【法人名】 協立工業株式会社(外部サイト)(大阪府東大阪市西堤本通東1丁目2-16)
協立工業株式会社は、工業製品の塗装だけでなく、近年は商品の企画にも力を入れており、トイレ用手すりを自社で開発しています。
2017年6月に環境省の「エコアクション21」の認証を取得し、環境負荷の低減に向けて積極的な取組みを進めています。
2018年5月に無料省エネ診断を受診し、省エネに関する改善提案をいただきました。その実現に向けて、経済産業省資源エネルギー庁の「省エネルギー相談地域プラットフォーム構築事業」の支援事業者である一般社団法人省エネプラットフォーム協会の支援を受けて、改善提案を順次実現しています。
1961年 布施市高井田にて創業
1970年 西堤工場(現本社工場所在地)を新設
1986年 法人組織化 協立工業株式会社に社名変更
1997年 トイレの手すりの開発・販売開始
2002年 ISO9001認証取得(塗装業)
2002年 吉原工場(現、有限会社キョ―リツカラード)新設、大型塗装システム導入
2008年 本社工場 無鉛化塗料ROHS化対策実施
2009年 「ゴミの見える化」運動を開始
2015年 もの作り助成金によりPF前処理ライン及び排水設備を導入
2017年 エコアクション21認証取得
2018年 無料エネ診断を受診
【法人名】一般社団法人省エネプラットフォーム協会(外部サイト)(大阪府大阪市西区西本町1丁目13-38 西本町新興産ビル803A号)
(1) 特徴
一般財団法人省エネルギーセンターに登録されたエネルギー使用合理化専門員を中心に設立された団体です。
エネルギー各分野のスペシャリスト、経営支援のスペシャリスト、法律のスペシャリストが多数登録されており、ニーズにあった支援を実施します。
(2) 支援対象地域
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
番号 | 提案項目 | 原油換算削減量(㎘) | 削減額(千円) |
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1 | 前処理ライン水洗ポンプのインバータ化 | 2.7 | 220 |
2 | 焼付乾燥炉直結ダクト等の断熱強化 | 5.0 | 189 |
3 | 乾燥炉開口部からのリーク防止 | 5.0 | 189 |
4 | 焼付乾燥炉の廃熱利用 | 1.0 | 5.6 |
5 | 工場照明のLED化 | 1.5 | 122 |
6 | 排水処理水の屋根散水 | 0.7 | 59 |
7 | コンプレッサ(INV)吐出圧力低減 | 0.2 | 20 |
8 | コンプレッサ(INV)吸込温度の低減 | 0.2 | 20 |
9 | エアー漏れ低減 | 0.1 | 1 |
10 | デマンド監視装置の導入と空調制御 | --- |
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11 | デマンドデータの活用 | --- |
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12 | ガスヒートポンプ空調機(GHP)の導入 |
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13 | トイレ洗浄水に前処理のろ過水利用 |
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14 | 塗装ブースに加湿器導入 |
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15 | 塗装ブースファンのインバーター化 |
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一般社団法人省エネプラットフォーム協会による支援は、下表のとおり、概ね月1回の頻度で実施されました。
(資源エネルギー庁の補助金を利用しているため、支援可能な期間は、6月初旬から1月下旬までの8か月間となります。)
回 | ガス | 電気 | 実施日 | 支援内容(主なテーマ) |
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第1回 | ● | 2018年9月3日 | 現場確認、工場の課題の把握 | |
第2回 | ● | 2018年10月16日 | 施工業者を交えて、乾燥器の省エネについて検討 | |
第3回 | ● | 2018年11月13日 | 乾燥炉外壁、出口の温度測定、電流測定 | |
第4回 | ● | 2018年12月8日 | 乾燥炉吹上げブロアを停止、断熱構想の検討 | |
第5回 | ● | 2019年6月7日 | 施工業者を交えて、断熱効果を確認 | |
第6回 | ● | 2019年7月1日 | 施工業者を交えて、焼付炉の廃熱活用検討 | |
第7回 | ● | 2019年8月1日 | ガス流量計設置確認、ガス使用量比較 | |
第8回 | ● | ● | 2019年9月25日 | デマンド監視装置のデータ活用方法検討、グラフ化 |
第9回 | ● | ● | 2019年10月30日 | デマンド監視装置の設定値による空調機運転の自動制御実施、加湿器設置の検討 |
支援事業者の支援により、以下の設備改善や運用改善が実現しました。
乾燥炉の出口にステンレスシートの暖簾の設置と乾燥炉の入口と出口にL字型のステンレス製鉄板の設置により、加熱空気の漏出を抑制することにより、省エネを実現しました。
(乾燥炉の外壁面の表面温度が、大幅に低下し、加熱空気の漏出が抑制されていることが確認できます。)
乾燥炉の炉体外壁に断熱材を巻き付け、炉からの放熱を抑制することにより、省エネを実現しました。
(断熱材の巻き付けにより、炉の外壁の表面温度は大幅に低下し、放熱を抑制できました。)
水切り乾燥炉についても、炉体外壁に断熱材を巻き付け、炉からの放熱を抑制することにより、省エネを実現しました。
(断熱材の巻き付けにより、炉の外壁の表面温度は大幅に低下し、放熱を抑制できました。)
断熱材の巻き付けにより、乾燥炉の炉内温度は、230℃以上に上がるようになりました。(2019年2月11日、外気温8℃、室内温度12℃)
このように加熱空気の漏出抑制と炉壁からの放熱を抑制することにより、設備改善により、ガスの消費量は、2019年4月には、前年比で20%削減できました。
デマンド監視装置の本体から、USBメモリでデータを吸い上げ、時間毎の電力量を把握したり、生産デマンド監視装置(本体) 量と関連付けての原単位の管理ができるようにしました。また、電力量の設定予測値に近づいた場合には、アラームを発信するとともに、空調の運転を自動制御するように変更しました。
デマンド監視装置(本体)
アラーム発信装置を取付け
デマンド監視装置(警報表示器)
従来は、発せられた警報音により、空調機を手動で制御していた。
空調機(室外機)
アラームの発信により、運転を自動制御
デマンド監視装置から吸い出したデータの活用例(電力量の時刻変化のグラフ)
デマンド監視装置から吸い出したデータの活用例(生産量と関連付けての原単位管理)
空調機については、ガスヒートポンプ空調機を導入しました。また、未更新であった2階の一部照明について、LEDに更新しました。
ガスヒートポンプ空調機(室外機) LED照明
トイレ洗浄水として、前処理ラインの排水のろ過水を使用するよう変更しました。
また、始業点検表に、乾燥炉付近の雰囲気温度と湿度の記載を追加し、点検することにしました。
トイレ洗浄水を前処理ラインの排水のろ過水利用に変更 始業点検表に乾燥炉付近の雰囲気温度と湿度の項目を追加
ガス使用量は、1月から9月までの9ヶ月間で約9%削減できました。
また、電気使用量は、同期間で約10%削減できました。
一方、生産高はこの期間で約15%増加し、生産高が増加したにもかかわらず、エネルギーコストの大幅な削減ができました。
無料省エネ診断の受診を契機に、省エネルギー相談地域プラットフォーム事業の支援事業者である、一般社団法人省エネプラットフォーム協会による支援を、2018年度と2019年度の2年間にわたり受けています。
一般社団法人省エネプラットフォーム協会の支援活動では、改善提案の進め方について、具体的にアドバイスをいただき、あまりコストをかけずに省エネの取組みを進めることができました。
改善提案の実施により省エネの効果が見えてくると、従業員もやる気を出し、省エネに積極的に取り組むようになりました。
売り上げ高が増加した一方、省エネによりエネルギーコストが低減したため、生産性が15%も増加するという、経営上の効果がありました。
また、乾燥炉の断熱化による副次的な効果として、工場内の夏期(9月)の室内温度が34℃から30℃に下がり、労働環境が大幅に改善されました。
今後は、残された課題(塗装作業場への加湿器の導入、焼付乾燥炉の廃熱利用(循環熱風のバーナーブロアの給気余熱への利用)、前処理ライン水洗ポンプのインバータ化、塗装ブースファンのインバータ化)にも取組み、一層の省エネに取組んでいきたいと考えています。
協立工業株式会社様は、代表取締役の林さんが改善活動に積極的であり、私ども支援事業者とともに課題の解決策を考え、その場でどうするかの結論を出していただけました。このため、改善案の提案から実施へ、迅速に移行することができました。また、設備の施工業者にも同席いただき、改善案の実現するための検討に協力していただけました。
このため、協立工業株式会社様では、短期間で、大きな省エネ改善効果を得ることができたと考えています。
このページの作成所属
環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 スマートエネルギーグループ
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