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令和2年12月委員会会議会議録
大阪府教育委員会会議会議録
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1 会議開催の日時
令和2年12月23日(水曜日)午後2時00分 開会
午後2時54分 閉会
2 会議の場所
委員会議室(府庁別館6階)
3 会議に出席した者
- 教育長 酒井 隆行
- 委員 竹若 洋三
- 委員 井上 貴弘(オンライン出席)
- 委員 岡部 美香
- 委員 中井 孝典
- 委員 森口 久子
- 教育監 向畦地 昭雄
- 教育次長 後藤 克己
- 教育センター所長 村田 純子
- 教育総務企画課長 仲谷 元伸
- 高等学校課長 大久保 宣明
- 高校再編整備課長 大武 基
- 支援教育課長 黒田 一人
- 保健体育課長 西田 修
- 小中学校課長 桝田 千佳
- 地域教育振興課長 北川 辰弥
- 教職員企画課長 柳生 国良
- 教職員人事課長 金森 充宏
4 会議に付した案件等
- 議題1 知事からの意見聴取に対する回答の承認について
- 議題2 令和3年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について
- 報告事項1 「大阪府視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画(案)及び「第4次大阪府子ども読書活動推進計画(案)」について
- 報告事項2 新型コロナウイルス感染症に係る対応について
5 議事等の要旨
- (1)会議録署名委員の指定
森口委員を指定した。 - (2)11月10日の会議録について
全員異議なく承認した。 - (3)議題の審議等
議題1 知事からの意見聴取に対する回答の承認について
【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた令和2年9月定例府議会に追加提出された次の議案について、大阪府教育委員会事務決裁規則第5条に基づき教育長が代決により異議がない旨を回答した。この代決を、大阪府教育委員会事務決裁規則第7条第2項に基づき承認する件である。
事件議決案
- 指定管理者の指定の件(教育委員会所管施設)
条例案
- 職員の期末手当及び勤勉手当に関する条例等一部改正の件
- 職員の懲戒に関する条例一部改正の件
- 大阪府立学校条例一部改正の件
【質疑応答】
(森口委員)府立学校条例一部改正の件について、現在運営されている21校の大阪市立高校を大阪府に移管するということが決まった。これについては、順次移管に伴った細かなこと、大阪市と大阪府の違いというのが明らかに出てくると思うので、職員給与や待遇、それから教育現場でのシステムの違い、そういったものを今後丁寧に取り扱っていただけることをもう一度ここでお願いしたい。
(教育長)ご指摘の通りであり、議会からも、委員会の場でも色々ご指摘をいただいている。準備期間が1年3ヶ月と非常に限られているが、課題を一つ一つスピード感を持って着実に解決して、今回の移管が大阪の教育力の向上にとって貢献できるものになるように、しっかりとやっていきたい。
(中井委員)条例案の2番の2項について。児童又は生徒の人権を侵害する発言等についての懲戒処分の基準を定めるという点について、報道等でこういう事案がよく報道されて、私も本当に心を痛めている一人である。これを本当に撲滅していただきたいということで、やはり現場の長である校長が、具体例を挙げてしっかり教職員を指導していただきたいと言う思いがある。よろしくお願いしたい。
(竹若委員)今の中井委員の質問に関して、この懲戒処分の対象となるのは、誰なのか。府の職員も教員も含まれるのか。
(教職員人事課長)処分の対象について、条例は大阪府の職員、行政職も含めて全般が対象だが、先ほど中井委員の方からご質問のあったその二つ目の部分につきましては基本的には学校の教職員、府立学校と市町村立学校府費負担教職員が対象となる。
(教育長)ハラスメントも含む不祥事に対しては、教育委員会としてはこれまで以上に毅然とした姿勢で臨んでまいりたいと考えている。
(井上委員)市立高等学校の府立への移管に関して、一部のメディアでは、デメリット等でこういうことがあるのではないかということが報道されていて、それを読んだ府民の方、特に市民の方でも、そのように感じられる方もおられるのかなと思う。改善課題になるという点が想定されているのであればそれは何か、それに対してどういうふうに課題を解決していくかというのもあれば、具体的に説明してほしい。
(教育総務企画課長)先ほど森口委員のご発言の中にもあったが、職員の給料の形が少し違う。元々は一緒だったのだが、大阪市は独自給料表を採用しているので、大阪府とは少し違う形になっている。細かい点だが、システムが少し違っているところもあり、この1月から、大阪市の方に日々出張で2人来ていただくような形でチームを作らせていただいている。来年度は大阪市から何人か常勤で来ていただいて、大阪府と混成チームを作り、専門的にそういった課題を解決していくべく、現在組織作りを進めているので、そういった中でしっかり検討していくことと併せて、府民、市民の方々に丁寧にご説明をしていきたいと思っている。
(教育長)市民の方から見て、保護者生徒の皆さんから見て、大阪市がこれまで取り組んでこられた特色ある教育課程が色々あるので、そこのところについては当然、それを継承するということを今回の発射台にして、さらに府立と切磋琢磨をすることによって、また更に発展させていくということを基本的な考え方として、私としては臨みたいと考えている。
(森口委員)井上委員からご質問がありましたように、今、府立高校と市立高校が現在併存しているような状態である。大阪府医師会としては、実際両方に学校医を出しているが、やはりシステムの違いはある程度明確に見えてきている。移管に関しては比較的目に見える形での違いというのは生徒にも教職員にもあると思う。特に教職員に関しては、今、教職員のメンタル、それから健康管理、そういったものに対するシステムについて、比較的大阪市のシステムが統括産業医なども含め一定私どもとしては良いと思っているところがある。それが大阪府へ移管されるときに、ぜひともそういったシステムを見習いながら、先ほど教育長がおっしゃったように、良いところはしっかり取り込んで行っていただければと思う。
また生徒たちに関しては、やはり学校医そのものの設置、そういったものも例えば具体的には市立高校には、眼科校医、耳鼻科校医がいるというように少しシステム上異なる。全ての仕組みが大阪市教育委員会と大阪府教育委員会で一緒になることはやっぱり難しいので、本当にこれからスピード感を持って時間のない中、上手にすり合わせていっていただけければというのが、現場にいる者の声である。
【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、井上委員、岡部委員、中井委員、森口委員)
議題2 令和3年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について
【議題の趣旨説明(高等学校課長 小中学校課長)】
標記における「取組みの重点」(府立学校の校長及び准校長が令和3年度学校経営計画を作成するにあたり、府立学校の運営の指針となるべき事項として、また、市町村教育委員会に対する指導・助言の基本方針として、新型コロナウイルス感染症に係る対応、ICTを活用した教育の推進、人権尊重、いじめ防止、教職員の資質向上等、令和3年度に重点的に取り組むことを定め、周知徹底を図るもの)について決定する件である。
【質疑応答】
【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、岡部委員、中井委員、森口委員)
(森口委員)重点6の学校の組織力向上と開かれた学校作りの働き方改革というところだが、府立学校の教職員の業務量の適切な管理というところについて、私も産業医として学校現場に入り、こういった形で明確に労働時間について決めていくことについて、ここ数年、非常に教育委員会として積極的な取り組みをされてきたと思う。働き方の時間数もしっかりと減らしていただき、長時間労務も目に見えて減ってきているが、やはり心の中のことも含め時間数は減ったものの、実際のところ先生方にかかる業務の負担というのは決して速やかには減っていないというのが現状である。極論を申し上げると、やはり、疲れた先生方がお休みをいただいた場合の速やかな代替要員であったり、また時間数を減らして、その仕事をどういった形でコンパクトにまとめていくかというような具体的な工夫などについても今後されていくところだと思う。結論としては、やはりメンタルのフォローと、それから具体的な仕事内容のコンパクト化というのが今後もっと目に見える形で教職員、現場の先生がたに見通せるようなものになっていかないと、なかなか時間で切っていっても、働き方改革、それから教職員のメンタルの負担その他の負担軽減には繋がらないのかなという印象をまだ少し持っている。この辺りは今後具体的な方策も含めてもう少し踏み込んでいくべきところではないかと思う。
それともう一点、医療的ケアのところが、府立と市町村とではやはり異なってくると思う。医療的ケアは、府立学校では支援学校として、本当に大阪は日本でも非常に進んだシステムをお持ちだと思う。全国レベルで見ても医療的ケアに対する気持ちの強さが非常に伺えるが、こと市町村にいくと、全ての学校に医療的ケアの子どもたちがいるわけではない。市町村で1人2人といったところであっても、インクルーシブ教育の考え方からして、そういった医療的ケアを受ける子どもたちが学校にいるということの素晴らしさを、本当に全ての生徒たちがお互いを認め合っていくためには、それぞれの学校に医療的ケアが行き届く方法というのを見つけていかなければならないと思うので、ここのところが市町村の取り組みと、それから府立学校の取り組みの少し違う点かと思っている。こういったことを現場の方からご意見を述べさせていただいた。
(教育長)働き方改革の点で、担当課より何かあるか。
(教職員企画課長)働き方改革の関係について、今委員もお話いただきましたように時間外の在校時間ということで、昨年度の実績で、時間外在校時間が一番多かったピーク時の平成27年度と比べると14%強減ってきている。今年度も上期の状況ではあるが、休業もあったので、昨年度同月比に比べまして今年の4月から9月についても、2割ほど時間外在校時間は減少しているという状況である。ただ、コロナの関係でいろいろな対応があり、教職員の方々の負担感が増しているということも当然認識しており、今後、時間外在校等時間について、教育庁としても規則を定め、適切に管理していく予定であり、引き続き様々な観点から、働き方改革の取り組みについてしっかり進めていきたいと考えている。
(教育長)市町村の医療的ケアの支援体制についてはどうか。
(支援教育課長)先ほど森口委員がおっしゃった通り、まず府立の方は通学支援事業の方を中心に、看護師の付き添いも今年度本格的に入れてやっている。市町村については、設置者ということで市町村が基本的に対応するが、我々は今年度もサポート事業として、例えばいわゆる医療的ケアが必要な児童がおられるときに、例えば施設改修が必要な部分については、広域行政の立場としてサポートしている。それで、今委員がおっしゃったように、今年度医療的ケアの必要な児童生徒がどれぐらいいたかいうことも調査しており、あとは市町村の方で本当に必要な部分のニーズを踏まえ、医療的ケアも含め新たな部分にはできないかということも含めて、今予算編成過程の中で議論をしているところ。先生がおっしゃった趣旨も含めて、市町村と連携しながら、少しでもインクルーシブ教育の実現の中で、サポートをしていきたいと思っている。
(岡部委員)ICTのところで少し伺いたいこととお願いしたいことがある。これからの時代を考えるとICTを活用した取り組みを推進していくのはもちろん必要なのだが、方法だけが先行してそれに中身がついていかないということになるのが一番怖いことである。中身が旧態依然のままで、その延長として、中身がちょっと遠いところに届けられるというだけのものになるのであれば、どちらかというと長期的には弊害の方が大きく出てくる可能性もあり、それだったら対面の方が良いというような内容を発信するままでいるのでは、転換期はそれで仕方がないにしても、長期的に見るとICTだからこそできたということを開発していかないといけないと思う。こういった状況になってくるときに市町村の壁、あと学校の壁というのをどうにか壊していって、できるだけコンテンツを、日本全国とかあるいは世界で共有できるというようなシステムをどうにか構築していく方向をお願いしたいと思っている。というのも、次のグローバル人材の部分にも関わってくるが、もう1学校とか1クラスとか1つの地方自治体とかがそれぞれに中学校2年生の算数の教材を開発するとか、それも外国語対応するとか、そういうことを全国で繰り広げていても、それはもう働き方改革という面から見ても、これだけ新しくどんどん児童の教育プログラムが開発されていて時代が変わっていくという状況に先生達、学校、委員会が対応していくことが難しいという面から見ても、それぞれが個々に全てを担当していくことはもうおそらく無理な時代になってきている。となってくるのであれば、開発したものをみんなで協力して、ここを開発してないから、次に自分のところがこれを開発して、別の部分は別のところが開発してみんなで共有していこうというようにしていかないと、多分遅れていってしまうだけになっていくので、ICTを活用していくというだけではなく、お互いにコンテンツについて、できるところを共有する必要がある。もちろんこういうことを共有するとなってくると、著作権等色々な問題が出てくると思うので、そういった問題も法的にクリアしながら、ぜひコンテンツを遅れないようにお願いしたいと思っている。
その際に二つ、気をつけないといけないと思っているのが、グローバル化という場合にどうしても英語が先行してしまうが、やはり英語だけではなくて、国内だけ考えても様々な言語を必要とする人たちがいるし、大阪の教育の素晴らしいところの一つが母語保障をしているところだと思う。そういった母語保障するグローバル人材をどう形成していくかというのは、大阪の教育の一番難しいところではあるが、一番素晴らしいところなので、そういった部分に重点を置いていただきたいが、重点項目の中には出てきておらず、英語だけが突出しているので、その点複数言語というところをどう保障していこうとしているのかというところを伺いたいのが1点である。
もう1点は、障がいがある人たちは、障がいがあるというふうに公的に認定されると動きやすくなるが、そうではないグレーゾーンの場合が一番動きにくいと思う。特にICTやグローバル人材というときに進みにくいと思うが、そういう障がいがあるというふうに、認識するのが難しい、あるいは公的にそういう認識を共有することに抵抗があるという人も含めて一人ひとりのニーズに応えていくというような体制をどう作ろうとされているのかということについて1点、伺いたい。
(高等学校課長)今ご指摘の点は、どれも非常に大切な点だと思っている。前半でおっしゃっていただいた、様々なコンテンツ等の共有については、我々もいろんな場面を作りながら、この後、市町村の取り組みを含めて、そういう垣根を越えた共有、さらにそういったものをお互い切磋琢磨する中で、さらに充実していくような工夫が必要であると思っている。
それから、お尋ねの大阪の教育がこれまで大切にしてきた多様性に対する配慮については、日本語指導が必要な生徒に対するケアという観点で、これまでも府立7校で「枠校」という取り組みを進めてきた。ただ、前回にも申し上げた通り、これまで7校それぞれの学校の努力で、それぞれに進化してきたというのは、大阪の非常に貴重な財産であると思っており、この7校の取り組みがさらに共有されて、お互いの成果物を共有することによって、多様な子どもたちに還元されるような、そういう仕組み作りをしていかなければならないという課題認識を持っているので、この後、まさにICTも活用しながら、中心となる学校をしっかり位置付ける中で、教材の開発等も含めて取り組んでいきたいと思っている。この取り組みはこの後も大事にしたいと思っているので、引き続きよろしくお願いしたい。
それから障がいのある生徒を、もっと言えば、障がいと呼ぶべきか、いろんな特徴特性があるというような形で、学校現場でいろんな配慮が必要な子どもたちが、府立高校の中でも、数的にも非常に増えているという実態がある。色々と至らない点もあるが、府において取り組んでいるのは、入学時に高校生活支援カード、こういったもので、まずは保護者の方、生徒さん自身から様々な個人の特性等について丁寧に聞き取って、さらにはいろんな外部人材の力も借りるようなシステムができつつあるので、教員だけではなく、専門家のアドバイスも受けながら、組織としてそういった生徒に寄り添う指導をどうしていくのかということについても、この後、充実させていきたいと思っている。まだまだ未完成の部分があるが、引き続き研究も含めて取り組んでまいりたい。
(岡部委員)いろいろご尽力していただいていることが伝わってきたので、ぜひ継続をお願いできればと思う。その際に2点、今伺っていて、考慮していただければというところがある。
それは、財産は学校だけではなくて本当にいろんなところにあるということ。この間、府立中央図書館に伺ったが、それこそ43ヶ国44ヶ国語の本が置いてある。それをおそらく学校の先生方はご存知ないし、あと、それが日本語として提供されていないところがあるので、学校の先生たちがそれを活用することが難しいということで、小中学校課の方が動いて、それを情報共有できるシステムを作ろうとしてくれている。先ほども申し上げたように、1学校だけで、1クラスだけでなんとかこの子たちに対応していこうという先生がたの熱意はすごく貴重だが、もうそれだけではグローバル化とかICT化に対応できないという時代になってきている。他に頼るということは別に恥ずかしいことではなく、むしろそういう他とコミュニケーションを取れるという力が求められている。これもずっと言われてきたが、まだまだ何とか自分たちでしようとされる責任感の強い先生がたが多いところがあると思うので、その責任感をどう広げていくかという形で活用していただけるように、研修などでも委員会の方から強調していただければというふうに思う。先生がたのプライドもあると思うので、そのプライドをぜひ肯定的に転換できるような形で研修を進めていただければと思う。
あと1点、入学時に記載するシートは本当に貴重なものだと思うが、入学してからシートを調べて、それをソーシャルワーカーが見て、カウンセラーが見てとなってくると、どうしても5月6月というところからの本格対応になってくる。本当に学校種を接続する4月5月で対応しないといけないところはすごくたくさんあると思うので、これも難しいとは思うが、学校間の接続がよりスムーズにいくように、特に大阪はもう府の中でどこに行ってもいいという形で、学区を取り払ってしまったというところが、いい意味でも悪い意味でも特徴として出てきているので、福祉的な支援ということに関しては困難なところが全面に特徴として出てきているところがないわけではないので、中学校と高校とがスムーズに情報交換ができるような形で何とか橋渡しを、もう少し厚みを増していただければと思う。
(小中学校課長)コンテンツの共有というのは本当に今できることだと思う。国にもそうシステムがあるが、それを知らせることと、府としてやはり大阪の課題に対応したいろいろな取り組みを広げていくことが必要であり、小中高まで来年度に向けて今色々と考えているところで、ぜひ具体化させていきたいと思っている。小中連携は多い一方、中学校から高校への接続については、非常に大事なことでありながら、時間がかかったり、手間がかかったりというところで、小中なみに十分に対応できていないという実態はわかっておりますので、その辺の対応をしていきたいと思っている。
それと、先ほど森口委員からご指摘もあったように、仕事内容のコンパクト化や、メンタルのフォローという点においても、コーディネートを上手くしていきながら、それぞれが責任を持ちながらも、頼るというような体制になるようにしたい。ちょうど、図書館のことを岡部委員からご指摘いただいてすぐ、昨日行ってきたが、本当に資料が充実していることを目の当たりにし、知らないだけで活用しないのはもったいないという思いである。そのあたりを日本語指導、母語の指導等にも生かしていきたいと考えている。
(教育長)図書館を高校側が活用するとかいう仕組みはあるのか。
(岡部委員)この間府立図書館を2回ほど視察したところ、市町村に頼めば、高校も中学もその単元を教えるために必要な本を送るというシステムが整っているとのことで、使うところは非常に活用されているそうなのだが、ここを活用したらいいのにという、「困難校」のようなところは、本当に自分たちだけで頑張ろうとしていて、そういった情報が行き届いてない部分があったので、そういう情報をうまく高等学校課から提供していただけるとありがたい。
(高等学校課長)一部の学校で中央図書館等とそのような交流、連携はしているが、おっしゃる通り、それが広く全体のものになっているかということでいうと、今ご指摘いただいた、教材、そういったものの活用が十分進んでないのは、もったいない話だと思うので、今後そういう情報の共有、広報に努めることで、紙の資料、図書の活用も全体で進むように、また工夫してまいりたい。
(井上委員)今回いろいろご意見をいただいて盛り込んで頂きありがたい。中でも、例えば経済環境が悪化した家庭、民間の企業の打撃を受けている業種の方々等々のように家計に打撃を受けて自分の給料が減ってないとやっぱり、公務員の方々には他人事としか思えないことになってしまうということがあるかと思うので、やっぱりそういう環境があるというのは先生方にはしっかり頭に入れていただき、もしそういう生徒がいたら寄り添っていただくっていうことは非常に大事かなと思っている。
あと、小学生は「取り残されない」ということと、中学生高校生は「諦めさせない」ということ。これを教育の現場で、しっかりやっていくことと、現場だけでできないのであれば、他と連携して、対応していくということがコロナ禍の中求められることと思う。
それと、さきほど岡部委員からお話があった、教育のコンテンツというところ、これも、共有、開発を一緒にやっていこうということが大事と思っている。民間で言うと、今、オープンイノベーションという言葉がかなり流行っている。これが何かというと、大企業といえども自社開発には限界があるということで、例えば社歴が浅いけれども、斬新なサービスとかアイディアを提案できるところと連携して、いろんなものを共有して開発していこうという試みが、民間でどんどん行われている。府は府だとか市町村だというその独自の考え方があると思うが、やはりそこは積極的な連携をやっていくっていうことが非常に大事と思う。民間でなぜ積極的にやっていくかというと、売り上げを上げて利益を出さないと、会社が回っていかないということで数字にセンシティブに対処していかねばならない。教育の現場というのは、税金で行われているのであるから、新しいことに取り組んで効率面について考える必要がある。
それとあともう一つ、世の中の流れで、民間でコロナ禍の中で使われている用語、「DX」、すなわちデジタルトランスフォーメーションという用語であるが、これは非常に大事な観点である。教育の現場でもDXを進めていくのであれば、教育委員会からも、やはりデジタル化、ペーパーレス化を進めていくことが、やはり教育の現場においても、先生がたの負担軽減に繋がっていくのではないかと思っているのでご検討いただきたい。
(岡部委員)井上委員がおっしゃった中で、企業との連携ということで、以前枚方市でSDGsを基にした教育で、企業の方に入っていただいて、中学生が、今自分たちがSDGsの目的のために何ができるかというのを発表するという授業を見せていただいたが、非常に面白い授業になっていた。まさにオープンイノベーションの話を、実際にそれをされている企業の方が、実際に来られたり、オンラインでお話をされていた。例えば、ニッスイの方が、自社だけではできない、「養殖の現場で魚を殺さずに魚の大きさを測る」という仕組みについて自分たちでは開発できなかったから、NECと一緒に開発したというようなお話を実際にされているのを見て中学生が目を輝かせて、「一つの企業に入るってことはいろんな企業と繋がることなんだ、世界と繋がることなんだ」というのを感じ取っていけるような授業だったので、あの授業を大阪府の小中学校課がしているということを、もう少し外に、それこそICTを使って宣伝してそれに企業が協力してくれるようなパイプを作っていくことが重要なのではないか。大阪府の中だけで、学校の中だけで、という形の努力になってしまわないで、本当に企業が協賛することで企業のイメージもアップするし、企業がそれこそ市場を学校から開発していくっていうことにもなる、というアピールをぜひ大阪府の方からしていただいて、そういった企業が教育に協力するというモデルをもっと強く外にアピールしていっていいと思う。
(小中学校課長)今大きく2点、委員からご指摘いただいた。一つは家庭の経済環境の悪化。これは、来年の指導助言の前に今年からも気になっており、家庭の状況は子ども自ら言える場合もあれば言えない場合もあるので、進路指導、特に高校進学の指導の際に、子どもの実態をつかんだ上で、家計の急変によって、諦めることのないようにということで、例年以上に奨学金等について、わかりやすい一覧表にまとめて保護者まで届くようにということはずっと気をつけているところである。来年も、進学に関わらず、お家の状況によって子どもたちにたくさんの影響が出てくるので、そのあたりは専門家と連携して取り組んでいきたいと思っており、市町村にもしっかり伝えていきたいと思っている。
それから、まさにICTを活用するという中で、民間企業との連携というのは、今岡部委員からもご紹介頂いたところであるが、やはり学校が苦労して、主体的、対話的な深い学びを進めていくというような目標のもと、企業との連携は非常に大事だと思う。子どもたちが、先生が言っても、子どもたち自身が考えても気がつかない視点を、社会とつながり、民間企業の方のお話の中から築いていくというのは非常に大事なことである。その辺りも、実は、私たちが必死で汗をかいて繋がろうとしていたところ、万博協会と連携して、テキストも作れたし、来年はそれを一人1台の端末にテキストを提供して、いろんな学校で学習してもらおうという展開を進めている。このような取り組みを今年モデル的にやっているが、うまくいった例もうまくいかなかった例も、非常に大事だと思うので、今後取り組みを拡大して子どもたちの学びを深めていきたいと思っている。
(教育長)万博というオール大阪で共有できる、大きなテーマがある。その中でいろんな形での企業とタイアップして、まさにオープンイノベーションで教材を作っていくことは、これからのあり方として私も認識している。また、会議のペーパーレス化は、すでに大阪、例えばコロナ対策本部でもペーパーレス化が進んでいるし、やろうと思えばできるのではないかと私は思っているが、どうか。
(教育総務企画課長)検討いたします。
(教育長)検討させていただく。
(竹若委員)先ほどからいろいろと委員のご意見を聞かせていただき、これから進んでいくべき方向性、視点についてお話をさせていただいた。例えばICTを使った開発は、私は一校の一教員に任していてはできないと思う。ただ、現場に携わった経験者として申し上げると、大阪府の教育で一番欠けているところは、研究会が存在しないということ。かつては存在したのだが、財政難などの理由で補助金等が全部カットされていて、もう教育研究会という名前が残っているかどうかわからない状況になっていると思う。私は今、話を聞きながら、教材を一つ開発しようとすると、やはり、教員の優秀性を発揮するために、教育庁が組織だって予算化をして、研究会の組織を作れば、可能ではないか思ったりもしている。先程、枚方の話も出たが、たまたま学校と万博協会というのが結びついていい方向に進んでいるけど、それがどう波及していくかいうと、波及の度合いはやはり弱いと思う。近隣の学校がそれをまねた取り組みをするかもしれないが、それで終わってしまうかもしれない。そういう意味で考えると、やはり、大阪府教育庁として、本気度を示す意味で、これから研究会の立ち上げ、その実効性というものを、5年後10年後を見据えて構築していく必要があるのではないかと思う。
私は、特に障がいのある子どもたちの教育に関わって、大阪府は全国に先駆けて先進的に取り組んできたという自負があるものの、やはり課題も多くある。先ほどの医療的ケアの話も、私も現場にいたときに、大阪はすごいな、補助金を予算化してもらえる。ほかの都道府県はない。これは国でも申し上げたことだが、先進的な大阪でさえ、まだ一人ひとりの子どもに関しては、森口委員の話ではないが、市町村によって差があるなら、ぜひ対応しないとならないし、それも、一学校の対応ではなく、障がいのある子ども全てに行きわたるように、組織というものも活用していくのが大事と思っている。改めて、物事をすすめていく開発のための予算化をお願いしたい。
(教育長)教科研究というのは現状どのようなものと認識すればよいか。
(小中学校課長)現状としては、教育研究の任意団体は各市町村には存在している。それが府レベルで組織できているところと、できていないところがある。例えば先ほどの、図書館教育なども、熱心にやっているところでは、コンテンツを共有して、市町村の中でも本の貸し借りができる、中央図書館とも結びついて、というような取り組みを府レベルでやっている。また、教科については図書館とも結びついて、大変熱心なところと、そうでないところがあるので、府がやっていくこととしては、まずはそういう研究団体としっかり中身のコラボレーション研修等をやることが必要。学力向上の取り組みのときにはそういう面もあったので、今も経験の少ない先生方が多くなっている中で、研究会の活動は活発ではあるが、いいものを広げていくという点で、そことまず連携をしていくということが大事になってくると思うので、どこにゴールを見定めて、何に向かっていくのかというところを共有しながら、うまくやっていけたらと思っている。市町村によっても教科によっても差があるというのは事実ですが、教科研究の団体は、一応存在している。
(教育監)続きまして高校の件について。ただ今のご指摘と同じで、活発に研究会の活動が続いているところと、なかなか世代交代が上手く進まず、活発に活動ができていないところ、これは教科あるいはそれ以外の研究会も含めて存在している。今回、ICTの件で授業動画を教育センターでもアップしたが、そのときは、ある研究会にも声をかけ、幾人か人を推薦していただいて、連携も始めてきたところであるし、研究会が活性化していくっていうのは非常に重要なことだと思う。我々も教育委員会の力だけで、コンテンツを今いろんなところから集めて、アップしようとしているが、教育委員会だけの情報網ではなかなか難しいし、教育委員会だけで作るのも難しいことなので、この連携を強めないといけないというのを、ちょうど考えていたところである。教育委員会が、活性化という意味で、予算についても、人的にも関わりながらサポートできるような体制を考えていきたいと思っている。
(竹若委員)そこまで言っていただいてありがたい。例えば学力の件でいえば、秋田県、福井県が高い。これは母体になっているものが何かというと、研究会である。
秋田県でいうと、算数数学研究会という組織を全県挙げてずっと継続して、学力を向上する施策を取っている。そこに入った教員が学校現場に戻って内容を広めている。福井県の体力についても同様。福井県の体育研究会はもう50何年の歴史があり、毎年毎年課題を検討している。そこに教員一人ひとりが世代交代を図りながら、尽力している。
私も実は福井県、秋田県に学び、研究会を立ち上げた。そのときにやはり大変だったが、そこには教員が育ってくる。そしてそれが広がる、それで繋がる。これの繰り返しが私は教育力の向上に一番早いと思っている。そのためには、私はやはり、教育庁だけではできないと思うので、校長会の力、機能力を活用するようにするべきだと思う。例えば、府立学校の校長にICT教育を活用した教育をどう進めるべきかという課題と予算を与えて、そこの校長会が中心となって研究会を組織する。こういう分科会、ワーキンググループといった中で、校長自身、教育力の向上に活用できるようなシステムをこれから考えていく必要があるのではないか。それが市町村も含めて、大阪府全体の教育力の向上に繋がるのではないかと思う。
(教育長)大きな方向性というところに向かってベクトルをどう合わせるということだと思うので、ご指摘を踏まえて検討させていただきたい。
(井上委員)研究会について、根本的に変えないと対応できないのではないか。例えば校長会の校長先生方にITリテラシーがあるのかという問題がある。教育庁が中心となってITリテラシーの高い若手教員をピックアップして、例えば算数の課題などを提案させ、先輩の先生がたから意見を取り入れながら改善していくという形をとらないといけないのではないか。今までずっとやってきた研究会を活性化するとか、校長会の中でやるというのであれば、また元の議論になるが、ITは手段に過ぎず、その手段を用いる人のITリテラシーが低いとそもそも現在の課題は解決しないのではないかと思うので、その辺は、今までこの進め方でやってきたということは置いて、根本的に考えないと、IT教育を効率的に進めていけないと思うので、その辺についてはお考えいただきたい。
(竹若委員)私の言葉足らずで誤解を生んではいけないが、今までの取組を踏襲すべきというのではない。これから教育庁が求めていこうとする方向性なり視点について、課題を与えて、それを校長会という組織を巻き込みながら、いろんな企業も含め導入し、教員が研究する組織を作っていく。優秀な教員はたくさんいるので、その辺をどう選抜するかについて、いろんな問題があるかもしれないが、そういう意味で申し上げた。今までの研究会を私はどちらかといえば否定してきた人間なので、その点は間違いのないようお願いしたい。
(教育監)ICTのことで申し上げると、ICTを使うことが目的ではないので、どういう力をつけるために、こういう使い方があるとか、こういうアプローチでICTを使っていけば子どもたちはこんなに変容してこんな力をつけることができるという、大きな方向性を教育委員会として示しながら、個々の取り組みを、いろいろなことに取り組んでくれている力のある人たちの情報を集めて、それをみんなで共有していく、そのような形を今考えているところである。
(教育長)それぞれがそれぞれの役割をうまく果たせるように全体を教育委員会、教育庁としてコーディネートするという点についてはその方向でやっていきたいと思っているので、また進め方等についてご相談させていただきたい。
報告事項1 「大阪府視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画(案)」及び「第4次大阪府子ども読書活動推進計画(案)」について
【議題の趣旨説明(地域教育振興課長)】
標記について、現在の策定状況を報告し、委員会に意見を求める件である。
【質疑応答】
(岡部委員)大阪府の子どもたちの表現力、国語力にも繋がってくることなので、ぜひ二つの活動を推進していただければと思う。まず一つ目の視覚障害の方へのバリアフリー計画について、このバリアフリー計画のところに、ぜひインクルーシブ教育の視点をもう少し強く入れていただければと思う。それが強くなりすぎて、障がいのある方へのサポートが弱くなってしまってはいけないが、どうしても、「持てる者から持たざる者に何ができるか」という方法だけが強く出ているような気がしてしまう。やはり「ずっと提供されるだけの人たち」という視点になってしまうと良くない。これは別に視覚障がいの人のためだけではなくて、高齢になったらどうしても私達はこうなってしまうことがある中で、全員のためにしていることであって、特定の誰かのためだけにしているわけではないというところをもう少し強く出していただけないかと思う。質の良いものを提供していくのはもちろん大事で、プロが読むというのも大事なのだが、それだけではなくて、例えば、将来の読み聞かせの人たちを形成していくために、「読み聞かせがこんなに素敵なことなんだ」というのを、例えば小学生や中学生や高校生が幼稚園の子や小学生の子や中学生の子にこう読んでいくという、「ビブリオバトル」のような大会を開催して、こんな素敵に読んでくれた人がいるとか、小さい頃から楽しみながらインクルーシブな社会を作っていくような形で、誰かのためにちょっと無理して何かをするっていうのではなく、全員で豊かな社会を作っていこうというような方向性がもう少し出るような推進計画にしていただければ嬉しいというのが一点である。
子ども読書の活動推進計画の方に関しては、読書だけでなく、美術館で芸術作品に触れるというのもそうなのだが、子どもたちに本を提供したり芸術作品を提供したりするだけでは、情報としては入ってきますけど、リテラシーに育っていかない。やはり、そこに仲介する先生や親がどんなふうにその芸術作品や本を楽しんでいるかということを通じて子どもは学んでいくので、結局、大人が情報を取るだけで読書していたり、要約だけ知っていればいいとか、作家だけ知っていればいいという形で芸術作品に触れていると、そんなふうにしか子どもは芸術作品や本に触れないので、やっぱり仲介する先生たちがどれだけ本を読んで、こんなふうに本を楽しんで読めるんだということを紹介できるかどうかというのが、この推進計画が本当に効果を上げるかどうかの違いになってくると思う。ぜひ子どもたちだけへの働きかけではなく、大人がすごく重要なイニシアチブを取っていく役割を実はしているのだということを強調していただきたいのと、先生たちが本を読むように、楽しんで本を読むように、教育委員会から言っていただきたい。ぜひ先生がたの意識の改革、親、保護者側の意識の改革というところにもぜひ働きかけていただきたいと思う。
(地域教育振興課長)まずバリアフリー計画の方について、インクルーシブ社会の書きぶりについては検討したい。これまでも福祉部と一緒にこの計画を策定してきているという経過があるので、福祉部のご意見も伺いながら中身への反映をしていきたいと思っている。今お話いただいた通り、緑内障や糖尿病が原因で中途失明となる方はかなり多い状況になっているというのはデータで示されている。手帳を保持している方の7割が65歳以上というようなデータもあり、自分自身に置き換えますと、やっぱり見える角度が狭くなってきたり小さな字が見えなくなってきたりというようなこともあるので、そういう意味ではやはり、先天的だけではなく全ての人が対象とした計画になっていなければならないと思う。そこは国の方も計画の理念として、そう掲げているし、私どもの方としてもそういう意識を持ってやっているところなので、どのように書けるかについては、少し調整させていただきたい。
子ども読書計画の方の点についてもご指摘いただいたが、読み聞かせの話は私も本当にそうだと思っている。今年ある小学校を訪問したが、6年生が1年生への読み聞かせをやっているっていうのが習慣化されている学校だった。校長先生にお話を聞くと、授業中は走り回っているような子どもが、6年生の兄さんお姉さんが、読み聞かせをしてくれている間は、椅子に座ってお話を聞いているというようなことで、実際自分が見たときもそういう状況だった。ただ読み聞かせをするだけではなく、いろんな体験が、先輩から後輩に教えるという体験が身に付いていくということにもなろうかと思うので、その重要性は非常に理解しているところである。大人の読書の話についてはご指摘の通りであり、なんとか大人にも読書をしてほしいと思っている。隙間時間で本を読もうというくらいのニッチなところから始めないと、「1時間読書のために時間を取りましょう」ということはなかなか難しいと思っているので、何かスローガン、キャッチコピー的なものが必要なのだが、「隙間時間で本を読もう」というようなことをスローガンにする中で、先程おっしゃっていただいた通り、「読まないと仕方がない」ではなく、「楽しい」というような感じで思ってもらえるような取り組みを、書店業協会ともタイアップして、展開を強めていきたいと思っている。
(教育長)一点目のバリアフリーの方は確かにインクルーシブな視点はとても重要だが、それは、計画の位置づけとか、役割のあたりに入れさせていただくイメージでよいか。
(岡部委員)それでよい。全体的にサポートという形というより、インクルーシブ社会を作っていく一環としてこの計画があるのだという位置づけを前面に出していただけるとありがたいなと思う。
(森口委員)先ほど岡部委員からお話があったように、小さい頃からの読み聞かせというのは、今現在も就学前のお子さんたちに子ども子育て包括支援センターの方から本を贈ったり、本当に様々取り組まれているところだと思うが、なかなか実績が上がってこないというのは一体いかがなものなのかなということが一つ疑問にある。
それと、この第二のところで、子どもの読書活動の現状と課題で実際分析をすると、忙しすぎて読書する時間はないとか、私がちょっと気になったのは、読みたい本がないということである。これは一体どういうことなのかなと思う。これほどたくさんの文字媒体があって、今それをまた、まさに先ほどの話ではないがタブレットにして、そこから読もうかというときに、自分たちの読みたい本がない。それであれば、一つ視点を変えて自分たちの読みたい本を作るってどんなことなのだろう、ということを考えてみるのはどうか。今、図書館や教育委員会で新聞をみんなで作ろうっていう活動をやっているかと思う。決して子どもの絵本は活字だけが並んでいない。3歳の子どもの絵本は本当に絵だけで、その絵にどういった言葉を付け加えるかでその読み聞かせのパターンが変わってくる。それぐらい、絵本などの本の活用範囲ってのはすごく広いものがあると思うので、少しそこのところを、視点を変える必要がある。子どもの読書というのは、あるものを読むだけではなくて、読みたいものを作ることも少し並行して考えてもいいのではないのかなと思う。
そこで一点だけちょっと先ほどのところで言い損ねたのでお伝えしておきます。やはりタブレットとかはICTを使っていくと、確実に視力低下が起きてくる。その場合一般的には戸外での活動時間が制約されたときに視力低下が起きるということが実際のところエビデンスとしてあるだけで、どれだけのものをどういうふうに見たら視力低下が起きるのかについては、なかなか数字として医学的に出しにくい。だから逆に、読書と、先ほどのICTの教育、タブレット学習と分けて考えるのかというところで、先ほどハードルを下げるっていうことを読書の位置づけというところでおっしゃったと思う。自分に合った読書活動ができるように、絵画集を見たり、ICTを利用して電子媒体で本読むことも読書であるとそういったことを全て読書だと言って、読書率を上げる、ないしは成果としての不読率を全国平均以下にするということが本当に目標とするべきことなのかというと、ちょっと少し疑問を感じる。
もちろん、成果としての不読率も大切な評価としてやっていっていただいたらいいのだが、ただ、子どもたち、それから大人も、「自分が本当に読みたい本って何なんだろう」というときに、本を作るという活動をもし支援していったとしたら、文章を書く、文字を書く、物事を構成するという様々なことから本が出来ているっていうことも視点の中に入ってくるのではないのかなと思うので、少しご意見を述べさせていただく。
(地域教育振興課長)就学前の読み聞かせもそうであるし、読みたい本もないという話もそうだが、計画の冊子の29ページをご覧いただきたい。ストレートに今のお話にリンクするものではないかもしれないが、様々な本の読み聞かせということについての例がある。ある保育所においては、1分間の座布団読みというようなことに取り組んでおられ、乳幼児に対して保護者のかたが、1分間の時間を活用して、絵本を読むというようなことを取り組まれているということとか、あるいは月間の絵本日日(にちにち)読みというようなことで、皆さんに購入配布している絵本について、ある日は「Aさんの絵本を読みましょう」、ある日は「Bさんの絵本を読みましょう」というような取り組みの中で、自分の本が読まれているというようなことも含め、興味関心を高めるというような取り組みをされているという、先駆的なことをされている事例もある。そうした取り組みは、発信していきたいと考えている。
また、保護者に対して読み聞かせの講座であるとか、絵本のリスト作成配布などの取り組みをしている教育機関とか施設は府内で95%に達しているところであり、たくさんのところで取り組みをしていただいている状況ではあるが、「本が好き」「読書が好き」だとか、「本を読んでいる」という数値にダイレクトに反映していない現状があるので、ここは粘り強く、先ほど本に対するハードルを下げるという言い方をしたが、本を読むというのが嫌い、面倒みたいなことではなく、本に親しんでもらえるよう、感覚的な話かもしれないが、「本はつまらなくないよ」「本は面白いんだよ」ということを知ってほしい。そこから始めないと問題は解消されないと思っている。特に「本を読むのが面倒」「時間がない」という子どもたちが多くなっている、保護者もそのように思っているような状況があるので、これまでの計画で取り組んできたこともあるが、この現状を踏まえますと、そこを対策しないとこの状況は改善できないという思いで今の目標設定を行っている。
「本を作る」ということについては少し関係しているかもしれないが、現在「オーサービジット事業」といいまして、作家が幼稚園、小学校に赴き、自分の本を作る製作体験であるとか、本を書いた思い、そういったことを伝えるという事業の展開をしているところ。こうしたことで、本に対する興味関心を高めてもらうというようなことも進めていきたいと思っている。今、府域全体で8校ぐらいしかできていないが、市町村において独自にでも取り組んでいただけるような方法を、今の考えているところでございまして、そういったことを積み上げながら、広めていきたいと思っている。
(森口委員)能動的に子どもたちが本を読めるように、様々な工夫をしていただきたい。
報告事項2 新型コロナウイルス感染症に係る対応について
【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】
標記について、報告する件である。
【質疑応答】
(森口委員)私は守口支援学校の校医を長くしており、支援学校の持つ今の課題としまして、支援学校が終了した後、子どもたちは放課後、俗に言う放課後デイサービスというようなところで時間を過ごしている。そこで飲食を伴うケアを受けたり、様々なケアを受けている。やはり学校は、これだけコロナの第三波の渦中にありながら、感染数は増えているとはいえ、すごく頑張って感染拡大を止めていると思う。学校を大きく閉めることなく、的確に消毒作業をして速やかに開けておられて、もうこれはすごい大きな努力で、マニュアルに沿ってきちんと感染防御されている成果だと思っているが、そういった内容がなかなか民間のデイサービスに伝わっていかない。できれば、1人の生徒がやはり行き来しているという観点から、その生徒の生命健康を守るために、なかなか流通できない情報提供であっても、個人的な情報として、「この子のためには、こういった感染予防が必要ですよ」というようなことを、お口添えしていただければ、学校現場も安心するような感染予防対策も少しは進むのかなと思いますので、よろしくお願いしたい。
(教育長)今こそ教育と福祉がしっかりと連携して子どもを守るということが重要だと思うので、また福祉部と連携して進めてまいりたい。
(教育総務企画課長)1点ご説明を加えさせていただきたい。10月の教育委員会会議にて、森口委員から濃厚接触者のデータの取り扱いについてご意見をいただいた点について、我々の方で健康医療部にも確認をさせていただいたが、感染状況の発表において個人情報の観点から、濃厚接触者の数等については公表しないということであったので、同様の観点から、教育委員会会議の場での濃厚接触者の数についてはお示しができませんので、この点ご了承いただければと思う。
(森口委員)それについては、以前から問題になっていた、いじめや人権の問題が関係してまいりますので、それで結構かと思う。