2 人権問題の実態(訴訟等になった事例)

更新日:2022年7月8日

(3) 訴訟等になった事例

 予断と偏見に基づく差別事件が、損害賠償等の裁判(下に例示)や行政指導(地方法務局への人権救済申告による説示等)の対象となった例があります。
 取引物件が同和地区にあるかどうかを調査したり、入居申込者が外国人等であるという理由だけで入居を断ることは、差別又は差別を助長する行為です。
 宅地建物取引業者の皆さんは、予断と偏見に基づいた問合せを受けることがあるかもしれませんが、その際には、人権を尊重する視点から毅然とした対応をしてください。また、取引関係者に対しても、積極的に啓発に努めてください。

損害賠償請求等事件(平成5年6月18 日大阪地裁判決)

 契約交渉が相当進行し、借主が契約の成立を確実なものと期待する段階で、在日韓国人であることを理由に家主が賃貸マンションの入居を断るという事件があり、家主等に対する損害賠償訴訟が起こされました。これについて、裁判所は、入居拒否に何ら合理的理由がないものとして、家主に対し26万7千円の損害賠償等の支払いを命じました。

損害賠償請求等事件(平成15年1月14日さいたま地裁判決、同7月16日東京高裁判決)

 インド国籍を有する者が賃貸住宅を探す目的で宅建業者へ電話したところ、業者の従業員が「肌の色は普通の色か」「普通の色とは日本人の肌のような色」といった発言をするという事件がありました。これについて、裁判所は「肌の色を問い質したことは原告の人格的利益を毀損するものである」として、50万円の損害賠償等の支払いを命じました。

損害賠償請求等事件(平成18年1月24日神戸地裁尼崎支部判決、同10月5日大阪高裁判決)

 在日韓国人夫妻が、韓国籍を理由に家主から入居拒否される事件がありました。これについて、裁判所は「韓国籍であることを入居拒否の理由にしており差別に当たる」として、家主に対して、計22万円の損害賠償等の支払いを命じました。宅建業者への損害賠償請求については、「宅建業者は契約成立のために家主の説得を試みている」と認定し、「誠実に業務を遂行した」として棄却しました。この事件の控訴審において、大阪高裁は「賃貸借契約の拒否は国籍を一つの理由とするもので、憲法14条1項の趣旨に反する不合理な差別であり、社会的に許容される限度を超える違法なものというべきである。」と判示し、一審判決を追認しました。

損害賠償請求等事件(平成19年3月13日大阪地裁和解)

 在日韓国人の弁護士が家主から外国籍を理由にマンションへの入居を拒否される事件がありました。これについて、大阪地裁で「家主は入居差別を認め謝罪し、解決金100万円を支払う」などの条件で和解しました。

損害賠償請求等事件(平成19年10月2日京都地裁判決)

韓国籍の方が国籍を理由にマンションへの入居を拒否される事件がありました。これについて、裁判所は、家主があくまで住民票の提出を要求したことから、「理由が国籍にあることは明らか」とし、「日本国籍でないことを理由にした拒否は不法行為にあたり、賃貸借契約を拒むことは許されない」と断じ、家主に計110万円の支払いを命じました。

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このページの作成所属
都市整備部 住宅建築局建築指導室建築振興課 宅建業指導グループ

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