子どもを性犯罪被害から守るために刑法規定を見直すこと等を求める意見書

更新日:2021年3月24日

       

 
 

子どもを性犯罪被害から守るために刑法規定を見直すこと等を求める意見書


 性犯罪は被害者の心身に大きな後遺症を残し、その後の人生を左右する魂の殺人であり悪質な犯罪である。
 多くの性被害当事者の声が届き、2017(平成29)年に刑法の性犯罪に関する規定が大幅に改正されたが、性暴力の実態が十分に反映されたとは言えず、課題が積み残された。現在も、法務省の性犯罪に関する刑事法検討会にて議論が続けられているが、刑法を性被害の実態に即したものに改正し、関連法整備や性被害者支援施策の強化を早急に行うことが必要である。
 性交同意年齢については、明治時代に制定されて以来、「13歳以上」との規定のままとなっている。この規定により、性犯罪被害者が13歳以上の場合、裁判で暴行脅迫が立証できなければ、加害者は罪に問われない状況となっている。そのため、2019(平成31)年3月には、無罪とされる判決が相次ぎ、被害者の同意のない行為だと裁判で認定されながらも被害者の状態が抗拒不能状態だったとするには合理的な疑いが残るとして無罪となったケースもあり、改正後の規定でもなお不十分であることが指摘されている。
 また、改正後も、罪が成立する為に要求されるハードル・要件が非常に高いままとなっており、刑法の規定において、強制性交等罪・強制わいせつ罪等は「暴行」「脅迫」、準強制性交等罪・準強制わいせつ罪等は「心神喪失」「抗拒不能」が起訴の要件となっている。
 さらには、性犯罪被害者の年齢が幼い事例もあり、その時点では、性知識が不足しており、自身が被害を受けても何をされているか判断できないという問題もある。そうしたことからも、被害者が表立って声を上げるには長い年月がかかり、その被害を認識し、被害届を提出したいと願い出た時には、時効を迎えているというケースも少なくはないと聞き及ぶ。
 以上の刑法規定に関することに加えて、未成年者を性犯罪被害から守るには、加害者が再犯者である事件も多いことから、再犯防止の取組を強化することも重要な視点である。
 このようなことから、子どもを性犯罪被害から守るため、国においては、未成年の性犯罪被害者が置かれていた実態や環境等を考慮した刑法規定の見直しや法改正等を行うよう、下記の事項について強く要望する。

1.地位・関係性等の立場を利用した性交についての処罰規定の創設や、性交同意年齢の引き上げ、公訴時効の期間延長などの課題について再検討を行い、性被害の実態に即した法改正に取り組むこと。

2.未成年者を性犯罪被害から守るための加害者再犯防止の取組を国が主体となって進めること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 

令和3年3月24日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣    各あて
法務大臣  
内閣官房長官

大阪府議会議長
土井 達也

 

 

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議会事務局 調査課 法務・企画グループ

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