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平成24年5月委員会会議会議録
大阪府教育委員会会議会議録
1 会議開催の日時
平成24年5月16日(水曜日)午前9時30分開会
午前10時55分閉会
2 会議の場所
大阪府教育委員会委員会議室
3 会議に出席した者
- 委員長
隂山 英男 - 委員
中尾 直史 - 委員
立川 さおり - 教育長
中西 正人 - 教育監
川村 幸治 - 教育次長
藤井 睦子 - 教育総務企画課長
見浪 陽一 - 教育振興室長
津田 仁 - 高等学校課長
和田 良彦 - 市町村教育室長
箸尾谷 知也 - 教職員室長
山本 讓 - 教職員企画課長
秦 光広 - 教職員人事課長
中野 伸一 - 施設財務課長
福本 芳次
4 会議に付した案件等
- 第1号議案
知事からの意見聴取について - 第2号議案
知事からの意見聴取に対する回答の承認について - 第3号議案
平成25年度使用府立学校教科用図書採択要領及び平成25年度使用高等学校用教科用図書選定の手引きについて - 報告事項1
新たな学科の設置計画について - 報告事項2
平成25年度公立小中学校任期付校長及び大阪府立学校校長の公募選考について
5 議事等の要旨
- (1)会議録署名委員の指定
中尾委員を指定した。 - (2)前回の会議録について
全員異議なく承認した。 - (3)議案の審議等
第1号議案
知事からの意見聴取について
議案の趣旨説明(教育総務企画課長)
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた平成24年5月定例会に提出される次の議案については、異議がないものとする件である。
事件議決案
大阪府立高等学校の授業料等支払請求に関する調停に代わる決定の件
条例案
- 府費負担教職員の人事行政事務に係る事務処理の特例に関する条例一部改正の件
- 大阪府学校医等の公務災害補償に関する条例一部改正の件
第2号議案
知事からの意見聴取に対する回答の承認について
議案の趣旨説明(教育総務企画課長)
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた平成24年5月定例会に提出される次の議案について、異議がない旨を回答したことを了承する件である。
事件議決案
懲戒免職処分に係る取消請求に係る和解の件
委員の質問及び意見
- (中尾委員)
懲戒免職処分の件についてであるが、窃盗した金額が766円で少額であることから一審で敗訴したということか。 - (中野教職員人事課長)
そうである。 - (中尾委員)
今後、懲戒処分を行うにあたっての前例となるので、同様の事例が発生した場合の判断基準を検討しておく必要がある。 - (隂山委員長)
どの都道府県においても教職員の不祥事が多く発生しており、ある県の教育長は万策尽きたと言って県民の批判を浴びていたが、教職員の綱紀粛正はきちんと行っていくべき。今回の判決は厳粛に受け止めないといけないが、府民から信頼を受ける教職員として、本来の基本的な線というところは失わないでほしい。教員は一般の職員と違い、教育関係法で特別な扱いを受けており、その裏返しとして自覚というものが強く求められているところである。このことは今後も維持していただきたい。 - (中尾委員)
このようなことが起こるということを学校現場で教職員に対して訴えていかないといけない。仮に何か起こったとすれば、学校としても小さい事として捉えるのではなく、こういうことは駄目だということを職員会議のみならず常に話し合っていただきたい。また、校長がそのことを指導しなければいけない。 - (立川委員)
判決からすると今後、千円の万引きをした教員は懲戒免職しないということになるのか。そういうことがあっていいのか。私は懲戒免職が当然だと思う。 - (藤井教育次長)
懲戒処分の基準では、窃盗は免職又は停職となっており、その範囲の中で総合的に判断されるものである。 - (中尾委員)
大事なことは、決められているからやらないといけないのではなくて、教職員であれば、決められていないことであっても、しっかりと子ども達を育てていくという立場から、人間力を育てていくベースというものを教職員自らが持っていないといけないと思う。 - (隂山委員長)
訴訟を抱えるということは、かなりの労力が伴ってくる。本件はこのような結果になったが、相手も反省をしていると思うし、我々自身も自戒していかなければならないということで、教訓にしていただきたい。
【採決の結果】
原案どおり決定及び承認した。
第3号議案
平成25年度使用府立学校教科用図書採択要領及び平成25年度使用高等学校用教科用図書選定の手引きについて
議案の趣旨説明(高等学校課長)
府立学校の教科用図書を適正かつ公正に採択する基本方針として、毎年度当初に定める件である。
委員の質問及び意見
- (隂山委員長)
校長の責任を明確化したということか。異議があれば校長が対処するということか。 - (和田高等学校課長)
そうである。 - (立川委員)
教科書の代金は学校によってばらつきがあるのか。上限などはないのか。 - (和田高等学校課長)
文部科学省が教科書の価格について一定の基準で定めており、教科書ごとに大きい差はない。 - (立川委員)
授業料は無償化になっているが、教科書は実費負担となっており、中には教科書を取りに来ない生徒や先輩から譲り受ける生徒もいると聞いている。また、教材についてもかなりの価額になると聞いている。 - (和田高等学校課長)
教科によっては教材費や実習費などで差が出ることはあるが、教科書だけでは差はあまりない。 - (中尾委員)
基本的なことであるが、内容が大きく変わった場合、スケジュールはどうなるのか。今回の変更に関わる教科の主任を集めて伝えることをしているのか。 - (和田高等学校課長)
今回、決定をいただければ、全府立学校を対象に教科ごとの説明も行っていく。 - (隂山委員長)
例えばある学校からAという教科書を選定して教育委員会に報告してきた場合に、教育委員会がBという教科書にしてくださいと言うことは可能なのか。 - (和田高等学校課長)
可能であるが、校長の判断を尊重している。 - (隂山委員長)
教育委員会が変更すると、責任は教育委員会になる。全国の事例をみると外部からの意向が校長や教育委員会に及んだ事例があったと聞いている。このガイドラインの策定で注意をしていただきたいのは、外部からの意見の反映について、誰から見ても適正な手続きであるように教育委員会の方でも配慮していただきたい。教科書の問題というものは学校教育の土台となるもので影響は大きいものであるので、適切に運用されるように教育委員会としても格段の配慮をしていただきたい。もし、教育委員会が決定権を発動することが仮にあるとすれば、相当の説明責任を果たす覚悟を教育委員会として持たなければならない。 - (立川委員)
支援学校において、小・中学部で教科用図書選定審議会に諮問して答申を受ける仕組みになっているのはなぜか。 - (和田高等学校課長)
大阪府の小学校及び中学校においては、教科用図書選定審議会に諮問して答申を受けるという仕組みになっていることから、支援学校の小・中学部においては、それに合わせている。 - (中尾委員)
進学指導特色校の10校においては、教科書はこれにするというものがあるのか。また、例えば総合学科においてはこの教科書が望ましいというというものがあるのか。 - (和田高等学校課長)
学校ごとに決めている。また、同じ学校でも年度ごとに替わるところもある。
採決の結果
原案どおり決定した。
報告事項1
新しい学科の設置計画について
報告の趣旨説明(高等学校課長)
グローバル人材の育成とキャリア教育の推進について、先駆的な取組を行っている普通科高校に新たな学科を設置し、施策の一層の推進を図ることを報告する件である。
委員の質問及び意見
- (中尾委員)
デュアルというのは2という意味で文科省も使っているが、一般には分かりにくく、説明するのに時間がかかるのはどうか。新しいものを設置する際は目的と手段をはっきりさせることが大切であり、デュアル総合学科を導入することが目的ではなく、この学校はこのような特色で、こういう生徒を育てていく、そのためこの学科を導入するというものがなければならない。公立高校は私学にないことをやっていかなければならず、特に工科高校や総合学科、支援学校においてはその特色づくりをしっかりと進めていただきたい。また、経済界、企業との連動が必要であり、学校だけで受け入れ企業を探すのではなくて、教育委員会として協力してもらう仕掛けや、マスコミに対してもこういうことをやっていることを流してもらう働きかけが必要である。東大阪なので、中小企業との連動を含めて、広い観点で行っていただきたい。また、事業所等での実習は週1回ということであるが、1週間といったまとまった期間でテーマを決めて行うようなやり方についても考えてもらいたい。 - (立川委員)
実習は無給ということであるが、これを有給にできないのか。最近はバイトとインターンを兼ね備えたバイターンという言葉もあり、無給であるとモチベーションが出てくるのか疑問である。授業ということはわかるのだが、報酬を得る喜びを知ることも必要だと思う。このレベルになれば有給になるような仕組みは考えられないか。 - (川村教育監)
学校のカリキュラムの中に職業実習があり、国語の授業と同じであり、授業でお金を得るということは難しい。学校は200ぐらいの企業からマッチングして保護者同席で調印式を行う。そこで生徒は働くという責任、企業は教育に関わるという責任が発生する。そういう育成の場をもつことでキャリア教育を行っている。生徒と企業をつなぐのが目的であり、雇用契約ではなく、学習活動であり、インターンシップなど短時間ではわからない部分まで入っていく制度である。 - (隂山委員長)
経営者の側から見ると、働いてもらうということは一方で相当の投資をしていることになり、費用がかかっている。 - (川村教育監)
企業側にも従業員が高齢化している状況で、若い高校生の発想などが職場に入ることで活力がついたというメリットがある。 - (中尾委員)
企業側にとって負担だけでは続かない。相互にメリットがないと続かない。 - (隂山委員長)
企業団地のすぐ横に工科高校があればよいが、今まではそのような観点で学校を設置してこなかった。今後は長期的視野でふさわしい配置場所について考えていくことも必要である。次に、グローバル科と従来の国際関係の学科との違いは何か。 - (和田高等学校課長)
グローバル科は英語に特化しており、高いレベルの英語習得を目指している。また、幅広い教養を身に着けていくことも挙げられる。 - (隂山委員長)
今後、この学科は府教委全体の中でどのような位置づけになっていくのか。英語に特化するということだけれども、TOEFLに特化してしまうと海外留学を志向することだけになってもどうかと思う。 - (和田高等学校課長)
TOEFLにだけ特化しているものではない。他校に広げていくことについては、再編整備計画の中で考えていく。 - (中西教育長)
再編整備の計画と連動するものであるが、新しい学科を検討していく上で、熟しているこの2つの学科を先行させたものである。 - (中尾委員)
全ての学校において特色を考えていかなければならない。特に普通科の特色をどうするかは大きな問題。私学と競合しており、私学にないものを入れていかなければいけない。 - (隂山委員長)
現在、日本の企業に社員教育を行う余力はなく、即戦力を求めている。従来の普通科を経て、国公立大学に行くという枠組みの中では、なかなか即戦力という力は身につかない。大学の位置づけも専門性や就職を意識した学校、粗い言い方をすれば就活予備校というものが強く出てきている。高校といえどもそのような時代の流れを意識した5年、10年先を見据えた戦略的な再編整備が必要である。
報告事項2
平成25年度公立小中学校任期付校長及び大阪府立学校校長の公募選考について
報告の趣旨説明(教職員人事課長)
平成25年度公立小中学校任期付校長の公募選考に係る選考予定校種及び採用予定人数並びに今後のスケジュールについて、及び平成25年度大阪府立学校校長
の公募選考に係る募集人数及び今後のスケジュールについて、報告する件である。
委員の質問及び意見
- (隂山委員長)
任期付校長の評判はどうか。 - (中野教職員人事課長)
保護者や地域に対して説明する意識が高く、評判はよいと聞いている。 - (隂山委員長)
府立高校においては、条例に基づく校長公募の第一回目となるが、あまり内部外部のバランスを意識することなく、よりよい人材が校長に任用されることを意識してやっていただければよい。 - (中尾委員)
私の経験からすると、経営のトップとして決断をしてきた人がよい。教職員の力を上手く使ってやっていくには、したたかさがあり、マネジメント能力を持った人であり、また生徒が好きというのもポイントである。配置校は後から決まるのか。 - (中野教職員人事課長)
選考後に決まる。 - (中尾委員)
本来はこの学校のこの課題に対応するにはこういう人材が要るという流れになるのではないか。また、任期満了後、その校長はどうなるのか。 - (中野教職員人事課長)
任期は3年で、最大5年まで延長できるが、その後どのような対応ができるか検討中である。法令との関係などの課題がある。 - (隂山委員長)
私から震災対応について提案したいことがある。私自身、被災地に何度も足を運び、現地の教育委員会、学校長など学校関係者や地域の方々と話をし、文科省に提案をした。1点目が、震災があったときに学校は避難所になるが、避難所になってしまうと学校が自治体の管理下に移ってしまう。そこから学校に戻していくのが意外に面倒である。その運用マニュアルが作成されておらず、その点について文科省に注文したところ、あまりいい返事がなかったが、文科省のホームページを見ていると3月にマニュアル作りのガイドラインが作成されていることがわかった。これを事務局で検討していただいて必要に応じて市町村教育委員会とも協議をして、運用マニュアルを作成していただきたい。
2点目として、各府立高校に最低1名の危機管理教員を置いていただきたい。私が被災地に入ったときに非常に残念だったのは、消防署の職員が行っている、自治体の職員が行っている、警察が行っている、学校は大変だ、しかし、学校の教職員の派遣というのは非常に少なかった。阪神大震災にしても今回の震災に関しても学校の現場は大変なことになっており、学校の正常化を成し遂げていくためには絶対に外部支援がいる、それから子ども達をきちんと手当できる能力を持った人が必要である。都道府県でそういう専門家を育成し、震災が起きれば派遣する仕組みを考えてほしいと文科省にお願いしたが、それは大阪で作っていただきたいと言われた。
各府立学校に1名の危機管理の専門教員を将来の管理職の候補生として育成していただきたい。危機管理ということも、単に震災ということだけでなく、事件、事故、このたびの亀岡で教頭先生が被害者の情報を加害者に伝えたということが取り上げられたが、ああいう異常事態になったときに、正常な判断をするのは難しい。そういう点でも危機管理に能力がある人が管理職にいるということと、そういう研修を受けている人がその現地に入っていって現地の対策本部できちっと対応できるようになってほしい。その危機管理能力というのは消防、警察、医療の専門的な研修を1年、2年受けて、学校教育とは違う専門性を身に着けて、危機管理教員として働いていただく。3年4年経って、より多くの教員が危機管理対応にできるようになってほしい。大阪のある府立高校が津波によって被害を被ったときは即座に危機管理教員が数十名応援に駆け付ける、その体制づくりも合わせて、ぜひとも考えていただきたい。これは喫緊の課題である。耐震のハードウェアの面は整えつつあるので、ソフトウェア的な対策ということで、2、3年のうちに大震災は起きるというくらいの認識で検討していただきたい。 - (中尾委員)
学校は、自然災害に限らず、危機管理に関して企業に比べて弱い。自然災害や事故、事件、教職員の服務上の問題などの事態に対して、事前管理が各学校でできているのか押さえておかないといけない。