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更新日:2022年6月9日

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「旧姓の通称使用」に法的根拠を与える議論を求める意見書

 昨今の夫婦の姓の在り方についての議論の深まりの中で、夫婦同姓を定めた民法などの規定は、結婚の自由などを保障した憲法に違反すると訴えた裁判において、令和3年6月23日に最高裁判所は「合憲」という判決を出したところであるが、制度のあり方については、国会で論じ判断すべき事柄と指摘されたところである。
 選択的夫婦別姓制度については、親子別氏が子どもに与える悪影響などから国民世論の懸念は大きく、冷静かつ、慎重に議論を行わなければならないと考える。
 令和4年3月に内閣府が公表した「家族の法制に関する世論調査」によると、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」と答えた人が42.2%に上っている。また「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」と答えた人は27.0%、「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」と答えた人は28.9%となっており、選択的夫婦別姓の導入は、国民的世論の賛成を得ているとは言えない。
 結婚にあたっては現在、女性が改姓するケースがほとんどで、社会進出が進む中で勤務先や日常生活での不便を訴える声は少なくない。各省庁は既に免許証や住民票、マイナンバーカード、パスポート、法人登記簿などについて旧姓併記が可能となるよう改めている。しかしながら、旧姓の通称使用が法律に基づいていないため、中小の企業では通称使用を認めていないところがあり、公益団体の資格や金融機関の口座開設などでは旧姓併記ができないケースもみられる。今回の世論調査において、「旧姓の通称使用の法制度」を設ける声が最も多かったのは、こうした現状を反映しているためと思われる。
 一方、令和元年10月25日に大阪府議会が提出した「選択的夫婦別姓制度の法制化に関する意見書」にある現状認識の部分には「平成30年2月に内閣府が公表した『家族の法制に関する世論調査』では、婚姻に際し夫婦同姓も夫婦別姓も選ぶことができる『選択的夫婦別姓制度』の導入に対して、42.5%が賛成し、条件付き賛成も含むと66.9%となり、反対の29.3%を大きく上回る。」とある。しかしながら、これは、当該世論調査の設問の趣旨からすると正確に捉えたものではない。ここでいう「条件付き賛成」の内容には、旧姓の通称使用について法律を改めることを求めるもの(24.4%)が含まれていることから、これは、むしろ選択的夫婦別姓制度の導入を求めるものではなく、旧姓の通称使用についての法制度を設けることを求めるものと受け止めるのが正しい。また、「同姓維持を前提」としていることから、むしろ「条件付き賛成」ではなく、「反対」として捉えるべきであり、当時の意見書の現状認識は誤解を与えるものであり適切ではない。これらのことは、令和4年3月に内閣府が公表した「家族の法制に関する世論調査」において設問の趣旨が「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」と分かりやすいものに変更されていることがその証左である。
 政府は令和2年12月に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画に「婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることのないよう、引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知に取り組む」と明記している。男女平等参画の観点からも具体的対応が必要な時期に来ている。
 よって、家族の一体感、子供への影響を考慮し、夫婦・親子同氏制度を維持しつつ、改姓による社会生活上の不利益を解消するため、政府及び国会は、「旧姓の通称使用」に法的根拠を持たせる現実的な法制度の導入に向け、与野党の壁を越えて取り組んでいただくよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年6月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
各あて

大阪府議会議長
森 和臣

意見書の本文のPDFはこちら(PDF:82KB)

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