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ハンタウイルス感染症(特設サイト)
ハンタウイルス感染症は、主にネズミなどのげっ歯類が媒介する感染症です。今般、海外における発生事例が報じられるなど、国際的にも注視されていますが、国内での感染拡大の可能性は低いと言われています。感染症に関する正しい知識を持つことが重要です。本ページでは、関連事項をQ&A形式で整理しています。(令和8年5月13日時点)
Q1 ハンタウイルスとは何ですか?
A1
ハンタウイルスは、オルソハンタウイルス属に属するウイルスの総称で、主にネズミなどのげっ歯類が保有しています。ウイルスの種類によって、症状の現れ方が異なります。
2026年5月2日に世界保健機構に報告された海外クルーズ船における集団感染事例では、一部の患者からアンデスウイルスが検出されており、ハンタウイルス肺症候群に分類されます。
表.ハンタウイルス感染症の分類について
| 病名 | 原因ウイルス | 症状 | 発生場所 | 備考 |
| ハンタウイルス肺症候群 |
アンデスウイルス |
呼吸不全、急性肺水腫 等 | 南北アメリカ |
致命率*は約40%程度とされる。 |
| 腎症候性出血熱 | ハンタンウイルス ソウルウイルス 等 |
腎不全、出血、ショック 等 | アジア ヨーロッパ |
臨床経過によって軽症型・重症型に分類される。 重症型の致命率*は3~15%程度とされる。 |
*その病気にかかった人のうち、死亡した人の割合
Q2 どのように感染しますか?
A2
主にネズミの尿・ふん・唾液が乾燥して舞い上がった粉じんを吸い込むことで感染します。
通常のハンタウイルスでは人から人へは感染しません。
例外的にアンデスウイルスのみ、人から人への感染が報告されています。他の感染症との感染力の比較は困難ですが、濃厚な曝露による飛沫・直接接触を介した感染伝播であると推定されており、過去の事例においては適切な患者隔離と接触者管理により終息に至ったと報告されています。
Q3 初期症状はどんなものですか?
A3
咳、発熱、倦怠感、筋肉痛など、インフルエンザに似た症状から始まることが多いです。
Q4 重症化するとどうなりますか?
A4
腎臓や肺に重い症状を起こすことがあります。
ハンタウイルス肺症候群については、急速に症状が進行し、呼吸不全等を来して重症化するリスクが高いとされています。
Q5 潜伏期間はどのくらいですか?
A5
感染から1~5週間(多くは約2週間)とされています。
Q6 特効薬や治療薬はありますか?
A6
ハンタウイルス感染症に特化した治療薬はありません。
重症化を防ぐため、早期発見と対症療法・集中治療が重要です。
Q7 ワクチンはありますか?
A7
国内で承認されたワクチンはありません。
※世界的に広く承認されているワクチンも存在しません。
Q8 日本での発生状況はどうですか?
A8
ハンタウイルス肺症候群については、現時点において国内患者の報告はありません。
(過去に腎症候性出血熱の報告はありましたが、近年は国内患者の報告はありません。)
Q9 世界での発生状況はどうですか?
A9
ハンタウイルス肺症候群については、南北アメリカを中心に患者が発生しています。2025年においては、南北アメリカ地域において少なくとも200例以上報告されています。
腎症候性出血熱については、アジアやヨーロッパを中心に患者が発生しており、中国では毎年4~6万人規模、韓国では300~400人/年、欧州全域では毎年数千人以上の患者発生があるものと考えられています。
世界的にはハンタウイルス肺症候群よりも腎症候性出血熱の方が多く報告されています。
Q10 日本で流行する可能性はありますか?
A10
過去の海外事例においては、感染者および接触者の適切な管理を行うことにより、感染伝播の抑制につながったことが報告されています。これらの経緯も踏まえ、専門家や公的機関は、仮に国内に患者が流入した場合であってもヒト-ヒト感染により国内で感染が拡大する可能性は低いと評価しています。
Q11 予防のためにできることは?
A11
ネズミのいる場所で粉じんを吸わない、清掃時はマスクを着用する、流行地域でネズミとの接触を避ける、といった基本的な対策が有効です。
なお、アンデスウイルスにおけるヒト-ヒト感染については、アルコール消毒やマスクの有効性に関し、現時点で厚生労働省および国立健康危機管理研究機構からの明確な見解は示されていません*。
*一部の海外の文献(クルーズ船内の集団感染事例における感染症対策ガイドライン等)では、アルコール消毒やマスク着用を推奨しておりますが、国内の公的機関からの情報をお待ちください。
Q12 ネズミの糞や尿で環境が汚染された場合の消毒方法は?
A12
ネズミの糞や尿で環境が汚染された場合には、掃除機やほうきなどのほこりを巻き上げるような器具は使わずに、漂白剤で汚染部を十分に湿らせます。その後ペーパータオルなどを用いてふき取り、ごみ袋に入れて廃棄します。