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社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 要望書(2)
(1)(2)※2ページに分割して掲載しています。
要望書
【就労支援】
[14]就労した後の支援について
平成18年の障害者自立支援法以来障がいのある人の一般就労は進み、いわゆる福祉的就労の質も向上しています。しかし、昨年の大阪府からいただいた回答にもあるように、就労した後の支援といえば、就労定着支援事業は限られた地域で限られた人にしか機能しておらず、また就職後6カ月以降は障害者就業・生活支援センター事業に拠るしかありません。とりわけ生活面の困りごとなどを気軽に相談できる機会が必要と感じています。
- 一般就労した後、福祉との繋がりがなくなる当事者も多く、送り出し事業所が必然的にアフターフォローをしている実態があります。
この課題に対して、就労系事業所が自助努力でOB支援を行っている実態が多分にあります。その活動を評価してください。
[15]就労選択支援事業などについて
本年10月より実施の就労選択支援事業は、これまで実施されてきた就労移行支援事業所などによる「就労アセスメント」を、さらに機能を高め事業化したものであり、今後の展開に注目しているところです。支援学校高等部1年から利用できることから、支援学校との連携が必須となりますが、地域によって事業所の質や量、支援学校との連携の仕方などで格差が出る可能性が高いです。
一方で、雇用率ビジネスに代表されるように、利益目的の福祉サービス事業者が、サービス本来の目的から逸脱していることに私たちは触れ、障がい当事者が営利目的に利用されているのではないかと危惧しています。
- 就労選択支援事業について、利用者である本人・家族に情報が届いていません。ニーズが埋もれてしまわないよう、大阪府では福祉部と教育庁が十分な調整をはかり、利用者や事業者が戸惑うことのないようにしてください。また、この事業への取り組みとして、大阪府が理念研修を行うと聞いていますが、いつどこで、どのような内容で実施するのか教えてください。
- 就労選択支援事業の府下における設置の状況、取組の内容など、地域によって格差が出てくることが予想されます。サービスを希望する当事者が、府下どこに住んでいても同じようにサービスを受けられるよう、地域格差を作らないために、府として本事業を含めた地域づくりの好事例紹介などを行い、事業推進に取り組んでください。
- 営利法人などが法人格を別にしながら、就労継続支援A型事業を設置運営するケースについて、いわゆる「36カ月プロジェクト」なる仕組みが大阪でも散見されています。この実態は、A型利用と自社への一般就労を名目上6カ月単位で繰り返し、相応の加算を取得するといったものです。利用者主体の支援が展開されていないこの事案について、大阪府が把握されている状況と、課題認識についてお聞かせください。
[16]大阪府における知的障がい者雇用について
2022年12月に可決成立した「障害者雇用促進法などの一部改正を含む改正法」では、障がいのある人の雇用の質の向上を図ることが言及されています。大阪府においては、雇用する障がいのある人に対し、キャリアアップの観点から、人材育成を行っていただいていることに感謝いたします。ただ、知的障がいのある人については、その活躍する場も限られ、非正規採用から正規採用へのステップアップを始めとする、キャリアアップの道筋が私たちには見えていません。
- 大阪府における知的障がい者雇用はハートフルオフィスにて行われているところですが、それはあくまで期間雇用であり、大阪府としてはその一定期間の就労をステップアップの場と考えていると説明を聞いています。それならば、ハートフルオフィス修了者の動向など【就職者数(就職率)、定着率、正規採用率など】ステップアップの成果を教えてください。
- 従来からお願いをしている、大阪府における知的障がいのある人の正規雇用について、「事務職」への受験資格に知的障がい者を加えていただいたところですが、応募はありましたでしょうか。また応募があった場合、採用には至ったのでしょうか。お聞かせください。
これについて私たちは、「事務職」という時点でチャレンジすることをためらってしまいます。それは知的障がいの特性上、苦手とするところと合致するからです。
大阪府が本気で知的障がいのある人の雇用を検討いただけるのならば、知的障がいの特性を理解していただいた上で職域を開発し、身体障がい、精神障がいの方々と同様に、各課に配属される知的障がい者の採用枠を作ってください。
【知的障がいのある人の防災】
近年は大きな災害が頻繁に発生し、とりわけ南海トラフ地震はいつ発生してもおかしくない状況と言われています。大災害のたびに、知的障がいのある人・家族は、家に倒壊の危険があっても一般の避難所には行けないなど、命を守ることもままならない状況に置かれてきました。さらに、平時に利用していた福祉サービスがなくなると家族だけで対応せざるを得ず、家の片付けなどができない、仕事に行けなくて経済的に困窮するなどの苦しい状態になり、暮らしの再建が遅れてしまいます。
丁寧なケアが必要な障がい者が、より厳しい環境になるのは、人権問題であると言わざるを得ません。
また、大規模災害は、市町村を越えて発生する可能性が高いです。知的障がいのある人・家族が安心して津波などの大災害から広域避難でき、避難先でもスムーズに福祉サービスを使用でき、他の府民と同様に生活再建ができる防災の体制を、大阪府が構築してくれることを望みます。
[17]個別避難計画について
個別避難計画について、大阪府では優先度の高い避難行動要支援者について令和9年度目途に作成を進めていただいていることを、大変うれしく思うと同時に、私たちは優先度の高い避難行動要支援者すべての個別避難計画が5年間で完了することを強く期待しています。
ただ、知的障がいの場合、障がいの程度が優先度に直接関係しない人がいることをご理解ください。中・軽度知的障がいのある人は、ある程度自立した生活を送っていて、一人で過ごす時間が長くあります。東日本大震災では「逃げろ」の呼びかけがあれば避難できた軽度知的障がい児が津波で亡くなっています。『優先度』は命の危険を基準にした優先度であることをご理解ください。
知的障がいのある人の防災を進めることは、ひいてはすべての大阪府民の優良な災害対応に結び付くものです。私たちは知的障がい者児を中心に、すべての大阪府民が一緒に助かるため、以下を要望します。
- 個別避難計画の作成について、進捗状況はいかがでしょうか。特に、優先度の高い人たちを分母とした場合のパーセンテージを教えてください。
昨年度のご回答に「優先度は、各市区町村が地域の状況を勘案し判断される」とのことでしたが、進みづらい市町村もあります。それをサポートするためにも、大阪府として把握をしていただきたいです。 - 個別避難計画は支援者といっしょに作成すること、また支援者といっしょに訓練をすることが重要であることを市町村に伝えてください。
- 個別避難計画は、当事者の選択を保証し、尊厳が守られるためのものです。現在、市町村で進む個別避難計画で、作成に力を発揮してくれているのが計画相談(特定相談支援)の支援者です。
受給者証を取得し、日常的に介護・支援のサービスを必要としている障がい者・児が、有事に避難できる場所をあらかじめ決めておくなどの「クライシスプラン」を、相談支援のサービス等利用計画に盛り込むことができると、私たちは安心できます。
「クライシスプラン」は災害時だけに役立つものではなく、様々な緊急時の対応にも役立ちますので、地域生活支援拠点等にも大いに関係します。
このことは全国育成会から国にも要望していますが、大阪府で先駆的に取り組んでいただきますよう、お願いします。
[18]支援学校の福祉避難所について
知的障がいのある人・子と家族にとって、最大の心配は避難生活です。知的障がいの特性ゆえ、一般避難所という大勢の地域住民との集団生活は無理だと判断する家族が大変多く、「支援学校の福祉避難所」への期待が大きいです。
- 知的障がいの支援学校はすべて「知的障がいを主とした福祉避難所」にしてください。
- 支援学校の福祉避難所は受入れ対象を在籍児に限定せず、卒業生などその地域の知的障がいのある人・家族を受け入れてください。
また、一部の支援学校は「在学中の児童・生徒のみ」という限定した対象になっています。大阪府は昨年度「地域の実情を踏まえて、学校長と市町村が受入対象者を調整しています」との回答でしたが、大阪府から学校長と市町村に対し、在籍児保護者を含む当事者である私たちの要望を伝えてください。 - 受入れに関して、事前に地域の実情に照らしあわせ、対象者の範囲や人数を把握し、受入れ計画の作成や対象者が参加する避難訓練の実施などを市町村及び支援学校で行ってください。
- 支援学校すべての、ハザードマップにおけるリスク状況、施設の耐震状況や、指定避難所としての計画や準備の進捗状況、避難訓練の実施状況などについて、教えてください。
- 複数の市町村を校区にもつ支援学校の福祉避難所は、校区内すべての市町村による指定が必要かと思います。そのために支援学校が複数市町村と協議しやすいよう、大阪府による積極的な調整をお願いします。
[19]避難行動、避難生活における福祉サービスについて
災害対策基本法の改正により、災害救助に福祉が追加されました。危険なエリアから避難する際、ヘルパーの付き添いや福祉車両の利用ができなければ逃げられない人が出ます。また、避難所及び在宅避難しているときの訪問サービス、レスパイトや入浴支援を含む通所サービスの途絶は知的障がい者の命と心を守るために、また家族に生活再建の力を与えるために必要です。
- 災害が起きたときから、その後の避難生活において、知的障がいのある人や子が滞りなく福祉サービスを利用できるよう、大阪府においての体制を構築してください。
- 令和6年度から障がい福祉サービス事業所はBCPの作成が義務付けられました。これにより、私たちは大災害のときでも平時に利用しているサービスの継続利用ができることを期待しています。
また、能登半島地震ではサービス提供を継続した事業所ほど復興が早かったので、大阪府下の事業所でも役立つBCP計画の作成とそれに基づく訓練等が実施されること望んでいます。
しかし事業所からは、計画作成はしたものの活用できるかは不明等の声も聞きます。大阪府は、事業所のBCPについて、この後どのように進めようとされているのかを教えてください。
[20]防災における合理的配慮、基礎的環境整備について
- 自立して社会生活を営む中・軽度の知的障がいのある人がたくさんいます。大阪府のまちづくりは、防災の観点で、津波避難経路のユニバーサルデザインによるサイネージの整備など、知的障がいのある人たちに理解しやすい基礎的環境整備を行ってください。
- 福祉避難所及び一般避難所において、知的障がいへの合理的配慮、基礎的環境整備を進めてください。私たちが必要とする配慮等は以下の通りです。
- すべての避難所にカームダウンエリアを設置するとともに、知的障がいのある人や子が安心して過ごせる福祉避難スペースを確保する。
- 福祉避難所には、知的障がいに関する専門知識のある人を配置する。
- 一般避難所の設置、運営に関するすべての人や機関に対し、知的障がいへの合理的配慮や基礎的環境整備を啓発する。
【知的障がいのあるこども】
[21]障がい児支援体制の整備や相談支援について
「地域における児童発達支援センター等を中核とした障がい児支援体制の整備」について、大阪府は国の通知より前に市町村との意見交換会を開催し、その後、市町村調査も実施していただいたことに感謝しています。
児童発達支援センター(以下、児発センター)の設置やその運営指導については市町村がされると認識していますが、私たちは大阪府下のどの地域で生まれ育っても、同じ質の高い支援が受けられることが重要と思っています。
さらに、児発センターの中核機能の1つである「入口としての相談機能」について、保護者に相談が必要なのは入口だけではなく、その後の長い子育ての間、様々な不安や悩みに苦しみ、その内容も年齢とともに変化します。昨年度私たちは、真に保護者が求める相談支援の仕組みを大阪府において構築していただきたいとお伝えしました。しかし、残念ながら回答は「相談支援事業所」「大阪府子ども家庭センター」で行っているとあり、実際に相談をしている私たち保護者の体験から、とてもかけ離れていると強く感じています。
一方、地域のインクルージョンの推進に重要な役割を果たす保育所等訪問支援は、実施している事業所が増えない、支援内容がバラバラという問題があり、何より実施していない児童発達支援センターがあると聞きました。
どうぞ、私たちが頼りにできる内容を、市町村格差がない形で、障がい児支援体制の整備が進むようお願いします。
- 「児童発達支援センターの確保等に関する市町村調査結果」から、大阪府の現在の状況や、体制整備を進める上での課題、今後の方針等をお聞かせください。
- 子ども期の相談支援(指定障がい児相談支援だけでなく)について、まずは、大阪府が直接に利用者である私たち保護者の話を聞いて、課題を把握してください。
大阪府障がい者自立支援協議会ケアマネジメント推進部会で成人の中に含めて考えるのではなく、子ども期だからこその相談支援体制を、大阪府として、ニーズの調査・研究・検討をしてください。 - 保育所等訪問支援は地域のインクルージョンの推進に役立つように、大阪府として保育所等訪問支援を進めていくための方針などをお聞かせください。
- 以下について国へ強力に働きかけてください。
- 保育所等訪問支援の支援者の養成や事業所設置を進めるため、保育所等訪問支援の担当者を養成する研修を実施してください。
- 放デイではない、インクルーシブな場所での放課後の過ごし方が広がるよう、保育所等訪問支援の対象範囲を学習塾やスポーツクラブといった民間施設にも派遣可能にしてください。
- 放デイは幅広い年齢層になるので、小学生向け、中高生向けに区分した仕組みの創設を検討ください。
- 放デイに、強度行動障がいに特化した事業所を(子ども期の集中的支援を実施するため)作ってください。
- 障がい児相談支援はセルフプランが多く、また、介護保険からの相談支援専門員は子ども期の知識が少なく、適切なアセスメントがないまま計画作成されていることが多くあります。子どもの発達支援や保護者の就労保障の役割も担うことを前提とした「ガイドライン」を作成してください。
[22]知的障がいのあるこどもの家族支援について
障がい児の子育てを経験してきた私たちの頼りになったのが、仲間(ピア)の存在です。障がい受容における心のケア、教育・福祉の情報、親戚・地域住民等との人間関係、さまざまな悩みに寄り添い、支えてくれる仲間がいたからこそ、苦しい子育てを乗り越えることができるのです。
一方、令和6年より改定された児童発達支援、放デイの家族支援は、事業所が児童の保護者やきょうだいに対しての相談援助を行うものですが、どんどん数の増える事業所には、専門性が高く相談援助の質もよいところがありますが、その反対に専門性や人権意識の低い事業所も散見されます。幼い時期に出会う相談者は、その家族のその後の人生に大きな影響を与えますので、家族支援の質がとても気になるところです。
昨年度に引き続き、知的障がい児の保護者・家族を支援する体制を構築していただくため、以下のことを要望します。
- 知的障がいのあるこどもの多くは1歳半から幼児期に障がいが発見されます。保護者はまだ幼い我が子の障がいを受容するだけでも非常に苦しみますので、障がいを発見直後からの寄り添い支援は必要です。
私たちはこの『寄り添い支援』に最も適しているのがピアサポートだと思っています。知的障がいのある子の保護者に、同じ立場の保護者が相談対応する施策を大阪府として実現してください。 - 児童発達支援、放デイの家族支援は1年たち、大阪府下で実施された回数、またどのような内容の支援がされたかを教えてください。
また、その家族支援の質の向上をめざすため、大阪府としてどのようにされるのかを教えてください。
【教育】
[23]知的障がいの支援学校の整備について
大阪府においては、知的障がい支援学校新校整備事業を進めていただいていることに感謝します。知的障がいのある子どもたちは環境要因にとても影響を受けますので、ハード面が整うことはとても重要です。1日も早く、子どもたちの成長につながる、良い教育環境になることを願っています。
- 前年度の回答で、取組みを進めていることとして、以下のことをお聞きしていますが、現在の進捗状況はいかがでしょうか?また、開校後の校区割についてわかる範囲で教えてください。
(生野支援学校 大阪わかば高校敷地内への移転・併設、令和9年度中の開校)
(豊中市立第七中学校と府立茨田高校(鶴見区)を活用し、新たな知的障がい支援学校の整備、令和10年度の開校)
(交野支援学校四條畷校 令和11年度に本校化) - 上記にない地域も含め、大阪府下のすべての知的障がい支援学校について「現在の教室不足、設置基準の適合状況、過密の程度などを教えてください。
- 知的障がい支援学校に通う、特に高等部の生徒は、毎日の通学で「一人で町を歩き、公共交通機関を利用する練習」ができることは、将来の自立生活にとても重要です。その観点から、校区が広いため交通機関での通学練習がしづらい学校は何校あるでしょうか?それらの学校は、自立登校の練習を希望する生徒にどのような支援をされているのかを教えてください。
- 支援学校のトイレについて、従来からのタイル張りの湿式タイプでは、衛生面や悪臭の発生などの課題があるため、衛生面の観点より乾式タイプに変更し、環境改善がされるようにしてください。
[24]支援学校の運営などについて
各支援学校においてはさまざまな教育活動において、一定の基準をもって一定の運営水準を保つよう運営いただいていることと思います。しかし、各学校の先生や校長の考え方などにより学校ごとに取り組みの違いなどがあると私たちは思っています。
以下の事項については、いずれの学校においても同様に取り組んでいただきたいと考えていますので、改善していただくようお願いします。
- 通学バスの利用時に最寄りの停留所まで、付き添いが必要と求められています。府内支援学校でも対応に差異があるので、単独行動ができる児童生徒には府内共通で認めるように要望します。
- 保護者が年度当初には書類を何枚も書いて提出していますが、記載内容も大きな変更が生じていない場合が多いので、記入して提出ではなく、既存のものを確認して提出する方法になるように要望します。
特に、アレルギー対応の申請については、毎年医者の診断書の提出を求められ、通院を嫌がる子どもと家族にとっては大変な負担であり、さらに作成費用もかかることから、大きく状況が変化した場合のみ提出を要する等、取り扱いの変更をお願いします。 - 進路に対しての取り組みについて、校外実習の時期や障がい福祉サービス事業所(日中活動)の情報を持ち合わせていない等、学校間で差異が生じないようお願いします。
- 同一支援学校で内部進学をする際、学校生活上の注意事項(特に障がい特性や排泄状況等)の引き継ぎが十分にされていない支援学校があります。すべての支援学校で学部間の連携が密になるようお願いします。
- 昨今、福祉分野でもICT等の活用が注目されていて、知的障がい児の保護者も家庭での支援に積極的に活用している人もいます。京都市の支援学校では毎週アドバイザーが学校を訪問して、個々の支援に活かしていると聞きました。大阪府立の支援学校はどのような状況でしょうか?
- 今年10月より就労選択支援事業が始まるにあたり、企業や就労支援系の福祉サービスを志望される方は、就労選択支援事業所による実習やアセスメントが必須(一部例外あり)となります。
子どもたちの進路に関わる事態であり、就労選択支援事業は高等部1年生の段階で利用することができるため、一部の教員だけでなく全ての教員が把握しておく必要があります。
そのためには教育現場における周知徹底、ならびに就労選択支援事業所や相談支援事業所との協力体制の構築について要望するとともに、10月から稼働するため早期の対応を要望します。
[25]強度行動障がい状態にあるこどもの支援について
強度行動障がいについては「障がい特性のアセスメントや環境の調整により、行動障がいを誘発させない支援が必要」です。
前年度「子ども期のその大切な役割を果たすのは、知的障がいの支援学校の先生方であるとお伝えした上で、「強度行動障がいへの支援は実態把握が重要。大阪府立支援学校に強度行動障がい状態のこどもが何名在籍しているかを教えてください」とお伝えしたところ、「強度行動障がいの状態にある幼児児童生徒の在籍数等の調査は実施しておらず、教育庁として把握はしておりません」という回答で、大変驚きました。
学校現場では、他害を制御する際に先生がケガをする等が頻繁に起きているはずです。その身を挺してでも子どもの行動障がいに向き合ってくださっている先生方を思うと、教育庁が実態を把握していないことは、現場の苦労が伝わっていないのかという心配までしてしまいます。
子どもたちは暴れたくて暴れているわけではありません。適切なアセスメントの上で、その子にあった環境調整をしていただければ、暴れる以外の方法を身に着け、自己コントロール力を培うことができます。支援学校の支援・指導に、大きく期待しています。
- 一日も早い実態の把握を行って、私たちに教えてください。
- 把握した子どもについて、それぞれの行動分析等を行い、なぜ行動が荒れてしまうのかを調査し、家庭・福祉と連携して、具体的な支援をしてください。
[26]支援教育を担当する先生について
支援教育を担当してくださっている先生方には、支援・指導の難しい私たちの子どもへ愛情を持って関わってくださっていることに感謝します。
今、地域で暮らしている知的障がいのある人を見ると、良い先生と出会い良い教育を受けたことで、自立に向けた力がついて、自分らしく健康で活発な人生を送ることができていらっしゃいます。しかし、その逆もあるのが現実です。すべての知的障がいのある子が健やかに成長し、その後の人生を自分らしく生きていけるために、以下を要望します。
- 支援学校や地域の小中学校では、現場の人手が不足していると聞きます。
個別の支援が必要な私たちの子どもは、先生が一人一人に寄り添って支援していただくことが重要で、人手は必須だと思っています。人手不足を解消していただき、個々に必要な支援が行き届くようにしてください。 - 地域の小中学校に専門的な助言等を行うのが、府立支援学校のリーディングスタッフだとお聞きしました。知的障がいのある子は、地域の小中学校にもたくさんいますので、リーディングスタッフについて、どんなタイミングで、どんな頻度で、どんな内容の支援をしておられるのかを教えてください。
- 地域の小中学校から支援学校へ転学するときについてお聞きします。保護者から我が子の様子を見て「転学をしたい」と希望した場合、どのような手続きになるのかを教えてください。
- 現在、大阪府内の教職員人事については、大阪市・堺市・豊能地区の公立小・中学校(義務教育学校含む)以外は大阪府教育庁が直接所管をしていると聞きました。大阪府全域の教育水準を一律にするためおよび、大阪市・堺市・豊能地区を含め、府立支援学校のみならず各市町村にある公立学校で支援教育に携わる教職員の質の向上のため、研修機会の提供や充実に向けた取り組みを要望します。