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更新日:2014年4月28日

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人権学習シリーズ ありのままのわたし 大切なあなた コラム3

コラム3 「いろいろな仲間とともに生きる」中で育つもの

さまざまな違いを持った人とともに暮らしていく力

幼児期の後半は、仲間とともにやりとりをしながら遊ぶことが急速に増えてくる時期です。子どもたち同士で思いを出し合いながら遊ぶことも次第にできるようになってきます。また、その中で、さまざまな思いのぶつかり合いが生まれ、さまざまな葛藤も経験します。
子どもたちは一人ひとり、本当にさまざまな個性を持った存在です。自己主張がはっきりしている子もいれば、自己主張が苦手な子もいます。得意なこと、苦手なこともさまざまです。障がいのある子もいれば、さまざまな民族的ルーツを持っている子どもたちもいます。保育所や幼稚園のクラスは、そうしたさまざまな個性を持った人々がともに暮らしている、子どもにとっての「社会」なのです。そして、この社会の中で暮らす中で、子どもたちが「さまざまな違いを持った人とともに暮らしていく力」をつけていくことは、幼児期の発達のとても大切な課題なのです。

不合理に気づき、解決方法を考える力を

しかし、4歳ごろになり、自分と他者を比較できるようになってくる中で、子どもたち同士の力関係が顕在化し、遊びの中でさまざまな矛盾が生じてくることもあります。遊びの中でいつも自分の思いどおりにしている子もいれば、反対に、いつも自分の思いを飲み込んでいる子もいます。友だちに自分の思いや提案を受容されることがとても少ない子もいます。そうした集団の中の課題や矛盾を乗り越え、「みんなが対等に遊べる力」、「不合理に気づき、そんなのずるい!と指摘できる力」、「みんなが納得できる解決方法を考える力」を育てていくことが大切になります。そのためにもおとなは、子どもたちが遊びの中で自分の思いを出すこと、友だちの思いに気づくこと、その中で不合理なことに気づき、解決策を考えようとすることを支えていく必要があります。

問題解決のために子どもとともに考えることがおとなの役割

この時、意識すべきことがあります。それは、子どもたちの関係の中では、力関係やさまざまな矛盾は「起こってくるものだ」と考え、そうしたことが起こらないようにおとなが管理して予防線を張ることよりも、起こってきた力関係や矛盾といった問題を、子どもがおとなの援助を受けながら「克服する」ことによって、子どもたちが問題解決する力をつけていくこと、その中で、自分も仲間も大切にできる気持ちを育てていくことが重要だ、ということです。おとなの役割は、問題を回避させることではなく、問題をともに解決することで、子どもたちがさまざまな事態に対応できる力をつけていくことなのです。

違いを正確に知ること

もう1点、さまざまな違いを持った人たちと出会う中で、子どもたちが、違いを「正確に」知ることはとても大切です。肌の色が違う外国にルーツを持つ子どもに対して「体が汚れている」と避ける日本人の子どもがいる、という報告はしばしば聞かれることですが、こうした人々が持つ違いに対する不正確な理解は、偏見につながっていくのです。
ここでおとなの役割として大切なのは、子どもたちに正確に伝えるということです。人々にあるさまざまな違いに対して子どもたちは、「どうして?」と質問をしてきます。その質問に対して「ごまかす」という反応は、最も良くない反応だと言われます。なぜなら、ごまかすことによって、子どもたちは、そのことが何か触れてはいけない良くないことだ、と認識してしまうからです。障がいや民族の違いなどのさまざまな違いを正確に説明できる言葉と、正確に理解できるような経験の投げかけを行うことは、おとなの大切な役割なのです。

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