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更新日:2023年12月12日

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認知症との共生社会の実現を求める意見書

認知症の高齢者が2025年には約700万人になると想定されている現実に対して、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進するための、共生社会の実現を推進する認知症基本法が先の国会で成立した。現在、政府において、認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議において、認知症の本人及びその家族をはじめ、認知症に関わる様々な方々から幅広い意見を聴きながら、認知症基本法の施行に先立っての方針を取りまとめている。
今こそ、認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(=共生社会)の実現をという目的に向かって、認知症施策を国と地方が一体となって進めて行くときである。
私たちが目指す共生社会とは、誰もが認知症になる可能性がある中で、生活上の困難が生じた場合でも、重症化を予防しつつ持てる力を生かしながら、周囲や地域の理解と協力の下、本人が希望を持って地域の中で尊厳が守られ、自分らしく暮らし続けることができる社会である。
よって、国においては、認知症との共生社会の実現に必要な予算措置も含め、行政の体制を一層強化させ、一刻も早い認知症との共生社会を、各地域で実現することを強く求める。

1 認知症基本法の円滑な施行に総力を
本年6月に成立した「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の施行に向け、立法の趣旨を踏まえ、円滑な施行に向け、施行後に設置する「認知症施策推進本部」をはじめとする準備に万全を期すこと。特に、認知症の本人が、自身が認知症であることを隠すことなく、朗らかに日常を続けられる様に、認知症に対する偏見や差別を解消するため、古い常識の殻を破り、基本的人権に根差した希望のある新しい認知症観の確立のために、省庁横断的かつ総合的な取組みの推進に総力を挙げること。

2 認知症の人の働きたいというニーズを叶える労働環境の整備
認知症の人の働きたいというニーズを叶える環境整備も重要である。若年性認知症の人、その他の認知症の方々の就労や社会参画を支える体制整備を進めるとともに、働きたい認知症の人の相談体制を充実し、認知症と診断されても、本人の状態に応じて、社会の一員として安心して生活できる事業者も含めた社会環境を整備すること。

3 認知症の方を抱える「ご家族」への支援体制の拡充
独居や高齢者のみ世帯が急増する中で、一つの事業所で相談から訪問介護、通所、ショートステイまで、一人一人の状態の変化に応じて継続的に対応できるオール・イン・ワンの介護保険サービスを24時間365日提供する小規模多機能型居宅介護サービス事業について、見守り体制の整備も含めて拡充すること。

4 身寄りのない方にも柔軟に寄り添い支える社会の構築
身寄りのない方を含め、認知症になったとしても、その状態に応じて、安全に安心して生活が出来る社会環境の構築に向け、一人一人の意思を最大限に尊重し総体的かつ柔軟に寄り添い支える、成年後見制度や身元保証等のあり方について現状の課題を整理し検討を進めること。また、住まいに課題を抱える方々に対する総合的な相談対応、一貫した支援を行う実施体制を更に整備すること。

5 認知症に関する基本事項を繰り返し国民が学べる環境の整備
すべての国民が正しく認知症に向き合う社会環境を整えるために、認知症発症予防から人生の最終段階まで、認知症の容態に応じ、相談先や、いつ、どこで、どのような医療・介護サービス・地域支援を受けることが出来るのか(認知症ケアパス)、更に認知症の人を支える周囲の人における意思決定支援の基本的考え方や姿勢、方法、驚かせない!急がせない!自尊心を傷つけない!など配慮すべき事柄等(認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン)を、繰り返し国民が学べる環境を整備すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和5年12月12日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
共生社会担当大臣
全世代型社会保障改革担当大臣
各あて

大阪府議会議長
久谷 眞敬

意見書本文のPDFはこちら(PDF:94KB)

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