ここから本文です。
令和6年度末の府営住宅家賃等の滞納状況を公表します
1.概要
- 令和6年度末現在の家賃等と駐車場使用料を合わせた滞納総額は33.6億円。令和元年度末の52.1億円から5年連続で減少しています。
- 令和6年度分の家賃等収納率は99.5パーセントで、令和5年度から0.1ポイント下がっています。
2.家賃等滞納額の分析
- 家賃等の滞納は、現在入居中の方の滞納(入居者滞納)と、滞納したまま退去した方の滞納(退去者滞納)の2種類に分けられます。
以下、滞納の種類ごとに分析します。
(1)入居者滞納額の推移と分析
- 入居者滞納額は令和元年度末の10.3億円から4年連続で減少していましたが、令和6年度末は2.2億円となり前年度比0.4億円の増加となりました。
- 一方、入居者滞納額の回収額については、令和4年度以降は0.6億円と横ばいで推移しており、これまでの取組によって同程度の額の回収ができています。
- 入居者滞納額には、現に入居されている方の滞納額のほか、単身入居されている方の死亡後に発生する滞納額も含まれており、今回、入居者滞納が増加した要因を分けて分析しました。
- まず、現に入居されている方の滞納額は1.4億円と、前年度比0.2億円の増加となりました。滞納月数に関わらず、全体的に件数が増えており、その要因として、物価、とりわけ生鮮食品や光熱費などの物価の高騰が急激に進み、入居されている方の家計を圧迫したことが考えられます。
- また、単身入居されている方の死亡後に発生した滞納額は0.8億円で、前年度比0.2億円の増加となりました。相続人等によって残置物の撤去が行われるまで発生する家賃相当額を入居者滞納額として扱っていますが、近年、新規発生件数が増えていることに加え、相続人調査等に要する時間が増加し、明渡までに相当の期間がかかっているため、その間の滞納額が積みあがった結果と考えられます。
(2)退去者滞納額の推移と分析
- 滞納額の多くを占める退去者滞納額は、令和2年度末の39.5億円をピークに縮減を続け、令和6年度末には29.4億円と4年連続で減少しています。入居されている方が退去することにより退去者滞納に振り替わる額(振り替わり額)は、令和元年度の10.9億円から令和6年度には1.7億円と5年連続で縮減しています。一方、滞納家賃等で時効期間を経過したこと等を理由とする債権放棄額は令和6年度は4.4億円であり、毎年度ほぼ一定です。
- 退去者滞納額回収額については、前年度より減少しているものの、弁護士事務所委託による納付督促等によって、令和6年度は0.6億円回収できています。
3.令和6年度の滞納対策の取組状況
- 府営住宅では、滞納額を縮減するため、令和6年度、以下の対策に取り組んできました。(下線が令和6年度から強化した取組)
・滞納1か月の方に対する滞納家賃等の未納のお知らせの送付、電話による家賃納付の働きかけ
・滞納2か月の方に対する滞納家賃等の督促状の送付、電話による家賃納付の働きかけ
・滞納3か月での催告書(停止条件付契約解除通知)の送付
・催告書送付前における滞納家賃等の分割納付制度の活用
・契約が解除となった方を対象とした、滞納家賃等の解消などを条件とする和解手続
・滞納を続ける方に対する訴訟、強制執行による住宅の明渡し(判決から強制執行の期間短縮)
・適正納付推進月間の新設(啓発活動、戸別訪問による督促)
-
令和6年度の滞納対策の効果
・滞納1か月目からハガキのお知らせだけでなく、早期に電話で滞納者に指導することにより、滞納の解消や長期化を抑制できました。また、滞納の要因を聴取し、分割納付の手続きや市町福祉担当窓口に案内をすることで滞納抑制につなげることができました。
・判決から強制執行までの期間を前年度より2か月間短縮することにより、滞納額の積み上がりを抑制できました。
・適正納付推進月間(7月)の新設により、広く適正納付の周知・啓発を図るとともに、府職員が1、2か月の滞納者に対し戸別訪問を行い、納付状況の確認や適正納付等の啓発を実施したことにより、前年度の同時期から滞納額の減少率が大きく、一定の効果がありました。
4.今後の取組
入居者滞納額の要因分析及び令和6年度の滞納対策の効果検証を踏まえ、今後、以下の取組を新たに実施していきます。また、滞納額の縮減に向け、現在の滞納対策の取組についても引き続き実施していきます。 (★)は令和7年度の新たな取り組み
- 滞納の段階にあわせた対策の強化
【滞納1~2か月】
・適正納付推進月間(7月)における電話での納付指導・戸別訪問
【滞納3~5か月】
・適正納付推進月間(1月)における電話での納付指導・戸別訪問(対象:催告書を送付した3か月滞納者)
昨年度から実施している適正納付推進月間における取組を、7月だけではなく、新たに1月にも実施(★)
・呼び出し指導の実施
賃貸借契約解除後、訴訟提起前の和解手続きが不能となった方を呼び出し、口頭による納付・退去指導を実施(★)
【滞納6か月以上】
・判決から強制執行までの期間短縮
【全滞納者向け】
・入居中の生活困窮者に対する市町福祉部局との連携、入居されている方への周知
・生活保護受給者に対する代理納付の実施拡大
- 単身入居されている方の死亡後の対応
単身入居されている方の死亡後の住戸の明渡期間の短縮など、今後、効果的・効率的な実施手法を府として検討していきます。