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領収証の見かた 薬局編
以下に、基本的な事項の概要を項目別に記載しています。
領収証の各項目の枠内にある「点」とは、診療報酬点数のことで、1点の単価は10円です。
調剤内容等により点数は異なりますので、実際に算定された点数については保険薬局から発行された明細書をご確認いただくか、保険薬局にお尋ねください。
また、算定項目の詳細や算定要件等については、厚生労働省のホームページからご確認ください。
令和6年度診療報酬改定について(厚生労働省ホームページ)(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)
※調剤報酬点数については、上記のホームページに掲載されている「調剤点数表」等をご確認ください。
1.調剤技術料
調剤技術料の欄には、「調剤基本料」、「薬剤調製料」の点数が記入されています。
(1)調剤基本料
「調剤基本料」は、『薬局機能の評価』として算定される、いわば基本料金で、患者さんが提出する処方せんの枚数に関係なく、処方せん1回につき所定の点数が算定されます。(保険薬局の1か月あたりの処方せん受付回数や集中率等の条件によって、点数が異なります)
なお、厚生労働省が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険薬局において調剤した場合は、「地域支援体制加算」や「後発医薬品調剤体制加算」等の加算があります。
(2)薬剤調製料
「薬剤調製料」は、保険薬局の調剤業務のうち、『薬剤の調製や取りそろえ、最終監査(正しく調剤されているかのチェック)への評価』として算定され、薬の種類(内服薬、屯服薬、外用薬、注射薬ごと)等によって点数が異なります。
飲み込みが困難な患者さんのために錠剤を粉状にしたり、市販されている医薬品の剤形では対応できない場合に錠剤を半割するなどの特別な対応を行った場合には、所定の点数が加算されることもあります。
また、在宅患者に対する調剤を行なった場合は、所定の点数が加算されることもあります。
2.薬学管理料
「薬学管理料」は、保険薬局が患者さんに薬の飲み方を指導したり、薬に関する情報を提供した場合に算定するものです。
算定される主な項目には次のような項目があります。
(1)調剤管理料
「調剤管理料」は、以下の1から4の業務に対する評価として算定され、その点数は処方日数等によって異なります。
- 保険薬剤師が、お薬手帳や、患者さんへの聞取り、患者さんごとに個別に作成した薬剤服用歴等に基づき、後発医薬品の希望の有無、患者さんのアレルギーや副作用歴などの体質、病歴、他の病院等への通院状況、併用している薬剤、服用状況(残薬状況)等の患者情報を分析・評価
- 処方せんの記載内容を確認し、用法・用量は適切か、同じ効き目の薬が他の病院等から重複して処方されていないか、注意すべき飲み合わせの薬が併用されていないかといった、処方内容の薬学的な分析
- 患者さんにとって最適な方法で提供できるように調剤設計(薬剤の取りそろえ、混合、一包化(ワンパック化)、粉砕などの製剤加工の検討、患者さんに提供すべき情報や指導の検討など)
- 上記1から3の要点を、調剤録や薬剤服用歴に記録
また、併用薬との重複投薬を防止したり、残薬の状況を踏まえて、処方医に確認した結果、処方の変更が行われた場合等に、所定の点数が加算されることもあります。
(2)服薬管理指導料
「服薬管理指導料」は、上記「(1)調剤管理料」の部分で実施した評価や分析結果を活用し、患者さんに対して、調剤した薬剤情報の提供、必要な服薬指導、薬剤の交付を行った場合に算定され、患者さんがお薬手帳を提示したかどうかや、来局間隔(前回来局時から3ヵ月以上経過しているか)等によって、点数が異なります。
提示されたお薬手帳には、調剤日や調剤した薬剤情報、その他服用に際して注意すべき事項などを記載します。
また、特に安全管理が必要な医薬品の服薬指導等を行ったときや、乳幼児への服薬指導や確認等を行ったとき等には、所定の点数が加算されることもあります。
(3)在宅患者訪問薬剤管理指導料
「在宅患者訪問薬剤管理指導料」は、在宅で療養を行っている患者さんで通院が困難な場合に、あらかじめ届出を行っている保険薬局の保険薬剤師が医師の指示に基づき、薬学的管理指導計画を策定し、患者さんの自宅等を訪問して、薬歴管理、服薬指導、服薬支援、薬剤服薬状況及び薬剤保管状況の確認等の薬学的管理指導を行い、当該指示を行った医師に対して訪問結果の情報提供を文書で行った場合に算定されます。
ただし、要介護認定を受けられている患者さんの場合は、医療保険と介護保険の給付調整により、介護保険のサービスである『居宅療養管理指導』により、薬剤師の必要な指導等の提供を受けることになります。
(4)かかりつけ薬剤師指導料
「かかりつけ薬剤師指導料」は、厚生労働省が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険薬局において、施設基準に定められた要件を満たした保険薬剤師が、医師と連携して患者さんの服薬状況を一元的・継続的に把握し、患者さんに対して服薬指導等を行った場合に算定されます。なお、算定については患者さんの同意が必要です。
3.薬剤料
「薬剤料」は、薬剤調製料の所定単位につき、使用薬剤の薬価が15円以下である場合は1点とし、15円を超える場合は10円又はその端数を増すごとに1点を加算(薬価を五捨五超入して点数に換算)します。
例えば、内服薬(内服用滴剤以外のもの)については、「1剤(※)1日分」が所定単位とされています。
「内服薬A」(15.3円/錠)を10日分だと、1日分あたりの点数は15.3円×1錠=15.3円ですので、2点となります。
これが10日分あるので、薬剤料は2点×10日分=20点となります。
この場合の「1剤」は2種類以上の薬剤があったとしても、服用時点が同一であれば、まとめて「1剤」として算定します(服用方法が異なる等の場合は、別剤として算定されることもあります)。
4.特定保険医療材料料
「特定保険医療材料料」は、在宅での自己注射が認められた注射薬に伴い使用が認められた医療材料の料金です。
5.評価療養・選定療養
保険が適用されない保険外診療があると保険が適用される診療も含めて、医療費の全額が患者さんの自己負担となります。
ただし、国が定める「評価療養」と「選定療養」については併用が認められており、通常の治療と共通する部分の費用は一般の保険診療と同様に保険外併用療養費として保険給付が行われます。
「評価療養」は、保険給付の対象とすべきものであるかどうかの評価を行う必要のあるもので、薬価基準収載前の承認医薬品の投与や薬価基準収載医薬品の適応外使用などがあります。
6.負担額
保険の適用される部分の負担額は、合計額に自己負担割合を乗じた金額で、10円未満は四捨五入します。
保険適用の医療費の合計額が2,240円で、自己負担割合が3割の場合、
負担していただく金額は、2,240×0.3=672ですので、670円となります。