動物由来感染症の概要

更新日:2015年4月20日

感染症名概要
結核

結核菌群(Mycobacterium tuberculosis complex. ただしMycobacterium bovis BCGを除く)による感染症。サルや牛、犬などからヒトに感染する。咳などの呼吸器症状が主である肺結核の他、結核性髄膜炎や腸結核など様々な症状を示す。

腸管出血性大腸菌ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌の感染によっておこる全身性疾病。臨床症状の特徴は腹痛、水様性下痢および血便である。ベロ毒素の作用により溶血性貧血、急性腎不全をきたし、溶血性尿毒症症候群をひきおこすことがある。
ウエストナイルウイルス感染症ウエストナイルウイルスによる感染症で、蚊によってヒトや馬等に媒介される。ヒトからヒトへの直接感染はない。
ヒトでは、2から14日の潜伏期の後に高熱で発症し、同時に頭痛、背部の痛み、筋肉痛、食欲不振などの症状を示す。
高病原性鳥インフルエンザ高病原性鳥インフルエンザウイルスによるヒトや家きんの感染症。特にH5及び(又は)H7亜型は家きんに対する病原性が強く、ヒトに対しても強い病原性を獲得する可能性が高い。感染した家きんなどからヒトにH5またはH7ウイルスが感染することが稀にある。症状は突然の高熱、咳などの呼吸器症状の他、重篤な肺炎、全身症状を引き起こす。
豚インフルエンザ豚インフルエンザウイルスによる豚の感染症であるが、一部のウイルスがヒトと豚の両方に感染する。感染した豚からヒトに感染し、季節性のインフルエンザと同様に、熱、咳、のどの痛み、体の痛みなどの症状を示す。過去に、ヒトが豚インフルエンザに感染した事例で重症(肺炎及び呼吸困難)及び死亡の報告がある。
デング熱デングウイルスによる感染症で、蚊によって媒介される。2から15日(多くは3から7日)の潜伏期の後に突然の高熱で発症する。発症後3から4日後胸部、体幹からはじまる発しんが出現し、四肢、顔面へ広がる。ヒトからヒトへの直接感染はない。熱帯・亜熱帯(特にアジア、オセアニア、中南米)に広く分布する。日本では過去60年以上感染の報告はなかったが、2014年8月以降、国内での感染が報告されている。
チクングニア熱チクングニアウイルスを保有する蚊によって媒介される感染症。アフリカ、南から東南アジアに分布する。発熱と関節痛は必発であり、発疹は8割程度。関節痛は四肢に強く対称性に発症し、関節の炎症や腫脹を伴う。関節痛は急性症状が軽快した後も、数週間から数ヶ月続く場合がある。全身倦怠・頭痛・筋肉痛・リンパ節腫脹や、出血傾向(鼻出血や歯肉出血)、 結膜炎、悪心・嘔吐をきたすこともある。重症例では神経症状(脳症)や劇症肝炎が報告されている。
日本脳炎日本脳炎ウイルスの感染による急性脳炎である。ブタが増幅動物となり、蚊が媒介する。感染後1から2週間の潜伏期を経て、急激な発熱と頭痛を主訴として発症する。発熱は発症4から5日に最も高くなり、発症後1週間程度で死亡する例が多い。熱はその後次第に低下する。
ブルセラ症 本症はウシ、ブタ、ヤギ、イヌおよびヒツジの感染症であるが、原因菌がヒトに感染して発症する。波状熱、マルタ熱、地中海熱などの名前でも呼ばれる。潜伏期間は通常2から8週との報告がある。本感染による死亡率は一般的には低率であるが、心内膜炎を併発している場合には致死率は上昇し、ヒトのブルセラ症による死亡の多くはこれが原因である。
レプトスピラ症らせん菌であるレプトスピラ菌による感染症である。200以上の血清型が存在し、血清型により黄疸・出血・腎障害などをおこす重症型レプトスピラ症(ワイル病)から、軽症のものまで多種多様である。感染は病原性レプトスピラ保有動物の尿に汚染された下水や河川などから経皮、経口的に感染する。
Q熱リケッチア科コクシエラ属のCoxiella burnetii の感染によって起こる感染症である。感染源は家畜や愛玩動物である事が多い。流産や出産時の動物と接触し、C.burnetii を吸入する事によって感染する。急性Q熱では突然の高熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状がでる。慢性に移行すると、肺炎や肝炎を起こす。予後は一般に良いが、基礎疾患を持つ例では致死率が高くなる。
日本紅斑熱Rickettsia japonicaによる動物由来感染症で、マダニ媒介性リケッチア感染症である。人はマダニの刺咬により感染する。人の発症はマダニの刺咬後2から8日で、主な症状は高熱と発疹である。重症例では播種性血管内凝固となる。発生時期はマダニの活動時期に一致しており、春から始まり、夏から秋にかけて多発する。
クリプトスポリジウムクリプトスポリジウム属原虫のオーシストを経口接種することによる感染症である。潜伏期は4から5日ないし10日程度と考えられ、無症状のものから、食思不振、嘔吐、腹痛、下痢などを呈するものまで様々である。患者の免疫力が正常であれば通常は数日間で自然治癒するが、エイズなどの各種の免疫不全者には重篤な感染を起こすことがある。
B     S     E

BSEは、牛の脳内に異常なプリオン蛋白が蓄積し、脳が海綿状となる「伝達性海綿状脳症」又は「プリオン病」と呼ばれる疾病で、ヒトの新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と類似していると指摘されている。新変異型Cjdは、近年、英国で報告され、 20歳代の若年に発症し、不安、感覚障害等で初発し、経過が従来のヤコブ病よりやや長い。

トキソプラズマ症トキソプラズマ原虫のオーシスト等を経口接種することによる感染症である。感染豚の豚肉の生食等やネコの糞便を介してヒトに感染する。ヒトでは、多くは不顕性感染で発症しないが、妊婦が感染すると流早産を起こす場合がある。
豚レンサ球菌感染症Streptococcus suis(豚レンサ球菌)に汚染された生の豚肉や内臓等から皮膚の創傷面などを介して感染する。感染した場合の症状としては、化膿性髄膜炎が多く見られる。

このページの作成所属
環境農林水産部 動物愛護畜産課 畜産衛生グループ

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