1 衛生上有害なネズミの種類とその特徴
種類 | 体長・体重 | 外見・特徴 | 主な生活場所 | 行動 |
クマネズミ | 18から22cm・120から200g | 耳はうすく大きく前に倒せば目を覆う。尾は頭胴長より長く約1.1倍。体色は黒色又は茶褐色。 | 住家性のネズミで、天井裏、天袋、ハリ、ダクトの上など高所を好んですむ。 | 配電線、水道、ガス管等を垂直に上り下りする。電線、ロープ等の渡る。跳躍力に優れる。 |
ドブネズミ | 22から25cm・200から400g | 耳は厚く小さい。前に倒しても目まで届かない。尾は頭胴長より短く約0.8倍。体色は灰褐色。 | 住家の床下、下水、ゴミ箱周辺、石垣等低いところに棲む。比較的汚い所に多い。水辺を好み、穴を掘って巣を作る。 | 下水、側溝等を利用した平面的行動が多い。泳ぎや潜水もできる。 |
ハツカネズミ | 6から10cm・10から20g | 耳は丸くて大きく肢は前後とも細い。尾は頭胴長より短く、約0.8倍、体色は褐色又は黒色。 | 押し入れ、納戸等クマネズミに類似した所に多い。屋外にも多い。(半住家性) | 行動は敏捷で、跳躍力、遊泳力もかなり優れ、跳びはねるような歩き方をする。 |
○ ねずみ算によれば、ひとつがいのネズミが1年後には9,434匹に増え、3年後には約3億5千万匹になる。 |
家ネズミ3種の寿命と繁殖は、最適条件下ではおおむね次表のようになる。 |
種類 | 寿命 | 繁殖可能期間 | 妊娠期間 | 年間分娩回数 | 1回の出産数 |
クマネズミ | 約3年 | 生後約3ヶ月から2年 | 約21日 | 5から6回 | 約6匹 |
ドブネズミ | 約3年 | 生後約3ヶ月から2年 | 約21日 | 5から6回 | 約8匹 |
ハツカネズミ | 1から1.5年 | 生後約35日から | 約20日 | 6から10回 | 約6匹 |
自然界では上表のように長生きではなく、1年以上生きるのは約5%程度だと言われている。 |
種によって幾分の相違があるが、ネズミの一生を図にしてみると次のようになる。 |
−21日 | から | 0日 | から | 20日 | から | 30日 | から | 90日 | から | 2年 | から |
懐妊 | ←−→ | 出産 | ←−→ | 離乳 | ←−→ | 生殖 開始 | ←−→ | 生殖 停止 | ←−→ | ||
胎児期 | 授乳期 | 活動期 | 成獣期 | 老生期 |
○ ネズミの習性 |
ネズミ駆除作戦を展開する場合はまず敵を知るという意味でネズミの一般的な生態、行動様式を知りこれを逆に利用することが大切である。 |
(1) なわばり |
一般に数匹から10数匹が群れとなり巣を中心として餌確保のためのなわばりを作り、他のネズミの侵入を排除する。 |
(2) 異物反応 |
ネズミはいつもと異なった状態を強く警戒する。これは餌・餌場等に対しても起こる。 |
(3) 環境順応性 |
異物反応とは逆で、ネズミは異物に対し時がたつに従って新しい環境に馴れる。 |
(4) 夜間活動性 |
昼間は停止しており、ほとんど夜間に活動する。最も活動の盛んな時間は日没後数時間と夜明け前である。 |
(5) 隅行性 |
ネズミは壁際や物陰を通路として行動し、めったに広い空間を横切ることはない。 |
(6) 食性 |
ネズミは非常に貪食で1日にその体重の1/3から1/4の食餌をとる。 |
2 ネズミによる被害
○ 衛生上の害(媒介される疾病)
病名 | 病原体 | 感染源 | 感染経路 |
ペスト | ペスト菌 | 血液 | ネズミ→ノミ→人(皮膚) |
ワイル病 | レプトスピラ | 尿 | ネズミ→土・水→人(皮膚) |
食中毒 | サルモネラ菌類 | 糞尿 | ネズミ→飲食物→人(口) |
広東住血線虫 | 線虫 | 接触・摂食 | ネズミ←→ナメクジ、カタツムリ→人 |
ツツガムシ病 | リケッチア | 体液 | ネズミ→ツツガムシ→人(皮膚) |
流行性出血熱 | ウイルス | 唾液・排泄物 | ネズミ→汚染されたホコリ等→人(皮膚・口) |
ネズミにはダニ類(イエダニ、ヒメトゲダニ)、ノミ類(ヤマトネズミノミ、ケオプスネズミノミ)、シラミ類(イエネズミシラミ)等の |
○ 経済上の害
(1)農林畜産業上の被害
(2)建物、家具、衣類、商品、食品の咬食害による物損
(3)配管、配線の咬傷による爆発、停電、漏電等
3 ネズミの駆除
ネズミの駆除にあたっては、次の点を認識しておく必要がある。
○ ネズミは哺乳動物であり、生物学的にはかなり高等であり適応能力、学習能力にすぐれているから、その習性を良く知って |
○ 家住性のネズミは、その棲息環境に順応して変化するので環境を無視し、画一的方法で駆除にあたったのでは良い結果を |
○ 家住性のネズミは、人間の生活の場に密着しているから常に人間生活との関連性を考慮に入れなければならない。 |
(1) 環境的駆除法 |
ネズミの生活条件を悪くするためには、環境整備すなわちネズミの住めない環境づくりをしなければならない。 |
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このページの作成所属
健康医療部 生活衛生室環境衛生課 生活衛生グループ
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