省エネ診断事例-病院・介護施設1

更新日:2023年5月22日

省エネ診断事例-病院・介護施設1

概要

業種

病院

診断受診建物

わかくさ竜間リハビリテーション病院

診断時期

平成26年10月

省エネ診断結果より想定される
エネルギー削減ポテンシャル

・エネルギー削減量:90.0kl(原油換算値)
・コスト削減額:約9,450,000円

建物概要

建物用途:病院構造:SRC
延床面積:約13,000平方メートル建物階数:地上4階、地下1階
契約電力:約500kW竣工:1988年
年間エネルギー使用量:約649kl/年(原油換算値)改修:1997年

省エネ提案項目一覧

運用改善

提案1:空調設定温度の緩和(電動HP空調機)

【提案内容】
 病院内は療養環境優先で空調設定温度は冷房26℃、暖房25℃になっています。冷暖房設定温度を政府推奨の28℃、20℃に近付けることで消費電力量を削減できます。

【考え方】
 設定温度を緩和すると室内外の温度差が小さくなるので、熱負荷、壁・窓・開口等からの熱損失が小さくなり、省エネとなります。正確な算定には種々の条件の調査が必要ですが、一般的に1℃緩和による省エネ率10%と想定されています。

【削減ポテンシャル】
⇒設定温度を1℃緩和した場合
消費電力削減量:54,052kWh (原油換算値:13.9kL/年)

【削減コスト】
1,038千円/年

提案2:省エネ型自販機への更新

【提案内容】
 現行の飲料自販機4台を新しい省エネ型自販機に更新することで、自販機運転に関わる消費電力量を削減できます。

【考え方】
 飲料自販機は省エネ法の第2次特定機器に指定され、年々省エネ性能が向上してきています。現行の自販機を省エネ型自販機に更新することで、消費電力量の削減が可能となります。

参考:飲料自販機1台あたりの年間消費電力量の推移
出典:年間消費電力量の推移(日本自動販売機工業会HPより)

【削減ポテンシャル】
⇒病院内の自販機4台を省エネ型に更新した場合
消費電力削減量:2,414 kWh (原油換算値:0.6kL/年)
【削減コスト】
46千円/年
投資改善

提案3:銅鉄型蛍光灯をLED照明器具に更新

【提案内容】
 病院内の蛍光灯器具は、従来型の銅鉄式蛍光灯40W×2灯式(388台)、40W×1灯式(115台)が多く使用されています。点灯している時間の長い蛍光灯を高効率のLED照明器具に更新することで電力使用量を削減できます。

【考え方】
 LED照明は、従来型の蛍光灯に比べて損失が少なく、ランプ寿命も40,000時間と長いので省電力が図れます。器具毎の更新により電力使用量を削減できます。 

【削減ポテンシャル】
⇒蛍光灯503台をLEDに更新した場合
削減電力使用量:117,305 kWh (原油換算値:30.2kL/年)

【削減コスト】
2,252千円/年
【想定イニシャルコスト】
約7,118千円
【投資回収年数】
約3.2年

提案4:病棟トイレへの人感センサ付照明器具の採用

【提案内容】
 病棟のトイレは現状は蛍光灯器具で年間を通じ24時間点灯となっています。人感センサを内蔵したLEDタイプの器具に更新する事で不要時の消灯、照明効率の改善を行い、電力使用量を削減できます。
(病棟のトイレ22箇所に各3台、人感センサ付照明器具を採用する。)

【考え方】
 人感センサにより不要時消灯すること、蛍光灯からLEDに更新する事により効率改善の両方により電力使用量を削減できます。

参考:人感センサー付照明器具
参考:人感センサー付照明器具のイメージ

【削減ポテンシャル】
⇒病棟のトイレ22箇所に各3台、人感センサ付照明器具を採用した場合
削減電力使用量:22,023 kWh (原油換算値:5.7kL/年)

【削減コスト】
423千円/年
【想定イニシャルコスト】
約1,650千円
【投資回収年数】
約3.9年

提案5:病棟浴室のシャワーヘッド更新

【提案内容】
 浴室シャワーヘッド(64個)を節水型に更新することで、水使用量と燃料使用量の両方に効果が期待できます。使用感や洗浄力を落とさずに温水使用量を抑えた製品が開発されていますので、サービスレベルや作業速度にも配慮しつつ検討を進めることができます。

【考え方】
浴室シャワーヘッドを従来型から節水型シャワーヘッドに変更することで、節水並びに給湯に要する加熱エネルギー(重油使用量)を低減することができます。

【削減ポテンシャル】
⇒浴室シャワーヘッドを64個を節水型に更新した場合
・用水削減量:675立法メートル
・A重油削減量:2,404L
【削減コスト】
・用水:232千円
・A重油:227千円
【想定イニシャルコスト】
約640千円
【投資回収年数】
1.4年
提案6:電動HP室外機への日射遮蔽による空調電力の削減

【提案内容】
 病院内には個別空調用として多くの電動HPがあり、その室外機(18台)は屋上に多く設置されています。よしず等により日射遮蔽を施すことにより室外機の熱交換器フィン等の温度上昇を抑え、夏期における空調機電力の省エネを図ることができます。

【考え方】
 電動HP室外機の南面他に対して日射遮蔽対策をすることにより、凝縮器の負荷を軽減して省エネを図ることができます。

参考資料(出典:省エネルギーセンターによる「産業部門での節電対策」講演資料)
参考写真:寒冷紗及びよしず
         寒冷紗の例                   よしずの例

【削減ポテンシャル】
⇒よしず等を18台導入した場合
削減電力使用量:3,685kWh/年 (原油換算値:0.9kL/年)
【削減コスト】
71千円/年
【想定イニシャルコスト】
約36千円
【投資回収年数】
0.5年
提案7:空調用電動ヒートポンプの高効率化更新

【提案内容】
 管理棟の空調用電動ヒートポンプ6台は冷媒にR-22が使われている古い機種です。現時点で比較するとCOP(成績係数)があまり高くなく、また経年による性能低下が予想されます。最新式の高効率機に更新することで電力使用量の削減を図ることができます。

【考え方】
 空調用熱源機として、空冷の電動式ヒートポンプが多数設置されているが古い機種があります。最新の機器のCOPは向上しており、高効率機への更新により省エネが図ることができます。

【削減ポテンシャル】
消費電力削減量:74,276kWh/年
 (原油換算値:19.1kL/年)
【削減コスト】
1,426千円/年
【想定イニシャルコスト】
約16,280千円
【投資回収年数】
11.4年
提案8:若草棟へのヒートポンプ式給湯熱源の採用

【提案内容】
 若草棟の給湯熱源を現状の重油ボイラからヒートポンプ式(業務用エコキュート)に更新することでエネルギー効率を改善することができます。

【考え方】
 燃焼式熱源に対してヒートポンプ方式とすることでエネルギー効率を改善することができます。

【削減ポテンシャル】
A重油:30,701L
 (原油換算値:11.5kL/年)
(消費電力増加量:-75,874kWh)
【削減コスト】
2,895千円/年 (消費電力量増加分:-1,457千円/年)
【想定イニシャルコスト】
約16,000千円
【投資回収年数】
11.1年
提案9:LED型誘導灯の採用

【提案内容】
 避難口及び通路誘導灯は年間を通じ連続点灯する事から、設備効率の改善による削減効果が大きくなります。誘導灯器具をLEDタイプに変更することで器具効率を改善することができます。

【考え方】
 LED型の誘導灯の採用で消費電力を概ね10分の1に削減できます。LED方式光源の効率改善による効率化が期待できます。

【削減ポテンシャル】
⇒誘導灯68台をLED型に変更した場合
消費電力削減量:22,059kWh/年 (原油換算値:5.7kL/年)
【削減コスト】
424千円/年
【想定イニシャルコスト】
4,435千円
【投資回収年数】
10.5年

提案10-1:水使用量の削減(カラン水量の調整)

【考え方】
 各病棟の洗面台は洗面台下に設置された止水栓の開度がまちまちで吐出水量のバラつきがありました。(一部には周囲に水が飛び散るほど吐出量の大きなものもありました。)止水栓を調整して過剰に水が出ない様に調整することで水の使用量を削減することができます。
 過剰に出てしまうので、利用者が必要な水量に調整しようとしても意図せず過剰な水量となる事も想定されます。バルブ開度を90度(片手で一回捻る角度)とした時の吐出量を一定に管理することで使用量を削減できます。通常、泡沫水栓であれば5L/分程度でも十分な使用感が得られます。
【削減ポテンシャル】
削減水量:1,113立法メートル/年
【削減コスト】
382千円/年
提案10-2:水使用量の削減(病棟トイレへの節水型大便器の採用)

【考え方】
 設置されてる大便器はサイホン(ゼット)式で小用でも洗浄水量が大きいタイプです。男子用小便器は自動洗浄装置が設置され対策されていますが、むしろ使用量の大きな大便器について未対策でした。
 若草棟に設置の大便器は型番からすると1回あたり13L程度の水を消費します。竜間棟については更に水量が多いことが予想されます。現在ではパブリック用でも1回あたりの使用量が6Lといった便器が一般的となっています。

【削減ポテンシャル】
⇒病院内の便器56台で採用した場合
削減水量:4,344立法メートル/年
【削減コスト】
1,491千円/年
【想定イニシャルコスト】
11,200千円
【投資回収年数】
7.5年

 

このページの作成所属
環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 スマートエネルギーグループ

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