう市町村に働きかけてください。
38.移動支援事業を自立支援給付事業とするよう国に働きかけてください。
(1)隣接する市町村の報酬格差により生じる、ヘルパー不足や利用の偏りをなくしてください。
(2)全国どこでも同じ条件で利用できるようにしてください。
(3)宿泊を伴う外出にも利用できる等、利用範囲を拡大してください。
(4)居住自治体以外で入院中の外泊や外出での利用ができるようにしてください。
(5)施設・事業所等への通所に際して、すべての自治体で移動支援事業が利用できるようにしてください。
39地域活動支援センターの制度を拡充してください。
(1)府内各市町村における地域活動支援センターの設置状況を調査し、運営に格差が生じないよう、運営に関する独自の上乗せ補助、通所費用への支援や家賃補助など、大阪府として必要な施策を講じてください。
(2)学校を卒業した後の障害のある人たちが、平日の夕方や休日に自主的な文化・スポーツ・芸術活動 などを身近な場所で気軽に利用できる、「余暇活動支援センター(仮称)」の設置や、余暇活動への補助制度を創設してください。余暇活動を支援する制度の創設を国にはたらきかけるとともに、卒後の学びの場や障害者作業所、会社からの帰り等における、障害者を対象とした自主的な余暇活動・居場所づくりに、「地域活動支援センター」事業が活用できることを府内自治体に周知徹底してください。
40.地域で安心して暮らせるよう地域生活を支えるための「地域生活支援拠点機能」の整備方針を府の責任で策定してください。緊急時の対応には多様な困難に対応できる複数の支援者が必要不可欠です。そのために一定規模の入所型施設が地域生活支援拠点の中核的役割を果たすことができるよう、必要な支援・補助を行ってください。
41.盲ろう者や聴覚障害者の福祉事業所利用について、大阪市は月5000円を限度(原則・定期券)として通所日の報告を条件に交通費を一部負担しています。大阪府でも同様の制度を創設してください。
42.入院時コミュニケーション支援事業を改善・拡充してください。
(1)対象者や支援者の拡大を行ってください。医療機関の理解も得られるよう制度の周知・徹底を図ってください。
(2)入院時にヘルパー派遣が認められない場合、やむを得ず自己負担による支援を受けざるを得ません。入院時に洗濯や買い物等の支援を得るための費用助成制度を創設してください。
43.ユニットリーダー研修での手話通訳を大阪府の責任で配置してください。大阪府のホームページでも募集の案内が掲載されています。大阪府に問い合わせたところ実施団体との交渉と言われましたが、結果として受講者が手話通訳者を手配するようにとのことでした。
44.手話通訳者の配置・手話の普及を進めてください。
(1)大阪府内の市(区)町村に対し、市(区)役所、町村役場に正規雇用の手話通訳者を配置するよう働きかけてください。
(2)府内の公共施設に手話通訳者を設置してください。
(3)府内のすべての事業者に手話通釈者の役割や意義を周知徹底するよう働きかけてください。
45.手話通訳派遣事業者の質を評価するためのシステムづくりをすすめてください。
46.大阪・関西万博において、きこえない・きこえにくい人への情報提供を十分に行えたか当事者を交えて十分に検証を行い、結果を報告してください。
47.デフスポーツの普及発展を図ってください。
(1) デフアスリートへの支援、競技環境の向上をはかり、もって、デフアスリートやデフアスリートを目指す者の可能性を広げることによりデフスポーツの普及・発展をめざす取り組みを行ってください。
(2) 東京2025デフリンピック終了後にレガシーを構築し、末永く継承するための取り組みを行ってください。
介護保険
48.介護保険における「応益負担原則」を、早急に「応能負担」に改めるよう、国にねばりづよく働きかけてください。障害福祉サービスを利用してきた障害者が65歳になって介護保険に移行したために、これまで経験したことのない負担が課せられることのないよう、大阪府として負担軽減措置を講じてください。
49.介護保険優先原則(障害者総合支援法第7条)の廃止を国に強く働きかけてください。介護保険の対象となった障害者(40歳以上の特定疾患・65歳以上の障害者)が、障害福祉・介護保険のいずれを使うのかについては、本人の希望に沿って選択と自己決定による利用ができるようにしてください。
(1)要介護認定等の申請を行わない障害者に対し、障害福祉サービスの打ち切りを行わないよう、市町村に働きかけるとともに、「要介護認定の申請を行わない障害者に対して障害福祉サービスを打ち切ることは違法」と判示した岡山浅田訴訟の司法判断に沿い各市町村を指導するよう、国に求めてください。
(2)介護保険で不足するサービス量について、障害福祉サービスを上乗せするよう市町村を指導してください。また、市町村によっては、上乗せを認める対象者を「支援区分6・要介護度5以上」等の独自基準(ローカルルール)で制限しているところがあります。こうした基準をなくして希望する人にきちんと上乗せ支給が行われるよう市町村に働きかけてください。
(3)視覚障害者の場合は、全盲の重度障害者であっても、現行の介護認定基準ではほとんどの者が要支援1か2と判定されます。大阪府として介護保険制度が改善されるまでの間、単独でサービス上乗せの助成措置を行うとともに、障害者のQOLを低下させないために必要なサービスが利用できるよう、市町村に働きかけてください。
優生思想の根絶への取り組み
50.旧・優生保護法による強制不妊手術をうけた全ての被害者の権利が救済されるよう、手立てを尽くしてください。
(1)二度と同様の問題を発生させないよう旧優生保護法による強制不妊手術について事務作業を担った大阪府の責任を明らかにすると共に、大阪府知事が被害者への対面による謝罪を行ってください。
(2)大阪府発行の「衛生年報」によると、府内の旧優生保護法による不妊手術を強いられた被害者は1237人以上とされ、この数は全国でも3番目に多いとされています。2024年7月3日の最高裁大法廷判決に沿い、1人でも多くの被害者を救済するため、大阪府として、積極的に被害者の掘り起こし調査を行い、把握した実態を公表してください。
(3)大阪府として、あらゆる障害のある人の尊厳と権利を保障し差別のない共生社会の実現に向け社会に残る優生思想の根絶に取り組んでください。大阪府障害者計画の見直しの際、優生思想を根絶する具体的な取組を盛り込み、幅広い府民に周知してください。
(4)いわゆる一時金支給法が、被害を受けたすべての人に行きわたるよう、現在の進捗状況を明らかにするとともに大阪府として必要な手立てを講じてください。兵庫県明石市で実施されているような独自の被害者支援施策を検討・実施してください。
所得保障・物価高騰対策
51.食費・燃料費など生活関連資材の価格高騰に迅速に対応して、生活扶助費を引き上げるよう国に働きかけてください。
52.障害基礎年金は物価高騰に追いつかず、実質の引き下げとなっています。そのような中、例えば外出支援時の交通費などは、障害者が支援者分も合わせた費用を負担しなければならないなど相当な負担増となる状況となっています。大阪府として障害者のくらしの実態を調査して、国にその対策を求めるとともに、大阪府として障害者への支援策を講じてください。
53.障害福祉サービス事業所・施設等の安定運営のため、物価高騰対応策を大阪府として実施してください。近年の物価高騰下における福祉事業所の食事提供に係る自己負担の実態を調査し、利用者に転嫁しないでも従来水準の食事が提供できるように、食事提供に関する報酬を緊急に見直すよう、国に求めてください。また、福祉事業所の物価高騰支援策の実施について、大阪府として検討・実施してください。
54.物価高騰が、一般就労が困難な障害者の暮らしに及ぼす影響について大阪府として調査するとともに、臨時給付金の支給などの救済措置を講じてください。
その他福祉制度
55.療育手帳の新規発行・更新発行について、手続き・申請後の事務作業等を迅速に行い、早急に発行してください。
56.大阪府内市町村における障害者手帳のカード化に向けた検討状況を明らかにしてください。また、実施に当たってはマイナンバーカードとの一体化を行うことなく、氏名の点字表示や切り込みを入れるなど視覚障害者に配慮するとともに、希望により従来の紙製の手帳も選択できるようにしてください。
57.大阪府各部局および各市町村から視覚障害者家庭に送られてくる文書については、封筒表面に内容物の表題と担当部署名および連絡先電話番号(固定電話番号)を必ず点字と拡大文字で記入するとともに、夫婦いずれもが視覚障害者の場合は、受取人の氏名も点字と拡大文字で記載するよう、合理的配慮の立場から各部局および各市町村に指導・周知してください。
58.障害者優先調達推進法における2024年度大阪府の実績と、今年度の計画を明らかにしてください。また府内各自治体で、取扱いの差が生じないよう必要な措置を講じてください。
59. 盲導犬について、横浜市などで行われている費用補助制度が、大阪府でも行きわたるよう大阪府として費用の一部を助成する仕組みを創設してください。
まちづくり
60.障害者が安心して移動できるよう公共交通機関の整備をおこなっください。
(1)大阪府として駅員の削減を進めている鉄道会社に対して駅員の削減を行うことによって合理的配慮の提供が損なわれることのないよう働きかけてください。
(2)大阪府内の複数駅において、駅員の無人時間帯が設定され、無人化が進められています。時間帯によっては他駅からの駅員の到着のために長時間待たねばならず、急を要する移動などに支障をきたしています。このような事態をなくすための手立てを講じるよう、事業者に働きかけてください。
(3)大阪メトロについては駅のホームがバリアフリー化し、スロープが無くても車両に乗り降りできるようになった反面、そのことによって駅員や車掌が削減され安全面で不安なところがあります。車いすの転倒事故等に駅員が対応できるよう、大阪府として事業者に働きかけてください。
(4)駅のバリアフリーのルートは、エレベーターの位置が分かりにくく、どのルートをたどればいいか迷路のような駅があります。すべての駅で改札からホームまで、あるいは乗り換え場所まで迷わないよう、駅員が誘導できるなどの体制を確保するよう事業者に働きかけてください。
(5)駅舎利用時、・視覚障害は常に駅員呼び出しボタンの位置が分かりにくい、・音声案内がおこなわれる頻度が少ない、・障害者割引切符の確認のため有人窓口まで行かなければならない、・出札時のエラーでアラームがなった際への対応が困難、などの不自由を抱えています。これらの不自由の解消のために必要な手立てを講じるよう事業者に働きかけてください。
(6)バリアフリー推進連絡会議等の場などを通して、年に1回、一斉に完全無人化・時間帯無人化・改札無人化のある駅はどこなのか等についての情報を公表してください。また、無人化による具体的な困りごとを大阪府として把握し、問題の解決を事業者に働きかけてください。
(7)タッチパネルによる装置に対応できない人のために、駅の券売機をタッチパネル式のみではなく、点字表記を施したボタン式券売機を必ず配置してください。
(8)整備重点地域を協議する体制を創設して、計画的にバリアフリー化を推進してください。当面は、京橋駅周辺地域を整備重点地域に指定して、ターミナル駅にふさわしい整備を行ってください。具体的には、地下鉄京橋からJR・京阪京橋駅までの乗り換え通路を、車いす利用者でも一般利用と同様に雨にぬれることなく行き来できるよう、エレベーターを設置してください。実態を把握するための調査を私たちも含めて実施してください。
(9)普段ほとんど使わない駅に視覚障害者が降りた時、ホーム可動柵があるので安心です。しかし、人がいなければどこに改札口があるのか、乗り換えるのにどちらえ行けばよいのかの確認ができませんん。可動柵に改札口などにつながる連絡ボタンをつけてください。
(10)府内鉄道事業者の改札無人化に伴い、モニター越しにオペレーターと会話する装置が設置されていますが、手話言語や文字による情報保障が不十分なため聴覚障害者は十分に利用することができません。各鉄道会社に十分な配慮を行うよう大阪府として働きかけてください。
61.交通運賃割引の対象者を拡大するよう国及び関係機関に強く働きかけてください。
防災
62.ろう者に対する以下の防災支援施策を拡充してください。
(1)情報支援者の確保
(2)広域避難時におけるろう者に対応した1.5次避難所の開設
(3)府が作成した防災講義動画に関する手話言語による情報保障
(4)市町村への福祉避難所に関する情報提供の働きかけ
(5)市町村に対する避難所への「アイドラゴン4」導入の働きかけ
63. きこえない・きこえにくい人の防災士の拡大方策を講じてください。
(1)大阪府と大阪公立大学が連携し実施する「防災士養成講座」(大阪公立大学または和歌山大学主催)について、ろう者が受講する際は合理的配慮として手話通訳者による情報提供を行ってください。
(2)ろう防災士を増やすため、当該講座の受講者にろう者枠を設けてください。
64.視覚障害者に対する防災支援施策を整備してください。
(1)避難行動要支援者名簿の活用方法、管理方法等、記載事項等について、視覚障害当事者にしっかり情報が伝わるよう市町村に働きかけてください。
(2)個別避難支援計画の拡充と、視覚障害者への避難誘導体制の整備を図るよう市町村に働きかけてください。
(3)障害に配慮した収容避難所の整備と視覚障害者への情報提供とあわせ、補助犬と一緒に避難できる避難所の開設、障害者が安心して使用できるトイレ設備の整備等の環境整備を進めるよう市町村に働きかけてください。
65.避難環境が整わないなどの理由で、やむを得ず在宅で避難することになる障害者に食料等の支援が行き届
くよう市町村に働きかけてください。
医療
66.健康に生きる土台としての重度障害者医療費助成制度を拡充してください。
(1)医療機関の負担上限額を復活させるとともに、月負担上限額を大幅に引き下げてください。
(2)院外調剤の自己負担を撤廃してください。
(3)中軽度の障害者を、制度の対象にしてください。
(4)重度障害者医療費助成制度の果たしてきた役割に鑑み、コスト面からだけでなく重度障害者がこの制度をどのように活用し健康な暮らしに役立てているのか等の実態を調査してください。2018年4月以降の制度改定における障害児者・家族の暮らしへの影響について、大阪府として定期的に調査を行ってください。
67.入院時食事療養費を治療の一環として位置付け、無料とするよう国に働きかけてください。
68.障害者地域医療ネットワーク事業を充実させてください。同時に、この事業を広く障害者・家族に周知・広報してください。
69.脳性麻痺の二次障害の頚椎症性頚髄症等の手術治療ができる医師や専門医療機関を大阪府内に確保するため、保健福祉室や障害福祉室が連携して具体的な手立てを講じてください。また、どの医療機関でどういう対応をして、どういう実績があるのかを調査して、当事者や家族、関係者に情報発信してください。障害者地域医療ネットワーク事業を充実させるとともに、この事業を広く障害者・家族に周知・広報してください。
70.マイナンバーカードの取得は任意なので、健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化することで取得を強制するのではなく、健康保険証も存続して併用できるようにしてください。
71.障害児者のインフルエンザ、コロナウイルス感染症等の、予防接種ワクチン費用の補助を行ってください。
72.障害児者の入院時に医療機関側から個室利用を求める際、個室料が患者負担とならないよう以下の措置を講じてください。
(1)障害の状況により実質的に多床室での対応が困難な場合については、患者本人の「治療上の必要」により個室へ入院させるケースとして扱い、利用者からの料金(「差額ベッド代」)徴収を行わないようにしてください。
(2)上記のようなケースで「治療上の必要」と認める措置が講じられるまでの間、大阪府として個室等での入院が必要な障害者に対する特別室利用料の負担軽減制度を講じてください。
(3)障害児者が入院治療が必要な場合に、家族等による支援と個室利用を求めるケースについては、患者に差額ベッド料を求めてはならないケースに該当することを、医療機関に徹底するように国・厚労省に対して求めてください。
73.障害の特性をふまえた、各種診療が可能な総合病院を整備してください。
74.ろう者(施設入居者を含む)が医療機関を利用(受診・入院)する際、手話でのコミュニケーションが保障されるようにしてください。
(1)地方独立行政法人大阪府立病院機構の5病院(大阪急性期・総合医療センター、大阪はびきの医療センター、大阪精神医療センター、大阪国際がんセンター、大阪母子医療センター)について2006年から手話通訳者が配置されていますが、当該通訳者の退職後、新規雇用がされないなどによって手話通訳者が不在となる事案が生じています。早期の採用を促し、手話通訳者の不在を解消してください。
(2)府内の各医療機関(1.以外の病院)に手話通訳者、手話ができる医療従事者、相談員などが配置されるよう働きかけてください。
(3)各医療機関と市町村が連携して、手話を必要とする障害者の入・通院に際して市町村の登録手話通訳者が活用できるよう、市町村ならびに医療機関に働きかけてください。
労働
75.障害者雇用率の達成状況をふまえ、今後の障害者雇用についての大阪府の計画を明らかにしてください。
76.「聴覚障がい者等ワークライフ(職業生活)支援事業」をより充実させていくために予算を増額してください。また、国として、同様の事業を行うよう、強く働きかけてください。
77.大阪府として、重度障害者等就労支援特別事業について「2022年度以降」の進捗状況を教えてください。また視覚障害者が手続きに不便のないようにしてください。
78.マッサージ業における「無免許者」の取り締まりを、大阪府警生活安全課と連携して厳正に行ってください。
参政権
79.投票所への移動が困難な視覚障害者に対しては、点字による在宅郵便投票を認めてください。
80.公職選挙法における視覚障害者への配慮を求めます。
(1)点字や拡大文字および音声による選挙公報の発行を法的に認めるよう国に要望してください。
(2)投票箱に投票の種類を点字でも表示して、視覚障害者本人が確認できるようにしてください。
(3)視覚障害者が点字による直接請求署名を行う場合、晴眼者による介助がなくても、単独で署名できるよう様式を整備するとともに、視覚障害者が署名の代筆を求めた場合、受任者による代筆も認めるよう、国に要望してください。
81.選挙期間中は、投票所に出向きにくい障害者や高齢者などのために、リフト付きのマイクロバス・タクシーを配置するよう、市町村に働きかけてください。
82.選挙期間中は、投票所に出向きにくい障害者や高齢者などのために、個々の家や施設を回る巡回投票が出来るようにしてください。
83.投票所のバリアフリー化はもちろんのこと、座って投票できるように安定した椅子を置いてください。
84.投票用紙は、鉛筆だけでなく、ボールペンでも記入できるようにしてください、また、スペース的に書きにくい人への配慮をした大きめの投票用紙を作ってください。
85.投票箱は、出来るだけ自分で投票がしたいので、投票口の大きなものも作ってください。
86.代理投票は、本人が読み書きできることを前提とするのではなく、候補者の写真などの文字情報以外の情報をもとに、投票したい人を指さしたり視線を送るなどのサインを用いて投票できるようにするなど、障害の状況や程度に合わせた方法を開発して実施してください。