人権学習シリーズ ありのままのわたし 大切なあなた 「○○国フェスティバル」

更新日:2016年2月15日

「○○国フェスティバル」

キーワード

多文化共生保育:多様な文化は当たり前
尊敬:自分も友だちも大切な一人ひとり(自己肯定感・他者への尊敬)
公平:対等な関係
反偏見:多様な文化への偏見や差別をなくす

ねらい

・多様な文化背景(国籍・民族・人種・宗教・言語)を正しく理解する力を育む。
・それぞれの文化への自覚と誇りを高める。
・共に生きる仲間として行動しようとする力を育む。

対象

4歳から6歳
(クラスの子どもたち全員と。時には保育所・幼稚園の行事として取り組むことも可)

所要時間

30分から40分程度

準備するもの

外国の建物などの写真、小麦粉粘土や紙で作ったり紙に描いた外国の料理、外国の花、外国の歌を吹き込んだものなど
地球儀・国旗、外国の情報が載っている本やカタログなど

やってみよう

 こんな場面で

・多様な文化を受け止め、行動する力を養いたい時。
・外国にルーツのある子どもがいる場合でその子どもに母国への自覚と誇り、自尊感情を育みたい時。
・まわりの子どもたち(保護者)に外国にルーツのある子どものことやその国のことについてもっと知って欲しい時。

 遊び・活動への誘いかけ

*「今、みんなが住んでいる国はどこ?」
*「なんていう国?そう!日本という国だねえ。」
*「この国は、世界のどこにあるのかなあ。」
*「地球儀で探してみようか、あった!ここだよね。」
*「世界って広いねえ!世界にはいろいろな食べ物やお家や言葉があるよね。」
*「いろいろな国に行ってみたくない?」
*「日本とどんなところが違うのかなあ。」(子どもに聞いてみるといいですね)
*「言葉?服装?住んでいるお家?食べ物?肌や髪の色?遊ぶこと?いろいろあるってすてきだねえ!」
*「みんなの持っているクレヨンがひとつの色だけだったらつまらないよね、『いろいろある』ってとても楽しくていいよね。」
*「みんなもたくさんの国のこと知りたくない?」

《外国にルーツのある子どもがいる場合》
*「じゃあ、今度は○○ちゃんの国はどこにあるかなあ、みんなで探してみよう。」(地球儀で探す)
*「○○ちゃんの国って、どんなところだろうね。」

地球儀を見ているイラスト

 進め方

1 「その国って、寒いのかなあ、暑いのかなあ。」
2 「どんな花が咲いているんだろう。」
3 「どんなごはんを食べているのかなあ。」
4 「どんなことして遊んでいたのかなあ。」
5 「どんな歌を歌っていたのかなあ。」
6 「みんなは、どんなことを知りたいかなあ。」
7 「写真とか、本とかあるけど、一緒に見てみようか?」
8 子どもたちが気がついたことや言葉を取り上げてみんなに返す。
9 いろいろな国をみんなで部屋の中につくることを提案することもできます。
  (この場合13の活動につながります)

《外国にルーツのある子どもがいる場合》
10 ○○ちゃんの国のことをお家の人に聞いてみよう。
   (1から8の活動などを通して十分に子どもたちと共有できたあとに)
11 みんなの部屋を○○ちゃんの国にしてみようか!
12 何を飾ったらいいかなあ?どうしたら○○ちゃんの国みたいになるかなあ。
   (ここからは、○○ちゃんをはじめ、子どもの声を取り入れながら展示を進めていく)
13 他の人を招待する場合は、来てくれた人(子どもたち・保護者・職員)の案内係やそれぞれの展示を説明する係、その国の歌を歌う人など役割を分担したり、交代したりして楽しむ。

 *子どもの声、反応は?
  ・遠いなぁ(地球儀を見て)。
  ・どんなごはん食べているのかな?
  ・ディズニーランドあるのかな?
  ・何して遊んでいるのかな?
  ・どんな部屋で寝ているのかな?
  ・煙突とかあるのかな?
  ・「遊ぼう」ってなんていうのかな?

※外国にルーツのある子どもがいる、いないに関わらず、取り組むことで各国の文化の良さに触れ、尊重することにつながります。
※外国にルーツのある子どもがいる場合に、この活動を取り入れる時は、事前にその保護者にねらいや活動をきちんと伝えた上で、必ず了解を得ましょう。そして、その子どもには「○○ちゃんの国のことをみんなで考えてもいいかなあ」と聞くようにしましょう。
※まわりの保護者にも、今の子どもたちの状況と合わせて、活動の意図をきちんと理解してもらえるよう、クラスだよりや連絡ノートなどを活用して伝えられるといいですね。

フェスティバル

 ポイント

★その国の情報を十分に共有してから「フェスティバル」に持っていきましょう。
 (言葉の不安がある場合は、気持ちも含めて伝わるよう、地域の国際関係のボランティア団体などに通訳をお願いしましょう)
 自分たちの日常とつながる「情報」(食べ物、季節、遊び、寝る時の様子、遊びにいくところなど)を、保護者から聞いておくか、直接、子どもたちに伝えてもらう場を設けてもいいですね、その国の絵本や料理を作ってもらって試食できる機会などもあると盛り上がります。
 子どもたちはどんなことを知りたいと思っているか、話し合って展示するものを決めるとよいでしょう。
★韓国・朝鮮の人たちをはじめ、さまざまな国の人たちが日本で暮らしている状況の中で、お互いの文化を知り、認め合うことは、とても大切なことです。その国の文化を正しく理解し共有することで、それぞれの文化への自覚と誇りを高め、多様な文化を当たり前と受け止める感性が育まれます。
★事前に取組み内容を保護者に伝えて、理解や協力を得ておきましょう。
★保育所・幼稚園あるいは子育て広場などで、外国にルーツのある子どもに出会うと、まわりの子は「違う子」として受け止め、関わりを持とうとしない姿を見せることがあります。
 「正しく知ること」「お互いの文化の良さに触れること」「お互いの文化を尊重すること」など、お互いに知り合う機会をおとなが意図し、それぞれの国を肯定的な視点から伝えることで、知らないことから生まれる偏見や差別を克服するきっかけとなります。(P.8「3 偏見をなくす力」P.35「違いを正確に知ること」参照)
★子どもは「○○ちゃんは何で髪が黒くないの?」「□□さんはみんなと違うね」など、初めての出会いであればあるほど、素直にさまざまなことを言葉にします。
 おとなが「そんなこと言っちゃだめ」と言ってしまうと、子どもは「これは、聞いてはいけないこと」ととらえ、正しく知る機会が奪われ、多様であることの素晴らしさに触れないまま「違う子」として偏見をますます深めかねません。「髪の色って黒だけじゃないよ、いろんな色があってすてきだよね」など、子どもの疑問に正しく答える中で肯定的な視点から「違うことの豊かさ」に気づかせていきましょう。

参考絵本 多文化共生

『ええぞ カルロス』 長澤 靖浩 文/はせがわ さちこ 絵 大阪市教育委員会
『かきねのむこうはアフリカ』 バルト・ムイヤールト 文/アンナ・ヘグルンド 絵/佐伯 愛子 訳 ほるぷ出版
『サラフィナ!』 ムボンゲニ=ンゲマ 原作/マオ アキラ 文/多田 治良 絵 汐文社
『世界のあいさつ』 長 新太 作/野村 雅一 監修 福音館書店
『世界のだっことおんぶの絵本』 エメリー・バーナード 文/ドゥルガ・バーナード 絵/仁志田 博司・園田 正世 訳 メディカ出版
『せかいのひとびと』 ピーター・スピアー 作/松川 真弓 訳 評論社
『手で食べる?』 森枝 卓士 作・写真 福音館書店
『ぼくのアフリカ』 イングリッド・メンネン/ニキ・ダリー 文/ニコラース・マリッツ 絵/わたなべしげお訳 

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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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