令和2年11月委員会会議会議録

更新日:2020年12月28日

大阪府教育委員会会議会議録

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1 会議開催の日時
   
令和2年11月10日(火曜日)  午前10時00分 開会
                                        
      午前11時10分 閉会

 2 会議の場所
委員会議室(府庁別館6階)

 3 会議に出席した者 

教育長酒 井 隆 行
委員竹 若 洋 三
委員岡 部 美 香
委員中  井 孝 典
委員森 口 久 子(オンライン出席)
教育監向畦地  昭 雄
教育次長後 藤 克 己
教育センター所長村 田 純 子
教育総務企画課長仲 谷 元 伸
高等学校課長大久保  宣 明
高校再編整備課長大 武    基
支援教育課長黒 田  一 人
保健体育課長西 田    修
小中学校課長桝  田   千  佳
地域教育振興課長北 川   辰 弥


 4 会議に付した案件等
◎ 議題1    令和3年度大阪府公立高等学校の募集人員について
◎ 議題2   令和3年度大阪府立知的障がい高等支援学校職業学科(本校)及び大阪府立高等学校に設置する共生推進教室の募集人員について
◎ 報告事項1 令和2年9月定例府議会提出予定の追加議案について
◎ 報告事項2 令和元年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の調査結果について

 5 議事等の要旨
(1) 会議録署名委員の指定
中井委員を指定した。

 (2) 10月19日の会議録について
全員異議なく承認した。   

 (3) 議題の審議等
 ◎議題1  令和3年度大阪府公立高等学校の募集人員について

 【議題の趣旨説明(高校再編整備課長)】
標記について、府内公立中学校卒業見込み者数等の動向を踏まえ決定する件である。ただし、併設型中高一貫校である府立富田林高等学校にあっては、併設中学校からの内部進学者数によって、最大3名の増員を行うことがある。

議題2 令和3年度大阪府立知的障がい高等支援学校職業学科(本校)及び大阪府立高等学校に設置する共生推進教室の募集人員について  

【議題の趣旨説明(支援教育課長)】
標記について、決定する件である。

 【質疑応答】
 (森口委員)支援教育の件について2点伺いたい。議題2の資料の方で「2−2大阪府立高等学校に設置する共生推進教室」の募集人員のところだが、選定基準というものがあるか伺いたい。共生推進教室は一般普通校に設置されており、府立高校の生徒さんたちと一緒になって学んでいくという形をとられると思うので、その中での選定基準というのが、どのようにされているのかをもう少し教えていただきたい。
 
もう一点は、議題2の資料2−1について。高等支援学校の総合募集ということで全体として募集したうえで、それぞれの学科にわかれるというご説明をいただいた。私は特別支援学校の学校医をして、卒業後の子どもたちの就職その他についても関わってきたが、知的障がいをもつ生徒、発達障害、コミュニケーション障がいの生徒の就職後の動向というのはやはり少しずつ違ってくるように思う。会社の中で、単純作業等、担える仕事を担うということになると、知的障がいの方の場合は、そのレベルに応じて仕事を学んだり、進めていけると思うが、コミュニケーション障がいのある方の場合、仕事はできるが、周囲との関係性で離職を余儀なくされることが、近年非常に多いように思う。その後、どうしても職場復帰というのが難しくなってくるということがあるので、そういうところを見据えた学科の選定、それから学校と就職先等の連携というのがなされた上での、この学科の選定なのかということについてお伺いしたい。

(支援教育課長)1点目について、資料1にある募集人員の考え方としては、クラス数は基本的には、義務教育法に基づき高等部については聴覚障がい以外の生徒については8人1学級という考え方から8の倍数になっている。各5校とも募集人員については少しずつ変わっている。たまがわ高等支援学校は平成18年度に開校し、当初は1学年48人でスタートしたが、職業学科を設置する最初の学校であったため本人保護者のニーズが非常に高かった。これを受け、開校から3年経過し、ある程度学校で進路指導についての実績を積んだことから、入学増員が可能と判断し平成21年度から1学年64人に変更した。平成25年度以降に開校した、とりかい、すながわ、むらの高等支援学校については、同一敷地内で支援学校と併設しており、1学年の方を同一フロアで展開するための施設整備上の制約等もあり、1学年4クラスで32名としている。なにわ高等支援学校については、開校当時大阪市教委が所管していたが、とりかい高等支援学校の開校当初の規模と同等の募集人員を想定しており、移管後も現行通りとしている。
 
2点目について、それぞれの学校とも3学科を設置している。この中で特に今、委員からご指摘のあった、特に発達障がいのある方を含めた就職後のフォローについて、委員がお話いただいたとおり、その後の就労については学校でフォローをしている。具体的には、障がい者就業生活支援センターといった関係機関等と連携して、卒業した生徒が安心して就労を続けられるように、定着支援の取り組みを行っている。アフターフォローとしても、校内の進路担当や、元担任が職場へ訪問し、就労状況の確認、場合によっては本人と企業からの相談を受け、対応にあたっている。

(教育長)森口委員のご質問は共生推進教室の選定基準ということだと思うが。

(支援教育課長)選定基準としては、自立・共生という趣旨を踏まえ、基本的には調査書、推薦書、面接等を重視するが、志望した高等学校の特色の理解であるとか、中学校内外における学習や活動の状況、さらに様々な事柄に対する興味関心の広さ等々も考慮要素として総合判定を行い、選抜し合格者を決定している。共生推進教室については、ともに学び、ともに育つという理念を持っているので、意欲など5つの観点を含めて総合判定している。

(森口委員)所属の中学校の方からの調査書と面接を主に選定していると理解してよいか。

(支援教育課長)その通りである。

(森口委員)最初にお答えいただいた部分について、これは私の実感であるが、やはりコミュニケーション障がいのある生徒にとって、高校で学んだことは本当に基礎的な基準になるものだと思う。前回の教育委員会会議の時に、支援学校がセンター的役割を持つということを推進しているという話を聞かせていただいたが、学校を卒業し、成人になって就職した後まで続いていくものではない。そのあたり、技術を習得したり、学び、教養を身につけるという観点について、彼らについてはもう少し長いスパンで考えていただきたい。技術を身に付ける際に、昔ながらの一対一のギルド的な考え方で技術を身に付けさせていくという流れで、10年20年とフォローアップしていく支援学校の学科作りというのも少し念頭において頂ければと思う。

(中井委員)基本的に反対とかそういう意見ではなく、ただこれからの教育という観点で少し考えたとき、40人学級というのは現状では仕方がないと思うが、世界的にみて40人はちょっと多い。新しい教育の方向性という観点から、文科省が掲げる思考力、教養力、判断力を育てないといけない。学級の中でいろんな活動をどんどんしていくべきと思うが、一方では人数が多いのが難しい部分となっている。明治以来の一斉教育というのが、多くの学校で旧態依然として残っているのは、多人数での教育も原因の一つと思っている。財政難等々な事情があるので、すぐには難しいと思うが、長期的な展望に立って、これから日本から世界で活躍できるような人材の輩出を実現するために、新しい教育の方向性の観点を踏まえ、検討していただければという感想を持ったので、一言言わせていただいた。

(高等学校課長)今、中井委員がご指摘いただいたような観点、今後の展望も含む見通しを持ったうえで、我々の努力も必要と思っている。現状で言うと、ご存知のようにエンパワメントスクールや工科高校といった学校の中で、40人という数にこだわらずに募集を行っている。一方で国が措置する加配定数なども最大限活用しながら、できるだけきめ細かく指導できるような教育を心がけているところだが、おっしゃっていただいた通り、今後の国の動向なども注視しながら、ご指摘の点も踏まえて検討してまいりたい。

【採決の結果】賛成多数により、議題1、議題2ともに原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、岡部委員、中井委員、森口委員) 

報告事項1 令和2年9月定例府議会提出予定の追加議案について

【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】
令和2年9月定例府議会に提出予定の、特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案及び条例案について、次のとおり報告し、委員会に意見を求める件である。
 

 〇事件議決案
1 指定管理者の指定の件(教育委員会所管施設)

〇条例案
1 大阪府立学校条例一部改正の件

【質疑応答】なし

報告事項2 令和元年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の調査結果について

【議題の趣旨説明(高等学校課長 小中学校課長)】
標記について、報告する件である。

【質疑応答】
(森口委員)小学生中学生のいじめ、不登校のところで、特に小学生は家庭との関係が大きな要因となっているという分析結果があった。私ども小児科の医師としては、保護者、それから生徒とお付き合いする中で、やはり家庭の問題は学校の中で切り離して考えることはとても難しいが、また、当然のように学校から家庭に入り込むということも難しいと思っている。ただ、子どもたちにとって、やはり学校は一つの居場所、とても大きな居場所である。そこで、例えば家庭内の事情であったとしても、学校として取り組んでいくことが非常に重要なことではないかと考える。そのときに、今すぐは困難かもしれないが、Ssw(スクールソーシャルワーカー)、ないしはSc(スクールカウンセラー)の配置率を上げていって、担任の負担を軽減していくという方向性は非常に重要であると思う。あと、高校生については、全国ワースト1ということで、非常に問題が多い。ただ、高校生はこれからわずかで社会に出ていく。そのときに、先ほどの府立高校の魅力ある学科の選定ということも関わってくると思うが、まず自分がどういったものに興味を持ってどういった能力があるか、そこを見いだしていくことで、子どもたちの自分自身を見つめる力を上げていくことも一つの大きな目標になるのではないかと思う。

(小中学校課長)森口委員のご意見は本当にその通りであり、不登校の小学生が増えてきている背景は、家庭と一緒に考えていかなければならない。先生も忙しい中、対応はしているが、カウンセラーの先生については、小学校は今、配置がない状態で、中学校から、必要に応じて行っていただいているというような状態であり、行ったときにはもうずいぶん不登校の状況が進んでしまっていたという状況もある。Ssw(スクールソーシャルワーカー)も同じである。市町村と協力して、やっと中学校区までは配置したが、なかなか臨機応変に行けていない状況もある。先生方も、今年はコロナの対応に追われており、子供たちが気になりながら、という状況があるので、そこを大阪府としてどう支援していくか、今後しっかり検討してまいりたい。

(教育長)今小中学校課長から説明したように、特に小学校のSsw(スクールソーシャルワーカー)、Sc(スクールカウンセラー)をどう手厚く配置していくかというのが課題だと考えている。コロナ禍の子どもたちの心のケアというところで、家庭の問題にどこまで入っていけるかというのは確かに難しい問題もあろうかと思うが、子どもたちをトータルで見て、福祉としっかりと連携しながら、教育の現場でケアしていくという流れも、更に強化させていただきたいと考えている。

(岡部委員)今おっしゃったことに関して一つと、それからもう一つ申し上げたい。まず、不登校について、子どもたちの心の問題に集約してしまうことの危険性を感じている。というのも、今おっしゃったように、小学校の不登校で家庭の原因が多いというのは、明らかに心の問題を超えた問題を子どもたちが抱えているということが数値に表れているということであるし、全ての学校において、無気力不安というものが出てきているのは、子どもたちの心を超えて社会の体制が不安定であることを反映していると考えられる。このことを、子供たちの心の問題として、「あなたが希望を持てば」「あなたがしっかりすれば」というように言っていくと、子どもがもっと追い詰められてしまう可能性もある。あと、学力をしっかりつけていくことももちろん大事なことではあるが、「あなたが学力さえつければちゃんと学校に行けるよ」と言ってしまうと、これもまた、「自分が何とかしなければいけない」と追い詰められていく一つの原因にならないとも限らない。「もう少し弱くあってもいいんだよ」「何かできないときはここに頼ればいいんだよ」というように、ちゃんと福祉的なものに頼る知識や力を持つとか、人に相談する力を持つとか、そういった方向にぜひ教育を進めていってもらえればというのが私の願いである。
  
学校の先生方はとても熱心で真面目で努力もされてきた方が多いので、「一緒に頑張ろうね」という声掛けは必ずすると思うが、「できないときはここに頼ればいいんだよ」「自分一人で頑張る必要はないんだよ」という形で声掛けをするとともに、「あなたの心の問題というよりは福祉的な問題だ」というような考え方でソーシャルワークの知識、機能や、「どこに繋げばいいのか」という情報を持っている先生をぜひたくさん育てていただきたいと思う。福祉との連携についても教育長がおっしゃる通りであって、もちろん福祉の方にもお願いしたいことはたくさんあるが、先生方が福祉と十分に繋がれていないというところはまだまだあると思うので、そういった意味で、教員研修や、学校それぞれが福祉と繋がっていけるような部分をぜひ作っていただければと思う。Sc(スクールカウンセラー)やSsw(スクールソーシャルワーカー)をたくさん配置するといっても、なかなか予算的な問題で現実的に実現していくことに時間がかかるとするならば、先生方も知識や技能というところで、ソーシャルワーク、福祉等と結びついていくしかないところはあると思うので、先生方が自分で福祉的なことを抱えるのではなく、きちんと福祉機関と繋げていって、先生方自身が辛くならないように、親御さんも辛くならないように、そして子どもたちが少しでも元気になるように、誰も辛くならないような道を、ぜひ情報や技能を駆使して整えていっていただければというのが1点目の希望である。
  
あと1点については、別のことになるが、暴力行為が中学校全体において少なくなっているのに、高校1年生の暴力行為が増えているという点が気にかかる。たまたま出た数字ということであれば、あまり気にする必要はないのかもしれないが、中学校で暴力を抑えているのが高校で爆発するような形で、生徒を抑えてしまっているということであるならば、問題ではないかと思う。ここは数値だけでは見えないところなので、質的な研究調査等をしていただき、中学校でしっかりとアンガーマネジメント等、ただ抑えるのではなく、解消するという形で昇華するという対応ができているのかを少し見ていただいて、「何か言いたいんだけども言葉で言うのが面倒くさい」という状態なのを中学校で抑えているのだったら、高校になったら力が強くなっている分、衝動として出てしまうことはあると思うので、うまく言葉で解消できるような指導をされているのかというところを調査していただけるようにお願いしたい。

(教育長)森口委員は、今回はここでご退席となります。

(森口委員)それでは失礼させていただきます。

【森口委員はここで退席】

 (小中学校課長)2つ目にご指摘いただいた中学校の暴力行為について、抑えるような指導ではなく、チーム体制で子供たちの主体性等を大事にしながらやってきている。今回の資料2−3ページを見ていただくと、暴力行為については、中学校が非常に多かったのが右肩下がりになっている。全国でいつもワースト1、2を争っていたような状況から、減少してきており、これは中学校の生徒指導体制や学級作り、それから、勉強がわからなくて暴れるというようなところもあったので、学力の問題も合わせ、全体的な体制でやってきている。私どもも直接見に行くことも多いが、最近の中学生は、本当に逆に「やんちゃな」子がいなくて、逆にそれが心配かなというくらいで、子供たちは徐々に落ち着いてきているという状況である。今後、高校との連携や、そのような状況等ももう1回しっかり見きわめながら、子どもたちが、「何かを訴えたくて暴力を振るっていた」というのであれば、それをどのような手段でどうしていくのがいいのか、しっかりその手段も伝えながらということをもう一度確認したいと思っている。
 
それから、1点目の心の問題とだけ捉えるべきでないというのは、本当にご指摘の通りだと思う。先ほども申し上げたように、専門家を何とか配置していきたいということにはもちろんであり、そのため学校でのチーム体制をとっていくということが前提である。そのあたりの研修も進めているし、ご指摘のあったソーシャルワークの知識技能という研修などもしながら、中心のメンバーから広げていくような取り組みもやっていけたらいいと思っている。そんな中で一つ良いニュースがある。先日の土曜日に、いじめ問題をテーマとして、生徒会サミットという取り組みを行った。今年はリモートが半分だったので、初めての試みで大変だったが、その中で印象的な意見があった。いじめのことがテーマだったが、「人と繋がる、つらいことがあっても嫌なことがあっても、誰かと繋がることで解消できるんじゃないか」と。それが子どもによって、家族であったり先生であったり、それからやっぱり友達だっていうような意見がたくさん出ていたので、子どもたちは生徒会の子だが、そういう気持ちを持って、これからも学校作りを進めていこうというふうな話をしていたので、すごく頼もしいと思った。そこを支援していける学校でありたいと思っている。

(高等学校課長)今おっしゃっていただいた通り、子どもを追い詰めるというようなことではなくて、そういう頼れるようなポジションを子どもたちに示していく、一人で悩まないというシステムを作っていくことが本当に大事なことだと思っている。一方でまた、自信をなくしている生徒が、少しずつでも自尊感情を高めていけるような取り組みについて、例えば学力ということについても必要であろうし、自分自身の存在に自信を持てるような、そういう取り組みも、エンパワメントスクールでは、ソーシャルスキルトレーニングの中で、一足飛びには行かないが、研究を進めている。一方でSw(ソーシャルワーカー)の配置などによって、学校に福祉的な視点が育つということを、この間我々実感としても感じており、校長、准校長からはそういう人材が配置されることによって学校の体質が変化していくという成果はこの間、幾つも指摘を受けている。我々が今考えているのは、こういうSsw(スクールソーシャルワーカー)等について、可能であれば、全校に配置したいという思いを持っているが、この夏のトピックとして、配置されていない学校を対象に相談会という形で呼びかけを行い、10校ほどの学校から個別に、Sswへの相談を受け付けた。参加した全校から、問題の解消ということと併せて、非常に意義がある、学校の中にそういう福祉的な発想、知識が少しずつでもついていくような貴重な経験ができたという感想をいただいているので、こういったところをヒントにしながら、配置されていない学校においても、ノウハウができるだけ伝わっていくように工夫をしていきたいと思う。

(岡部委員)明るい話題をいくつか教えていただき、これから良くなっていくだろうという希望を抱かせていただいた。一点、小中学校課長にお願いというか、申し上げたいことがある。暴力行為については、おそらく国語力の問題と結び付いているかと思う。「こう言うんだよ」というふうに外から教えられることをしっかりと言っていける力はついてきていると思うが、自分の中にあるものをちゃんと言葉にする力がついていないという状況が学力テストではっきりと出てきていたと思う。自分の中の悲しみ、怒りや不満を言葉にできなくて、そのまま「もういいや」と抑え込んでしまったのが、暴力という形に表れている可能性もないわけではないと思うので、この辺については、先生方が、「こういうときはこう言うんだよ」とか「こう言ったら適切なんだよ」というふうに指導する、古くよりある識字教育という、自分の中にあるものを自分なりに納得できる形で言葉にしていく力を整えられるような教育ということからアプローチできると思うので、ぜひその辺を検討していただければと思う。

(中井委員)一昔前に比べ、ソーシャルワーカーの配置や、それからスクールカウンセリングの充実、あるいはほとんどの学校で教育相談の部署が多分設置されており、生徒のいろんな相談を受け、結果として各種問題行動が減少していると思うが、中途退学のところについては、やっぱり全国中で大阪の割合は大きい。学校現場に立った経験から言うと、中途退学するきっかけの大きな原因は、進級できないこと。高校生は留年をきっかけに辞めていくという例が非常に多い。各学校の取り組みで、生徒に寄り添った教育をする中でというのは確かにあるが、学力面については、単に学校の教務内規で機械的に切り捨てているというのも、まだひょっとしたらどこかにあるかもしれない。例えば、欠席回数がオーバーで点数が足りず、進級基準を満たさないから駄目ですよというのは、そうではないと思う。生徒の事情が何であったかということは個別に検討すべきであって、場合によっては、心の病であるとか、家庭の状況とか、色々なことがあると思うので、学校現場にもう少し弾力的な取り組みがあってもよいと以前から思っているところである。例えば学力においても、年間の例えば定期考査の平均点が非常に低いという場合、他のほとんどの学校は欠点となれば別の課題を提出させることになると思う。それでも、生徒が課題を出さないのであれば、それは仕方ないという意見はあるかもしれない。それはなるほどと思うが、でも何で提出しないかという原因について、高校等でもっと精査されていいと思う。家で課題ができる状況にない生徒など、生徒だけでなく家庭に問題があるケースもある。そういう意味で、生徒にもっと寄り添ってほしい。教務内規についても、弾力的な運営をしてほしいと思うし、生徒一人ひとりにもっと寄り添っていければ、不登校やいじめについても、総合的に減っていくように思う。学校現場は努力されていると思う。教育相談等は大変な部署だが、例えば外部の医療機関等にもどんどん相談されるなどして、学校内だけで問題解決にあたるのではなく、外の繋がりをもっと広げていただいていって、中途退学を減らしていただきたい。

(高等学校課長)ご指摘の通りであり、教務内規等の厳格な適用によって機械的に生徒が進級できないという状況は起こらないように、各学校に弾力的な運用について指導していきたいと思っているし、現場の状況からすると、以前であれば、例えば課題を出せない生徒は「怠学(なまけがく)()」ということで減点されるという「当てはめ」をしていたが、近頃は個々の生徒の様々な特性によって、課題を「出さない」のではなくて「出せない」のであれば、どういう対応がそのときに必要になるのかというようなことについても各学校の場面に応じて指導している。一方で、例えばエンパワメントスクールの取り組みの中では、評価のポイントとして、1回の考査でそのときの状況を測定するのではなくて、例えば1度の評価ポイントで点数を満たせない生徒については評価ポイントをいくつも増やすというようなことによって、その生徒の正しい学習に向き合う姿勢を評価できるということにも繋がると思っているので、そういう指導体制も含めて、今ご指摘の点を踏まえ、各学校に対して引き続き指導してまいりたい。

(竹若委員)いろいろ報告していただいて、こういうことを言うとまた不安になるかもしれないが、ほめると状況が悪いほうに逆転してしまうので、あえて言わせていただきたい。問題行動については平成27年から減少してきている。満足のいく状況ではないが、減少し続けている。この状況は、やっぱり大阪の小中高、学校の現場がしっかり頑張っている証だと思う。その中に「寄り添う」という言葉が先ほどから中井委員、課長からあった。寄り添うという文言は、全国の都道府県の中でも大阪の教育の最大の特徴であろうと、これほど子ども一人ひとりに寄り添っているところはないであろうと思うし、それが、中学校での暴力行為の減少や不登校の減少につながっていると思う。先ほど生徒会サミットの話が出たが、学校現場では子どもが中心になって物事を考えさせて、自分がどうすべきかという教育活動が展開されており、生徒会サミットでこのような意見がでたのも、まさにそれが子ども自身で考えていく教育がめざされている証拠だと思う。生徒会サミットは今回で11回目であったが、過去の経験の中で、自分たちの問題として考え出すことで、生徒はこれほど成長するのかと思う。その方向性で大阪の教育をこれからも進めてもらえるとありがたい。
 
それからいずれにしても、問題行動そのものについては、行動別に問われることが多いと思う。不登校、いじめ、暴力行為などの様々な問題については、学校現場から考えれば、総合的に学校のあり方、児童生徒にとって魅力ある学校はどういうことなのかという基本的なことに今一度立ち返りながら、教育活動を進めていく、子どもたちが生き生きと学校に通える、そういう基本的な考え方に立ち戻るべきではないかと思う。今、国の方では、不登校問題に関し、不登校を生まない学校の在り方、学校での過ごし方、教育活動についてモデルケースを展開しているけれども、現実にその成果はずいぶん上がっているようである。しかし不登校の要素は、中井委員もおっしゃっていたが、人にとっては学力、学校に行くのが楽しいかということ、先生とのコミュニケーション、先生たちが支えてくれるか、等色々あるが、「魅力ある学校」ということを基本的な考えとして対応を進めていっていただけたらと思う。岡部委員の言うように、言葉、語彙力で自分のことが伝えられないから、暴力に訴えてしまうというのは、過去にもずいぶんあったし、特に小学生低学年では顕著である。この辺は、家庭の教育力にも関連があると思うが、学校現場ではそういう点も含めて、校区で就学前の幼児教育のあり方について、保育所や幼稚園の保護者に集まってもらって、子供の接し方等も地道に取り組んでくれている成果も現れているかと思うし、地域教育の関係もあるが、その点は力を注いでいけたらと思う。最後に高1の暴力行為については、これは私の推測かもしれないが、中学校は地元で育ってきて仲間のいる安心感がある一方、高校に進学して地元から離れて生活したときに不安というのも理由なのではないか。一例としてかつては中一ギャップとして暴力行為、不登校が増えたが、これは不安によるものが多かった。学力にしてもしかりで、入学段階でどれだけ生徒同士でコミュニケーションが図れるかということについての施策も、これからもっと必要になってくるのではないかと思う。問題行動については現に成果が現れつつあるわけなので、これに安心せず、さらに取り組んでいただきたい。

(教育長)全体を総括する貴重なご意見をいただいた。本日、各委員からいただいた貴重なご意見も踏まえて、引き続き教育の向上に努めてまいりたい。

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 広報・議事グループ

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