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更新日:2022年3月24日

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精神保健医療福祉の改善を求める意見書

 障がい者に対する虐待は、人としての尊厳を害するものであり、障がい者の自立や社会参加の促進をする上で、虐待を防止することは極めて重要なことである。障がい者虐待の通報件数は年々増えており、本府においても、2019(令和元)年度に寄せられた障がい者虐待に関する相談、通報、届出等は1241件、そのうち虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例(虐待判断事例)は188件であり、いずれも前年より増加している。
 障害者虐待防止法において、市町村への通報が義務付けられているのは、「養護者に対する虐待」、「障害者福祉施設等従事者による虐待」、「使用者による虐待」に限られており、医療機関を利用する障がい者に対する虐待防止等は規定されているものの、通報の義務はない。医療機関に入院等をしている障がい者に対する虐待は、治療・回復しようと思っている人の人権を踏みにじるものであり、虐待防止の取組みと併せて、早期の発見と対応が求められる。
 一昨年、神戸市の精神科病院で痛ましい事件があった。患者、家族は一般的に精神疾患や治療に関する情報、知識を十分に得ているとは言えず、自身や家族が発症して初めて精神科医療と接点を持つことが多いのが現状である。このことが、拘束、隔離、投薬等で不適切な処遇が行われたとしても、患者本人、家族が声を上げることができない要因のひとつとなっている。一方で、医療機関としても、限られた医療機関体制の中で精一杯の対応をしているところだが、障がい者等が安心して医療を受けられる体制を確保するため、医療機関の実情を丁寧に把握し、改めて医療機関体制の在り方を検討する必要がある。
 よって、国においては、障がいを有しても、誰もが人として尊重され、地域社会の一員として暮らし続けられるよう、また、精神医療をより良いものとするため、次の事項に取り組むよう強く要望する。

  1. 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律の一部を改正し、虐待発見時の市町村への通報義務の対象として医療機関における虐待も加えること。
  2. 精神科病院における患者の権利や尊厳を確保するため、医療機関が抱える課題等の実情も踏まえた上で、患者への適正な処遇や適量投薬を確保するためのガイドライン策定等の取組みを推進し、精神科病院を取り巻く環境整備を強化すること。
  3. 治療方針の意思決定支援の充実、インフォームド・コンセントの徹底、さらにはSDM(共同意思決定)を取り入れ、患者の能力が不十分な場合においては代理者(アドボケイド)を選任できる体制を整えること。
  4. 入院中心の政策から、地域で生活することを中心とした政策へ転換を進める移行期において、精神科病院の勤務者が心にゆとりを持って働くことができるよう支援し、人員増員等による労働環境の整備充実、教育・研修の拡充等の措置を講ずること。

以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

令和4年3月24日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
各あて

大阪府議会議長
鈴木 憲

意見書の本文のPDFはこちら(PDF:318KB)

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