津堂遺跡

更新日:2022年12月21日

津堂遺跡(つどういせき)

所在地:藤井寺市津堂4丁目

種類:集落跡

時代:古墳、奈良、平安時代、中世、近世

調査期間:令和3年8月から令和4年5月

主な遺構:古墳時代の掘立柱建物、井戸等

主な遺物:土師器(はじき)

 

 津堂遺跡は藤井寺市の北西一帯に所在し、羽曳野丘陵から北に向かってのびる段丘の北縁部に立地しています(図1)。

 

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図1 津堂遺跡の位置

 

 過去に行われた調査では、縄文時代晩期から中世までの遺構・遺物が確認されていますが、中でも古墳時代前期末から中期(4世紀後半から5世紀)と、平安時代から鎌倉時代(11世紀後半から13世紀)の遺構・遺物が多く発見されています。

 近年では、平成27(2015)年に行われた物流倉庫の建設に伴う調査で、古墳時代前期末から中期初頭(4世紀後半)の大型建物2棟と祭祀遺構が発見されており、近在する世界遺産の古市古墳群との関係を考える上でも注目されていました。

 令和3年度は、一般府道大阪羽曳野線の建設に伴って、令和3(2021)年8月から令和4(2022)年5月まで発掘調査を行いました。

 調査の結果、上面で平安時代から鎌倉時代の耕作地の溝跡や建物跡、井戸を検出し、その下の面で、古墳時代前期末から中期初頭にかけて機能したと考えられる掘立柱建物跡群と敷地の北端を区画する柵列(塀)、井戸、土坑等を検出しました。

 

 

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写真1 調査区(手前)と古市古墳群(北西からドローンで撮影)

 

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写真2 調査区全景(上が北)

 調査では、掘立柱建物を7棟検出しました(図2)。

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図2 古墳時代の遺構

 

 建物A・B・C・D は柱間(はしらま)が3間(けん)×2間の総柱(※用語解説あり)、建物Eは3間×2 間、建物Fは2間×2間、建物Gは3間×2間に復元できます。

 いずれも柱を据えるための掘方はほぼ方形で、一辺が0.8メートル前後、柱と柱の間隔は約2.4メートルです。

 柱はいずれの建物でも抜き取られており残っておりませんが、抜き取った後の大きさを測ると直径0.25メートル前後の丸太状に復元できます。
 建物跡群の北側では、柱列を検出しました。直径15センチメートル程の丸太状の柱を約3メートル間隔でたてならべています。

 この柱列より北側は地盤が悪く、建物跡が展開しないことから、敷地の北端を区画する柵列(塀)と考えられます。
 建物の機能終了後に柱は抜き取られており、土師器とともに埋め戻していました(写真3)。

 また建物と向きをそろえた細長い土坑や、井戸もみつかっており、いずれも土師器(はじき)の高坏(たかつき)や甕(かめ)、小型丸底壺などが投棄されていました(写真4)。

 

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写真3 建物C 柱穴半裁状況と柱抜取り埋土中の土師器検出状況(南から)、同(東から)

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写真4 井戸内に投棄された土師器群

 遺構の先後関係から、建物Eと建物Fがまず先に建てられ、続いて建物A・B・C・D が同時に建築され、それらの解体後に建物Gが建てられたと考えております。

 ただし出土した土器はいずれも古墳時代前期末から中期初頭に限定され、建物の建てかえ(柱の抜き取り)が短期間のうちにおこなわれており、長期にわたり継続して使われていた可能性は低いと考えております。

 今回の建物群は、数度の建てかえを行いつつも機能していた時期が短期間に限定されること、整然と建物がならんでいることが大きな特徴です。

 出土した土器の特徴は、東約1キロメートルに所在する津堂城山(つどうしろやま)古墳(前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)・墳丘長210メートル)から出土した土器とよく似ています。

 このことから、今回発見された建物群は津堂城山古墳の築造と同時期に機能していた、古墳の造営に深く関わる建物群である可能性が高いと考えられます。

 古市古墳群の周辺で、古墳の造営と深く関わる建物跡群は現時点では津堂遺跡以外に例がなく、今回の発見は古墳時代の歴史を明らかにする上で貴重な発見となりました。

 なお、令和4年3月26日に現地公開を予定しておりましたが、あいにくの荒天のため中止しております。

 当日配布予定であった資料は以下のページにおいて公開しておりますので、ご参照ください。

  津堂遺跡現地公開資料(別ウインドウで開きます)

 

※用語解説

総柱・・・建物の構造の一種で、建物の最外列の相対する柱同士を結んだ交点にも柱が立つ構造のことです。床に重量物を載せるための構造と考えられます。

このページの作成所属
教育庁 文化財保護課 調査事業グループ

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