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領収証の見かた 歯科編
以下に、基本的な事項を項目別に記載しています。
領収証の各項目の枠内にある「点」とは、診療報酬点数のことで、1点の単価は10円です。
治療内容等により点数は異なりますので、実際に算定された点数については医療機関等にお尋ねください。
また、点数の詳細や算定要件等については、厚生労働省のホームページからご確認ください。
令和6年度診療報酬改定について(厚生労働省ホームページ)(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)
※歯科診療報酬点数については、上記のホームページに掲載されている「歯科診療報酬点数表」等をご確認ください。
1.初・再診料
(1)初診料
初めて診療行為があった場合に請求されるのが「初診料」です。
なお、治っていないのに患者さんが自分の都合で診療を中止して1ヶ月以上経過すると、同じ医療機関であっても「再診料」ではなく「初診料」が請求されます。
医療機関で歯の治療を続けている途中で、別の歯の具合が悪くなって治療が必要になった場合は「初診料」は請求できません。
また、治療が終わった後に別の歯の治療が必要になった場合でも、最初の「初診料」を請求された日から1ヶ月以内であれば「初診料」は請求できません。
「初診料」には「乳幼児加算」、「時間外加算」等があり、6歳未満の乳幼児や時間外に診療を受けたときは、通常の点数に加算されます。
(2)再診料
再診とは、2回目以降に受ける診療のことで、一連の治療行為でなければ再診の都度請求されます。
「再診料」にも「初診料」と同様に「乳幼児加算」、「時間外加算」等の加算があります。
なお、医療機関で治療期間中に、当該医療機関に電話等で治療上の意見を求め、指示を受けた場合には「再診料」が請求されます。
2.入院料等
「入院料等」の欄には、「入院基本料」、「入院基本料等加算」、「特定入院料」、「短期滞在手術等基本料」の点数が記入されます。
(1)入院基本料
入院基本料は、一般病棟、療養病棟など保険医療機関の機能に応じ、7区分に分かれています。
一般病棟は、主として急性期の入院治療を必要とする患者さんのための病棟で、療養病棟は、主として長期にわたり療養を必要とする患者さんのための病棟です。
(2)特定入院料
特定入院料は、特定の症状、疾患の患者に対して、一定期間における1日当たりの包括的入院料であり「特定集中治療室管理料」や「ハイケアユニット入院医療管理料」などがあります。
「特定入院料」には「入院基本料」、「入院基本料等加算」、「検査」、「注射」、「処置」等の費用が包括されているため、別に請求できません。
また、特定の症状の患者に対する一定期間の一日あたりの包括入院料なので、超えた期間は通常の入院基本料等が請求されます。
(3)短期滞在手術等基本料
4泊5日までの短期入院(日帰り手術を含む)で行ったときに請求されます。
この基本料には、必要な術前・術後の管理や定型的な検査、画像診断等の費用が包括されています。
3.医学管理等
医学管理等の欄には、治療の計画を立てて生活上の必要な指導、歯磨き指導などが行われた場合や紹介状を書いてもらった場合等の点数が記入されます。
例えば、主な医学管理等として以下のものがあります。
- 歯科疾患管理料
う蝕(むし歯)や歯周病等の継続的かつ計画的な治療を受けた場合に請求されます。患者さんやご家族の方等の同意を得て管理計画を作成し、その内容の説明を受けた場合に請求されます。 - 歯科衛生実地指導料
う蝕(むし歯)または歯周疾患に罹っている患者さんが、以下のいずれかの内容を受けた場合に月1回請求されます。- 歯科衛生士から15分以上の実地指導を受け、文書で情報提供を受けた場合。
- 歯科衛生士から15分以上(患者さんが著しく歯科診療が困難な者である場合は、月2回の実地指導を合わせて15分以上)実地指導を受け、かつ、文書で情報提供を受けた場合。(規定の届出を行った保険医療機関に限る)
- 診療情報提供料(1)
受診先の保険医療機関が、診療に基づき他の機関(保険医療機関、保険薬局、市町村又は指定居宅介護支援事業者等、介護老人保健施設)での診療の必要性等を認め、患者さんの同意を得て、診療状況を示す文書を添えて紹介を行った場合に、紹介先ごとに、月1回請求されます。
なお、入院されていた患者さんの場合や、著しく歯科診療が困難な者や診療状況を示す文書を添える場合は、情報提供先によって加算があります。
また、受診先の保険医療機関以外の医師・歯科医師による治療法の選択等に関する助言(セカンド・オピニオン)を求める患者の要望に基づいて、診療状況を示す文書の提供を通じて支援を行った場合は、診療情報提供料(2)として、受診先の保険医療機関から月1回に限り請求されます。
4.在宅医療
在宅医療の欄には、ご自宅等に赴いて歯科診療を行った場合等の点数が記入されます。
例えば、主な在宅医療として以下のものがあります。
- 歯科訪問診療料
通院による歯科治療ができない場合に、歯科医師から訪問診療を受けた時に請求されます。
具体的には、- 歯科訪問診療1は、在宅等(同一建物居住者を除く。)で療養している場合に請求されます。
- 歯科訪問診療2は、在宅等において療養を行っている患者(同一建物居住者に限る。)で、当該患者が居住する建物の屋内において、歯科医師から訪問診療を同一日に3人以下の患者に行われた場合に請求されます。
- 歯科訪問診療3は、在宅等において療養を行っている患者(同一建物居住者に限る。)で、当該患者が居住する建物の屋内において、歯科医師から訪問診療を同一日に4人以上9人以下の患者に行われた場合に請求されます。
- 歯科訪問診療4は、在宅等において療養を行っている患者(同一建物居住者に限る。)で、当該患者が居住する建物の屋内において、歯科医師から訪問診療を同一日に10人以上19人以下の患者に行われた場合に請求されます。
- 歯科訪問診療5は、在宅等において療養を行っている患者(同一建物居住者に限る。)で、当該患者が居住する建物の屋内において、歯科医師から訪問診療を同一日に20人以上の患者に行われた場合に請求されます。
- 訪問歯科衛生指導料
歯科訪問診療を行った歯科医師の指示に基づき、歯科衛生士等から口腔内の清掃等の実地指導を受けた場合に請求されます。ただし、要介護認定を受けた在宅等の患者さんに対しては、緩和ケアを実施するものに対して行った場合に請求されます。 - 在宅患者訪問薬剤管理指導料
在宅療養していて、通院ができない場合に、計画的な医学管理を受け、かつ、薬剤師から訪問による指導を受けたときに請求されます。ただし、特別な場合を除き、要介護認定を受けた患者さんに対しては請求できません。
5.検査
検査の欄には、診療において行われた歯の根の長さの測定や咬み合わせ、歯ぐきの状態等の検査を行った場合の検査料の点数が記入されています。
検査の費用には、検査を行う歯科医師及び歯科衛生士等の人件費、試薬、試験管等の材料費、機器の減価償却費、管理費及び患者の衣類等の費用は含まれていますが、検査にあたって服用したり、注射したりする薬剤については別に料金がかかります。
6.画像診断
画像診断の欄には、エックス線検査やCT検査など、機器による撮影・診断の費用で、フィルムや造影剤の費用が加算されて請求されます。
エックス線検査は、撮影する範囲などで料金が異なります。小さなフィルムを口の中に入れて行う部分撮影は、主に虫歯などで行われる検査です。
歯周病などで口腔全体を調べる必要があるときは、全体撮影(パノラマ撮影)が一般的です。
7.投薬
投薬の欄には、薬を調剤する「調剤料」、医師が薬の種類や量などを指示する「処方料」、薬の料金である「薬剤料」の合計点数が記入されます。
ただし、保険薬局で調剤を受けるために処方せんを交付した場合は、「処方せん料」として点数が記入されます。
(1)調剤料
患者に対して投薬を行った場合の調剤料の点数が記入されます。
(2)処方料
外来患者に対して投薬を行った場合の処方料の点数が記入されます。
なお、入院中の患者に対する処方の費用については、入院基本料に含まれます。
8.注射
注射の欄には、「注射実施料」と「無菌製剤処理料」を合わせた「注射料」と、薬の代金である「薬剤料」の合計点数が記入されます。
なお、注射の種類や薬剤により算定される点数が異なります。
9.リハビリテーション
リハビリテーションの欄には、「リハビリテーション料」が記入されます。
「摂食機能療法」は摂食機能障害の患者に行った場合に請求されます。
「歯科口腔リハビリテーション料1」は有床義歯(入れ歯)などを装着している患者に対して請求されます。
「歯科口腔リハビリテーション料2」は顎関節治療用装置を装着している患者さんに対して請求されます。
「歯科口腔リハビリテーション料3」は口腔機能の発達不全もしくは口腔機能の低下を来している患者さんに対し、療養上必要な指導及び訓練を行った場合に請求されます。
10.処置
処置の欄には、虫歯などで歯髄(神経)を抜いたり、薬を塗ったりする料金である「処置料」の合計金額が記入されます。
治療する歯の本数や治療内容により算定される点数が異なります。
例えば、「抜髄」(歯の神経を抜く場合)は、神経が通っている歯の根の数(根管数)によって点数が異なります。
11.手術
手術の欄には、抜歯や歯肉を切開して膿を出すなどの料金である「手術料」の合計点数が記入されます。
12.麻酔
麻酔の欄には、「麻酔料」と、薬の料金である「薬剤料」の合計点数が記入されます。
神経や歯を抜く際の「麻酔料」は、ほとんどの場合、手術料等その治療の点数に含まれています。しかし、用いる手法や施す箇所によっては麻酔の料金がかかります。
13.放射線治療
放射線治療の欄には、「放射線治療管理・実施料」の合計点数が記入されます。
14.歯冠修復及び欠損補綴
歯冠修復及び欠損補綴の欄には、「歯冠修復及び欠損補綴料」の合計点数が記入されます。
歯冠修復とは、虫歯で欠けた部分を詰めたり、技工物をかぶせたりする治療であり、欠損補綴とは、なくなった歯を人工の歯(技工物)で補う治療のことです。
詰め物や技工物には様々な種類があり、治療する歯の場所や技工物の大きさ・用いる材料によって点数が異なります。
また、技工物の装着料や装着材料料などもかかります。
義歯(入れ歯)の場合は、欠損した歯の数と使う材料によって点数が異なり、装着料や装着材料料、調整料がかかります。
15.歯科矯正
矯正治療の費用は基本的には自費診療となります。
例外的に健康保険が適用されるのは、顎変形症と診断され、手術を行うケースなどです。
保険が適用されるのは、医学的観点から、歯列矯正が必要と認められた重度の場合であり、厚生労働大臣が認める医療機関でなければ、保険は適用されません。
歯科矯正の欄には、保険適用となった「歯科矯正料」の合計点数が記入されます。
16.病理診断
病理診断の欄には、「口腔病理診断料」及び「口腔病理判断料」の点数が記入されます。
17・18.食事療養及び生活療養
入院時の食費及び居住費(光熱水費)については、定められた費用額のうち、患者さんが負担する金額として『標準負担額』が定められています。
残りの金額については「食事療養費」又は「生活療養費(療養病床に入院する65歳以上の患者の食費及び居住費)」として保険給付されます。この欄には保険給付の金額が記入されます。
なお、患者さんが窓口で支払う食事療養費及び生活療養費の標準負担額は、高額療養費の支給の対象にはなりません。
19.評価療養・選定療養
保険が適用されない保険外診療があると、保険が適用される診療も含めて、医療費の全額が患者さんの自己負担となります。
ただし、国が定める評価療養と選定療養については併用が認められており、通常の治療と共通する部分の費用は一般の保険診療と同様に保険外併用療養費として保険給付が行われます。
(1)評価療養
「評価療養」は、将来、保険給付の対象とすべきか否かについての評価を行う必要がある医療技術や医薬品、医療機器が対象となり、一定の要件を満たした医療機関における先進医療や医療用具等の治験にかかる診療等があります。
(2)選定療養
「選定療養」は、患者さんの選択と負担に任せてもよいサービスとして国が定めたものについて、「追加的サービスに係る部分」として、患者さんに負担を求めることが認められたものです。
20.負担額
保険の適用される部分の負担額は、合計額に自己負担割合を乗じた金額で、10円未満は四捨五入します。
例えば、
保険適用の医療費の合計額が2,240円で、自己負担割合が3割の場合、
負担していただく金額は、2,240×0.3=672ですので、670円となります。