事例40 「子ども文化財解説」− 河内長野市 −

更新日:令和2年3月31日

「子ども文化財解説」 − 河内長野市 −

活動のあらまし

 河内長野市では、子どもたちが郷土の歴史や文化について学ぶ「ふるさと学」の取組を平成23年度より進めています。「子ども文化財解説」はその一環として始まり、校区内に天野山金剛寺がある天野小学校や、観心寺・延命寺がある川上小学校で毎年実施されています。

 同市には貴重な中世文化遺産が数多くあり、令和元年には天野山金剛寺、摩尼院の建造物群が重要文化財として指定を受け、さらに、地域に伝わる文化や風習、史跡などをつないだストーリー「中世に出逢えるまち〜千年にわたり護(まも)られてきた中世文化遺産の宝庫〜」が、日本遺産に認定されました。

 そんな文化財や歴史について、子どもたちが学んだことを自分たちの言葉で解説するこの取組は、学校教育としての郷土史学習の側面だけでなく、学校や地域、或いは大人と子ども等、関係者どうしをつなぎ、地域を活性化させる力を秘めています。

活動のポイントとエピソード

ここがポイント1 文化財の価値・意味の再発見と地域への浸透

 河内長野市は古くから京都と高野山を結ぶ街道の要衝で、天野山金剛寺、観心寺の2大寺院の興隆により多くのお堂や仏像、社殿が造られました。現在、市内の国宝は8件、重要文化財は77件に上り、市内各地域で古くから伝わる伝統行事も数多くあります。

 しかし、時代とともにその伝統や価値が忘れ去られたり、文化財も普段から見慣れ過ぎているが故に特別感が薄れたりして、地元の住民といえども、それらについて詳しく語れる方ばかりではありません。

 「子ども文化財解説」は、子どもたちが文化財について学んだことを保護者や地域の大人にPRすることで、地域に住む方が改めて身近な文化財や歴史、行事のルーツ等を知り、その意味や価値を再発見することにつながっています。地域の持つ特色や魅力を再認識することで、郷土愛や地元への親しみが一層深まることとなります。また、大人世代の理解が深まることで、生活の中で自然と子どもたちにも伝わっていくなど、老若男女を問わず、世代を超えて地域全体に広がるという好循環を生み出しています。

ここがポイント2 文化財を起点とした、様々なつながり

 2018年に改正された文化財保護法では、文化財を修理・保存して継承するだけでなく、活用していくことも重視されています。

 河内長野市では、観光誘致や景観維持に関する取組、まちづくり協議会等の行う地域づくり等、地域の文化財と関連させた様々な取組を進めていますが、文化財を介して複数の取組が交わり合うことで、自然と関係者がつながりあい、連携体制が生まれています。個々の取組の目的を達成することはもちろん重要ですが、各方面との「つながりづくり」を生む、その過程・プロセスを大切にすることで、文化財を起点としたネットワークができ、広がっていくのです。

 「子ども文化財解説」も例外ではなく、市教育委員会と学校との連携はもちろん、子どもたちと地域の大人とのつながりなど、子どもたちの学習成果だけにとどまらず、取組を通じた関係者間のネットワークができたことは大きな成果となっています。また、現在実施している2校がモデルとなり、それぞれの地区が持つ文化財や地域の特色を生かせる取組として他校にも広がりを見せつつあります。

 市では、今後さらに公民館等の取組との連携も検討しているとのことで、各所でのつながりが広がっていけば、地方創生・地域振興への貢献も期待される他、地域住民だけでなく、文化財を目的に訪れる観光客とのつながりも生まれる等、様々な可能性を秘めています。

ここがポイント3 子どもたちの主体的な学びが郷土愛につながる!

 「子ども文化財解説」では、子どもたちが学んだことを元にグループになって解説を行いますが、その解説方法は多種多様です。寸劇にしたり、クイズ形式を取り入れたりと、聞き手に興味を持ってもらうためにそれぞれのグループで工夫を凝らし、アイディアを盛り込んでオリジナリティあふれる解説を行っています。

 そのため、子どもたちは学習を通して単に知識を得るだけではなく、その知識を伝えるためにどのようにすればよいかといった「主体的に考える力」や、仲間と意見を交わし、チームで協力して課題解決を図る「調整力」、「団結力」など、多面的な力を養うことができます。また、苦労を重ねて作り上げた解説を地域の大人に聞いてもらうという実践を通して、子どもたちは非常に大きな達成感と満足感が得られ、自信を持ち、自尊心を高めることにもつながります。

 さらに、「子ども文化財解説」は郷土・歴史学習の一環として始まったこともあり、地元地域への関心と理解を深めて郷土愛を育むこともねらいとしていますが、市の担当者によると、市が実施する意識調査の結果では、この取組の対象だった年代層が「河内長野市に愛着と誇りを感じている」と肯定的な回答をした割合が平均を超えていたり、「ふるさと作文コンクール」でも「河内長野が好き」「誇りに思う」といった内容の作品が数多くあったりするなど、確かな効果が出ているとのことです。こうした取組が長期的に継続されることで、ふるさとを愛し、大切に思う気持ちをもった子どもたちがやがて大人になったとき、地元への定住促進につながることが期待されます。

gp40

このページの作成所属
教育庁 市町村教育室地域教育振興課 社会教育グループ

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