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更新日:2023年10月20日
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公立学校教員の処遇改善に向けた、給特法の抜本的改正を求める意見書
文部科学省が実施した平成28年度の教員勤務実態調査によれば、教員の1日あたりの勤務時間が小学校で「11時間15分」、中学校で「11時間32分」に上っており、これを月単位に換算すると、70時間程度の残業をしている計算となる。前回調査から6年ぶりに実施された令和4年度の教員勤務実態調査においても、多くの教員の1日あたりの在校時間が11時間前後あるとの調査結果となっており、教員の働き方改革が進められる昨今の情勢下においても、依然として教育現場における過酷な労働環境が続いている実態が浮彫りとなった。
こうした実態を背景として、教員採用選考試験の受験者が年々減少し、また、早期退職者や精神疾患による休職者も年々増加傾向にあることから、全国の多くの自治体において公立学校教員の適正人数を確保できない、いわゆる教員不足の問題が深刻化している。
日本の公立学校教員には、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(いわゆる「給特法」)が昭和46年に成立し、以後、教育現場において適用されてきた。給特法の下、教員には原則として時間外勤務を命じないとしつつ、例外的に「(1)児童生徒の実習に関する業務、(2)学校行事に関する業務、(3)教職員会議に関する業務、(4)非常災害などのやむをえない場合の業務の、「超勤4項目」に限り残業が認められると定められるとともに、法制定当時の勤務実態調査の結果、この「超勤4項目」にあたる超過勤務時間が「月8時間」と算出された結果、残業代の代わりに、月8時間分の超過勤務相当分として、給料月額の4%を「教職調整額」として支払うという制度が運用されてきた。
しかしながら、「超勤4項目以外は時間外勤務を命じない」という原則が学校現場において形骸化していき、様々な要因で教員の長時間労働が進んだ結果、給特法が想定していた4%の教職調整額が、現在の公立学校教員の勤務実態とかけ離れたものとなり、教員は「定額働かせ放題」と揶揄される状況に至っているのが現状である。
よって、国においては、公立学校現場において常態化している教員の長時間労働を是正し、その抜本的な処遇改善を図るため、制度開始から半世紀以上が経過した給特法について、公立学校の教育現場の実態に合わせるべく、新たな手当の創設を含む、教員の処遇改善に向けた抜本的な改正を速やかに講じることを求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年10月20日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 各あて
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
内閣官房長官
大阪府議会議長
久谷 眞敬