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セレウス菌、ウエルシュ菌による食中毒を防ごう!
食中毒菌の中には、「熱に強い殻(芽胞)を作る」という特徴を持った種類の菌もいます。
その特徴を持つ、セレウス菌とウエルシュ菌の性質、食中毒の予防方法について説明します。
セレウス菌とは
- 土壌細菌の一種で、土、水中など自然環境中に広く分布しています。
- 食品への汚染の機会が多く、特に穀類、豆類、香辛料などはセレウス菌に汚染されていることが多いと言われています。
- 熱に強い殻(芽胞)を作り、この芽胞は100℃、30分加熱しても分解されません。
- 増殖する際に毒素を産生し、食中毒の原因となるのは嘔吐毒と下痢毒の2種類ですが、日本で発生しているセレウス菌の食中毒はほとんどが嘔吐毒によるものです。
- 嘔吐毒は食品中で産生され、食品と共に毒素を摂取することで、食中毒が発生します。熱や酸、消化酵素に強いため、体内では分解されません。
- 下痢毒は菌が付着した食品を喫食し、腸管内で菌が増殖するのと共に毒素が産生されます。
- ある程度の菌量まで増殖することで発症します。
症状と発症までの時間
症状:嘔吐型、下痢型の2種類あり。
- 嘔吐型は吐気、嘔吐。まれに下痢が伴うことがあるが、発熱は起こらない。
- 下痢型は腹痛、下痢。
発症までの時間
- 嘔吐型は1時間から5時間。(平均2時間から3時間)
- 下痢型は8時間から16時間。
原因食品
米飯、焼き飯等米飯の加工品、スパゲティ、肉類、スープ類、焼きそば、プリンなど。
予防方法
- 食材はよく洗浄してから使用する。
- 加熱前の下ごしらえ済み食品は長時間の放置を避け、冷蔵(10℃以下)で保管する。
- 調理した食品はすぐに食べる(調理後から食べるまでの時間を短くする)。
- 加熱後の食品を保管する場合は、冷蔵(10℃以下)で保管する。
- 焼き飯やスパゲティなどを、翌日再調理して食べることは避ける。
参考資料
セレウス菌による食中毒について(食品安全委員会)(PDF:495KB)
ウエルシュ菌とは
- ウエルシュ菌は、人間や動物の大腸内の常在菌であり、下水、河川、海、耕地などの土壌に広く分布しています。
- 熱に強い殻(芽胞)を作り、この芽胞は100℃、30分加熱しても分解されません。
- 酸素が少ない状態を好み、他の細菌より高い温度帯(43℃から47℃)で発育します。
- ウエルシュ菌が多数付着した食品を食べることにより、体内に入った菌が腸内で増殖し、芽胞を作る際に産生するエンテロトキシン(毒素)が食中毒の原因となります。
- 寸胴鍋などで食品が大量に加熱調理された後、鍋に入ったまま数時間食品が室温に放置されている間に、生き残った耐熱性のウエルシュ菌が増殖し、エンテロトキシンを産生します。
- ある程度の菌量まで増殖することで発症します。
- 食中毒の発生件数は上位ではありませんが、大規模になることが多いです。
症状と発症までの時間
症状:腹痛、下痢(主に水様便と軟便)
発症までの時間:6時間から18時間(平均10時間)
原因食品
カレー、スープ、シチューなど一度に多くの量を調理する食品
予防方法
- カレー、シチューなどの加熱時にはよくかき混ぜながら、中心部まで加熱する。
- 調理した食品はすぐに食べる(調理後から食べるまでの時間を短くする)。
- 前日調理を避け、調理後は室温で放置しない。
- やむをえず保管する場合は、容器に小分けするなどして中心まで急速に冷やす。
- 加熱済みの食品であっても冷蔵(10℃以下)で保管する。
- 保管したものは、喫食する前にしっかり加熱する。