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更新日:2020年11月13日

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令和2年10月委員会会議会議録

大阪府教育委員会会議会議録

※印刷用は令和2年10月教育委員会会議録(PDF:388KB)をご参照ください。

1 会議開催の日時

令和2年10月19日(月曜日)午後2時00分 開会
午後3時15分 閉会

2 会議の場所

委員会議室(府庁別館6階)

3 会議に出席した者

  • 教育長 酒井 隆行
  • 委員 竹若 洋三
  • 委員 井上 貴弘
  • 委員 岡部 美香
  • 委員 中井 孝典
  • 委員 森口 久子
  • 教育監 向畦地 昭雄
  • 教育次長 後藤 克己
  • 教育センター所長 村田 純子
  • 教育総務企画課長 仲谷 元伸
  • 高等学校課長 大久保 宣明
  • 高校再編整備課長 大武 基
  • 支援教育課長 黒田 一人
  • 保健体育課長 西田 修
  • 小中学校課長 桝田 千佳

4 会議に付した案件等

5 議事等の要旨

  • (1)会議録署名委員の指定
  • 竹若委員を指定した。
  • (2)9月18日の会議録について
  • 全員異議なく承認した。
  • (3)議題の審議等

(教育長)会議に先立ちまして、新委員についてご紹介をいたします。令和2年10月1日より、森口久子委員が教育委員に就任をされましたのでご紹介をいたします。それでは森口委員より、皆様へご挨拶をいただきたいと存じます。

(森口委員)大阪府医師会から推薦されてまいりました森口と申します。小児科医の立場から、それから長く学校医をしておりますので、現場の意見を少しでも反映できるようご協力させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

議題1 大阪府立学校条例及び大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画に基づく令和2年度実施対象校(案)について

【議題の趣旨説明(高校再編整備課長)】

標記について、方針を示し周知を行うことを決定する件である。その上で、様々な意見を踏まえ、令和3年1月の教育委員会会議で最終決定する。

  1. 令和2年度の方針
    令和2年度は、工科高校における改編に着手する。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による厳しい社会経済状況の中、中学生やその保護者の不安が高まっている状況を踏まえて、今年度は募集停止の決定を行わないこととする件である。
  2. 実施対象校
    改編する工科高校
    • 淀川工科高校
    • 堺工科高校
    • 布施工科高校

【質疑応答】
(井上委員)この淀川工科高校のIT技術やデータサイエンス技術についての取り組みを一層発展させるというところに関して、他の2校の取り組みも非常に重要で、個人的に期待をしたいと思っている。前々回の教育総合会議でもこういった分野で高校生が取り組むことを強化したらよいのではないかということを申し上げさせていただいたが、先日、日経新聞に、東京都の宮坂副知事の記事があり、そこで面白かったのが、東京都とシンガポール政府の役所の規模がだいたい同じぐらいである中で、シンガポールはIT人材が7%いて、東京都は0.3%しか今IT人材がいないということであった。
副知事は、これが都庁全体のIT化が進まない原因の一つで、これから人材を取っていきたいとおっしゃっていた。副知事はもとYahooの社長をされた方だが、都立の町田工業高校で、今、先端でプログラミングを実践されている方々に教えに来てもらっているとの記事があった。そういった人材を、今後都でもそのような人材を積極的に採用していくと記事には書いてあった。なぜこのようなことになるかというと、やはり、今こういった人材は大学を卒業したり、大学院を修了された学生でも、取り合いになっていることに加えて、今後、この領域の人材はかなり不足すると言われているので、ここで書かれているようなIT技術やデータサイエンスの技術、こういったものを強化していって、府でも、前回の委員会会議でも、ペーパーレス化について言わせていただいたが、こういった府全体のいわゆるデジタル化、業務の効率化が進むことは、府立工業高校出身者が活躍する場が広がることにもつながると思うし、また、大阪万博に向けて、こういったデジタル化については、スマートシティ構想もあるので、ぜひとも強化をしていただきたい。
この件で成功事例が出来たら、そのほかにも環境の分野等でIT技術のエンジニアが必要になってくると思うので、こういった領域については力を入れていただきたい。

(竹若委員)工科高校の再編について、この三つの重点化タイプというのは平成30年からスタートして、ちょうど3年目になると思うが、過去に重点化に指定した学校はどんな状況なのかいうことを一つ教えていただきたい。それから、淀川工科、堺工科、布施工科の令和元年度の志願状況はどういうものかについても、教えていただきたい。

(高校再編整備課長)まずこの重点化の特色の際立たせ方について、これについては、30年度から、竹若委員がお示しの通り指定し、取り組み始めている。これまでの間、プロジェクトチームで検討し、一番最初の30年度に指定したところが、1年半の検討期間を踏まえ、令和2年度の4月から動き始めているところであるので、今回の一つの特色であるPBL(プロジェクトベースドラーニング)は、課題を設定して自ら取り組んでいくというような中身である。今年度前半、コロナの関係もあり、2ヶ月遅れとなっているが、取組みを徐々に進めているところである。
それともう一点。今年度の工科高校、この3校の志願状況について。淀川工科高校、堺工科高校の二校については、志願者が募集定員を充足しているという状況である。もう一つの布施工科高校については、募集人員が245名と他校に比べ若干多めになっていたため、その関係で若干の定員割れが生じているが、逆に言うと、他の学校の募集定員210名は充足しているというような状況である。

(竹若委員)先だっての校長候補選考の面接の中で、工科高校の教頭であったと思うが、例えば、インターンシップについて、非常に特色づけた説明をしていた方がいた。
記憶に残っているのが、有償化によるインターンシップで、企業と繋がっていくことを発想しておられた。この発想は非常に印象深かったが、特色についても、参考にしていただければと思っている。
もう一つ、心配なのは、この工科高校そのものが、府全体で志願者が減ってきている点。将来が不安な訳であるが、この三つの重点施策そのものをもう少し強くアピールすることによって、工科高校の魅力を最大限にアピールできるように施策を進めていただきたい。

(森口委員)初めて参加して、わかりにくいところの質問であるが、今年度、こういったコロナ禍の中で、専門的な進め方をする工科高校の学習の進捗度合いは、現状ではどうなっているのか、教えていただきたい。ほとんどの学校が、休業の後、密を避けたり、実習ができなかったり様々あると思うが、そういう辺りはどのようになっているのか。

(教育長)一般的に6月15日に本格再開ということでスタートし、当然の感染症対策を講じるということと、当然、学校教育活動それぞれの場合においての留意点について学校に周知徹底をしてやっている中であるが、工科高校特有の事情は何かあるか。

(高等学校課長)今教育長から申し上げた通り、6月15日に本格的に教育活動を再開した後のことであるが、工科高校においては実習に関わるような科目については、少人数をベースに行っている。感染症対策を十分に施しながら、少人数で間隔を取りながら実習を行っているため、通常の座学の教室での授業に比べると、幸い感染症対策がしやすい環境にあったというのが事実である。とはいえ2ヶ月間実習に係る授業がストップしていたため、学校再開以降実習については、休業期間を挽回するような形で各校が取り組みを進めている。

(教育長)冒頭の井上委員のご指摘も含め、工科高校が重要な役割を果たしていくということで位置づけを図り、平成30年度から、取り組んでいるという状況でありますので、引き続き、この方向で検証しながら着実に進んでいきたいと考えている。

【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、井上委員、岡部委員、中井委員、森口委員)

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議題2 グローバルリーダーズハイスクールの指定について

【議題の趣旨説明(高等学校課長)】
下記10校(全日制の課程)について、令和3年度から令和5年度まで、グローバルリーダーズハイスクールに指定する件である。

  • 府立北野高等学校
  • 府立豊中高等学校
  • 府立茨木高等学校
  • 府立大手前高等学校
  • 府立四條畷高等学校
  • 府立高津高等学校
  • 府立天王寺高等学校
  • 府立生野高等学校
  • 府立三国丘高等学校
  • 府立岸和田高等学校

【質疑応答】
(岡部委員)GLHS(グローバルリーダーズハイスクール)の活動は非常に重要なものなので、これからも取り組み続けていっていただきたいと思うが、今回、新たな指定ということで、それに関して、ずっと取り組みを続けてきて、A以上の高評価が出ているということなので、今度はまた新たな目標という形で、既に達成できていることをずっと続けるのではなく、新たな段階を迎えたという形で、新たな目標を立てられるご計画があるのかどうかというのを伺いたい。
もう少し詳しく言うと、実績が「進学実績」で終わっているところが少し気になる。高校で学んだこと、研究したことが大学に入ってどう活かされているかであるとか、あるいは大学からどういうところに進学あるいは就職をして、グローバルリーダーとして活躍してきたかどうかということをそろそろ目標に据えて、高校でやったこの学びが実際に活かされているかどうか、もし、大学でそれが行き詰まってしまったとしたら、行き詰まらないような高校での学習をどうしたらいいのかであるとか、高大連携をどうしたらいいのかということを考えていく時期に来ているように思う。そういったご計画があるのかどうかを伺いたい。

(高等学校課長)まず一点目の新たな指標について、現在この10校に続く学校について、今後どうしていくのかということが、この後我々の検討する大きなテーマの一つにもなっている。この度の評価審議会においても、このGLHSの成果をどう普及して、全体化していくのかということが、GLHSの成果が上がっている一方で、大きな課題として指摘を受けているところである。現在課題研究等で成果を発表する機会は色々な場面であるが、そういった機会に他校の生徒や教員へ広め、そのような成果の普及について、評価項目の一つに取り上げていくことで、発信者の自分達のフィードバックとなるような機会にもしたいと考えている。
それから、2点目の大学入学以降のことについて、我々もどうしても進学実績を評価するというようなことに今表面上はなっているが、仰っておられる点が非常に大事な視点であるということは我々も認識として持っている。
ただ一方で、以前は、例えば同窓会の活動の中でそういう同窓生の名簿を作るようなことが、色々な進路の状況を知る資料になっていたのだが、現在、なかなかそういった資料を作成するというのも難しくなってきている。
一方で、国の事業でもあるスーパーサイエンスハイスクール、SSHのときにも、そういった卒業生のその後の活躍をどう図っていくのかということが大きな問題、課題として指摘されている。今、このGLHSを25年度に卒業した方が、ちょうど年齢で言うと今大学を卒業されて3年目ぐらいにあたる。当然その後、マスター、ドクターで学んでおられる方もたくさんいるが、いろいろな生の声については、関係いただいている大学の先生などからお話を聞く機会はあるし、なかなか個人情報の難しい部分があるものの、何らかのそういった手がかりをもとにしながら、何か参考になって、また現場にフィードバックできるような課題の収集について工夫したいと考えている。

(岡部委員)私が所属している大学にも学生を送り出している高校であるが、実際GLHSのプログラムに参加して、もう最初から留学を考えて、最初からそういう形で外に出ていこうとしている子、コロナ禍の中で現在帰国せざるを得なくなっているが、そのような子たちを送り出してくれることは、大学にとっても、社会全体にとっても非常に重要だと思う。公に情報が出なくてもよいので、そういった人たちにインタビューすることで、プログラムの内容をより良くしていく形で活かしていただきたいというのが一点目のお願いである。
もう一点、やはり気になるのが、さっき1点目のことで仰っていた、GLHSに続く高校にどのようにこの成果を、というところであるが、GLHSに続く高校が、「この10校の次」という位置づけが私にはなじまないところがある。次の10校という言い方ではなくて、その10校はその10校で特色があるはずで、このGLHSの10校にはない特徴があるとするならば、この10校が、GLHSの10校の出した成果をそのまま受け入れるというような形にはならないはずだと思うので、ぜひ、序列化するような形で成果を提供するのではなく、次の10校は次の10校で全然違う特徴を持っているというような、それぞれの学校、生徒の良さを生かすような形での展開をぜひお願いしたい。序列化するような形で次の10校に頑張れと言っていくような形にすると、とても苦しい頑張りを強いてしまう形になると思うので、その点は少し考えていただけるようにお願いしたい。

(教育長)本件は序列化という発想で行おうとしているものではなく、GLHS10校の取り組みは当然、広く府内の他の高校に広げていきたいという思いがあるが、そのことと、新たに取り組もうとしていることは、その高校なり生徒の特性、あるいは高校が積み重ねてきたものを活かしつつ、今の時代にどう応えていくかという新たな視点で発想して、施策として組み立てているものと理解をしている。

(教育監)教育長が申し上げた通り、GLHSの10校については、グローバル社会に対応してグローバル社会で活躍していく人材の育成という一つ大きな目標があり、それ以外の高校にも、例えば地域社会をしっかり支えていく人材をどう育成するか等、それぞれの高校の目標がある。それぞれの学校で、目標とするところも違うので、目標に応じた取り組みの仕方があるし、GLHSの成果を発信、普及するにしても、それぞれの目標に照らした受け止め方があると思う。そのあたりをしっかり考えながら制度設計をしたいと考えている。

(中井委員)GLHSは指定されて今年10年目の節目を迎えると思うが、本当に素晴らしい成果を発揮してくれていると思っている。当初設定された目標についてはもう達成していると思うが、初心に戻ってグローバルな生徒を育成するという観点は今後さらに追求してほしい。もちろん進学実績も非常に大事なファクターであるのは理解しているが、それは結果としてついてくるものであって、めざすものではないと思う。この10校の生徒たちについては、結果的に確かに進学実績は増えているが、研究発表などでも凄い発表をしている。
大学生顔負けの発表もしているし、数学オリンピックなど本当に卓越した能力を発揮している。さらに期待することとして、グローバルという軸足を外さずに、支援をしていただきたいと思っている。そのためには、高校の枠をはみ出ることもやっていいと思うが、そのためには大学との連携であるとか、研究所等の色々な最先端の研究等に生徒を触れさせるというか、その中で生徒自身が地域を飛び出してさらに伸びていくということを更に支援していただいて、この大阪のGLHS10校に限らず、グローバルな人材を育成するというスタンスを発展させてほしい。

(井上委員)先ほどの岡部委員の質問に続くものであるが、私も決して序列化すること自体良いと思っていないのだが、今ちょっと説明が分かりにくかったのでお聞きしたい点がある。保護者的な視点からわかりやすく聞くと、今、GLHSが10校あるなかで、仮に3年後になって評価が悪い学校があったということになると、指定校数が10校が9校に減るのか、指定校数が10校のままで、入れ替わるのかという点が分からない。その点について、序列ではなく、何かGLHSとしての基準を満たすか満たさないかで学校が減るのか、入れ替わるのか。どのようにお考えなのかお伺いしたい。

(高等学校課長)ご質問の件は、毎回再指定のときに議論になるところであるが、今のところ10校について、いろいろな課題研究の成果等や進学の実績のデータも含めて、やはりこの10校が頭一つ二つ飛び出ているというのはこの間ずっと変わらない評価となっている。私どもとしては、まずこの10校がそれぞれ各地域の立地も生かしながら、地域のそれぞれのリーダー校として、これまで以上に進化発展していくという意味で、できる限りこの10校という枠組みは維持していきたい。そういう目標というか、思いを持って今後も取り組んでいく。
ただ一方で、先ほどあったように、序列ではないのだが、今、課題研究の成果について、なかなかGLHS以外の学校でこれだけのボリュームでいろんな自分たちの研究成果を発信するような機会が、逆に与えられていないような状況がある。こういった機会を10校以外の学校にも増やしていく中で、今委員の皆様からご指摘のグローバル人材の育成という観点を、他校でも広げ、高めていくことが求められていると思うので、まずはそういう状況を作った上で、その10校の枠組みをどうするのかということについても研究すべきではないかと考えている。ただ、当面の間は、私どもとしては、先生がたから評価いただいているこの10校を今後も引き続き伸ばしていくことが一番のミッションではないかと考えている

(井上委員)そういう観点から言うと、評価審議会からの(2)のところでも、「現指定校それぞれの特長を競い合って」と書いてある。競い合うというのは、非常に良いことであると思っているが、先程おっしゃった10校以外のところも、学校が、校長先生が頑張ってこういうグローバル人材を育てたい学校だということになると、この競い合うというところの枠組みに今すでにかなり差がついているのかなと思う。そういうとき、序列ではなく、GLHSになるにはこの条件を満たすところに到達するかしないかという観点で選ぶと、現時点ではかなり差ができてしまっていると思うので、先ほどの10校中で、1校の評価が悪かったとなれば、次点の学校をGLHSに指定するという校長先生が出てきたときに、競い合える土壌、土俵を用意しておかないと、さっきの議論は成り立たないと思う。政策として研究されていく過程で、GLHSはもうこの10校で高めていき、その成果を拠点校として広げていくという考え方に立つのか、それとも10校の枠があるが、これから評価を満たす学校、満たさない学校で入れ替えをするというのであれば、入れ替えをする候補の学校には、ある程度の枠組みを用意しないと、いつまでたっても入れ替えが起こらないと思う。どちらがいいということではなく、後者の考えに立つとなったら、それなりに何か手当を学校側に予算措置もしてやっていかないと競争の促進というのは行えないと思うので、その辺りも含めて研究していただきたい。

(高等学校課長)今年度、来年度に向けていろいろなタイプの学校をどうしていくかということについて大きな議論をしていただく予定もしているので、そういった中で、今おっしゃっていただいた大事な視点を加えながら検討したい。

(井上委員)これは評価に直接関係ないが、最近私は仕事柄スタートアップ企業の経営者の方と会うことが非常に多い。その中で、最近雑誌に、東大の学生が起業することが増えてきた、昔だったら中央の役所とかに行っていた、もしくはトップのコンサルタント、マッキンゼーのようなところに行っていた学生が最近は起業するというような記事があり、実際に、最近東大、東大院出身の学生は非常に多いとのことであった。そのときに一つ感じたのが、高校のときに、そういった教育というか、そういうある意味「キラキラした」起業家の話を聞いたというようなことを、起業しているその起業家の方々がかなりの割合で言っていたことである。大阪府でも、起業家を育成しようという取り組みはされていると思うし、特にこういったグローバルの視点を持った生徒たちはそのように活躍する可能性も高いと思うので、ぜひそういった視点を持てるような課外授業、取り組みを入れていただきたいと思う。
なぜこのお願いをするかというと、やはり東京が非常にスタートアップのインフラ整備が整っており、主要なベンチャーキャピタルやスタートアップ業界の弁護士、会計士というのも、今かなりの数が東京に集中しているので、東京では大学生だけではなくて高校生もそういうところに触れ合える環境になってきている。国もどんどんそういった人材を輩出していこうと、大阪府も、少なくとも起業家育成をやっていこうということになれば、こういうGLHSには、まさにさっき中井委員がおっしゃっていたように、高校生からそういったことに触れる機会をぜひ入れていただきたい。

(岡部委員)井上委員が今おっしゃったことで、新しい内容で検討していただけるならということで付け加えて申し上げると、グローバル化というのは必ずしも良いことばかりではなくて、標準化することであったりとか、格差が広がっていくことであったりとか、そういったことが問題になってきている。特に人文社会科学系の研究でグローバルな視点を持とうとすると、そういったグローバル化に伴う問題というのをどう解決していって、より公正、公平な社会を作っていくという力を持っている文系の学力というのが非常に大事になってくる。そういったことを考えるとSSH(スーパーサイエンスハイスクール)は非常に評価がわかりやすい。一方でいわゆるSGH(スーパーグローバルハイスクール)で学ぶような、グローバル化の問題をどう解決していくかという力もグローバル化を進めるときには重要なのだが、そちらは弱いと思う。特に中央に行くほどそういった問題意識は弱くなっていくので、大阪がもし東京に比べて地方だとするならば、そういったグローバル化の問題というところを少し脇から見て、落ち着いて考えるという力を養ういい位置にいるかもしれないので、そういった部分も、もし可能であれば取り入れていただければと思う。

(森口委員)私自身は大学教育、高校教育にそこまで知識がないが、先ほど井上委員がおっしゃったように、当初の10校、それからその後に続く学校といったときに、当初の10校に競い合って入り込むということになると、結局最初岡部委員がおっしゃったように基本の視点を一緒にして同じところをめざしているから上と下が入れ替わるというような、結局そういう考え方になってしまうと思う。
グローバル化云々にしても、ひとまずこの10校で何ができてどこをめざしているのか、その次の学校は、先ほど岡部先生がおっしゃったように、違う視点で何をめざすかということも、東京とは別個の観点から、大阪でやれることというのをみつめていかないと、結局「競い合い」という言葉が良い方の競い合いにならないと感じてしまったので、二つの視点の学校の選び方は今後一つの大きな課題になってくると思う。

(竹若委員)本日の議題そのものが10校の指定ということと、その拡大をどう図っていくかということで、それは大事なこと。その10校が、これだけ成果を上げてきている。私も実際、研究発表会を2回ほど視察させていただいて、素晴らしい人材が育っている、この子たちがどこで活躍するのかなという思いを持っていた。中には、審査員がご自分の出身校を高く評価されている話も内輪で聞こえてきて、非常に楽しみなことがある。ただ、GLHSの評価項目に、成果普及の観点を入れるべきだと、非常に象徴的な言葉で記載があるが、果たしてこれで広がりが見られるのかなという感じはする。
話を元に戻すと、GLHSの成果を10校からさらに拡大していこうという思いがあるわけなので、先ほど教育監も説明してくれたように、そういう学校の目標として向かっていく方向性を、教育庁としても、手を差し伸べていく状況を作るべきではないかなと思った。今日は無理だが、次の時点で、こういう思いで拡大を図っていきたいという考え方を、一度お示しいただいたらありがたい。

(教育長)府立高校は136校あり、それぞれの学校がそれぞれの経過を持って学校長がいろいろな取り組みを行っているので、教育庁としては、学校の取り組みを尊重するということを前提にして、様々な切磋琢磨できる土俵をどう作るかということが重要であろうと私自身考えている。本日皆さまからご意見をいただいたが、序列化ということではなく、やはりそれぞれの学校のめざすべき方向性を、指針として、教育委員会も一緒になって考えながら進めていくということが重要だと考えているので、今日いただいたご意見を踏まえて引き続きまた検討してまいりたい。

【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、井上委員、岡部委員、中井委員、森口委員)

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報告事項1 知的障がいのある児童生徒等の教育環境に関する基本方針について

【報告事項の趣旨説明(支援教育課長)】
標記について、取り組みの方向性の見直し状況を報告する件である。

【質疑応答】
(森口委員)私は支援学校の学校医を長くしているが、今、最後に府教育委員会としての今後の目標というところで3点挙げていただいたと思う。
「真に必要な教育環境を支援が必要な子どもたちが選択し、これを担う人材と体制のあり方」で、支援学校ではやはり子どもたちを支援していくときの教員のスキルは非常に重要なものがあるのだが、ただやはり私が中で見ていても、ある程度スキルが身についてもどうしても人事異動というものがある。これは知的障がいに限られて今お話があるのかもしれないが、聴力障害それから視力障害となると、非常に高度な教育のスキルが必要になってきて、それを培っていく人材そのものも、大変努力しておられる、そういったところが痛し痒しというのが非常に現場にあると思う。人事異動も含めて人材の確保を具体的にどのように考えておられるのかというのをお聞きしたい。
それと、このインクルーシブ教育についても、やはり知的障がいを有する子供たちが増えていっているというのは、全体として子どもたちの人数が減っている中で、特に肢体不自由の子どもたちも障がいを持った子どもたちも人数的に減っている中で、なぜ知的障がいの子どもたちだけが増えているのか。それは現場の小児科の視点で言うと、確実に診断技術が上がってきているためである。私達は診断をつけたいがために診断名をつけるのではなくて、子どもたちが一体何を求めて、どういうことが必要なのかということを知るために、子どもたちに関わって、そのときに、子どもたちにとってよりよい環境を与えるために、得策であるというときに診断名がつくと私は考えている。
そういった子どもたちが、やはり教育の現場で、「自分には少し偏りがある」ということを早い段階で知ることで、自分の特性を知る、周りの方がその特性を理解する、そういった関わりというのが最もこのインクルーシブ教育の中で重要なところと私は思っている。
将来的に、子供たちを隔離するのではなく、できる限り、みんなの中で、様々な偏りのある子どもたちが理解をされて進むということが本来の目標と私は思うので、その一つの経緯として、今知的障がいを持つ子どもたちの教育の場面が一定拡充されているというように、遠い目標を持ちながら、私はこのインクルーシブ教育を見つめていっていただきたいと思う。
一時的にも今、現場で確実に子どもたちが増えていっている状況にある以上、人数が増えれば、やはりハードをしっかりしておかないと、怪我も出るし無理も出る。従って、一時的に様々なところを利用するが、本来であれば、インクルーシブというのは、地域の学校に入れるということを目標にするべきで、そういった2点の視点を持ちつつ、この1番と2番がどういうふうに具体的に考えられているのかというのを、今この場面でお聞きすることではないのかもしれないが、教育委員会としての進め方を教えていただきたい。

(支援教育課長)まず1点目のところであるが、支援教育のスキルが重要だというところで、その中で我々としては全般的に先ほど申したように、支援学校の専門性とか知見が原点と思いながらも、やはり人事異動の中で、先に森口委員がおっしゃったように特に視覚聴覚についてはスキルが重要ということも理解している。その点は研修もしっかりしながら維持したい。ただ、ずっと同じ方がずっと同じ勤務校で勤務するということにもいかないので、そこは広く進めながら、両方並行してやっていくことを考えている。人事異動について子どもたちへの影響を最小限にするということはもちろんのことだが、その中で我々も学校を通じて、教育庁全体の中で考えていくような仕組みができないかと考えている。
もう一点については、今森口委員がおっしゃったように、やはり就学前に、地域の小中学校に行くのか、あるいは支援学校に行くべきか悩まれるケースが多いと我々も聞いている。
その中で、進学状況などから、義務教育終了段階での進路を選択し、広げていくことも大事と思っている。一時的にというお話も委員の方からあったが、ただ、我々としては、大局的な話として、地域の中で、先ほど申しましたような支援学校のセンター的機能について、我々としても今取り組みを進めているが、充実させて、地域の小・中学校にも当然ながら、もっとその中に入っていきたいと考えている。そのための機能拡充について検討をしていき、国の方にも要望もしっかりとしていきたい。

(森口委員)今そのセンター機能というところで、支援学校の教職員が地域の学校に出向いて子どもたちの特性や対応の仕方を、本当に手に取るように教えていっている。その部分がどうしても、本来の支援学校で、人材不足、マンパワーの低下になる。そういう意味では、やはりセンター機能を持たせるのであれば、センター機能を持つことは非常に重要なので、そこに対する充実した人材の派遣をしていただく必要があるのではないのかなと思う。
それともう1点、もう少しすると新任の教諭が来る。支援学校をめざしてくるというよりは、初めてほとんど何も知らずに支援学校に来たという新任がやはりいる。非常に戸惑いが多い中で、そちらの学校の先生に様々教えてもらいながら、少しずつ積み重ねていくこととなる。これだけ発達障がいに対して認識が増えていっているのであれば、教員課程を担う中で、もうすでに教育はされているとは思うが、やはりそういった知的障がいの子供たち、ないしはこれからであれば、医ケアも含めて、そういった教育実習の中に早い段階から、理解をさせるようなシステムというのもしっかり進めていただきたい。

(教育長)非常に重要なご指摘を様々いただいたと思っている。量的に急激に増えるという現実に対しては今まで対処療法的にどうしても対応せざるを得なかったというのが現状と認識している。支援学校は非常に建物自体も老朽化しているし、狭隘化している。そして、非常に教員も疲弊しているという現状があるというのも、私自身も認識をしているし、教育委員会としてもずいぶん認識をしているところでそこを何とかしていこうということで、こういう方針を作ってやっていこうということである。
あと大阪の支援教育、大阪の教育自体がやっぱり先生がおっしゃっていただいたように、インクルーシブということをキーワードに進めてきた。それぞれの支援学校でもそうであるし、府立高校においても、インクルーシブということをキーワードに進めてきたので、そのノウハウ、知見というものは、私自身は、教員集団の中に、全国に誇るべきものとして蓄積をされていると思っている。
ですので、教育委員会的にはこうした現状に対して、浮足立つということではなく、やはり、インクルーシブというものを、学校現場を通じて子どもたちにどう伝えていったらいいかということだろうと思っているので、本日報告させていただいたセンター的機能というのは一つのキーワードだと思っている。予算要求の中なのでなかなか申し上げにくいが、私自身はテコ入れしていかないといけないなと思う。
もう一つは、支援教育課長からあった、義務教育終了段階での選択肢をどう増やすかということ。中学校の支援学級を卒業された子どもの進路は、ほぼ2割が支援学校である。残りの8割は府立高校であったり、私立というのが現状なので、現に支援学校以外の選択肢に進んでいる子どもたちにも支援を要すると思っている。その支援を要する生徒が、府立学校・府立高校の現場できちんと支援が行き届いているのかということをまずは私を検証する必要があると思っている。そしてそれが足りないのであれば、そこをテコ入れするという事にしたいなと思っている。そのように、インクルーシブ、まさにこの府立高校の中で共に学んで生きる教育というものをやっていくというのが重要だろうと思っている。
併せて支援学校そのものも手をこまねいているわけにはいかないので、やはり新校整備ということを目標に掲げてやっていきたい。非常に深いテーマでありますので、私自身も引き続き進め方をしっかりと議論させていただきたいと思っている。

(森口委員)中学校卒業後の進路ということで2割が支援学校、その他がもちろん府立高校それから私立、その中に非常に民間も含めて、今単位制の学校で非常に素晴らしい教育をしているところがたくさんある。これは支援学校もそうだが、そこで3年間、その子に合わせながら少人数で、卒業した後の就労を見据えた教育を1年生からやっている。そういうところを積極的に取り入れながら府立高校の中でも充実していけば、子どもたちの進路は非常にここ3年間を充実して高校生として過ごせるだろうなと思うので、ぜひともよろしくお願いしたい。

(教育長)私も全くおっしゃる通りだと思う。

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報告事項2 新型コロナウイルス感染症に係る対応について

【報告事項の趣旨説明(教育総務企画課長)】
標記につき、8月31日(前回報告日)以降の府立学校の臨時休業の状況について報告する件である

【質疑応答】

(井上委員)もう高校生なのであまりないと思うが、感染した生徒が学校に行きにくくなったというような事象は起こっていないか。

(高等学校課長)特に現在のところ個別にそういう困ったことが起こっているという声は聞いていない。ただ一方で、この間臨時休業、またこういう濃厚接触者で自宅待機を余儀なくされている生徒へのICT支援ということで、例えば授業について、議会からもいろいろ求められることもあった前提で、授業の様子を同時配信しようということを、希望者を募ってやろうとした。ただ、濃厚接触者が複数名おられて、まずはそういう映り込みなどがあるので、ご本人や保護者の方の了解を得てから行うと段取りを踏んだが、やっぱり何人かは、濃厚接触者であることが知られることを心配されて、そういう支援は必要ないとされた生徒もいらっしゃったので、やはり、世の中的にはそういう心配というか、そういうコロナに対する無用の偏見等を心配されて、そういう判断をされるご家庭があることもわかっているので、引き続き注意しながらサポートはしていきたいと思っている。

(森口委員)今の井上委員のご質問に対してだが、現場で小児科外来に何人も来る。だから学校で、当事者で、陽性者でその子の濃厚接触者が何人か、全部スクリーニングして、その後、学校としても出てきて良い、保健所としても出てきて良いと判断する。
ただ、そんな場合でも、体調不良を訴える子はいる。実際カウンセリングをすると、どこが悪いというわけではない、熱もない、何もないのだけれども、学校に行けないという子は確実に今いる。それは、教育委員会として数が把握できないのは、続いてずっと休んでいるのだが、今教育委員会としては、体調不良であれば出席停止というような形をとるので欠席扱いにならない。親御さんもやはり本人が体調不良と言って朝起きにくいと言っている背中を押すということはないのでなかなか数としては見えないが、現実として外来には増えている。
それともう1点、こちらのこの報告に、次から、もし良ければ、感染の状況として、学校で濃厚接触者がどれだけ指定されて、それに対してスクリーニングPCRを保健所はやっているはずなので、その人数をできたら上げていただきたい。というのもこれだけの学校があって、ほとんどのところは陽性の生徒は1名ということは、濃厚接触者が指定されたけれども、陽性者は出てないと、ほぼ陰性だということになる。ところが濃厚接触者が多いとなると、結局その子の学校での行動範囲によって濃厚接触者が規定されているということなので、この数が、仮に、この一番上の登美丘高校の感染生徒1名で濃厚接触者10名、その次の今宮工科高校生徒1名で濃厚接触者が60名というふうになると、同じ生徒1名でも内容が全然違うということになる。学校としては今後やはりこのコロナ禍、withコロナの状況がずっと続いていくときに、少なからず今は社会の一般社会の大人の中で広がっているコロナだけれども、子どもたちには非常に少ない、でも、確実に陽性者は出てくる。そのときに、学校でどういう動きをしたら、保健所では濃厚接触者と規定するのだということを学校側はしっかり知っておいて、陰性だったらそれでよい。だけれども、子どもたちの感染を今後出さないためにも徹底して予防するためにも、子どもたちの学校での動線をどうするかという一つの指標になるのではないかと思う。だから、先ほど言ったデータについて出していただいて、この学校ではこういう形のところを保健所は記入している、それだったら子どもたちの動線は今後どうしていくという対策に活かしてはどうか。徹底した予防は最大のやはり感染防御になると思うので、そのようなデータが感染防御の指標になるのではないか。
その中で特にこの教職員1名というところも少なからず問題で、ここから先は個人情報ということになるが、やはり大人の活動範囲は広く、学校に与える影響が大きいという意味では、そういった数字も次出していただけたらわかりやすいのではないかと思う。

(教育総務企画課長)委員ご指摘の通り個人情報との関係もあるので、我々としても検討させていただいて、対応させていただきたいと思う。

(教育長)もうすでにもう秋で、これからインフルエンザとの関係もあってまさに細心の注意を払って感染予防対策をしていかなくてはならない。ご指摘のことも含めてまた検討する。

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