第46回大阪府在日外国人施策有識者会議 議事録概要

更新日:2021年3月29日

(と き)令和2年2月13日木曜日 午前10時から12時
(ところ)大阪府庁本館1階 第1委員会室

(議事)
1.座長、座長代理の選任について
2.大阪府の在日外国人施策について

(報告)
「外国人材の受入れ・共生づくりに向けた施策展開について」

(出席委員)8名
河合 大輔(公益財団法人箕面市国際交流協会 事業課長)
斎藤 ネリーサ(フィリピンコミュニティ連絡会 アドバイザー)
佐藤 潤一(大阪産業大学国際学部教授)
野中 モニカ(天理大学国際学部准教授・ポルトガル語通訳案内士)
朴 君愛(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター 上席研究員)
ペエ 薫(弁護士)*ペエは、亠に裴の亠を取る
彭 飛(京都外国語大学外国語学部教授)
山ノ内 裕子(関西大学文学部教授)

(欠席委員)2名
トラン ティ アン ホン(ベトナム語通訳)
中井 伊都子(甲南大学法学部教授)

(配付資料)
資料 「大阪府在日外国人施策有識者会議設置要綱」 [Wordファイル/24KB]
資料 「大阪府在日外国人施策有識者会議の委員名簿」 [Excelファイル/26KB]
資料1-1「大阪府在日外国人施策の実施状況(令和元年度版)」
 ・表紙 [Wordファイル/27KB]
 ・目次 [Wordファイル/43KB]
 ・関連施策一覧 [Wordファイル/127KB]
 ・資料1「大阪府の国籍別在留外国人数」 [Excelファイル/17KB]
 ・資料2「大阪府の市町村別在留外国人数」 [Excelファイル/13KB]
 ・資料3「大阪府の国籍別在留外国人数の推移」 [Excelファイル/20KB]
 ・資料4「全国の国籍別在留外国人数及び割合」、資料5「全国の国籍別在留外国人数の推移」 [Excelファイル/25KB]
 ・資料6「大阪府外国人数相談コーナー実績集計」 [Excelファイル/12KB]
資料1-2「大阪府における在日外国人施策の体系」 [Excelファイル/47KB]
資料1-3-1「委員からの質問及び回答(1)」 [Wordファイル/20KB]
資料1-3-2「委員からの質問及び回答(2)」 [Wordファイル/20KB]
資料1-3-3「委員からの質問及び回答(3)」 [Wordファイル/21KB]
資料1-3-4「委員からの質問及び回答(4)」 [Wordファイル/21KB]
資料1-3-5「委員からの質問及び回答(5)」 [Wordファイル/20KB]
資料2「外国人材の受入れ・共生づくりに向けた施策展開について」 [その他のファイル/319KB]
参考資料1「庁内出席所属一覧」 [Wordファイル/15KB]

(会議概要)
1.開会
2.人権局長挨拶
3.議事
(1)座長、座長代理の選任について
 本会議設置要綱第3条第2項の規定により、座長に彭委員が、座長代理に中井委員が選任された。
(2)大阪府の在日外国人施策について
【主な発言内容】<●…委員(座長含む)、○…大阪府(事務局及び関係所属)>
○ 大阪府における在日外国人施策の体系について説明(資料1-2のとおり)
● 委員から質問の趣旨について説明(資料1-3-1のとおり)
○ 大阪府から回答(同上)
● 委員から質問の趣旨について説明(資料1-3-2のとおり)
○ 大阪府から回答(同上)
● 委員から質問の趣旨について説明(資料1-3-3のとおり)
○ 大阪府から回答(同上)
● 委員から質問の趣旨について説明(資料1-3-4のとおり)
○ 大阪府から回答(同上)
● 委員から質問の趣旨について説明(資料1-3-5のとおり)
○ 大阪府から回答(同上)

●30年くらい前の大阪の国際化で特に取り組んでいたのは地域の日本語ボランティア育成だったが、これからは地域のボランティア組織だけではなく、職員が日本語を教えるということを真剣に考えなければならない。母語を教える仕事をしている人が少ないというのは世界の中でも稀だと思う。これは1つの仕事であると考えていないからではないか。外国人が増えると、日本人との交流あるいは外国人をバックアップする機会が増えるので、こういう分野に関心を持つ人材を育成することは非常に大事なこと。
●最近までの在日韓国人に関する問題といえば教育である。かつて民族教育と言われていたけれども、最近は人権教育という言い方が多くなっている。確か文科省が2022年から、日本史とか世界史とかいうジャンルでなくて、近現代史、15世紀以降の近代史を、子どもたちに教えるようだが、大阪府レベルでも外国人への理解とか教育とかでそういうものをアピールすることが、ヘイトスピーチであるとかいろんな問題の解決のための取り組みの1つではないかと感じている。いろいろなことをして日本は変わったということのアピールは、日本国内にしても国外にしてもほとんど届いていない。大阪府の住民たちに知らせるという作業が必要じゃないかなと思っているので、一度ご検討いただければと思う。
●日本語指導を必要とするあるお子さんの保護者の方にインタビューしたのだが、その方は在日5年目にも関わらず、お子さんはまだ平仮名とカタカナの勉強しかしていない。学校では全然授業が分からないまま俯いている。学校はすごく特別支援教育には力を入れていて、様々な支援が必要なお子さん、発達障がいであったり、習熟障がいだったりに対してきめ細やかな支援がなされているが、外国籍のお子さんにはその支援がない、支援が足りていないと思った。日本語指導を必要とする子どもたちのための加配の先生とか、支援の先生の入る基準というのは、大阪府ではどうなっているのか。市町村によって違うと思うが、どの程度把握されているのか。
○日本語指導の加配教員の大阪府の状況についてだが、基準としては国が示している基準があって、特別の教育課程を受けている子どもの数が18人いれば1人の教員を配置するというもの。それに合わせて大阪府も児童生徒支援加配という国からの加配を日本語指導に利用している。特別教育課程というのは、通常の教育課程ではなく、原則として抽出するという形で、教員が別の教室で当該の児童生徒を指導する中で日本語指導をしていくという文科省の制度で、最終的には教室で日本語の授業を受けることができるように、一旦みんなと離れて、別室で日本語指導を通じて授業を補助していくという形になっている。その方の場合は、おそらくその在籍数が18人いないという市町村、区域ではないか。なんとか大阪府としても、都市の学校に配置されている加配教員が、そこから近隣の学校へ巡回をして支援をしていこうと今現在取組みを進めているところだが、なかなか全ての児童・生徒に支援が行き届いていないという現状は認識している。
●この20年30年、大阪も妻が外国人という国際結婚のケースが増えており、学校現場では色々協力しているけど、外国籍のお母さんたちが相当困っていてバックアップが必要な状況なので、それがなければ不登校が増えるかも。お母さんと日本語で十分にコミュニケーションできなければ、不登校につながる可能性もある。
●日本語指導の件で。留学生扱いでなく指定校推薦の生徒について、日本語がN2のレベルにも達していない子が結構留学するようになってきた。そういった学生に対して、正規で留学生の授業というわけにはいかないので、大変苦労をしている。こうした生徒にどの程度まで日本語を支援するのかだが、ただ授業を受けるのではなく、もう少し具体的なレベルとして、日本語N2レベルまで指導するみたいなものを施策として推進してほしいと思っている。

4.報告
「外国人材の受入れ・共生づくりに向けた施策展開について」
○新たな外国人材の受入れに向けた府の対応方針について説明させていただく。令和元年度の取組み状況として、アンケート調査などから明らかになった外国人材をめぐる現状や課題、そしてそれらを踏まえた具体的な取組みなど、外国人材の受入れ、共生づくりに向けた施策展開について、資料に基づき説明する。
 東京商工リサーチの全国企業倒産状況によれば、2019年の人手不足の関連倒産が過去最多の426件を記録するなど、人手不足は深刻な状況となる見込みであり、府内の中小企業についても、人手不足というのは重要な経営課題になっている。
 昨年4月に創設された新たな在留資格、特定技能を活用した外国人材の受入れ促進と共生社会づくりを進めるため、昨年9月に庁内関係11部局によるプロジェクトチームが発足したところ。
 このプロジェクトチームにおいては、すでに外国人労働者を受け入れている府内事業者やそこで働く外国人労働者、さらに行政・関係団体へのヒアリングを行い、8月からは府内の事業者、大阪市内の在留外国人、府内の市町村へのアンケート調査を実施して、外国人労働者の実態把握と受入れにあたっての課題整理を進めている。
 資料の「1 外国人材をめぐる現状と課題」には、大阪市と共同で実施したアンケート調査結果の要約を記載している。府内に事業所を置く特定産業14分野に属する約1500社を対象に調査したところ、回答者の約8割が人手不足と認識している。人手不足の対応としては、高齢者雇用や非正規雇用での対応が多い中で、「外国人雇用で対応する」と答えた事業者は約4割であった。外国人労働者を雇用する理由には、「人手不足」が約7割と多く、その採用方法は、「人材紹介会社等からの斡旋」、「知り合いからの紹介」がそれぞれ3割と最も多い結果となっている。また、外国人労働者を採用する際の課題としては、コミュニケーションがとりづらいと回答する事業者が最も多い状況である。さらに、特定技能制度の活用意向については、「分からない」が約6割、「活用したい」が約3割、「活用したくない」が約1割となっており、特定技能制度そのものの周知不足が明らかとなった。最後に、行政に期待する支援としては、「人材マッチング支援」が約4割と最も多く、次いで「日本語教育等の支援」や「企業向けの相談窓口の設置」が続いている。
 次に、大阪市内在住の外国人住民4000人を対象としたアンケート調査では、役所での経験として「どの窓口へ行けばいいか分からない」との回答が約4割と最も高く、次いで「日本語での説明なので内容が分からない」が約3割、「日常生活での困りごとや知りたい情報」は、「国民保険や年金などの社会保障関連」に次いで「災害時の対応」や「病院での診察方法・母語対応の病院情報」が上位となった。
 また、日常生活の状況としては、地域での活動やイベントには約5割の方が参加していないと回答。その理由としては「参加する時間がない」に次いで、「活動していることをそもそも知らない」との答えが約3割。さらに、子育て等に関する心配では「母語や母国の文化を勉強することができない」という回答が約4割、家を探した時の経験では「日本人の保証人がいないので入居を断られた」が約4割と、教育・住宅面での困りごとが明らかとなった。
 最後に、就労状況として、先ほどの事業者アンケートの結果にもあったが、職場での経験として「日本語での会話・コミュニケーションがうまくいかなかった」が約3割と最も高く、事業者・外国人労働者双方にとってコミュニケーションというのが共通の課題であると考えられる。
 府内43市町村のアンケートでの調査結果だが、現在各市町村において取り組んでいる重点分野としては「教育」が約5割で最も多く、次いで「日本語及び日本社会に関する学習支援」となっている。
 今後拡充・着手が必要と思う取組みについては、「地域における情報の多言語化」のほか「防災に関する支援」が最も多く、次いで「教育」そして「医療・保健・福祉」の順となっている。このほかに、各市町村における外国人住民からの相談内容としては、「暮らしに関すること」が約4割で最も多く、「外国人と地域社会の関係」、いわゆるトラブルという状況になるが、ここで把握している中身によると「ゴミ出し」が約3割、「騒音」が1割など、とあげられている。
 先ほど説明したアンケート調査などから明らかになった現状と課題を踏まえ、大きく3つの取組みを進めていくべきと考えている。
 「特定技能制度等、外国人材の受入れ促進」は、人材不足解消に向けた外国人材の受入れ促進を図るため、採用方法や外国人労働者を雇用する際に必要となる各種手続き、そして受入れ環境の整備などが分からない中小企業への幅広い相談対応と、企業の求める外国人材を育成してゆく人材マッチングといった取組みを進める。具体的な取組みとして、令和2年度において、新規・拡充を検討する施策を中心に記載している。「1.中小企業への経営相談」では、府内中小企業が外国人材への理解を深め雇用定着を図ることが重要であるため、大阪産業局において、府内中小企業に対する雇用ノウハウの支援など、総合的な相談対応に取り組んでいく。「2.外国人材マッチングプラットフォームの構築に向けた準備・検討」では、今後万博などに伴う建設事情やインバウンドの増加などに備えて、外国人材の受入れ促進が不可欠であることから、中小企業の人手不足の状況や企業はもとよりユーザーニーズ等、さらに調査分析のうえ、大阪の実態にあった効果的なマッチングプラットフォームの構築に取り組んでいく。大阪で働きたい外国人材を発掘、確保するため、区域における多文化共生の取組みであったり、支援情報または企業情報など、働く場、暮らしていく場としての魅力を、効果的に外国人材の方々に発信する手法なども検討していく。
 次に、「外国人と地域住民がともに暮らし、支え合う共生社会づくり」には、外国人労働者を受け入れ、大阪で働いていただくということは、大阪で働く生活者になるということであり、外国人の皆さんが、安心して働き暮らしていただけるように、多言語による相談体制や母語対応ができる医療体制の整備、または日本語教育などの生活支援の取組みなども充実・強化していく。さらに、外国人と地域住民が共に支え合い、互いに円滑に暮らしていけるようにコミュニケーション支援などの取組みも進めていく。具体的な取組みとしては、「3.相談体制の整備」では、来年度も引き続き、OFIX(オフィックス)において、外国人生活、就業等に関する情報提供や相談を行う一元的な窓口を11言語対応で運営していく。「4.医療体制の整備」では、府内の全医療機関・薬局への通訳支援として多言語による遠隔利用ツールや通訳コールセンターやトラブル相談窓口などを設置すると同時に、外国人患者の受入れ可能な府内の医療機関情報発信や技能実習生などの感染症予防対策などを図っていく予定である。「5.家賃債務保証の支援」では、外国人等の住宅確保の要配慮者の入居支援として、家賃債務保証に併せ、入居後の見守りや生活相談などの支援をNPO法人などを通じて行っていく予定である。「6.災害情報の即時提供」では、災害時に必要とする災害医療・交通情報などを一元的に12言語で提供するウェブサイト、アプリを本年度開発したところであり、空港などで広く周知を図る予定である。先程の議論にもあったとおり、少数散在多言語化する児童生徒への対応として、「7.小中学校における日本語教育の推進」では、日本語指導が必要な児童・生徒の学習環境の整備を図るため、児童生活指導員や夜間中学における日本語指導支援員の配置などを予定している。また、外国人労働者などへの日本語教育の取組みとして、「8.地域の日本語教育支援」では、地域の体制づくりに向けた市町村支援などを実施していく。「9.外国人コミュニケーション支援」としては、子育て中の外国人保護者や児童向けの交流事業等を実施する市町村を支援するため、新子育て支援の中で新たなメニューなども追加する予定としている。
 次に、「外国人材受入れ・共生社会づくりに向けた推進体制の整備」では、その受入れ体制であったり共生社会づくりについては、就労面や生活面での課題やニーズが多岐に渡ることから、個別の取組みについても本府のみならず、国や市町村、経済団体などの連携・協力が必要である。外国人材の支援に関する情報共有や地域課題の対応策について、協議・推進する官民連携の地域協議会を設置・運営し、「オール大阪」体制による取組みの推進を考えている。
 最後に、「3 当面のスケジュールと次年度以降の工程」であるが、議会での議論や関係機関との協議を経て、今年度末に取組みの方向性と具体的な取組みをとりまとめ、令和2年4月より各部局においてプロジェクトを推進していく。なお、人材マッチングプラットフォームについては、令和2年度中に準備・検討を行い、令和3年4月からの本格稼働を予定している。

【意見交換等】
●具体的な取組みについて、私の先ほどの質問、提案にも関わるが、支援員についてはどういう形になるのか。ボランティア支援ではなく有給支援であるのか。どういった支援になるか。また、地域の日本語支援は具体的にどのような内容で検討しているのか。
○府域では少数散在化の傾向が本当に強く、これまで在籍が全くなかった小中学校においても、1人若しくは兄弟で2人とか、しかも年度の途中で突然編入するというケースが出てきている。もちろん子どもたちがいるので対応したいが、人員という点では課題が大きい。具体的には、毎時間はできないので、教頭が予定を組んで、週のうち1時間か2時間個別で支援しているのが現状である、というような声をたくさん市町村から聞いている。来年度に向けて、大阪府として16名の外国人児童生徒支援員を確保していきたいと予算要求している段階である。ほぼ確保できる見込みとなって、来週くらいから募集をかけていくというようなところまできている。
 業務内容については先ほど生活指導員という形で触れたが、学習面だけではなくて生活面の方も支援する形としたい。文化や言葉の違いによってつまづきがあるため、家庭内もしくは学校生活面での文化の違いに戸惑い、これによって子どもたちが悩んでいることを支援員が掴んで、担任の教諭や場合によっては関係諸機関につなぐというようなことをイメージしている。
 実は、この中には支援員としてもう1つあるのが、夜間中学においてどんどん外国籍の生徒が増えており、その支援にということで、政令市を除く府域の夜間中学が6校あり、そこに1名ずつの支援員の配置を考えている。日本語指導を通じて、中学で授業を受けていけるようにするための支援員を6名確保できそうな状態となっている。
●支援員を16名確保したということだが、この16名だけで大阪府内を回るのか。また支援員は、日本語指導専門であるのか。それとも例えば中国語、ブラジル語、フィリピン語なども対応し、母語を介して関われるスタッフなのかを確認したい。
○配置は地域が北から豊能地区、三島地区、北河内、中河内、南河内、泉北、泉南と7地区あり、地区ごとに児童の構成・在籍数のバラつきはあるが、地区ごとに1名から3名ずつ配置をする予定。加えて、先ほどの加配教員も配置しているので、基本的に児童・生徒の数の多い地区はすでに教員が巡回といった形で回っているが、それでもなかなか支援が届かない少数散在している地区の学校に配置をしていく予定である。それでも届かない地区の学校については、週2から3回は地区内であれば他市にも出張といった形で、1日か2日を巡回という体制で何とか、届いていない子どもたちのところへもアプローチしていきたいと考えている。
 応募要件は教員免許などの有無を問わずに、特別な資格がなければ支援員になれないということにはせず、あくまでそういった生徒の支援に関して熱意がある人ということで募集を行っている。ただし、日本語指導経験者であるとか、通訳の経験者であるとか、日本語以外の言語の翻訳ができることが経験としてあるとか、様々な経験については選考の中で参考とし16名を決定したいと考えている。
●「施策展開」ということでいただいている資料だが、外国人材という言葉そのものが、これまで聞かなかった言葉で、雇用者としての人材ということは分かるのだが、外国人支援を行ってきた方々は、外国人労働者や移民労働者などの言い方をされてきたので、この辺りに少しモヤモヤしている。
 あと、大阪府で「外国人人材」とここで定義している中には、既に大阪に住んでいる外国人も含んでいるのか。
 もう1つ質問は、資料の中の、特定技能等の国の体制に伴って、というところは家族対応のことであると思われるが、独身者が働くにあたってどのように生活環境を整備するか、そこが大事な話であると思う。また、外国人材の受入れ、新しい人たちのための共生づくりだけで終わってしまったら、現在大阪に多数を占める永住資格者の方々の存在や問題が全然見えてこないのでは。
 大阪府として、この施策をどの人たちを対象にして意識されているのかということがちょっと不明瞭と思われるので確認した。この施策自体が誰を対象としているのかというところを知りたい。
○我々の方で現在検討を進めているのは、法改正を契機とし、人手不足に対して今後外国人労働者を活用していくという国の取組みへの対応であり、必ずしも特定技能に限定したものではないということである。
 企業へのアンケートやヒアリングによると、業種や業態で求めるニーズにかなり幅があり、技能実習制度を活用したいと思っている企業もいれば、高度人材の活用をしたい企業もいる。あくまで外国人労働者という観点にはなるが、特定技能に関わらず、企業ニーズに応じて、幅広い外国人材を供給できるようなシステムを考えていきたいと思っている。
 ただ、企業とのマッチングだけではなく、外国人労働者を受け入れるということは、1人の生活者でもあるので、一体で共生づくりについて検討していく必要があるだろうということで、取りまとめているところである。
●まず、法務省が出している総合的対応策、非常に曖昧な形で出ているが、全体としては5年で帰国する特定技能を確保するということに比重が置かれている。大阪はそのような枠組みの中で進めているという感じを受けていて、やはり大阪の独自性というか大阪が持つポテンシャルをもっと活かした総合的なものにしていく必要があるのではないかと思う。それは、大阪が在日コリアンの人々が多く居住されていること。また、中国籍やベトナム籍の方々もたくさんおられ、その二世、三世または四世といった方々がおられること。そういった状況は他地域と比べてまた違う状況、可能性というところがあり、そういう意味では国の流れとしてはそうだけれども、大阪はどうするのかというところはオリジナリティをもって地域の特性を活かしていただきたい。
 もう1つは、特定技能の議論が急激に進んでいって予算がたくさん下りてきていると思うが、市町村の職員と話をしていると本当に継続して措置される予算なのかという不安が非常にある。予算の使い方が限定的になってしまい、非常勤やボランティアなどの不安定な形の予算の使い方になるのではと感じている。これは元々のこの業界・分野が日本語はボランティアがやる、あるいはNPOとか外郭団体などに事業を出して、単年度の予算や助成金で処理していく業務みたいになっていることがあり、非常に不安定感があると思っている。
 学校現場での日本語指導なども含め、全体的にそういった支援であったり受け入れにあたる人材の不安定さなどの改善を図っていかなければならない。ただ、それをやろうと思うと、やはり腰を据えて長期的にこの大阪をどのようにマッチングしていくのか、どのような仕組みを作っていくのか、そこにどのような人材を確保していくのか、ということをしっかり議論して人材を育成していくことが重要ではないか。
 最後に、今日説明のあった枠組みは、受入れ側の日本社会側の仕組みの話であり、来る側の声、あるいは、既におられる方々の声を拾うということが、この中には含まれていない。これは、社会参加という意味でも、施策検討という意味でも非常に重要だと思う。これがないと、本当に的外れなことをやり続けるとか、すでにある問題を見ずにきてしまうということが起こる。ただ、当事者が参加するということは、行政的にはすぐには受け入れられないような文化の違いや声も含めて収拾がつかないこともあると思うが、まずは聞くということになると思うので、そういったことも含めて、枠組みを検討していただきたいと思う。
●この30年、大阪はどんどん観光事業や海外での色々な宣伝を行ってきたが、次は優秀な人材を獲得し、場合によっては世界にPRするということが必要である。高度な人材を獲得することは、大阪の経済再生にプラスになる。
 特定技能については、プロの日本語指導員あるいは相談員を制度上で整備しないといろんな問題が起こる。かつて、間に入る派遣会社による労働者の給料面でいろいろ社会問題となったことがある。そういった問題を制度上どのように防ぐかということもあるし、こういう人がこの地域で暮らすのにバックアップが整備されなければ、社会問題になる可能性がある。
●取組みの中に大阪弁護士会との協力関係のようなものを入れてもらったらどうか。大阪弁護士会では、それぞれ外国語対応を特別にされている弁護士の先生が結構いたので、そことの関係の取組みというのをやってみてはどうか。
 もう1つは、企業の内部でも色々取組みをやっておられる。例えば、外国人労働者を連れてスーパーに行って、買い物の仕方を教えるとか。1日7時間か8時間働いて、企業との関係は深いはずなので、地域だけでなく働いている企業を取組みに入れてもらいたいと思う。
●他の委員が建設的な提案をされたので、ぜひ大阪らしい施策を展開してほしいと思う。
 ところで、資料を見る限り「人権の尊重を」という言葉が見当たらないが。やはり人権という価値をきちんと入れてこそ大阪にとって大変いい施策になると思うので、そういう啓発姿勢を取り入れられるよう提案する。
●大阪は住宅問題、中でも特に保証人の問題が大きい。中小企業が外国人材を採用する時には、そこに苦労するのではないか。
 さらに、各企業が外国人材を受け入れる以上は、プロの日本語相談指導員の配置をするように明文化した方がいいのではと思う。
●企業で働いている方々の中でも、外国人や外国籍であったり多様な方々がいる。それでいて実は多様な日本人というのも増えており、何々系日本人という方々も非常におられる。その方々とどのように働くか、それは日本語の課題もあり、あと文化的な課題もある中、様々な企業の方々の中にはその多様な外国人の方々と働くというのはどういうことなのかというのをなかなか実感として分かっておられない。中にはハラスメント体質な企業もあり、それに関して例えば働いている外国の方が何かしら課題を抱えたときに相談し、いかに解決していくのかのハラスメントガイドラインがない企業も多くある。
 コミュニケーションというこでいうと、昨今言われているやさしい日本語、つまり多言語化するというのは、外国籍の方相手のアウトプットというように考えられる中で、特に日本語としてやさしい日本語というのは語弊があるかもしれないが、いかにコミュニケーションをとっていくかという受け入れる側へのアプローチというのも入れていただきたいと思う。相談であるとか雇用という形の受入れではなく、働く中で日本語が生活のサポートとなるような。その中で、日本人側のいわゆる人権意識というのもそうであるし、いかに日本語としてシンプルジャパニーズといったらいいのか、つまり日本語を教えるというのは、外国籍相手だけではなく、受け入れている日本人側も、伝わる日本語というものを学んでいただけるといいかなと思う。具体的には相談だけではなく、勉強会を入れていただきたい。制度的なものとしていかに人材を確保していくかという中で1つのアイデアとして、そういうものも取り入れていただきたいと思う。
●今の話と関連するが、企業に対する人権相談があり、この中にヘイトスピーチ解消推進条例の問題とも関連する内容がある。企業が雇っている外国人の方であるとか、外国にルーツを持つ方に対するハラスメントをレイシャルハラスメントと言うが、これについて現在は罰則はないが、ヘイトスピーチをしないように注意するための研修を現状の条例でも義務付けることはできるのではないかと思われる。
 次に、罰則に関しては地方自治法の範囲内で、川崎市の例もあるように、大阪府でも罰則を設けることは可能なはずなので、川崎市と同様に50万円の罰金とかを科すことができると思う。施策展開の中に、先ほど人権のという話があったが盛り込んでほしい。現状の条例で十分対応可能なことと思うので、施策としてできたらいいなと思う。
●先ほど委員がおっしゃったようにシンプルジャパニーズという意見、私もそれに賛成。イベントに対して外国人はあまり参加しないということも報告されていたが、これは多分日本語が難しすぎてのことではないかと思うので。
●イベントの参加だけでなくて、こういうイベントに参加するということ自体が、お互いの学ぶ場であるということをアピールした形での施策の実施をと思う。
●かつて、国際交流センター、関空開港など「国際時代の大阪」、こういうスローガンがあり盛り上がった。その時、外国人との交流も結構盛んで、色々な交流が行われたので、私は今回、外国からの高度な人材、特定技能の人材を受け入れる際に、もう一度共生づくりということをしてはどうかと。
 それから、現状でいうと多文化的なイベントも少なくなっている。支援団体、外国人の新団体が少なくなったためであり、また日本の若者は海外留学も行きたがらない。こういう状況でもう一度盛り上げることは大きな課題になると思う。

以上

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権擁護課 人権・同和企画グループ

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