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議題1「法人事業税・法人府民税法人税割にかかる府独自の税率設定の期間延長について」
| 資料名 | PDFファイル | その他のファイル |
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| 資料「法人事業税・法人府民税法人税割にかかる府独自の税率設定の期間延長について」 | 資料(PDF:1,267KB) | 資料(PPT:1,504KB) |
【渡邉副知事】
- 今までの適用期間延長時と違うのは、今回は企業ヒアリングを行ったと伺っている。実際に納税されている8社からヒアリングをしたとのことだが、どのような意見があったか紹介できるものがあれば教えていただきたい。
【財務部】
- 資料5ページにあるとおり、既に企業アンケートや先行研究などの二次データを用いた分析・検証の中で、企業の集積性が主な立地要因だという結果が判明していたが、それを補完する意味で、今回、8社のご協力を得てご意見を伺ったところ。
- 主な意見としては、卸売・小売業からは「現状の税率水準であれば、投資等に大きな影響を与えることはない」、製造業からは、工場等の立地選定にあたって「物流の効率を重視しており、税はあまり意識していない」、その他にも「税負担の観点だけでは本社移転することはない」「株価の変動の影響があるのは、営業利益の達成度合いであって、そこに税は影響しないので、意思決定にあたって税は意識していない」というご意見をいただいた。
【渡邉副知事】
- 「法人の実効税率を日本中で下げよう」という議論が十数年前にあり、そのとき、税率が低いところに企業が移転するのではと危惧された。しかし、法人事業税など地方課税の幅の中では、企業立地の判断に影響を与えるほどのことはなかった。
- 実際、法人事業税の独自税率は、どちらかというと企業が立地しているところが課税をしている。誘致したいところはやっていないが、独自税率が投資や立地に影響を与えるほどではないということだと思う。
- ポイントとして、インフラ整備を望む意見があったが、財政難になったときに、真っ先に削るのは新規の投資だったりする。日本中が財政難になっているならともかく、大阪府だけ財政が非常に悪いというイメージがつくと、企業の誘致という観点からもよろしくない。健全財政を維持しているということは重要な要素なのだと思う。将来的にインフラがさらに整備されるという期待があることが企業の立地として大きな要素になってくるのだろうと感じる。
- もう一点、府税収入が前年度当初比で約1,600億円増加する中で、なぜ府独自の税率設定が必要なのかという議論は必ずあると思う。最後に紹介があったが、税収が増えても義務的支出が1,100億円ほど増えている。本来は交付税がもっと減らないといけないが、330億円しか減らないということは、その分、義務的支出が増えているということだと思うが、ここ数年、ずっとこういう形になっていると考えていいのか。
【財務部】
- 何年も前から状況を確認しているが、税収が増えている時期であっても義務的支出が同じように増えており、結果として、その差分はほとんど変わらないような状況が続いている。
【渡邉副知事】
- 独自税率による税収部分は、交付税の財政調整から外れるので、それを使って投資ができているという面があると思う。今回、留保財源や交付税の調整率等を考えたときにぴったり合う。府独自の税率設定分が留保財源、超過財源、自主財源として本当に使える分としてきっちり残り、その分を投資に回している部分があるのではと感じた。
- ただ、税収が伸びているときになぜと思うところがあるので、その辺をしっかり説明していただければと思う。
【森岡副知事】
- 2ページの課税趣旨のところで、都市基盤整備の推進や防災対策の充実といった大都市圏特有の財政需要に対処するためという表現になっているが、この点をもう少しご説明いただきたい。
【財務部】
- 想定する事業例は資料の最後のページにつけているが、毎年算定される基準財政需要額を超える需要量のことだとご理解いただけたらと思う。それだけ大都市圏は高い都市格をめざして、経済活動や社会活動がより活発で、それらを支えるインフラが必要であり、各部局からも毎年度、それだけの予算の要求がある。
- 例えば道路であっても、交通量が多いためより改修が必要だとか、より車線幅の広い、車線数が多いことが求められるとか、大規模な人流・物流にも耐えられる交通ネットワークが必要で、そのためにより大きな事業が求められていると考えている。今後も、副首都・大阪を実現していくに当たり、それだけの行政需要に対して、しっかりと対応していくことが財務部としても不可欠だと考えている。
【森岡副知事】
- 7ページに今後の行政需要例を書いているが、例えば、真ん中の都市高速道路である淀川左岸線延伸部の整備により、都市圏で非常に多い物流を効率化できるだろう。また、都市鉄道であるなにわ筋線が整備されることにより、特に都市圏においては人流が非常に活発なので大阪の成長を支える。地下河川であれば、大阪の場合、特に低平地が多く、しかもそこに人口が密集している。こういったところが大都市圏特有なことではないかと考える。
【山口副知事】
- この税収がなかったらということで、過去の決算を分析し、財政調整基金を取り崩さざるを得ない状態になっていた。また、令和11年度までは1,000億円を超える行政需要があり、半分を占めるこの税が必要という論理で構成されているが、令和11年度までの財政状況から見て、もし、この税がなかったら、財政状況はどうなるのか。税収が好調に伸びている中、どのように財政当局として分析しているのか。今後、中長期試算などで、もう少し詳細なデータが出てくるのかもしれないが、どのように認識しているのか。
【財務部】
- 税収自体は堅調であるという認識だが、徐々にその動き自体も変わってきているのかと思う。今後、3年後、5年後、先を見据えたときに、この税収がないと我々としては、必要と考えている事業を実施していくことは難しいと考える。
【財務部長】
- 財政課長が申し上げたとおりだが、少なくとも今年度当初予算で発表している中長期試算では、過去に発行した多額の府債の償還時期が令和13年度に到来し、収支不足が900億円を超える規模になる。
- かなりの勢いで税収が伸びていることは事実だが、先ほどの話にあったように、そのうちの相当額を義務的支出に費やしていること、現在の中長期試算で十分積み込めていない行政需要として一斉に公共施設の老朽化が進んでいること、これまで行財政改革を進めてきたがゆえに、公共事業を含めて投資が非常に抑制的になっていた。この間、議会等の議論でも、税収が好調な時期に大阪の成長を支える投資を行うべきという問題提起を多々いただいていることからすると、これまでほどの厳しい財政状況は一定回避できたとしても、相当額の行政需要が膨らむことを考えると、この税があって、何とかバランスを取った適切な投資をしていける財政運営ができると考えている。
【山口副知事】
- 最後のページの事業はどれも重要だと思うが、少なくともこの税は、財政状況が厳しいときも、いいときも、都市基盤整備を確実にやっていきます、都市として必要な機能はきちっとやりますということが府独自の税率設定をしている趣旨だと思う。今までどちらかというと、財政難だから実施しているといった雰囲気があったが、財政状況は変わりつつあるので、何に使っているか、どういうところに投資しているかは、今後しっかり説明をしてほしいと思う。
【政策企画部長】
- 大都市圏特有の財政需要というのは、感覚的にはわかるが、具体的にわかりにくいところがある。道路のほうは、ある程度ピンとくる感じがあるが、例えば、治水対策で大都市特有の需要はどんなものが具体的にあるかご説明いただきたい。
【財務部】
- どこの地域でも治水対策は必要になると思うが、大都市である大阪府は、治水対策がしっかりしていなければ、災害が起こった際により被害が大きくなる。そのために、より高度な、より大規模な治水対策が必要になってくる。例えば、三大水門の更新や、寝屋川北部の地下河川整備はしっかり進めていきたいと思っている。
【政策企画部長】
- 納税される企業の皆さんの納得感が大事だと思う。しっかりと説明していくよう、よろしくお願いする。
【総務部長】
- 基本的な質問になるが、インフラ部分に充当して、きっちり対応してきたという検証をしていただいているが、大都市圏特有の財政需要に対応するという観点であれば、インフラ以外の、例えば成長とか、そういう部分も将来に向けてはあり得ると思う。この税を設定した最初のときの議論経過から、これはインフラに限ったものなのか、あるいはそういうところまで広げる余地があるというものなのか、どう考えればいいか。
【財務部】
- 他県の状況を見ても、本府と同じようにインフラに充てている団体もあるし、財源対策ということで、何にでも充てられるようにしている団体もある。ソフト事業に充てられないことはないと考えているが、今のインフラ整備等の需要だけで1,000億円以上の規模があること、今後も何に使って、どういう効果があったのかをしっかり説明していく上では、ソフト事業よりもインフラ事業のほうが対外的に説明しやすいのではと思っている。
【財務部長】
- 補足すると、充てているというより、こういうことに活用したいから頂戴しているとご理解いただき、宿泊税とは性質を異にしていることも前提としてご理解いただきたいと思う。
- この税は、目的税として個別の事業に充当するというものではなく、これだけの大都市圏としての需要に対応するためにいただくもの。その前提の上で活用先の議論をさせていただかないといけないと思っている。現時点においては、まず大阪の成長を支え、東京に次ぐ、世界的な都市間競争に勝てる大阪を実現するための都市基盤の重要な部分に活用していきたいという考え方である。
【知事】
- 担税力のある大企業等に一定の負担をお願いして、都市基盤整備を進めてきたところ。
- また、ヒアリングをする限りでは、経済団体も、企業においても、経済・物流を含めて、より大阪が成長していくための都市基盤整備をしっかりやってくれというメッセージが強いと思うので、そこを大都市・大阪として進めていきたいと思うし、その予算に活用していきたいと思う。
- 経済機能を高めていくことによってさらなる税収増にもつながり、経済が活性化することによって、暮らしが豊かになってくることにもつながると思う。
- 大阪府においても、大阪市と連携しながらではあるが、都市基盤整備を強化するというのが重要だと思う。人流・物流・安全対策、都市としての基盤整備を進めていく。
- その中で、一定ご理解をいただいているが、企業の皆さんにもわかりやすく、しっかりと、より丁寧に説明をしてもらいたいと思う。
- その上で、9月議会に改正条例案を提出して、この税収を大阪の都市基盤の強化に活用していきたい。さらなる大都市として成長するよう、都市基盤整備をさらに加速させていきたいと思うので、よろしくお願いする。
【政策企画部長】
- 法人事業税・法人府民税法人税割にかかる府独自の税率設定の期間延長については、ご審議の結果を踏まえ、9月議会に関連する条例案を提出いただくこととする。