ねずみの駆除について

更新日:2009年8月5日

ねずみ

1 衛生上有害なネズミの種類とその特徴 

種類体長・体重外見・特徴主な生活場所行動
クマネズミ18から22cm・120から200g

耳はうすく大きく前に倒せば目を覆う。尾は頭胴長より長く約1.1倍。体色は黒色又は茶褐色。

住家性のネズミで、天井裏、天袋、ハリ、ダクトの上など高所を好んですむ。

配電線、水道、ガス管等を垂直に上り下りする。電線、ロープ等の渡る。跳躍力に優れる。

ドブネズミ22から25cm・200から400g

耳は厚く小さい。前に倒しても目まで届かない。尾は頭胴長より短く約0.8倍。体色は灰褐色。

住家の床下、下水、ゴミ箱周辺、石垣等低いところに棲む。比較的汚い所に多い。水辺を好み、穴を掘って巣を作る。

下水、側溝等を利用した平面的行動が多い。泳ぎや潜水もできる。

ハツカネズミ 6から10cm・10から20g

耳は丸くて大きく肢は前後とも細い。尾は頭胴長より短く、約0.8倍、体色は褐色又は黒色。

押し入れ、納戸等クマネズミに類似した所に多い。屋外にも多い。(半住家性)

行動は敏捷で、跳躍力、遊泳力もかなり優れ、跳びはねるような歩き方をする。

 ○ ねずみ算によれば、ひとつがいのネズミが1年後には9,434匹に増え、3年後には約3億5千万匹になる。

家ネズミ3種の寿命と繁殖は、最適条件下ではおおむね次表のようになる。

種類寿命繁殖可能期間妊娠期間年間分娩回数1回の出産数
クマネズミ約3年生後約3ヶ月から2年約21日5から6回約6匹
ドブネズミ約3年生後約3ヶ月から2年約21日5から6回約8匹
ハツカネズミ1から1.5年生後約35日から約20日6から10回約6匹

自然界では上表のように長生きではなく、1年以上生きるのは約5%程度だと言われている。

種によって幾分の相違があるが、ネズミの一生を図にしてみると次のようになる。

−21日から0日から20日から30日から90日から2年から
懐妊←−→出産←−→離乳←−→生殖

開始

←−→

生殖

停止

←−→

胎児期授乳期活動期成獣期老生期

○ ネズミの習性

 ネズミ駆除作戦を展開する場合はまず敵を知るという意味でネズミの一般的な生態、行動様式を知りこれを逆に利用することが大切である。

(1) なわばり

   一般に数匹から10数匹が群れとなり巣を中心として餌確保のためのなわばりを作り、他のネズミの侵入を排除する。
   ネズミは種類によってもなわばりを持っており、うまくすみわけている。

(2) 異物反応

   ネズミはいつもと異なった状態を強く警戒する。これは餌・餌場等に対しても起こる。

(3) 環境順応性

   異物反応とは逆で、ネズミは異物に対し時がたつに従って新しい環境に馴れる。

(4) 夜間活動性

   昼間は停止しており、ほとんど夜間に活動する。最も活動の盛んな時間は日没後数時間と夜明け前である。

(5) 隅行性

   ネズミは壁際や物陰を通路として行動し、めったに広い空間を横切ることはない。

(6) 食性

   ネズミは非常に貪食で1日にその体重の1/3から1/4の食餌をとる。
   クマネズミ、ハツカネズミは植物質、ドブネズミは雑食性が強く動物質を好む傾向がある。

2 ネズミによる被害
○ 衛生上の害(媒介される疾病)

病名病原体感染源感染経路
ペストペスト菌血液ネズミ→ノミ→人(皮膚)
ワイル病レプトスピラ尿ネズミ→土・水→人(皮膚)
食中毒サルモネラ菌類糞尿ネズミ→飲食物→人(口)
広東住血線虫線虫接触・摂食ネズミ←→ナメクジ、カタツムリ→人
ツツガムシ病リケッチア体液ネズミ→ツツガムシ→人(皮膚)
流行性出血熱ウイルス唾液・排泄物ネズミ→汚染されたホコリ等→人(皮膚・口)

ネズミにはダニ類(イエダニ、ヒメトゲダニ)、ノミ類(ヤマトネズミノミ、ケオプスネズミノミ)、シラミ類(イエネズミシラミ)等の
外部寄生虫、条虫、回虫等の内部寄生虫があり、それらが2次的に人を刺す、吸血する、寄生する等の被害を与える。

○ 経済上の害
 (1)農林畜産業上の被害        
 (2)建物、家具、衣類、商品、食品の咬食害による物損
 (3)配管、配線の咬傷による爆発、停電、漏電等

3 ネズミの駆除
 ネズミの駆除にあたっては、次の点を認識しておく必要がある。

○ ネズミは哺乳動物であり、生物学的にはかなり高等であり適応能力、学習能力にすぐれているから、その習性を良く知って
  これを逆に利用することが肝要である。

○ 家住性のネズミは、その棲息環境に順応して変化するので環境を無視し、画一的方法で駆除にあたったのでは良い結果を
  期
待することはむずかしい。

○ 家住性のネズミは、人間の生活の場に密着しているから常に人間生活との関連性を考慮に入れなければならない。

 (1) 環境的駆除法
   ネズミの生活条件を悪くするためには、環境整備すなわちネズミの住めない環境づくりをしなければならない。

 イ.餌になるような物を与えない。

 ロ.巣を除去すること(巣の材料となるものを与えない)。

 ハ.通路をふさぐこと。

(2) 機械的駆除法

  金網式捕そかご、パチンコ、シャーマントラップ(ハツカネズミ専用)、粘着シート等最近各種のトラップが市販されている。この方法のみでは不完全である。超音波を利用したネズミを追い出す機器も各種市販されている。

(3) 化学的駆除法(殺そ剤による駆除法)

  殺そ剤の使い方は次のような方法がある。

イ 毒餌法 

粉剤、粒剤、固形剤、耐水剤等がある。

ロ 液剤処理法

水の欠乏しやすい場所で用いる。

ハ 接触処理法

接触粉剤・接触ペースト等ネズミが体に付着したものをなめてきれいにする性質を利用する。

ニ 薫蒸処理法

青酸ガス・メチルブロマイド等を用いる毒ガス法で法規制がある。

○現在広く使用されている安全性の高い殺そ剤は別薬剤の系統分類のページ参照。

4 殺そ剤使用上の注意事項
     ○注意事項は使用上の注意のページ参照。

 

このページの作成所属
健康医療部 生活衛生室環境衛生課 生活衛生グループ

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