第2回 大阪府差別解消に関する有識者会議

更新日:2019年11月26日

《日時》平成26(2014)年10月30日(木曜日) 16時30分から18時
《場所》大阪府本館3階 特別会議室
《出席者》上田委員、中井委員、山本委員

《配布資料》

次第[PDFファイル/28KB] [Wordファイル/36KB]
委員名簿[PDFファイル/15KB] [Wordファイル/18KB]
(資料1)第1回大阪府差別解消に関する有識者会議における主な意見[PDFファイル/86KB] [Wordファイル/25KB]
(資料2−1)大阪府における障がいを理由とする差別の解消に向けた取組みについて(提言)の概要[PDFファイル/162KB] [その他のファイル/130KB]
(資料2−2)大阪府における障がいを理由とする差別の解消に向けた取組みについて(提言)[PDFファイル/347KB] [Wordファイル/98KB]
(資料3)御意見を伺いたい事項[PDFファイル/61KB] [Wordファイル/23KB]
(参考資料)参考事例[PDFファイル/85KB] [その他のファイル/89KB]
《議事概要》以下のとおり


【議事概要】
■対象にする人権課題について
≪委員≫


障がい者の問題が先行して進んでいるのは、コンセンサスが比較的得やすい問題であるため。それ以外の問題については、グラデーションがある。
性別に関しては、昔から取組みが行われてきていて比較的受け入れられやすい。そこから先の当面の大きな課題は外国人の問題ではないかと思うが、コンセンサスを得にくいのではないかと考える。諸外国では、特にイスラムの問題があるので、宗教の問題が喫緊の課題となっているが、日本の場合はまだ意識は低い。性的マイノリティの問題もあるが、これも意識が高まっておらず、コンセンサスは得にくいかもしれない。また、出自の問題も大きいと思われる。長年にわたる取組みとの整合性をどのように図って進めて行くのかということについては、これまでの経緯を十分知らない者には判断がつかない。



人権課題がはっきりしている障がい者の問題でさえ難しい点がたくさんある。他の人権課題では、「不当な差別的な取扱い」と「合理的配慮の不提供」の振り分けを客観的な基準で行うことすら難しいのではないかと思う。
包括的なガイドラインを作るのは難しいし、それで差別を受ける可能性のある府民に利益がもたらされるのか、ということを考えると疑問を感じる。



救済のあり方と関係する。もし、単なる相談など非常に弱い対応のみを考えるのであれば、ある程度包括的に取り組んでもよいが、より実効的な解決まで視野に入れるのであれば、加害者側の人権にも関わってくることであり、人権課題をある程度明確にしておく必要がある。
また、包括的に考える場合には、何の人権課題が対象となるかについて判断する必要が生じる。この点は、憲法14条1項の例示(人種、信条、性別、社会的身分、門地)には特別な意味があり差別してはならないという通説や、本人の意思によってはいかんともしがたい属性についてはそれに基づく区別の合憲性は慎重に判断しなければならないとする判例(国籍法3条関係)が手がかりになると思う。
≪事務局≫

前回、障がい以外の差別に関するガイドラインについては、思想、信条に抵触するおそれがあるとの意見があったが、対象とする行為の類型を「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の不提供」に限定したとしても、やはり難しいと考えるか。

≪委員≫



「合理的配慮の不提供」の禁止は積極的な作為義務を課すことになるし、「不当な差別的取扱い」の禁止は意思に反して契約しなければならない状況を作るため、公権力が価値観に介入することになる。これらに限定すれば問題が消えるというわけではない。
障がいでも、程度の差はあれ似たような問題はあるが、皆が等しく障がいをもつ可能性があるためコンセンサスが得られやすい。この点で、他の人権課題とは多少の違いがある。



ガイドラインでは私人(個人)は対象とせず、基本的に事業者による社会的、公共的なサービスを対象にするという認識。その趣旨が「少なくとも社会的、公共的な場面では差別はやめましょう」ということであれば、合意の得やすさは、障がいとそれ以外の人権課題で、あまり違いはないように思う。
ただ、私人と事業者の境目は微妙。個人経営の会社と大企業では異なるので、うまく限定する必要があるのではないか。





障害者差別解消法は、対象を国又は地方公共団体とそれ以外に分け、それ以外については事業者に限定している。この事業者とは同種の行為を反復継続して行う者であり、企業や団体に限定されない。したがって、例えば賃貸アパートを経営している個人も事業者にあたる。なぜそのように定めているのかというと、同種の行為を反復継続して行っているということは、一定のパブリックなサービスを提供している者であると考えられ、そのような者に対しては、障がい者に対する差別的取扱いをしてはならないという制約を課しても容認できるという考え方による。
検討にあたって、この考え方は、最低限の前提になると考える。
≪事務局≫


行政としては、同じ差別的取扱いが行われているのであれば、人権課題に関わらず解消されるべき差別として取り扱うべきではないかという気がしている。
また、一般の人の意識がそこまで高まっていないのであれば、逆にそれを高める意味でもガイドラインとして示して啓発していく必要性もあるように思う。
≪委員≫

救済と連動すると考える。あくまで啓発にとどめるということであれば、人権課題を広げてもよいのではないか。しかし、何か具体的な救済を行うこととなると、加害者の人権とぶつかることになり、慎重にならざるを得ない。

行政の決意の問題として、例えば、大阪府が「外国人差別はいけない」という立ち位置を打ち出すということはあり得ると思う。しかし、啓発にあたって、ガイドラインという方法が適切なのかどうかは疑問。啓発の仕方は色々あるが、どのような経緯があってガイドラインが適切だと考えているのか。
≪事務局≫

ガイドラインという方法が適切かどうかも含めて検討しようと思っている。

法的根拠、救済のあり方について






障がい者差別に関する「提言」を見ると、紛争解決のための合議体を設置して、事実確認のための調査や、勧告、公表といった実効性の確保のための制度を導入することが視野に入っている。
勧告や公表は、行政法で言う処分性の有無について議論があるところ。今のところ、限界事例として処分性無しという認識が優勢だが、最近の風潮では、公表の事実上の権利侵害の大きさなども言われている。このような仕組みを目指すのであれば、法的根拠として条例を作った方が、後々揉めることがなくてよいと思う。
国内法がない中で、大阪府が条例を作れるのかという問題については考え方が分かれる。条例制定権の範囲の問題をクリアできるのであれば、条例を作るということはあり得るし、むしろ一定以上の紛争解決の仕組みを作るのであれば、条例を作った方が良いと思う。
≪事務局≫

先ほど、公権力による価値観への介入に関して指摘があったが、規範力を持たせず基準を作って啓発するにとどまる場合であっても負担が生じるので適切でないということか。あるいは、規範力を持たせるのは適切でないということか。

≪委員≫



公権力が何らかの措置を講ずる場合には、バランスを取らなければ受け入れられない。また、紛争、訴訟、さらには憲法判断につながるかもしれないというリスクを考えながら、制度を構築していく必要がある。
差別的取扱いをしてはならない、また、合理的配慮をしなければならないことになると、思想信条の自由への抵触だけでなく、財産の拠出も伴う場合がある。特定の事業者に対して、ある種の税金を課すような状況になる。「より良い社会にするために必要な負担である」という説明は可能だが、拙速に進めても納得は得られにくい。ステップを踏んで、「そうしなければならない世の中になっている」という理解を得ていくしかない。

それは、救済措置を伴わないガイドラインであっても、ということか。





ガイドラインだけだとしてもそうである。強制力はないにしても「大阪府もこう言っているではないですか、なぜあなたはそうしないのですか」という無形の圧力になる。
高齢者、疾病は、障がいに並ぶものであり、コンセンサスが得られやすいと思う。ただ、障がいのない高齢者が不利益を受けるケースも多く、すべて平等取扱いをしなければならないことになると、事業者にとっての負担は急激に広がる。
障がい者でも見られるが、例えば飛行機への搭乗拒否など、「何かあったら対応しなければならなくなるので、最初からサービスの提供を断る」という事例がある。これはかなり明白な差別的取扱いだが、実際に事故が起こった場合に法的責任まで課せられることになると、事業者は非常に不安になる。このような事例について、どう説明するか、また、どうサポートするかという問題が生じる。

≪事務局≫

ガイドラインという方法が良いのかどうか、という御意見があった。どこまでいっても、事例の積み重ねにならざるを得ないかと思っているが、それ以外の手法はあるか。
≪委員≫

事例集のことをガイドラインと呼んでいるということか。包括的でもない事例集をガイドラインとして示すことが果たして良いのかどうか。
≪事務局≫



最初から完全なものは無理だと思うが、フォーマットを作っておけば、そこに事例を積み上げていけば、ある程度の基準的なものになっていくのかなという気がしている。
障害者差別解消法の対応指針も同じような形かと思う。
≪委員≫




対応指針について、一番大きな関心は、「不当な差別的取扱いの禁止」が事業者の法的義務とされたので、何をすれば義務を果たしていることになるのか、何をしていなければ義務を果たしていないことになるのか、をはっきりさせること。結局は事例を積み重ねていくということになるのかもしれないが、本当はもう少し踏み込まないと、事業者の不安は拭えないと思う。
また、地方公共団体は、「合理的配慮の提供」も含めて法的義務を負っているので、自らの指針をどうするのかという問題がある。「不当な差別的取扱いの禁止」は相対的にはわかりやすいが、合理的配慮をどういう基準で判断するかというのは切実な問題。しっかり示していただきたいと思っている。
≪事務局≫

次回は、収集した事例を整理した形で示すとともに、今までの御意見を整理させていただき、今後の検討につなげるということで、まとめさせていただきたい。

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権擁護課 擁護・調整グループ

ここまで本文です。


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