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更新日:2024年5月24日

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2.S事件(令和3年(不)第22号事件)命令要旨

  1. 事件の概要
    本件は、組合がオンライン方式による団体交渉を申し入れたところ、学校法人が、対面方式で行う旨回答し、オンライン方式による団交を拒否したことが、不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
  2. 判断要旨
    • (1)本件団交申入れに対し、本件申立てに至るまでの間において、組合と学校法人との間で団交が開催されていないことについて、当事者間で争いはない。
    • (2)学校法人は、本件団交申入れに対し、対面方式ではあるものの、団交の具体的な日時・場所を提案し、回答しているのであるから、学校法人は、形式的には団交に応じているとみることができる。
      しかし、このように、一見したところでは使用者が団交を拒否してはいない場合においても、使用者が、交渉の実施を困難にするような日時、場所、方式を設定し、理由なくこれに固執するなど、その態度が事実上交渉拒否とみなしうるに至っている場合には、団交拒否に当たるというべきである。そのため、以下、学校法人の対応が事実上団交拒否とみなしうる程度に不合理なものであったといえるかについて、具体的な状況についてみる。
    • (3)組合と学校法人の間で問題となっていたのは、団交開催場所と方式であるので、それぞれについて検討する。
      • ア 組合員と学校法人の労使関係が現に展開している場所は、学校法人の運営する、大学であるといえ、組合と学校法人との間で基本となる団交開催場所は、学校法人所在地である大学内又はその周辺と解するのが相当である。そうだとすれば、学校法人が組合に対し、団交開催場所として大学内を提案したことは、基本となる団交開催場所での団交を希望しただけであり、組合の主張するように、学校法人側の一方的な都合によるものであるとはいえず、この学校法人の対応をもって、事実上団交拒否に当たるような提案とみることはできない。
      • イ そもそも、団交は、労使双方が相対峙して行うのが原則であり、テレワークやオンライン方式での会議が感染症拡大防止の観点から有益な手段の一つであったとしても、本件団交申入れの時点において、オンライン方式での団交が当然であった、ないしは、オンライン方式のみが団交において取り得る唯一の手段であったとまではいえない。また、学校法人が、オンライン方式での団交に合意しない理由として主張する事項が、不合理な理由であるとみることもできない。
        加えて、学校法人が対面での団交を希望する旨を回答した時点では、緊急事態宣言が解除される予定であったことを考え合わせると、当時学校法人が感染症対策を行った上で、対面方式での団交開催を提案したことには一定の理由があるといえ、団交を拒否するがための不合理な提案であったとみることはできない。
    • (4)以上のとおり、学校法人が、当事者間の基本となる団交開催場所である大学内での対面による団交開催を希望したことをもって、事実上団交拒否とみなしうるような不合理な態度であるとまではいえないため、組合の本件団交申入れに対する学校法人の対応は、正当な理由のない団交拒否とはいえず、本件申立ては棄却する。
  3. 命令内容
    本件申立ての棄却

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