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更新日:2022年3月24日

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社会福祉施設における感染症対策の充実に関する意見書

 オミクロン株の流行を主とする新型コロナウイルス感染症の第6波は、感染防止対策の徹底に努めている高齢者施設においても、クラスターの発生を抑制することができない状況となった。その要因や課題としては、大きく3点あると考える。
 第一に、高齢者施設は、介護職員と施設利用者の濃厚接触を前提とした業務となっており、感染拡大防止のためのゾーニング等も想定されておらず、介護職員が感染した場合に、検査結果の迅速な把握が必要であるものの、検査キットが入手困難であり、その上、頻繁に検査するためには、相当の費用がかかることとなる。
 また、その他の感染防止に必要な備品や消耗品についても、介護報酬は今回のような事態を想定した報酬体系になっておらず、国は、今回の事態を受けて、「かかり増し経費」について補助を行ってきたが、必ずしも十分とはいえない。
 第二に、重症化の恐れがある高齢者が急速に増加した場合、本来は入院治療した方が望ましい人についてもなかなか入院ができない状況や、病床を確保するために状態の安定した人が施設に戻った場合に、第三者に感染させる可能性のある状況であれば、新たなクラスターの要因にもなりかねない。
 第三に、高齢者施設をはじめとする社会福祉事業については、利用者のケアに要する経費の増大や施設利用等の手控え等によって大きな収入減少となり、事業の運営継続に不安を抱いている事業者もいる。さらには、介護人材の確保は、喫緊の課題であり、コロナ禍により、さらに人材確保の困難さが増している。こうした実情を踏まえ、厚生労働省は、高齢者施設において従事する職員の賃金をアップするための補助制度を整備したと理解している。
 しかしながら、2022(令和4)年2月から9月の間の処遇改善支援補助であるにも関わらず、収入を継続して引き上げるための措置、すなわちベースアップに活用することを補助の条件としており、10月以降については、介護報酬の改定を調整検討するというのみであり、基本的な収入を介護報酬に依存する高齢者施設において、安心して職員の処遇改善に補助金を活用することができない実態がある。
以上のことから、国においては、次の事項について、早急に取組みを講じるよう強く求める。

  1. 高齢者施設をはじめとする、濃厚接触が業務の前提となる様々な社会福祉施設において、感染拡大が起こらないよう、施設管理者が安心して対策を講じるための費用負担と必要な資材の確実な現物配付のための仕組みを構築すること。
  2. 高齢者施設を利用する人は今後も増大することが明らかであることから、病床を確保するための方策として、容体が安定した高齢者が施設に戻るまでの間、しっかりと介護を受けながら、療養できるための体制を地域に構築すること。
  3. 社会全体を支える重要なエッセンシャルワーカーの分野である、高齢介護、障がい者福祉、保育などにおいて、安心して事業が継続できるよう、人材の確保方策を検討するとともに、人材の確保につながるようなしっかりとした公的報酬体系を再整備すること。
  4. 今回整備された介護職員の処遇改善支援補助金については、事業者が安心して職員のベースアップに取り組むことができるよう、制度を見直すこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月24日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
各あて

大阪府議会議長
鈴木 憲

意見書の本文のPDFはこちら(PDF:319KB)

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