トップページ > くらし・環境 > 衛生 > 食の安全 > 食中毒等 > 食中毒菌は熱に強い? セレウス菌、ウエルシュ菌食中毒について

印刷

更新日:2010年11月12日

ページID:18961

ここから本文です。

食中毒菌は熱に強い? セレウス菌、ウエルシュ菌食中毒について

食中毒菌の中には、「熱に強い殻(芽胞)を作る」という特徴を持った種類の菌もいます。
その特徴を持つ、セレウス菌とウエルシュ菌の性質、食中毒の予防方法について説明します。

セレウス菌

1 特徴

  • 土壌細菌の一種で、土、水中など自然環境中に広く分布しています。
  • 食品への汚染の機会が多く、特に穀類、豆類、香辛料などはセレウス菌に汚染されていることが多いと言われています。
  • 熱に強い殻(芽胞)を作り、この芽胞は100℃、30分加熱しても分解されません。
  • 増殖する際に毒素を産生し、食中毒の原因となるのは嘔吐毒と下痢毒の2種類ですが、日本で発生しているセレウス菌の食中毒はほとんどが嘔吐毒によるものです。
  • 嘔吐毒は食品中で産生され、食品と共に毒素を摂取することで、食中毒が発生します。熱や酸、消化酵素に強いため、体内では分解されません。
  • 下痢毒は菌が付着した食品を喫食し、腸管内で菌が増殖するのと共に毒素が産生されます。

2 症状

嘔吐型と下痢型の2種類があります。

  • 嘔吐型は喫食後1時間から5時間(平均2時間から3時間)で吐き気、嘔吐が起こります。まれに、下痢が伴うことがありますが、発熱は起こりません。
  • 下痢型は喫食後8時間から16時間で、腹痛及び下痢を主症状として発病します。

嘔吐型、下痢型ともに重症化することは稀であり、大半の事例は軽症です。

3 原因食品

米飯、焼き飯等米飯の加工品、スパゲティ、肉類、スープ類、焼きそば、プリンなど。

4 予防法

セレウス菌食中毒は菌がある程度の数まで増殖しないと発生しません。
セレウス菌は、焼き飯類等の加熱調理食品であっても、保存や取り扱いに不備があると芽胞が作られ、菌が増殖し、食中毒の発生につながります。
セレウス菌食中毒を予防するには、食品中での菌の増殖を抑えることが重要です。

  • 食材はよく洗浄してから使用する。
  • 加熱前の下ごしらえ済み食品は長時間の放置を避け、冷蔵(10℃以下)で保管する。
  • 調理した食品はすぐに食べる(調理後から食べるまでの時間を短くする)。
  • 加熱後の食品を保管する場合は、冷蔵(10℃以下)で保管する。
  • 焼き飯やスパゲティなどを、翌日再調理して食べることは避ける。

参考資料

セレウス菌による食中毒について(食品安全委員会)(PDF:495KB)

ウエルシュ菌

1 特徴

  • ウエルシュ菌は、人間や動物の大腸内の常在菌であり、下水、河川、海、耕地などの土壌に広く分布しています。
  • 熱に強い殻(芽胞)を作り、酸素が少ない状態を好みます。
  • ウエルシュ菌が多数付着した食品を食べることにより、体内に入った菌が腸内で増殖し、芽胞を作る際に産生するエンテロトキシン(毒素)が食中毒の原因となります。
  • 寸胴鍋などで食品が大量に加熱調理された後、鍋に入ったまま数時間食品が室温に放置されている間に、生き残った耐熱性のウエルシュ菌が増殖し、エンテロトキシンを産生します。
  • 他の細菌より高い温度帯(43℃から47℃)で発育します。
  • 食中毒の発生件数は上位ではありませんが、大規模になることが多いです。

2 症状

  • 潜伏時間は通常6時間から18時間(平均10時間)で、喫食後24時間以降に発病することはほとんどありません。
  • 主要症状は腹痛と下痢であり、下痢の回数は1日1回から3回程度のものが多く、主に水様便と軟便です。腹部膨満感を生じることもありますが、嘔吐や発熱などの症状は少なくなっています。
  • 症状は一般的に軽く、1、2日で回復します。

3 原因食品

カレー、スープ、シチューなど一度に多くの量を調理する食品

4 予防法

ウエルシュ菌も食品中である程度の数まで増殖しないと、食中毒が発生しません。ウエルシュ菌食中毒を予防するには、菌の増殖を抑えることが重要です。
また、ウエルシュ菌は酸素を嫌い、耐熱性の芽胞を持つという特徴があるため、加熱調理食品は小分けするなどして急速に冷却し、低温で保管することを心がけましょう。

  • カレー、シチューなどの加熱時にはよくかき混ぜながら、中心部まで加熱する。
  • 調理した食品はすぐに食べる(調理後から食べるまでの時間を短くする)。
  • 前日調理を避け、調理後は室温で放置しない。
  • やむをえず保管する場合は、容器に小分けするなどして中心まで急速に冷やす。
  • 加熱済みの食品であっても冷蔵(10℃以下)で保管する。
  • 保管したものは、喫食する前にしっかり加熱する。

参考資料

ウエルシュ菌による食中毒について(食品安全委員会)(PDF:661KB)

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?