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第1回大阪府配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画改定検討会議の概要
- 開催日時:平成23年10月24日(月曜日)午前10時から12時
- 場所:大阪府庁新分館1号館分館共用会議室1
- 出席委員:
<会長>伊藤公雄(京都大学大学院文学研究科教授)
島尾恵理(弁護士)
野坂祐子(大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター准教授)
会議の概要
- 開会
- 議事
- (1)会長の選任について
- 委員の互選により、会長に伊藤公雄委員が選任された。
- 伊藤会長により会長代理に島尾恵理委員が指名された。
- (2)会議の公開について
- 伊藤会長が会議に諮り、会議の公開を決定した。
- (3)大阪府配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画の改定について
- 事務局より資料説明(資料1、資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料3-1、資料3-2)
- 女性相談センターより、女性相談センターの取組等について説明
- 主な意見等(注:文中○印は委員、●印は事務局によるもの)
- ○デートDVについては、学校でのカリキュラムに入っているのか。
- ●カリキュラムにまでは入っていない。学校現場では、ホームルーム等を活用して取り組んでいる。
- ○国は、平成27年までに市町村配偶者暴力相談支援センターを100箇所設置することを目標としている。政令市では設置できるかもしれないが、中核市でもなかなか難しいのではないか。
- ●全国的にみると地域差があるように思う。資料3-1中、配偶者暴力相談支援センター未設置の理由は、配偶者暴力に関する案件が少ないという回答が結構ある。都市部とでは温度差があるのではないか。また、配偶者暴力相談支援センターの設置に必要なものとして、加害者からの追及への対策も回答が多い。こうした問題もありセンター設置はなかなか難しいとも聞く。
- ○一時保護件数が増えているが、一時保護施設に入れないといった状況はないのか。
- ●府では府立施設のほか、社会福祉施設や民間シェルターなど15施設に一時保護を委託している。昨年度の件数は前年度の約1.2倍となったが、何とか対応できている。
- ○施設では入所者間のトラブルもあるのではないか。子どものいじめなど施設での入所者間のトラブルについて聞いたことがある。
- ●本来、入所者間のトラブルは施設の指導員が対応すべきことだが、対応が十分でないケースもあるかもしれない。国は都道府県に指導すべきというが、措置権限は市町村にあり、指導権限と分かれているため、指導しづらい難しい面がある。配偶者暴力防止法の課題ではないか。
- ○市町村では1人職場も多く、入所施設の対応までできないのではないか。アドバイスを受けるスーパーバイザー的な体制があればよいのだが。
- ○計画に盛り込むことによって、予算が増えることはないのか。
- ●府の財政状況は大変厳しく、計画策定により予算が必ずつくわけではない。
- ●今回の計画改定にあたっては、法改正等がない中、打ち出し方が難しいと考えている。何をポイントとしたらよいか、委員の皆様の意見をお聞きしたい。
- ○日本のDVの1割が大阪。ひったくりと並んでワースト1。一番多くのDVを抱えていることに、どう取り組んでいくかという点がポイントではないか。
- ○件数が多いのは、周知が行き届いて、DVが顕在化しているともいえるのではないか。
法律相談では、相談員からの相談も多い。最近、未成年の事案が深刻であると感じている。親権者が非協力的であったり、DV被害者が子どもを虐待している事案もある。 - ○神戸市では、加害者である親と子どもを会わせるため、面会センターの検討を計画に盛り込んだ。親に会わせるための枠組みは、配偶者暴力相談支援センターではなく、裁判所の中で枠組みを作って対応する方がよいと思う。
- ○近畿弁護士会連合会でも、以前に、面会できる場所の必要性を提言したことがある。
エフピック(社団法人家庭問題情報センター)が面会の立会いをする活動を行っている。これは、元家裁調査官が立ち会うものでお金がかかる。面会については、法的な枠組みが必要ではないか。 - ○次期計画では加害者対策の取組を進める方向にあるのか。
- ●次期計画に反映するかどうかは、委員の意見等を踏まえ今後検討していくこととなる。
- ○加害者の中で悩んでいる人の行き場がない。加害者は何が悪いのかわからないまま責められ、放置された状態にある。アメリカやカナダの研究でもDVの加害者プログラムはあまりうまくいっていない状況。加害者対策は、1自治体で取り組める問題でなく、法務省で取り組む必要がある。自治体が行うなら相談ではないか。
男性相談では、相談を受けるカウンセラーがジェンダー問題の研修を受けていることが大事である。今の男性相談ではそこまでやれていないところが多い。 - ○国レベルであれば、更正につなげるかもしれないが、府レベルでは中途半端にしかできない恐れがある。
- ○人材養成講座の受講者数が減少傾向にあるのはなぜか。一定、人材が増えてきたということか。
- ●府では、他の人権相談事業でも研修を行っている。1度研修を受けたら翌年以降は受講しないため、減少していると思われる。
- ○現計画には医療関係者向けの取組みはあるが教育関係者への取組は入っていない。市町村の保育士、幼稚園の先生等も含めた教育関係者への研修は重要であり、次期計画に盛り込むべきではないか。
教育関係者に対しては、医療関係者のようにDV法での通報の規定はないが、教育関係者もDVを発見できる立場にある。にもかかわらず、DVの基礎知識を持っていないことも多い。プライバシーの問題もあるが、法律の知識ぐらいは周知しておくことが大切である。 - ○デートDVについてだが、メールチェックはDVと位置づけてよいのか、やや疑問がある。内閣府の調査で、大学生でメールチェックをされたことがあると答えた人が多かった。言葉による暴力に過剰に反応するケースも多い。特に男性は言葉による暴力の被害が多い。DVの範囲を広げたことにより、男性被害が増加したが、実態を見極めることが大事ではないか。
- ○男性の一時保護の状況はどうか。
- ●男性の一時保護も数件ある。
- ●一時保護については、警察からの通報が一番多い。市町村からのものは2,3割程度。
- ○警察は、研修をして対応が良くなり、相談に行きやすくなった。警察ではかなり徹底した研修が行われたと聞く。夫婦間の暴力も犯罪という認識で対応するようになった。石巻の事件以降、警察庁が各警察に対応を徹底したようだ。
- ○同行支援はどうしているのか。夜間は警察が対応しているが、それ以外はどうなのか、府にお願いしたい市町村もあるようだが。
- ●国では、一時保護に至るまでの緊急保護は市町村で行うという考え方になっており、そのように対応してもらっている。しかし、予算や人が少ないという状況がある。
- ○外国人向けの相談はどの程度あるのか。
- ●外国人の被害者からの相談は、内閣府報告件数のとおり。一時保護の際は、女性相談センターで通訳を手配している。全く日本語を話せない人はほとんどいない。一時保護施設での生活等については、多言語の案内を用意している。
- ○相談窓口は外国人にどのように周知するのか。パンフレット等の紙媒体は外国人に届かない。ホームページや外国人を支援しているNPOに周知するのがよいのではないか。
- ●昨年度男女共同参画計画改定の関係で、有識者にヒアリングを行った際、外国人が情報を得る場所は、外国人コミュニティの中や、教会、いのちの電話等であるとお聞きした。DVに関しては、ハーグ条約の動向も注視しているところ。
- ○ハーグ条約に関しては、国際結婚が破綻して、世界中から逃げてきている人たちがおり、条約批准により様々な問題がおこりうる。
- ○都道府県と市町村の役割分担について次期計画では書き込む必要があるのではないか。
また、大阪府は裁判所との関係はどうなのか。 - ●大阪は保護命令件数が非常に多い。同行支援で出向いており、書記官と頻繁に調整しているので、裁判所とはいい関係にあると思う。地裁の裁判官研修でも、府の役割等を説明している。
- ○DV事案は、地域によっては、相談してから時間を置いて保護命令を申し立てると、暴力の状況が変っていないにもかかわらず、もう一度配偶者暴力相談支援センターに相談するように言われる。
- ○十分にDVのことを認識していない裁判官がいる。司法におけるジェンダーブラインドが問題。
- ○民間シェルターとの関係はどうか。
- ●一時保護については、3箇所の民間シェルターに委託している。府立施設が大きいため、民間シェルターは少ない。
- ○広報啓発の問題も大事ではないか。制度や配偶者暴力相談支援センターのことを知ってもらうことが大事。政府のDVDもあるが、もっと子どもにわかるようなものがあってもよい。
- ○本日の内容をまとめると、研修の充実、潜在化している被害への対応、高校生や大学生など若い世代への対応、親権も含めた子どもをめぐる問題、外国人・高齢者・障がい者等ハンディキャップのある人への広報を含めての対応、市町村との連携、男性相談に関しての意見があった。計画は大きくは変えないが、上記の点をさらに充実する方向で対応していってほしい。
- (1)会長の選任について
- 閉会