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更新日:2023年10月20日

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脱炭素と自然再興に貢献するサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の推進を求める意見書

 現在、気候変動防止に向けた社会の脱炭素化(カーボン・ニュートラル)や、生物多様性の保全と活用への自然再興(ネイチャー・ポジティブ)は、人類社会を持続可能なものにする上で、最も重要な課題の一つとなっている。
 今こそ、資源効率性の最大化と環境負荷の低減の両立を目指して、大量生産から大量廃棄を生むリニア・エコノミー(直線型経済)から、廃棄される製品や原材料などを「資源」と捉え、循環させる新しい経済システムであるサーキュラー・エコノミー(循環型経済)への転換が必要である。
 そのためには、日常生活を支えている物品の、材料の生成や加工、製品の製造から廃棄における、自然の破壊やエネルギー消費を抑制するサーキュラー・エコノミー(循環型経済)へと、ライフスタイル全体を変革する大きな流れを作り出していかなければならない。
 具体的には、家電製品や製紙、衣類など、国民生活に密着した製品の資源循環を推進するために、製品を生み出す「動脈産業」と、廃棄物の回収や再利用などを担う「静脈産業」の連携など、産業構造の構築が重要である。
 よって、国においては、循環経済関連ビジネスを新たな成長産業として位置づけ、脱炭素と自然再興に貢献するサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の実現を目指し、以下の事項について特段の取組を要望する。

  1. 資源循環を促進するための制度や施設の整備
    貴金属等の有価性の高い資源が集約されている家電や情報通信機器や、再エネ等の大量導入により将来は大量廃棄が予想される太陽光パネルや蓄電池の部材等に対して、資源循環を促進するための制度の創設や適切な運用、精錬技術の開発や施設の整備を促進すること。
  2. 動静脈産業の連携による資源循環ビジネスの普及を促進
    製品の設計や製造の段階から廃棄や再生までの、ライフサイクル全般での環境負荷低減等の実現を目指して、動静脈産業の連携による資源循環ビジネスモデルの普及を促進すること。
  3. 建築物等の長寿命化を促す制度等の創設
    建築物においても、スクラップ&ビルドというフロー型から、ストック型への移行が重要であり、設計・計画から施工、維持管理までの全体を通して長寿命化やリノベーションによる建築の価値の最大化を図るために、新たな基準の設定や優遇税制の創設を図ること。
  4. 地域や施設における資源循環の導入促進
    地域におけるバイオマスエネルギーの利活用により、森林を保全しつつ、木材・木質資源の持続可能な活用を目指すフォレスト・サーキュラー・エコノミー(森林・木材循環経済)の実現や、高齢化に伴い大人用紙おむつの利用が今後増加することを踏まえ、紙おむつのリサイクルの普及に向けた自治体や事業者の取組を支援すること。
  5. 衣類の資源循環システムの構築
    衣類の多くが有効利用されずに焼却・埋立てされている現状に対して、衣類耐久性やリサイクルの容易性等を重視した衣類の循環配慮設計を積極的に進めると同時に、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律を通じ、リサイクル素材を活用した衣類を政府や自治体が積極的に使用すること等で、衣類の循環市場を育成すること。
  6. 建設廃棄物のリサイクルの高度化
    建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律等を通じて建設廃棄物は約97%が再資源化されているものの、再資源化はダウンサイクルが中心であることから、水平リサイクル・アップサイクルへの転換を進め、量と質の両立を図ること。
  7. 自然関連及び気候関連の財務情報開示タスクフォースの推進
    企業が自社の事業活動が自然環境に及ぼす影響や依存度に関して情報を開示する自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)と、企業が自社の事業活動が気候変動に及ぼす影響等の情報を開示する気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に対して、算定基盤の創設等を率先して進めること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和5年10月20日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
農林水産大臣 各あて
経済産業大臣
国土交通大臣
環境大臣
内閣官房長官

大阪府議会議長
久谷 眞敬

意見書本文のPDFはこちら(PDF:103KB)

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