| | 日本版DBS制度の対象範囲拡大等を求める意見書
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| 学校や学習塾等で指導するなどし、優越的立場を悪用した教育者による児童生徒へのわいせつ行為が後を絶たない。被害を受けた児童生徒、保護者は、その被害に生涯苛まれ、また教育現場への不信感が高まることは、実直に生徒と向き合う多くの教育者を苦しめている。児童生徒が成人し性被害を相談することで、初めて事件が発覚することもあり、被害が公になるまでの間に新たな被害者を生み出してしまう状況を鑑みれば、国を挙げた厳格な制度の導入が必要である。 このような中、大阪府では教員によるわいせつ行為等から児童生徒を守るため、教員採用選考において官報情報検索ツール等を活用し、志願者全員の処分歴を確認するなど、教員による児童生徒等に対するわいせつ行為を防止する取組みを進めている。 現在、国においては、子ども家庭庁が設置した「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」で、日本版DBSの方向性を示す報告書がとりまとめられるなど、日本版DBS導入に向けた議論、検討が進められている。本報告書では、教育、保育等を提供する業務に従事する者が性犯罪歴を有するか否かを確認する仕組みを導入する必要性が示されており、学校、保育所、児童養護施設などの公的な機関が直接義務付けの対象となっている。しかしながら、学習塾やスイミングクラブ、芸能等を身に付けさせる養成所、認可外保育施設、放課後児童クラブなどの民間事業者は、認定制とする方向である。確認対象とする性犯罪歴等については、裁判所による事実認定を経た性犯罪の前科のある者に限定されており、条例違反、起訴猶予、行政処分等については慎重に検討すべきとされている。なお、確認申請の具体的な手続は、対象事業者が、採用予定者の同意を得ることを条件に確認申請をする手法が適当とされている。 子どもに対する性犯罪や性暴力は人権を侵害する行為であり、子どもの心身に生涯にわたって回復し難い有害な影響をもたらす。また、子どもの立場の弱さに乗じて犯罪が行われるため、第三者が被害に気付きにくく、継続する可能性が高い。今回、報告書で示された検討結果を踏まえた制度設計では不足が生じる。 よって、国においては、児童生徒を性犯罪・性暴力から守る社会の実現を大きく前に進めるために、以下の内容について求める。 記 1.公的機関、民間を問わず、一定の期間以上子どもと接する事業を実施する、すべての組織に対して本制度を義務付けることができるよう、対象事業者を拡大すること。 2.性犯罪の前科がある者だけでなく、性犯罪・性暴力の罪を犯し起訴猶予となった者や青少年健全育成条例など、都道府県ごとに制定している条例に違反した者も制度の対象となるよう、性犯罪歴等の範囲を拡大すること。 3.国が管轄する機関が犯罪の有無を確認する書類を発行し、採用予定者が対象事業者に提出する方法を採用すること。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和5年12年12日 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 法務大臣 各あて 文部科学大臣 内閣官房長官 国家公安委員会委員長 内閣府特命担当大臣(こども政策) 大阪府議会議長 久谷 眞敬 | | | | | 意見書本文のPDFはこちら [PDFファイル/84KB]
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議会事務局 調査課 法務・企画グループ