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保険診療Q&A
ここでは、よくある問合せとその答えをまとめています。
医科に関するご質問
- Q1.保険医療機関に支払う料金は、どのように決められているのですか。
- Q2.国民健康保険で受けられる給付はどのようなものがありますか。
- Q3.初診料、再診料は、病院と診療所によって違うのですか。
- Q4.同じ診察でも、早朝や夜間、休日などでは、料金が高くなるのですか。
- Q5.指導料や管理料とはどのようなものですか。
- Q6.保険が適用されずに、保険医療機関から自費で請求されるものには、主にどのようなものがあるのですか。
- Q7.「差額ベッド料」とは、どういうものですか。
歯科に関するご質問
- Q1.歯科診療において、保険が適用されない治療(自由診療)は、主にどのようなものがあるのですか。
- Q2.前歯の差し歯は保険適用にならないと聞きましたが本当ですか。また、金を使用した治療を行うと保険適用にならないと聞きましたが、本当ですか。
- Q3.「入れ歯」について、保険が適用される場合とそうでない場合があるのですか。
- Q4.入れ歯の咬みあわせの具合が悪いので、もう一度作り直してほしいのですが、保険でできますか。又、紛失した場合はどうですか。
- Q5.歯科訪問診療料の算定要件はどのようなものですか。
- Q6.訪問歯科診療の一部負担金が、医療機関の判断で免除されることはありますか。
薬局に関するご質問
- Q1.なぜ、お薬を保険医療機関内の薬局でもらうのではなく、院外の保険薬局でもらうのですか。「医薬分業」制度とは、どういうことですか。
- Q2.「かかりつけ薬局」とはなんですか。そのメリットとは。
- Q3.「処方せん」はどこの薬局へもって行ってもいいのですか。
- Q4.「処方せん」をもらった当日に保険薬局に行くことができなかった場合、いつまでに行けば、その「処方せん」で薬をもらうことができるのですか。
- Q5.保険薬局で支払う料金が病院等で直接薬をもらう場合の料金より高いのはなぜですか。
- Q6.同じ薬をもらったのに、保険薬局によって支払う料金が違うのはなぜですか。
医科に関するご質問及び回答
Q1.保険医療機関に支払う料金は、どのように決められているのですか。
(回答)
保険医療機関に支払う料金(診療報酬)は、厚生労働省が中央社会保険医療協議会での審議を経た上で定められたもので、全国統一的なものです。
概ね2年ごとに見直しが行われます。
Q2.国民健康保険で受けることのできる給付はどのようなものがありますか。
(回答)
国民健康保険が適用される医療行為は、疾病・負傷に対する診察、薬剤、処置、手術、入院等の費用です。
給付が受けられないものとしては、健康診断、人間ドック、予防注射、正常な妊娠・出産、美容整形等があります。
また、疾病・負傷に対する治療行為であっても保険の適用を受けていない投薬や注射、手術をされた場合は、原則としてその疾病に係る全ての治療行為が保険の適用外となります。
Q3.初診料、再診料は、病院と診療所によって違うのですか。
(回答)
病院とは医療法において20床以上のベッドを有する保険医療機関で、診療所とは19床以下の保険医療機関(いわゆる街の開業医)を示します。
再診料や一部の診療行為において、病院と診療所とでは料金の異なる項目があります。
初診料については、同じです。
なお、令和4年10月から特定機能病院及び一般病床200床以上の地域医療支援病院並びに紹介受診重点医療機関については、紹介状なしで受診した場合、定額負担(初診時7,000円以上、再診時3,000円以上)が必要となりました。
Q4.同じ診察でも、早朝や夜間、休日などでは、料金が高くなるのですか。
(回答)
初診料、再診料や手術等について、その保険医療機関が表示している診療時間以外の時間やその保険医療機関が表示している休日に受診した場合には、それぞれの料金に別途加算されますので料金が高くなります。
また、その保険医療機関が掲示している時間内であっても、午前8時まで又は午後6時(土曜にあっては正午)以降に受診した場合には、初診料、再診料についてそれぞれ別途加算される場合があります。
Q5.指導料や管理料とは、どのようなものですか。
(回答)
指導料や管理料とは、治療計画に基づき療養上必要な指導や管理を行った場合に算定できるものです。
代表的なものとして特定疾患療養管理料や生活習慣病管理料がありますが、これは生活習慣病等厚生労働省が定める疾患(例えば糖尿病、脂質異常、高血圧、喘息、胃炎、肝疾患等)を主病とする患者に対し、治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の療養上の管理を行った場合に算定できるものです。
Q6.保険が適用されずに、自費となるものには、主にどのようなものがあるのですか。
(回答)
- (1)入院中において患者が希望するおむつ代、テレビ代、理髪代、クリーニング代等日常生活上必要なもの。
- (2)患者が希望して特別療養環境室(いわゆる差額ベッド)に入院した場合の室料。
- (3)200床以上の病院に他の保険医療機関から紹介なしに受診した場合における初診に相当する費用。
- (4)入院期間が180日を超える入院に係る費用。(一部の状態にある患者は除外される)
などがあり、これらについては、患者から特別の料金の支払い(実費)を受けることができるものとされていますので、保険医療機関に確認してください。
Q7.「差額ベッド料」とは、どういうものですか。
(回答)
1病室4床以下で、一人あたり6.4平方メートル以上の広さを有し、プライバシーの確保がなされ、個人用の収納設備等の条件を満たした病室を特別療養環境室といい、この病室に患者さんが希望して入院したときに支払う特別な料金のことを差額ベッド料といいます。
この差額ベッド料は、患者さんの自由な選択により提供される特別なサービスに位置付けられており、患者さんの全額自己負担となります。
医療機関は、差額ベッド料が必要な病室に患者さんを入院させる際には、次のことを行わなければならないとされています。
- (1)保険医療機関内の見やすい場所に、特別療養環境室の各々について、そのベッド数や料金をわかりやすく掲示すること。
- (2)差額ベッド料が必要な病室への入院を希望する患者さんに、病室の設備構造や料金等を明確かつ懇切に説明すること。
- (3)差額ベッド料の支払に同意することを記載した文書(同意書)に患者さんから署名を受けること。
また、厚生労働省では差額ベッド料を徴収してはいけないケースとして以下の3つを挙げています。
- 同意書による同意の確認を行っていない場合(室料の記載がない、患者側の署名がない等の内容が不十分な場合を含む)
- 患者本人の「治療上の必要」による場合
例)救急患者、術後患者等であって病状が重篤なため安静を必要とする者又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者、免疫力が低下し感染症に罹患する恐れのある患者、集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者等 - 病棟管理の必要性による場合(差額ベッド以外の病床が満床の場合を含む)
例)MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者への院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院いただく場合。
歯科に関するご質問及び回答
Q1.歯科診療において、保険が適用されない治療(自由診療)は、主にどのようなものがあるのですか。
(回答)
保険が適用されないものとしては、健康診断や口の中の清掃、見た目をよくする目的で行う歯の漂白や歯列矯正、または保険の対象となる広範囲な顎欠損等ではないインプラントによる義歯治療法などの治療が挙げられます。
Q2.前歯の差し歯は保険適用にならないと聞きましたが本当ですか。また、金を使用した治療を行うと保険適用にならないと聞きましたが、本当ですか。
(回答)
ほとんどの歯の治療は、健康保険で認められた歯科材料を用いる限り保険が適用されます。
しかし、一部、健康保険で認められていない材料を使う治療、例えば、14Kを超える金合金や白金加金などを使用して永久歯の前歯部(上下各6本)に冠(かぶせもの)をかぶせたり、差し歯をする場合は、自由診療となって保険は適用されません。
Q3.『入れ歯』について、保険が適用される場合とそうでない場合があるのですか。
(回答)
『入れ歯』には、歯が部分的に失われている場合に装着する『部分入れ歯』と全部の歯が失われている場合に装着する『総入れ歯』があります。
保険が適用される『入れ歯』に用いられる床(口の粘膜に触れる部分)に使用される材料は合成樹脂です。
それ以外の床の材料(シリコーンや金属等)については、自由診療となって保険は適用されません。
また、床の材料に合成樹脂を使用して作製された『部分入れ歯』は、金属のバネ(鉤)のようなものや義歯を連結するバーなどが用いられますが、これらに使用する金属は保険が適用されます。
Q4.入れ歯の咬みあわせの具合が悪いので、もう一度作り直してほしいのですが、保険でできますか。又、紛失した場合はどうですか。
(回答)
『入れ歯』は、相当期間使用に耐えられることから、特別な場合を除き、原則として「入れ歯」を作製してから6ヶ月を経過した後でないと、保険を適用して新しく「入れ歯」を作ることはできません。また、この間に紛失した場合も同様です。
「特別な場合」とは、遠隔地へ転居したため通院が不能になった場合、急性の歯の病気によって歯を抜いて、歯の数が違ってきた場合等をいいます。
なお、入れ歯が合っていない場合、使用中の入れ歯の粘膜に接している部分を一層削って、新たに裏装を行う、床裏装(リベース)という方法があり、これについては保険が適用されます。
Q5.歯科訪問診療料の算定要件はどのようなものですか。
(回答)
歯科訪問診療料が算定できる要件は下記のとおりです。
- (1)在宅等(※)において療養を行っており、疾病、傷病のため通院による歯科治療が困難な患者
※介護老人保健施設、特別養護老人ホームのほか、歯科、小児歯科、矯正歯科又は歯科口腔外科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関に入院する患者も含まれる。 - (2)次のいずれかに該当する訪問歯科診療
- 患者の求めに応じた歯科訪問診療
- 歯科訪問診療に基づき、継続的な歯科診療が必要と認められた患者に対する当該患者の同意を得た歯科訪問診療
- 歯科訪問診療料が算定できない例
- 保険医療機関との距離が16キロメートルを超える場合
※保険医療機関を中心とする半径16キロメートル圏域の外側に患家(施設)が所在する場合
【例外】患家(施設)付近に他の歯科医師がいない、いても専門外である、旅行中で不在である等やむを得ない絶対的理由のある場合。
- 保険医療機関との距離が16キロメートルを超える場合
Q6.訪問歯科診療の一部負担金が、医療機関の判断で免除されることはありますか。
(回答)
訪問歯科診療に限らず、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」において保険医療機関は一部負担金を必ず徴収しなければならないとされています。
したがって、患者さんによって一部減免したり、免除することはできません。
保険者(保険証の発行元)から送付される医療費通知を確認していただき、一部負担金の金額に疑問がありましたら保険者にお問い合わせください。
薬局に関するご質問及び回答
Q1.なぜ、お薬を保険医療機関内の薬局でもらうのではなく、院外の保険薬局でもらうのですか。また「医薬分業」制度とは、どういうことですか。
(回答)
「医薬分業」とは、病気等で医師の診察を受けた際に、その保険医療機関で薬をもらう代わりに、「処方せん」をもらい、その「処方せん」を保険薬局にもって行って、薬を調剤してもらい、薬を受け取るという制度のことを言います。
「処方せん」には、薬の名前や種類、量、使い方が書かれています。
「処方せん」を受け取った保険薬局では、薬剤師が、体質や今までに服用した薬の状況などの記録(これを「薬剤服用歴」といいます)を基にして、薬の量や飲み合わせ等を確認の上、この「処方せん」に基づいて、薬を調剤します。
そして、薬剤師が薬をお渡しする際に、薬の正しい服用方法、留意すべき事項などについて、くわしく説明(これを「服薬指導」といいます)をします。
このように、医師は処方せんを出し、薬のことを専門家である薬剤師に任せる、医師と薬剤師がそれぞれの専門性を発揮し、協力し合うことでよりよい医療の提供が図られています。「医薬分業」は、医師と薬剤師が協力してお薬をより一層安全に使用していただくための制度です。
Q2.『かかりつけ薬局』とはなんですか。そのメリットとは。
(回答)
同時期に複数の保険医療機関で薬を処方してもらった場合、複数の保険薬局で薬をもらうと、薬の重複や飲み合わせに問題が生じるといったケースもあります。
そこで、これを防ぐために、1つの保険薬局で薬の管理をすることが必要となります。そこで、患者自身で決めた、行きつけの保険薬局をもつこととなります。これがいわゆる『かかりつけ薬局』といわれるものです。
この『かかりつけ薬局』をもつことにより、次のようなメリットがあります。
- (1)保険薬局では、患者ぞれぞれの薬に関する記録(「薬剤服用歴」)を保管しています。『かかりつけ薬局』にて、薬に対するアレルギー及び副作用等と、患者それぞれの体質等に関することとを、総合的かつ経時的に把握し記録しておくことで、服用する薬の安全性を高めることができます。
- (2)複数の保険医療機関で同じ薬が処方された場合や、処方された薬同士で危険な飲み合わせがある場合等、処方内容に疑問がある場合は、薬剤師が医師に問い合わせを行い、その結果、処方内容の変更や処方中止等の処置が取られることもあります。
- (3)患者さんの自宅の近くの保険薬局を『かかりつけ薬局』としてもっておけば、処方せんによる医師からの指示・要請で、その保険薬局の薬剤師が患者さんのお宅へ伺い、必要なアドバイスを行ったり、お薬に関するご相談に応じたりしやすくなる等、とても便利な薬局となります。
- (4)『かかりつけ薬剤師・薬局』では支払う料金が少し高くなることがあります。これは、平成28年4月1日から調剤報酬に「かかりつけ薬剤師指導料」等が創設されたためです。なお「かかりつけ薬剤師指導料」の算定については、患者さんの同意書への署名が必要です。
Q3.処方せんは、どこの薬局へ持って行ってもいいのですか。
(回答)
薬を取り扱う店には、『薬局』と『薬店』があります。
このうち、調剤室があり、薬剤師が必ずいるところが『薬局』です。処方せんを受け付けて、保険調剤を行う薬局(保険薬局)には、「保険薬局」、「保険調剤」等の表示があります。日本全国どの保険薬局でも、処方せんに基づいて調剤された薬を受け取ることができ、また患者さんは保険薬局を自由にを選ぶことができます。
なお、かかりつけ薬局(薬局Q2参照)としてのメリットを最大限活用するためには、自宅近くや職場の近くの保険薬局をかかりつけ薬局とすることがよいでしょう。
Q4.処方せんをもらった当日に保険薬局に行くことができなかった場合、いつまでに処方せんを持って行けば、その処方せんで薬をもらうことができるのですか。
(回答)
処方せんの使用期間は、通常、交付の日を含めて4日以内とされていますので、この期間以内であれば、いつでも調剤してもらうことができます。なお、患者自身が保険薬局に行くことができない場合には、代理の方が処方せんを持参してお薬をもらうこともできます。
Q5.保険薬局で支払う料金が病院等で直接薬をもらう場合の料金より高いのはなぜですか。
(回答)
保険薬局では、薬剤師が患者の体質や今までに服用した薬の状況を把握するとともに、患者に処方する薬が他の保険医療機関から投与されている薬と重複していないか、2種類以上の薬が処方されている場合にはそれらの薬間の相互作用に問題はないか等を確認するため、患者の薬の使用歴(「薬剤服用歴」)を記録します。
そして、この薬剤服用歴の記録を基にして、患者に薬を安全に、有効に使用していただけるよう、処方された薬の名前、形や色、用法・用量、効能・効果、副作用のほか、食事、飲物を取る上での注意、保管や服用上特に留意すべき事項などをくわしく説明や指導(これを「服薬指導」といいます)をします。
このように、保険薬局では薬剤服用歴により患者の薬の情報を管理し、十分な服薬指導を行うために、保険医療機関から直接薬をもらう場合よりも、保険薬局で支払う料金は若干高くなります。
Q6.同じ薬をもらったのに、保険薬局によって支払う料金が違うのはなぜですか。
(回答)
保険薬局が処方せんの受付1回につき算定する基本料(これを「調剤基本料」といいます)は、保険薬局の1か月あたりの処方せん受付回数や、特定の保険医療機関からの集中率等の条件によって、保険薬局ごとに点数が異なります。
この他にも、厚生労働省が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険薬局において調剤を受けた場合には、「地域支援体制加算」や「後発医薬品調剤体制加算」等の加算が算定されることがあります。このため、同じ薬でも保険薬局によって支払う料金が異なることがあります。
なお、保険薬局に支払った料金の詳しい内容、内訳については、保険薬局から発行された明細書をご確認いただくか、保険薬局にお尋ねください。